BATONairsoft M4CQB-R
レビュー: 金子一也
満を持して登場の低価格フルメタルバージョン
BATONairsofブランドでリリースしたオリジナル電動ガン、M4CQB SPORT LINE(ブローバック)の大成功を受け、そのフルメタルバージョンとも言うべき新製品、BATON airsoft M4CQB-Rが、2014年10月10日に発売を開始した。
強化樹脂製のフレームによる軽さが魅力のひとつだった前作に対し、新たにメタルフレームを装備したM4CQB-R。その新たな魅力に迫ってみよう。
BATONairsoft M4CQB-R 電動ガンスペック & 弾速データ ※()内は流速HCの数値 | |||||||||||||||||||||
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剛性の高いメタルボディと、アップデートされた細部
白を基調とした新たなデザインの外箱から取り出すと、メタルフレームならではのズッシリした重量感に驚かされる。これは強化樹脂フレームを持つ前作、M4CQB SPORT LINEの軽さが強く印象に残っているためだが、前作で樹脂製だったレールハンドガードも金属製のものに変更されており、構えた際のフロントまわりの安定感が向上しているように思う。
カッチリとした作りのメタルフレームは漆黒に塗装され、微細な梨地の入った表面仕上げは価格以上の質感の高さを感じさせる。
セレクターまわりのSAFE、SEMI、AUTO以外に目立った刻印が無いところも、素性を知られたくないオペレーターの使用銃といった雰囲気があり、また、自分好みの刻印を施すにも都合の良い仕様と言えるだろう。
また、M4CQB SPORT LINEでは、各部のスチールパーツに茶色がかった表面仕上げが施されていたが、今回はつや消し黒でのフィニュッシュになったことで、かなり全体の印象が変わっている。
大きく目立つ変更点として、M4CQB SPORT LINEに装備されていたキャリングハンドルが廃され、取り外し可能なLMTタイプのリアサイトが標準装備となった。サイトとしての機能はまったく変わらないが、アッパーレシーバーのトップレールが露出しているため、LMTサイトを載せたままで各種光学サイトを搭載出来る。
M4CQB SPORT LINEでは一体成型のモールドだった、フレーム左側面のボルトリリースレバーは今回別バーツ化。レバーを起こした状態でチャージングハンドルを引くと、ボルトカバーが後退した状態でロックされる機能が追加された。ロックされたボルトカバーは、リリースレバーを押し込めば解除されるが、実銃同様にチャージングハンドルを引くことでも解除出来る。性能には関係ないが、ガンマニアとしては実に嬉しいポイントだ。
次にグリップだが、前作がCOLT純正タイプだったのに対し、今作はタンゴダウンタイプのスリムなグリップへと変更されている。
アングルそのものはほとんど変わらないが、なめらかな細身で、握りやすさが向上。また、トリガーガードは余計な部分をを削ぎ落したデザインのナイツタイプに変更されている。
また、フロントサイトポストが金属製となった上、樹脂モデルでは一体モールドだったフロントサイトは、実銃同様の上下調整可能なタイプに変更された。サイト下部に設けられたスリングスイベルも金属製になっている。
さらには、上述したようにレールハンドガードが金属製になったため、タクティカルライトや、特にバーチカルグリップを取り付けた際の剛性感が格段に向上した。
また、M4CQB SPORT LINEと同じ太めのハンドガードは、大容量バッテリーの収納を可能とし、ハイレスポンスの実現に一役買っている。
バットストックはM4CQB SPORT LINEと変わらず、FAB Defense社のGLR-16タイプを標準装備。6段階に長さを調整出来る仕様も同じで、幅広い体格のユーザーに対応。
バッファーチューブ付け根のスチール製スイベルリングもそのまま採用され、右利き、左利きを問わないスリングの取り付けを可能としている。
尚、ノーマルチューンと流速HRの両モデルで、外観の違いは一切存在しない。
素直な弾道のノーマルチューンと、重量弾を遠くに飛ばす流速HR
BB弾の発射と共に、ボルトカバーがガチャガチャと前後に動くギミックを備えたM4CQB-Rブローバックモデルは、Gunsmithバトンで言うところのノーマルチューンを施工。これは樹脂フレームモデルのM4CQB SPORT LINEと全く同じチューニング内容で、BATON airsoftオリジナルのソフト面ホップパッキンにより、0.2g弾を使用した際の素直な伸びのある弾道を実現している。
これに対し流速HCモデルは、「シューティングマッチで勝つための銃」を第一のコンセプトに、日本の一流シューターにプロトタイプを提供。1年以上に渡る実戦テストによるデータを元に開発された、最新のチューニングバリエーションである。
