MYTH ZB26

MYTH ZB26

レビュー: 金子一也

チェコスロバキアが生んだ優秀な軽機関銃

機関銃という兵器の有効性が証明された第一次大戦の終結後、各国の軍隊では、機関銃の製圧力をそのままに、兵士が単独で運用出来るだけの機動性を持った新しい兵器が求められていた。そんな状況にあった1926年、当時優れた工業力を誇ったチェコスロバキア(現在はチェコ共和国とスロバキア共和国に分かれている)のブルーノ兵器廠から、ZB26軽機関銃は誕生した。

その優れた性能から世界各国に輸出されたZB26は、中国軍にも大量に配備され、1931年の満州事変に端を発する日中戦争において、日本軍を大いに苦しめている。

ZB26軽機関銃

開戦当初、日本軍が採用していた十一年式軽機関銃は6.5mm×50SR弾を使用し、重量が10kgを超えていたが、ZB26はより強力な7.92mm×57弾で射程、威力共に上を行き、重量も9kg弱と軽く作られていた。
そして何よりZB26が優れていた点は、“無故障機関銃”と称されるほどに壊れにくい信頼性の高さと、当時としては革新的な、銃身の交換が簡単に行える構造による稼働率の高さにあった。

放熱フィンが設けられた銃身は約300発の連続発射を可能とし、その付け根付近に設けられた木製のハンドルを使用することで、過熱した状態でも素手による交換が可能。これは近年採用されている分隊支援火器にも通じる先進性と言えるだろう。

レシーバー上部から30連マガジン(20連式も存在した)を差し込む構造を持ち、発射速度は当時としては速い毎分550発を実現している。

日本軍では鹵獲したZB26を研究し、後の九六式、九九式軽機関銃の開発に活かしているが、ZB26の性能の高さには遂に及ばなかった観さえある。
また、第二次世界大戦が始まり、チェコスロバキアがナチスドイツに占領された1940年前後には、ドイツ陸軍でも広く使用されたという事実も、その軽機関銃としての優秀性を証明していると言えるだろう。

九九式軽機関銃

MYTH ZB26 電動ガン スペック & 弾速データ ※()内は流速チューン値
全長 1,190mm
重量 6,380g
銃身長 450mm(250mm)(インナーバレル長)
装弾数 6mmBB弾 500発
定価 ノーマル 69,990円(税抜)
流速   76,990円(税抜)
発売日 2013年
最高 90.21m/s(78.08)
平均 88.69m/s(77.02)
最低 87.53m/s(76.77)
ジュール 0.787J(0.742J)
※ICS バイオBB弾 0.2g(流速チューンモデルは0.25g)使用、ホップアップ適正、CHRONY M-1弾速計にて測定。

リアルサイズで再現された迫力の造型

今回レビューをお送りするMYTHのZB26はチェコスロバキアで製造された、いわば純正モデルをリアルサイズで再現した製品。第二次世界大戦以前に製造された、それも軽機関銃の電動ガンはほとんど製品化されていないため、大変に存在価値のある1挺と言えるだろう。
肉厚のダイキャストで頑強に造られた本体は艶消しブラックの塗装が施され、大柄なボディに引き締まった印象を与えており、チャコールブラウンに仕上げられたリアルウッドのストックとグリップは、重厚な雰囲気を演出している。

バレル ハイダー

バレル先端に取り付けられたハイダーは、全周に丸穴が開けられたラッパ状の物。やや肉厚ではあるが、実物の形状を上手く再現している。ハイダー直後のガスブロック基部から斜め左に伸びたフロントサイトは、やや形状が簡略化されているものの、充分な強度を持った実用性の高い造りと言えるだろう。

ZB26最大の特徴である、整然と放熱フィンが並んだアウターバレルは、全長の中ほどから膨らんだ特殊なテーパーが忠実に再現されており、7.92mという大口径弾を撃ち出す実銃の迫力と美しさを感じさせてくれる。
木製のグリップが設けられたハンドルは、垂直に引き起こせてしまう独特の設計だが、これはバレルを交換する際に使用する物で、銃を運搬するためのキャリングハンドルではない。電動ガンでは材質的な問題もあるため、この部分を掴んで持ち運ぶのは避けた方が賢明だろう。

アウターバレルの下に設けられたガスチューブは後期型を模した銀色の塗装仕上げで、形状は実物そのもの。
中央付近にマウントされたバイポッドは、すべて削り出しで造られた頑強なデザインをダイキャストによって再現。6kgを超える重量を支えるに必要なだけの強度をしっかり確保している。

バイポッド基部

ちなみに、ガスチューブに取り付けられているバイポッド基部が左右にスイングするのは、実物通りの構造。Gunsmithバトンでは、この部分にボルトを立てるサービスを1,000円で行っているが、リアルさを求めるのであれば、ここは固定しない方が正解と言えるだろう。

レシーバー

レシーバーに目を移すと、強度上必要の無い部分を極力削ぎ落とすことで生まれた独特の造形美に驚かされる。ガンマニアなら知らぬ者の無い名銃、CZ75も同じチェコスロバキアが生んだ世紀の傑作だが、あの研ぎ澄まされた設計思想を、このZB26からも等しく感じ取ることが出来るではないか。
左側面に見られるクリップのようなレバーは、バレルのロックを解除するレバーで、このMYTH製ZB26も実銃同様の手順でアウターバレルの取り外しが可能となっている。

