APS Airsoft 電動ガン M4 Keymod LPA (ブローバック)
レビュー: 金子一也 (Gunsmithバトン アキバ店長)
世界的人気のARをモチーフにしたAPSの意欲作
多くのエアガンファンに認知され、憧れの的となっている、Costa Ludas主宰のクリス・コスタ氏。そのコスタ氏がが2014年前後から使用している、銃口付近までハンドガードの伸びた独特のカスタムM4を、動画や画像でご覧になった方は多いことだろう。この独特なライフルは、War Sport Industries社製のLVOA-Cという製品で、インストラクターとしても有名なコスタ氏が常に愛用していることで、現在も世界中の注目を集めている。
今回レポートをお届けするAPS aisoft社の最新電動ガン、M4 Keymod LPA (ブローバック)は、このLVOA-Cをモチーフとしながら、独自のアイディアを盛り込んだ意欲的な製品となっている。コスタ人気に便乗しただけのコピー商品ではない、その充実した内容を詳しくご紹介して行こう。
APS airsoft M4 Keymod LPA (ブローバック) 電動ガン スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||
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アレンジセンスが光るキーモッドハンドガード
まずは最も特徴的なハンドガードを細かく見てみよう。本製品のLPAという商品名は、Low Profile Adapt Rail System Keymodを略したもので、細身のキーモッドハンドガードが最大の売りであることをはっきりと示している。
CNC加工によって造られたハンドガード単体の長さは、約12.4インチと見た目の雰囲気よりも短く、LVOA-Cよりも、LVOA-S(SBR)に近い印象だ。銃身の長さが動作や命中精度に直接影響するわけではない
電動ガンの場合、実にちょうど良い長さと言えるだろう。
実銃LVOAシリーズのハンドガードは、ナイツURX-3に近い雰囲気の、いわば4面タイプのデザインとなっているが、APS製のLPAは、トップレール以外のすべてのエッジが丸く落とされた八角断面のもので、他に類を見ないサポートハンドでの握りやすさを実現している。
ハンドガードのトップを除いた7面すべてに、キーモッドホールがそれぞれ12個(左右の面はQDスゥイベルマウントがあるため11個)設けられており、付属する9コマのマウントレール3枚を好みの位置と角度に取り付けることが可能だ。バーチカルグリップやハンドストップ等を取り付ける際、自分に合ったセッティングを出すまでには、マウントレールを何度も着脱することになるが、着脱が容易なキーモッドタイプのマウントは、この作業で生じるストレスを大幅に低減してくれるだろう。また、コスタ氏に倣って、キーモッドホールにバンジーコードを通すというのも、雰囲気が盛り上がって良いかもしれない。
ちなみにこの優れたデザインのハンドガードは、当Airsoft通信の第10回記事でご紹介した、同APS airsoft製のM4 Guardian Tactical&Combatに採用されていたオリジナルハンドガードをベースに、キーモッドタイプとして再設計したものとなっている。
Remington Defense製の実銃、R5 RGPをモチーフとしたデザインで作られていた丸みのある素材を活かし、キーモッドタイプとして新たに作られたLPAのハンドガードは、過去の財産を活かすことによる製造コストの低減になり、販売価格を抑える結果にも繋がっていることだろう。
ハンドガードの先端がマズル付近まで延びたデザインは、LVOAシリーズのそれをそのまま踏襲。実銃はフラッシュハイダーから噴出する高圧の発射ガスから射手を守るため、ハンドガード先端付近のマウント穴が塞がれているのだが、APS LPAではこれを再現せず、有効長ギリギリまでキーモッドホールを設けている。