発射サイクルを秒間約18発のセミハイサイにセッティングすることで、セミオート時の鋭いトリガーレスポンスを確保し、より効果的なホップ回転により弾道を安定させる流速チューンにより、距離を問わず高い命中精度を得る。この二つのチューニングを最良にバランスさせることで、4~7mの距離で主に戦われるシューティングマッチに、30~40m先の相手プレイヤーを狙い撃つサバイバルゲームにと、あらゆるシチュエーションに対応出来る戦闘力を備えているのだ。
基本的には同じモデルながら、チューニングレシピの異なる2挺のM4CQB-Rを撃ち比べたら、どんな違いが見えて来るのかを確かめるため、
当Airsoft通信でいつも使用している、トリガートークの35m屋内レンジで実射テストを行った。
M4CQB-Rを構えて35m先のターゲットに狙いをつける。メタルフレームの採用による剛性の向上は、遠距離を狙う時にその違いをはっきり感じ取ることが出来る。
まずはノーマルチューンをセミオートで撃ってみる。ソフト面ホップパッキンの効果で、極めて素直に飛んで行く0.2gBB弾は、30mを超えたあたりで軽くホップし、そこからゆるやかに下降しつつ、35m先のマンターゲットに吸い込まれた。
フルオートでもこの弾道特性は変わらず、樹脂モデルのM4CQB SPORT LINEノーマルチューンとまったく同じ撃ち味となっている。
これに対し流速HRは、0.25gのBB弾がノーマルチューンよりもややゆっくりしたスピードで飛ぶのだが、発射から35m先のターゲットに着弾するまでの間、ほとんど弾道が変わらず、スーッと真っ直ぐ狙ったところに伸びて行く。そして、BB弾がターゲットに当たった時の音が明らかにノーマルチューンのそれよりも大きいのだ。
もちろん毎秒約18発のフルオートでも弾道の伸びが変わることはなく、35m先のマンターゲットにバチバチと派手な音を立てて重量弾がぶち当たる様は、何度見てもインパクトのある光景だ。
なお、流速HRモデルはハイサイクル化によるメカボックスへの負担を軽減するため、ボルトカバーが動くブローバックギミックは廃されている。
より重いBB弾を、ノーマルチューンで撃った0.2g弾と同じ距離まで真っ直ぐ飛ばす、これが流速チューンの効果なのだが、このチューニングについての詳細は、当GunsmithバトンAirsoft通信の第13回、BATONairsoft M4CQB 流速HCの記事をご覧いただきたい。
シューティングマッチで威力を発揮する流速HR
遠距離での集弾性が確認出来た2挺のM4CQB-Rを、今度はGunsmithバトンアキバ店の8mレンジに持ち込み、シューティングマッチでの使用を想定したテストを行ってみた。
ノーマルチューンにはBATON airsoft 電動ガン用リポバッテリー7.4v1200mAh[30C](セパレート)を、流速HRにはBATON airsoft 電動ガン用リポバッテリー7.4v2200mAh[30C]セパレートタイプをそれぞれ装着し、まずは速射性能を試してみる。
まずはセミオートモードで、出来るだけ早くトリガーを引いてみたところ、わずかな違いではあるが、トリガーから発射までのタイムラグは、明らかに流速HRの方が短かった。
サバイバルゲームにおいて、このわずかな違いが勝敗を左右することはほとんど無いが、
0.01秒を争うシューティングマッチ、特にアンリミテッドやJWCSといったスピードシューティングの試合においては、このレスポンスの差が大きな影響を与えるのだ。
また、重量弾を使用することで命中率が安定するのは7~8mの近距離でも変わらないし、金属製のプレートを撃ち倒す競技において、重いBB弾の方が有利なのは言うまでもないことだろう。
実際、ランダムに並べた直径10cmのスチールプレートを全力のスピードで繰り返し撃ってみたところ、トリガーを引いてからBB弾が発射されるのを待つストレスを感じさせない、鋭いレスポンスを見せ付けてくれた。
用途に応じて選べるオールラウンドファイター
基本的な調整とチューニングが施されたノーマルチューンバージョンは、フルメタルモデルとしては破格の2万1990円という低価格が魅力のエントリーモデル。
重量弾での遠射性能とハイサイクルによる制圧力に、あらゆる場面で有利なハイレスポンスを兼ね備えた、4万1990円の流速HR。
活躍の場所を選ばない10インチクラスのCQBサイズに、異なるチューニング内容の2機種が用意された、BATON airsoft M4CQB-Rシリーズ。
Gunsmithバトンによる、購入後3ヶ月の無償修理保証と、3ヶ月以降も工賃5000円+パーツ代で保証修理が受けられるという従来通りのサービスに加え、amazonから日本全国送料無料のネット通販で購入出来るという点も魅力のひとつと言えよう。
Gunsmithバトンの本店とアキバ店に用意されている実射可能なサンプルで、その実力を是非とも試していただきたい。
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