BATONairsoft M4CQB 流速HC

BATONairsoft M4CQB 流速HC

レビュー: 金子一也

脅威の低価格電動ガンにチューンドバージョンが登場

強化樹脂製のレシーバーの採用で軽さと強度の両立を実現し、中華エアガンに関する豊富なノウハウを活かした高い実射性能をも兼ね備えたBATONairsofブランド初のオリジナル電動ガン、M4CQB BLOWBACK
1万6990円という値段の安さと、amazonでの全国送料無料販売という手軽さにより、発売以来大変な人気を博しているこの電動ガンに、流速HCというカスタムバージョンが存在するのをご存知だろうか。
0.2gBB弾の使用に最適化されたノーマルチューンのM4CQB BLOWBACKに対し、0.25g超の重量弾を使用する前提での特殊なチューンが施された、M4CQB流速HCモデル。今回はその実力と特性について詳しくレポートしてみたい。

BATONairsoft M4CQB BLOWBACK 電動ガン スペック & 弾速データ
全長 670~760mm
重量 2,150g
銃身長 160mm(インナーバレル長)
装弾数 6mmBB弾 300発(付属の多弾マガジン)
定価 29,990円
発売日 2013年8月24日
最高 77.00m/s
平均 76.36m/s
最低 76.68m/s
ジュール 0.735J
※BATONairsoftバイオBB弾 0.25g使用、ホップアップ適正、CHRONY M-1弾速計にて測定。

常識外の遠射性を実現する流速チューン

現在市販されているすべてのエアガンは、6mmBB弾でのパワーが0.989Jを超えてはならないという法的な規制に基づいて作られている。これは言うなれば、法の名のもとにパワーの均一化が図られたわけで、特にサバイバルゲームにおいての公平性と安全性に繋がっている。そしてまた、法定初速を遵守した上での様々なチューニング方法が開発されるという現在の状況も生み出しており、この改正銃刀法の施行が業界の活性化を促したと言っても過言ではないだろう。
そんな状況の中で、初速を極端に上げることなく重量弾を遠くまで飛ばす、流速チューンという物理法則に反するようなチューニング方法が生み出されたのだ。

流速チューンには様々な考え方があるが、Gusmithバトンの理論はこちらご参照いただければ幸いである。

流速チューンで用いられる極端に短いバレルやルーズバレルは日本の制限された初速であっても、重量弾のホップ回転をインナーバレル内で減衰させないためである。その短いバレルやルーズバレルで失われた初速を補うために強いスプリングやヘビーピストンヘッドを使用する。Gunstmihバトンの流速チューンでは、BATON airsoft 流速面ホップパッキンを使用し、ホップ回転のかかる距離を延長することで重量弾に必要な安定した強いホップ回転を実現している。
結果、重量弾をノーマルチューンではありえない距離まで飛ばすことができるわけである。重量弾ならば、長距離でもエネルギーの低減が少なく、風などの街連に強く安定しており、またヒットをとりやすくロングレンジで有利となる。
要は、流速チューン自体が凄いのではなく、重量弾を遠距離まで飛ばすことが出来るからロングレンジで有利=0.25g以上の重量弾を日本の初速規制下でも使えるということに、流速チューンの意味があるのだ。

ハイサイクルと流速 相反するチューニングの方向性

一方、単位時間あたりのBB弾の発射回数を増やすチューニング、いわゆるハイサイクルカスタムは、一例をあげれば、メカボックス内部のギヤ比をノーマルの18:1から13:1等へと変更することで、ピニオンギヤ1回転に対するセクターギヤの回転数を上げるといった方法が採られている。しかしこのままではピストンのストロークとセクターギヤの回転のタイミングが合わず、ピストンクラッシュ等のトラブルを引き起こすため、セクターギヤの歯を適宜削り落とす“セクターカット”という手法が必須となる。その結果ピストンの移動距離は短縮され、BB弾を押し出すためのエアーの量が減少してしまうのだが、その分はスプリングレートを上げることで補い、さらには給弾のタイミング調整も行う等といった、経験を積まねば得られない複雑なチューニングのノウハウが必要となる。ひとくちにハイサイクルと言っても、単純にハイスピードモーターを積めば完成するような単純なものでは決して無いのだ。

上記の解説で流速とハイサイクルというふたつのチューニングについて大体のところはご理解いただけたかと思うが、ここで注意していただきたいのは、シリンダー内の空気を最大限に活用して効果を発揮する「流速チューン」と、ピストンストロークを短くして回転数をアップさせる「ハイサイクルチューン」の両者が、間逆の方向性を持ったチューニングであるという事実だ。
Gunsmithバトンでは“お手軽流速チューンセット”として、スタンダード電動ガンに対応した流速チューン用のパーツセットを販売しているが、セット内容のひとつであるフルシリンダーは、ピストンが最大にストローク出来る分の空気が必要だという意味を表しており、事実このパーツセットを正しく組み込めば、上述した流速チューンの驚くべき効果を簡単に手に入れられるようになっている。
つまり、ピストンの後退量を減らして高回転を得ようとするハイサイクルチューンは、流速のそれとは相反する要素で成り立つチューニングなのだ。
ではBATONairsofのM4CQB流速HCは、流速+ハイサイクルという矛盾の両立に、果たして成功しているのか否か、当Airsoft通信で既にお馴染みのトリガートーク40mレンジにて実射テストを行ってみた。