参考までに、実銃のM4の射撃時にフラッシュハイダーから噴き出すガスには、仮にマズル部分を握っていたとすれば、指がバラバラに千切れ飛ぶほどの勢いがあるため、安全対策は必須だ。電動ガンには幸いそういった危険は無いが、雰囲気を出すため、先端部の左右にマウントレールを取り付けても良いかもしれない。
ハンドガードに包まれるように取り付けられたフラッシュハイダーは、初期のLVOAに取り付けられていたBattle Compを意識したと思われる細身のものを採用。ハイダーの先端ギリギリまで伸びたインナーバレルが、中央にぴったり保持されているのがおわかりいただけるだろうか。
尚、アウターバレルとの接続は14mm逆ネジ仕様になっているが、ハイダーを取り外すためには、ハンドガードを一旦レシーバーから分離する必要がありそうだ。
オールインワンを標榜した新規設計、 Athena Sights
トップレール先端に搭載された樹脂製のフリップアップフロントサイトは、APS社がAll in one Pistol and Rifle Sights togetherと銘打った新規デザインのもので、リアサイトと合わせてAthena Sightsと名付けられている。左右調整が可能なフロントサイトポストの先端には、透明のアクリルファイバーが取り付けられており、日中の屋外や照明のある屋内で、抜群の狙いやすさを実現している。こうした集光サイトを搭載したライフルは筆者も初めて触ったのだが、格段にターゲットを狙いやすいことを強く実感した。中、近距離での闘いがメインとなるサバゲーにおいて、これは強力なアドバンテージになることだろう。
アッパーレシーバー上に搭載されたリアサイトも、上下左右に調整可能な新規設計の本格的なもの。フルアジャスタブルでありながら、コンパクトサイズにまとめられているあたり、APS社の技術力の成熟を感じさせてくれる。
また、画像でおわかりいただけるように、前後サイトの基部にH&K MP7のサイトと同様のブレードとノッチが設けられており、フリップアップサイトをたたんだ状態でもサイティングが出来る作りになっている。ただ、ライフル用としては照準線があまりに低すぎるため、ストックに頬付けした構えで狙うことは事実上不可能。何らかの理由でフリップアップサイトが破損した際の、緊急用サイトといった位置付けだろう。
上の画像中、リアサイトの下に見えるチャージングハンドルは、ハンドルラッチが延長されており、緊急時の操作を容易にしている。やはり電動ガンで、チャージングハンドルを緊急操作する事態は起き難いが、戦うライフルとしての雰囲気が盛り上がる、嬉しいポイントだ。
細かいこだわりが光るレシーバーまわり
実銃のLVOAと同様、APS製LPAも基本的にはM4のカスタムバリエーションなので、レシーバーまわりは同社の従来製品に準じているが、細かい仕様変更で他の製品との差別化を図っている。
まず目に付くのがエジェクションポートから覗く、ゴールドに仕上げられたダミーボルト(リコイルプレート)だろう。これは単なるメッキや塗装でなく、強化チタニウムコーティングで、しっとりとした独特の光沢を放っている。おそらくは長期に渡ってこの輝きが持続するのだろう。
機能面では、セミ、フルオートでの射撃時にこのボルトカバーが前後に動き、心地よい金属音と振動を味合わせてくれる。また、上述したチャージングハンドルを引くことでこのボルトカバーが開き、ホップ調整ダイヤルにアクセスすることが出来る。この際、チャージングハンドルを引きながら、ロアレシーバー左側面のボルトリリースレバーを引き起こすと、ボルトカバーが後退位置でロックされるのも、特筆すべきポイントだろう。
見慣れない形状のトリガーは、LVOAシリーズに倣い、フラットタイプのカスタムトリガーが採用されている。一般的なM4のトリガーが後方に湾曲しているのに対し、このフラットトリガーは指に当たる面が直線(平面)になっており、撃とうとする意思がガンにダイレクトに伝わるようなトリガーフィールが味わえるデザインとなっているのだ。その効果が実際に味わえるかどうかは、実射テストの際に試してみよう。
