ノーベルアームズ SURE HIT 1624 IR HIDE7 CQB スコープ
レポート:池上ヒロシ
使いこなすのに特別な技術や訓練が必要になるオープンサイトの代わりに、誰でも簡単に使いこなせる光学照準器を使用するという考え方は現代の軍用ライフルではそれほど珍しいものではなくなってきている。いわば、「オープンサイトの上位互換としてスコープを使う」という考え方だ。多くは1倍または1.2倍から、最大まで拡大しても4倍程度までが多い。だが、このスコープはなんと6倍まで拡大できるところが最大の特徴だ。
実際に覗いてみると分かるが、4倍と6倍では全く違う。「ターゲットが少し大きく見える」というイメージが強い4倍と比べ、6倍となると本格的な高倍率スコープの範疇になってくる。近距離での素早い照準を手助けしてくれる等倍スコープが、パワーセレクターを回すことで遠距離精密射撃に使える高倍率スコープに早変わりする。これは使えるぞ。
倍率: | 1~6倍 |
レンズ径: | 24mm |
チューブ径: | 30mm |
レティクル: | 6D-CQB |
M.O.A.: | 1クリック=1/2M.O.A. |
アイリリーフ: | 1x=98.5mm/6x=98.5mm |
全長: | 275mm |
重量: | 530g |
作動幅: | UP/67M.O.A. R/65M.O.A. |
インパクトポイント: | 1M.O.A.以内 |
F.O.V.: | 1x/24.49m、6x/5.5m |
付属品: | フリップオープンキャップ |
価格: | 37,000円(税抜) |
光学照準器を使いこなす 豆知識&用語集
スコープのマウント方法
実際のビューについて
レティクルは「CQBタイプ」と呼ばれる、左右と下の線だけ太く、上部と中心近くは細くなっているタイプのもの。太いレティクルは見やすいがターゲットを覆い隠してしまいやすく、細いレティクルは精密な照準ができるが見失いやすいという互いの長所・短所を補いあうデザインである。
左右と下方の太いレティクルは枠組みだけ、いわゆるスケルトンになっているので、「ターゲットを覆い隠してしまいやすい」という欠点も少ない。レティクルを点灯すると、そのスケルトンになった部分と中心にあるドットだけが赤く点灯する。
倍率1倍。適切なアイリリーフの位置に眼を置いて銃を構えると、まるでスコープがレンズもなにも入っていない素通しになったかのような奇妙な感覚を覚える。通常、こういった低倍率スコープで最小倍率にすると周辺が歪んだりするものだが、全くそんな感じはしない。これなら「ドットサイト替り」にも使えるんじゃないだろうか。
イルミネートレティクルを点灯させたところ。中心の点と、左右と下の線が赤く点灯しているのだが、ハデに光り輝くわけではないので周囲が明るい状態ではちょっと分かりづらい。あくまで薄暗い場所でレティクルを見失わないようにするための機能だ。
最大の6倍にしたところ。肉眼ではほとんどわからなかった赤いドームの内部の様子まではっきりと見ることができる。誓って言うがこの写真は決してハメコミ合成なんかじゃなく、実際にスコープを銃に装着した状態で屋外フィールドに持ち出して、銃を机の上に置いて銃口部分を三脚で持ち上げて高さの微調整をして(スコープの左下に写ってる黒い棒状のものは、その三脚の一部だ)、カメラを手持ちでスコープの後ろに持って行ってシャッターを切って撮影したものだ。
最大倍率の状態でレティクルを点灯させたところ。
レティクル形状が良く分かるように、白い紙にスコープを向けた状態で撮影したもの。
右はイルミネートレティクルを点灯させた状態。
レティクル中心部の拡大。
発光するのは左右・下部のスケルトン状になった太い線と、中心のドットのみ。中心近くと上部にある細いレティクルは発光せず黒いまま。
ガラスレティクルを採用しているのでレティクルの線がつながっていない。
各ダイヤルの扱い方
接眼レンズの「縁(ふち)」の部分が回せるようになっている。
これは「ディオプター」といって、スコープを覗いた時に特別に目を凝らしたりしなくてもレティクルが自然にクッキリと見えるように調節するためのものだ。自分の視力に合わせて調節したら、基本的にはもう触らなくて良い場所である。
上下左右の調節をするのが、エレベーション/ウインデージ調節ノブ。SUREHIT 1624IRの調節ノブは特に工具無しに簡単に回せるようになっているが、不用意に回ってしまわないようにロックする機能がある。ノブ自体を押し込むとロック、引き出すとロック解除だ。
スコープの倍率(ターゲットが拡大される率)を無断階で調節するためのリングが「パワーセレクター」だ。スコープの手前側にあり、大きな滑り止めの凹凸が付いていて回しやすい。
スコープの左側面にあるロータリースイッチを使ってレティクルの点灯および明るさの調整を行う。輝度調節は全部で11段階だ。
電池交換方法
ロータリースイッチが電池ケースを兼ねている。電池交換をするときには、スイッチが回らないように手で抑えながら、電池ケースの蓋をコインなどを使って外す。使用電池はCR2032が1個。
ここがポイント
1倍から使えるショートタイプ・スコープなのに、「高倍率スコープ」の範疇に入る6倍まで拡大することができるのが、なんとっても大きな利点だ。もちろん最大倍率でも像の周辺が歪んだり目に見えて暗くなったりすることはない。ちょっとアリガチすぎるフレーズだが、「近接戦から遠距離狙撃まで、これ1本でカバー」みたいな理想的な照準器にもっとも近いのが、こういうタイプのスコープかもしれない。
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