ノーベルアームズのスコープ&ドットサイト特集
レポート:池上ヒロシ
光学照準器を、実物装備をコピーするためのアクセサリーと考えるなら、安価なレプリカ品でもいいだろう。だが本来の目的――つまり照準をつけるための道具として使いたいのなら別の選択肢がある。照準器としての基本の性能がしっかりしていて、値段もベラボウに高いわけじゃなく、おまけに米軍で使われている「ホンモノ」に形がけっこう似ているもの...。そういう「美味しいとこ取り」な光学照準器を数多くラインナップしているのがノーベルアームズだ。
安心の国産...みたいなフレーズを書きたいところだが、ノーベルアームズ製品の全てはMade in CHINA、中国製だ。だからといって、品質がイマイチと思われたら困る。作ってる工場のレベルが違う。そして品質が違うのだ。
といってもノーベルアームズ製品を作っている中国の工場に、最初から高品質な製品を作るだけの技術があったわけではない。かつて日本に存在した世界的な光学機器メーカーである「ハッコー」で働いていた熟練の職人さんが技術指導として常駐し、それこそ道具の使い方から素材・接着剤などの選び方、道具が足りない場合はその場で作ったりとありとあらゆる指導を徹底して行って培われた技術なのである。
そのおかげで、現在ノーベルアームズ製品のトップラインを作っている中国の工場は、(具体的に名前を出すことはできないのだが)誰もが知ってるアメリカの超有名光学機器メーカーの製品の生産を全面的に任されるところまで成長しているという。
言い換えると、ノーベルアームズ製品のトップラインは、その「誰もが知ってるアメリカの超有名メーカー」の製品と同じ場所で、同レベルの品質管理の元で製造されているということだ。
ちゃんと使えるノーベルアームズ製スコープ
スコープは、より正確に照準をつけるためのものだ。レンズを使ってターゲットを拡大し、そこにレティクルを重ねあわせる。正しく調整れていれば、その状態で銃を撃てば十字線の中心に弾が当たる。
すごく安い値段で販売されているスコープでも、覗けばターゲットは大きく見えるし、レティクルも見える。上下左右の調節ダイヤルを回せばレティクルやドットが移動し、上手くすると着弾点とレティクルの指す位置を一致させることもできる。
ノーベルアームズ製品が違うのは、その「できて当然のこと」がどれだけ正確にストレスなく行えるかという点だ。スコープを覗いた時に見える映像が妙な形に歪んだり、変な色がついていたりしないか? 調整ダイヤルを回した後、反対側に同じ数だけ回した時にレティクル(ドット)が同じ場所に戻るかどうか? 一度合わせたはずのレティクルが、撃っていると衝撃などでいきなり位置が動いたりしないか?
スコープは、ただターゲットが大きく見えていれば良いというものではない。レティクルを正確に着弾点に合わせることができて初めて役に立つ道具だ。そのためには、内蔵されたレンズの位置や角度を極めて精密に微調整できること、そして一度調整したら再び調整しない限りレティクルの位置が変わらないことが重要になる。ノーベルアームズ製のスコープは、十分に高いレベルでそれを実現している、「ちゃんと使える」スコープなのだ。
ターゲットが拡大されて見えることにより、より精密に狙えるようになる。ターゲットの上には「レティクル」と呼ばれる十字線が重ねて投影され、照準の手助けをする。
遠距離用・精度重視なのがスコープ
「正しく調整されていればレティクルの中心に弾が当たる」と書いたが、そうそう簡単に「正しく調整」ができるわけではない。距離によって弾が当たる場所は変化するし、気温や湿度によってHOPのかかり具合が変われば、弾の飛び具合もまた変わってくる。風が吹くこともあるし、撃ち下ろしか撃ち上げかによっても変化する。
ノーベルアームズのスコープは、そういった様々な変化に対応してレティクルの位置を微調整できるように、上下左右の調節を特別な工具なしに簡単に行えるようになっている。場合によってはゲーム中、さらには射撃中にでも調節ノブを回して適切な位置にレティクルを合わせることができる、それがスコープの強みだ。
ノーベルアームズ製ドットサイトのスゴサ
スコープと比べると、ドットサイトは「近距離で」「素早く」照準するための道具だ。内蔵されたLEDの光をレンズに反射することで、射手には光点が遠くに浮かんでいるように見える。
ドットサイトの光点は基本的には円形をしているが、十字線や二重丸など複雑な形状をしたものもある。LEDの光は元々は四角に近い形をしており、それを小さい穴を開けた遮光板を通すことで丸型やその他のいろいろな形をした光が射手の眼に見えるようにしている。しかし、あまり品質の良くないものだと加工がいい加減で、穴を開けた時のバリやゴミの影響で歪んでしまったり、ドットの形に欠けが生じてしまったりしているものがある。
レンズの質も重要だ。ドットサイトのレンズは、風景をそのまま素通しで見せると同時にLEDの光を反射させる必要もあるため、ある程度光を反射させやくするためのコーティングが施されている。その影響でレンズを通すとターゲットに少し色がついてしまう。これはドットサイトの宿命のようなものだが、安価なドットサイトの中にはその色変化が実用上問題があるレベルまで大きいものが存在する。
ドットがきれいな丸型に見えているか? レンズを通して見た風景が歪んでいたり、極端な色変化があったりしないか? そういった「ドットサイトの良し悪し」を見分けるポイントを念頭に置いた上で、ノーベルアームズ製ドットサイトの性能や特徴を見ていこう。
ドットサイトを覗くと、光る点が遠くに浮かんでいるように見える。これもスコープのレティクルと同じく、実際にターゲット上が照らされているわけではなくレンズ上に投影された、射手だけに見える光点だ。
近距離用・スピード重視なのがドットサイト
両目でターゲットを見据えたまま、その視界にサイトのレンズを割りこませるだけで「弾が飛んで行くであろう場所」が光る点として表示される。射手は、その光る点がターゲットに重なった時にトリガーを引けば良い。これはアイアンサイト(オープンサイト)やスコープにはなかった大きな利点で、誰にでも簡単に素早い照準を可能にする。
ドットサイトの上下左右調節機能は、簡単にいじれる状態にはなっていないことが多い。ドライバーや六角レンチなどを使う必要があるし、一度調整したあと別のネジを閉め込むことでロックする機能を持っているものもある。基本的には銃に取り付けて一度調節したらもう触らないことを想定した作りになっている。これも、ドットサイトが遠距離用ではなく近距離用のサイトだということの現れの一つだ。
ノーベルアームズ スコープ&ドットサイト特集 INDEX
■スコープ
SURE HIT 1624 IR HIDE7 CQB
SURE HIT 41650 TACTICAL SSTP
TAC ONE 12424 IR
スコープのマウント方法
■ドットサイト
COMBAT T1
COMBAT 80
TINY DOT
光学照準器を使いこなす 豆知識&用語集
ロケ協力:SPFゲームフィールド
撮影用エアガン協力:赤羽フロンティア(http://www.frontier1.jp/)
ノーベルアームズ WEBサイト
http://www.novelarms.co.jp/
■関連レビュー
ドットサイト・スコープ特集 定番の光学照準器