同じく左側面でひときわ目を引くダイヤル状のパーツは、タンジェント式リアサイトのエレベーションを調整するためのもの。反動の大きいZB26にはこれだけの機構が必要だったのだろうか。非常に凝った造りだが、この部分もデザイン、動作ともにきっちり再現されている。

レシーバー上面

レシーバー上面は、巨大なマガジンを挿入するために大きく開口しているが、 運搬時等に異物の侵入を防ぐためのスライド式カバーが設けられている。 こういったきめの細かい工夫が、無故障銃と呼ばれるまでの稼働率の高さに繋がっていたのだろう。MYTHのZB26は、この開口部の中にチェンバーの給弾口が顔を覗かせている。
マガジンポートの後端には、親指の腹ほどの面積を持ったマガジンキャッチのレバーが突き出しており、見た目通りの操作性の高さで、素早いマガジンチェンジを可能としている。

レシーバー右側面

レシーバー右側面には、ローレット加工の施されたコッキングハンドルが取り付けられており、後方に4㎝ほど引けるようになっている。何かと連動しているわけでは無いが、実銃の雰囲気を演出してくれる重要なギミックだ。

リアルサイズのレシーバーに刻まれた上品なマーキングは、レーザー刻印によるもの。上面の複雑なエンブレムは、チェコスロバキアの国章で、0205とある大きな数字は製造時のロットナンバーを示している。
左側面にはチェコ語で“軽機関銃ZB26”。右側面には“チェスカー・ズブロヨフカ 株式会社 ブルーノ”と、それぞれ実銃通りの刻印が再現されている。

バットストック

リアルウッドで実感溢れるバットストックは内側が必要最小限にくりぬかれており、いわゆるミニサイズ互換のバッテリーの収納が可能となっている。Gunsmithバトンでは、BATON airsoft製の電動ガン用リポバッテリー7.4v2000mAhの使用を推奨。特に爆音☆流速チューンが施されたコンプリートカスタムを快調に作動させるためには、Cレートの高い上記リポバッテリーの使用が必須となっている。

なお、バットプレートがバッテリー収納スペースの蓋となっているのだが、ショルダーサポートがそのロックの役割を果たしているため、実銃のようにショルダーサポートを展開しての伏せ撃ちを行うには何らかの工夫が必要となるだろう。

ぼってりとした形状の木製グリップは実物の雰囲気そのままで、意外なほどしっくりと手に馴染んでくれる。右側の小さなセレクターレバーは、後方にたたんだ状態がセーフティ、前に倒すことでフルオート射撃が可能とになる。実銃はセミ、フルオートのセレクティブファイアーだが、MYTHではここを割り切って、セーフティとフルオートのみの切り替えとしている。

VHSのビデオテープを思わせる巨大なボックスマガジンは、7.92mm×57という大振りな弾丸を収める説得力に満ち溢れている。そのサイズに見合った、約500発ものBB弾を装填可能で、側面に設けられた小さい穴にクランクを差し込み、ゼンマイを巻き上げる多弾数マガジンとなっている。

頑丈な構造が生む安定した動作と高い命中精度

ダイキャスト製の頑強なレシーバーに納められたメカボックスは、ZB26のために専用設計された独自規格の物。Gunsmithバトンによるチューニングで、本来のポテンシャルが最大限に引き出されており、バッテリーを繋いで回した際の不快なギヤ鳴り等は一切感じられない。

6kgを超える重量を手持ちで撃ってもまともな射撃が望めないため、バイポッドを立てての実射テストを行った。BATONairsoft製のソフト面ホップパッキンが組み込まれたノーマルチューンは、0.2gのBB弾を30m先までフラットに飛ばし、等身大マンターゲットの胸部付近に集弾する安定度の高さを見せたが、流速チューンが施されたコンプリートカスタムでは、より重い0.25gのBB弾を同じ距離まで軽々と飛ばし、なおかつA4サイズを狙い撃てるほどの命中精度を見せ付けてくれた。

短いインナーバレルと、長大なアウターバレルとの組み合わせが、何らかの効果を生み出しているのか、はっきりしたことはわからないが、30m先の相手プレイヤーに、この精度で500連射を叩き込めるというのは頼もしい限りだ。さらに、毎秒15発程度という抑え目の発射サイクルは、500発という装弾数をより長時間に渡って撃ち続けられるため、支援火器として申し分の無い性能と言えよう。

多くの国に輸出され、様々な戦場で活躍したZB26。設定から入るタイプのゲーマーにとっては、新たなコスプレを楽しむための、格好の題材となるのではないだろうか。
また、最新のハイテクウェポンに食傷気味のマニアたちに、古き良き時代の、職人の技を感じさせてくれるクラシックマシンガンは、軽機関銃というジャンルの新しい魅力を気付かせてくれるかもしれない。
Gunsmithバトン アキバ店では、MYTH ZB26の現物を展示しているので、是非ともお手にとって、その迫力を感じていただきたい。


2014/03/15
本レビューはGunsmithバトンによるレビュー広告です

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