グリップはアメリカのアクセサリーメーカー、Stark Equipment社のSE-1を模したデザインで、トリガーガードの先端までが一体成形された樹脂製のもの。細かい凹凸の滑り止めモールドが、手の平に心地よく馴染む仕上げになっている。後方に設けられたQDスゥイベルマウントは、上述の実物グリップには無いAPS社の独自装備で、ワンポイントスリングでの運用に適しているだろう。
このグリップは同社のM4 Guardian Combatにて採用されたものだが、おそらくはその人気の高さから、最新モデルであるLPAにも標準装備されたと思われる。
マガジンは300連の多弾式で、MAGPULのP-MAGをイメージしたと思われる、浅い凹凸モールドが表面に施された樹脂製のもの。今のところこのマガジンの別売は無いが、いわゆるスタンダードM4のマガジンがほとんど使えるので、予備マガジンの用意に困ることは無いだろう。
ストックもLVOAに採用されているB5 SYSTEMS ENHANCED SOPMOD STOCKに倣い、ナイロンファイバー製の、いわゆるクレーンストックを採用。頬付けする部分に滑り止めのモールドが施されているのは、APS社のオリジナルだ。
また、バットプレートを外すとバッテリーコネクターとヒューズボックスが顔を出す、APS社のM4系電動ガンに共通した仕様となっている。
クレーンストック両側のスペースに収納出来るバッテリーのサイズは、BATON airsoft電動ガン用リポバッテリーであれば7.4v1200mAh[30C](セパレート)か、7.4v2200mAh[30C](セパレート)の2種類となる。最大45Cもの放電レートを持つBATON airsoft電動ガン用リポバッテリーは、APS製LPAの持てるポテンシャルを最大限に引き出すことだろう。
さらなる進化を遂げた新型メカボックスを搭載
2013年4月に当Airsoft通信にてレポートをお届けした、APS製のM4 Guardian Tactical&Combatには、ハイブリッドギヤボックスと呼ばれる新規設計のメカボックスが搭載されていたのだが、あれから2年が経った今、APS社は、Silver Edge Electric Blow Back Gear Boxと名付けられた、さらに新しいメカボックスを開発し、LPAを始めとするM4系電動ガン全てに投入している。製品のクオリティ向上を目指して費用と労力を惜しまないAPS社の開発理念に敬服するばかりだ。
この新しいメカボックスは、シルバーエッジという呼び名の通り、全体が光沢のある銀色に輝いているが、これは装飾のためだけではなく、動作するパーツの接触する部分を磨き上げることで、フリクションロスの低減を図っているのだ。
さらに、軸受けにはドイツ製の高精度8mmベアリングブッシングを奢っているため、メカボックス内側の研磨と相まって、燃費の向上に繋がっているのは間違いないだろう。また、ほとんどの内部パーツが、一般的なVer.2用に準じた設計になっているのも、修理や調整において、大きなメリットになっている。
金属製のチャンバーは一般的なスタンダードM4に準じたダイヤル式を採用。インナーバレルは、仕上げの美しいステンレス製のものが搭載されている。310mmの適度な長さに加え、内径が6.04mmとややタイトな仕様となっているため、高い命中精度が期待出来そうだ。
理想的な重量バランスによる抜群の狙い易さ
当Airsoft通信で毎回のテストに使用している、埼玉県のインドアフィールド、トリガートークの40m屋内レンジに、Gunsmithバトンのチューナーによって調整が施されたAPS製LPAを持込み、実射性能のチェックを行ってみた。
ストックのポジションを体格に合わせて調節し、まずはターゲットに向けてLPAを構えてみる。
ここはあえてコスタ撃ちと呼ばれる、サポートハンドを前に伸ばして、ハンドガードの先端付近を握りこむスタイルを採ってみたが、全体の重量バランスが絶妙で、非常に構えやすい印象を受けた。
軽過ぎてフロントがふらつくこともなく、重過ぎて苦痛を感じることも無い、サポートハンドにかかる重量感は絶妙のひと言。
エッジを柔らかく落とした八角断面のハンドガードの、何とも言えない握りやすさも手伝ってのことかもしれないが、どのように構えてもピタッ、ピタッとサイティングが決まるバランスの良さに感動を覚えるほどだ。
ただ、筆者の顔の大きさには、リアサイトの高さがやや足りないように感じられた。小顔の方なら何ら問題無いであろうレベルだとは思うが、サバゲーにおいて、フェイスマスク等を装着した場合には、少々狙いにくくなることが予想される。
しかし、アクリルファイバーを搭載したフロントサイトの狙い易さは、上述の問題を補ってあまりある素晴らしさだ。実際、トリガートークの屋内レンジでもアクリルファイバーが光点となってくっきりと浮かび上がり、40m先のターゲットを容易に捉えることが出来た。
調整&チューンによって実現する、安定した動作と高い命中精度
ではいよいよバッテリーを繋いで、実射性能を確認してみよう。専用の多弾マガジンに300発の0.2gBB弾を流し込み、まずはセミオートでのテストだ。
トリガースプリングのテンションは従来のAPS製品と同じであるため、トリガープルそのものの重さは従来モデルと変わらないはずだ。しかし、あくまで感覚的なものだが、数ミリ引き絞った後、ここで通電してBB弾が発射されるという瞬間を掴みやすいような印象は確かにある。
ボルトカバーが前後する金属音と振動を残して発射されたBB弾は、20mを過ぎたあたりで勢いを失い、床を転がって行く。適正ホップが出ていなければ、これは当然の結果だ。
1発撃つごとにホップ調整ダイヤルを少しずつ動かす内に、適正位置が来た。撃ち出されたBB弾が、まるで風に乗ったかのように、40m先の壁面に向かって吸い込まれて行く。
今度は飛んで行くBB弾を見ずに、マイクロファイバーサイトで40m先に下げられたフライパンを狙ってみる。慎重にトリガーを引き絞ると、数瞬後、静まり返った屋内レンジに、甲高いヒット音が響きわたった。続けざまにセミオートで撃った結果、フライパンへの命中率は7割程だが、その後ろにある等身大のマンターゲットには、すべてのBB弾が命中していた。
APS社の発表によれば、海外仕様の初速は0.2g弾使用時で390fps。換算すると約119m/sにも及ぶ数値だ。このハイパワー仕様に合わせたセッティングに対し、単純にスプリングを弱くしただけでは、この安定した弾道と命中精度を得ることは不可能だろう。
Gunsmithバトンのチューナーが、1挺ずつ丁寧に手を入れ、法定内の初速に合わせて再セッティングすることで初めて、国産製品と同等の実射性能を実現しているのだ。
もちろん、フルオート射撃での命中率もレベルが高く、40m先のフライパンにヒットする数は若干減るものの、等身大マンターゲットの中央付近にすべて集弾。同じ距離に人間が立っていたら、全弾が胴体に命中していることだろう。
フルオートの発射サイクルは、使用するバッテリーの性能によって前後するが、今回のテストに使用したBATON airsoft電動ガン用リポバッテリー 7.4v1200mAh[30C](セパレート)の場合、秒間16発程度という実用的な回転数だった。
実用性と雰囲気の良さを兼ね備えたミドルサイズウェポン
クリス・コスタ氏の愛銃として一躍話題になったライフル、LVOA-CをモチーフとしてAPS airsoftが製品化した、M4 Keymod LPA。
一見すると、人気の実銃に外観の印象を似せて作られただけの、安易な海外製電動ガンのように思えるかもしれないが、実際に手に取り、良心的に作りこまれた細部の仕様に触れれば、その認識が誤りであることがすぐにわかるだろう。
剛性が高く、重量バランスに優れた完成度の高さは、サバイバルゲームだけでなく、シューティングマッチを楽しまれている方々にも、手放しでオススメ出来る製品だ。
LVOAの代わりとしてではなく、優れた1挺のの電動ガンとして、このLPAを選択するだけの価値は十二分にあると、筆者は確信している。
Gunsmithバトンの本店とアキバ店には、自由に触っていただけるサンプルが常時用意されているので、その感動的なバランスの良さを、是非とも実地で体験していただきたい。
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