長射程と高回転が生む驚異的な制圧力

前回レポートしたM4CQB BLOWBACKは、最大でも7.4v2000mAh(ミニ互換)までのリポバッテリーの使用が推奨だったが、このM4CQB流速HCではより大容量のBATON airsoft 電動ガン用リポバッテリー7.4v2200mAhの使用を前提としたセッティングとなっている。常時30C、最大45Cという驚くほど高い放電レートを持ち、2200mAhの大容量でありながらセパレートタイプであるこのバッテリーは、やや太めのレールハンドガードを持つBATONairsof M4CQB流速HCに最適なチョイスと言えるだろう。

専用の多弾マガジンに300発の0.25gBB弾を流し込み、まずはセミオートでのフィーリングを確かめてみよう。
若干重めのトリガーをあえてゆっくり引くと、バンッ!という大きな炸裂音とともにBB弾が勢い良く放たれた。モーターとギヤが回転するタイムラグをほとんど感じさせないレスポンスの鋭さは、ハイサイクルチューンの副産物と言えるだろうか。
ガチャガチャと立て続けにトリガーを引いても、メカボ内部の動作がひっかかるようなことも無くセミオートでの速射が可能。また、明らかな流速効果が実感出来る素直な弾の飛び具合で、40m先の等身大マンターゲットを楽々とヒットすることが、それも付属のアイアンサイトで無造作に行える遠射性能の高さに驚かされる。また、Gunsmithバトンアキバ店の8メートルレンジで近距離の命中精度も確認したが、わずか4cmのプレートに何十発でも続けてヒット出来るだけの集弾性も兼ね備えているのだ。射撃時のかなり強烈な炸裂音は、この流速HCが“爆音流速”と呼ばれるセッティングであることを現しているわけだが、わずか160mmあまりのインナーバレル長でこれだけの遠射性能と命中精度を両立している事実は、レポートにならないのを承知で書くが、不思議という以外の表現が見つけられない。

ではフルオートではどんな光景が見られるものか、再びマガジンをフルロード状態にし、ゼンマイをいっぱいに巻き上げてトリガーを引き切ると、セミオート時の炸裂音が連なったけたたましい爆音とともにに白い軌跡が一直線に描き出され、40m先のマンターゲットに吸い込まるように集弾。厚手の紙で出来たマンターゲットの胸部中央付近がボロボロに破れ、崩れて行く様は、なかなかにインパクトのある光景だ。また、ターゲットの向こう側にあるシューティングレンジ突き当たりの壁に当たるBB弾の、雹か霰が激しく降って来た時のようなバチバチバラバラという凄まじい音は、それだけで相手プレイヤーにとっての脅威となるだろう。

理想的な回転数の秒間21発ハイサイクル

40mレンジでの実射で凄まじい威力を見せ付けてくれたM4CQB流速だが、その回転数は毎秒21発と、ハイサイクルカスタムとしてはやや抑え目の数値にに設定されている。これは言うまでも無く、流速チューンとの両立を図るために必要な措置で、相反する方向性のチューニングを両者の長所を損ねることなく盛り込むために研ぎ澄まされた、ベストバランスの回転数なのだ。
数値だけを取ってみると控え目に思える21発毎秒というサイクルだが、実際にサバゲーで運用すれば、それが実に適度な回転数であることがわかるだろう。
付属の多弾マガジンが装弾数300発を数えるとは言え、ゼンマイをいっぱいに巻き上げて撃てる弾の数は限られている。マガジンの能力を超えるような極端なハイサイクルは給弾不良を招く上、よしんば連続発射が出来たとしても、結果的には無駄弾を撒き散らしているだけといった状態に陥りやすい。
秒間21発というサイクルは、無駄弾の数を効果的に減らしつつ、空中に線を描く弾道を目視しながら着弾位置を修正する、ハイサイモデルならではの撃ち方も可能とする、実にちょうど良い回転数と言えるだろう。
下はGunsmithバトンのチューニングメニューである「ぷちハイサイカスタム」によるサイクルの変化を検証した動画だが約21発毎秒という回転数の、数値以上の速さがおわかりいただけるはずだ。

尚、ノーマルモデルの位置付けとなるM4CQB BLOWBACKに搭載されていた擬似ブローバック機能は、メカボックス内部への負担を考慮してオミットされており、また、7.4Vのリポバッテリーでそのサイクルを実現していることによってギヤまわりの破損のリスクも低下させている部分も、ビギナー向け商品としての正しいあり方を示しているように思う。

インドアにおける爆音流速の意外な効果

上述したように、このM4CQB流速HCは短いインナーバレルを採用した爆音仕様となっているため、BB弾を射出する際には強烈な破裂音を響かせる。これは状況によっては、相手プレイヤーに対してこちらの居場所を知らせてしまう、諸刃の剣と言えなくもないのだが、バリケードが入り組んだ状況や、特にインドアフィールドにおいては、まったく逆の効果を発揮する。実銃もかくやと思わせるような銃撃音が四方の壁や天井に大きく反響するため、相手プレイヤーにとっては、どこから撃たれているのかがまったく掴めず、さらに毎秒21発のハイサイクルによる制圧力も相まって、強烈な心理的圧迫感を与えることが出来るのだ。コンパクトなCQBモデルならではの取り回しやすさも合わせて考えると、最近新たに増えつつある広いインドアフィールドにおいて、最強のゲームウェポンのひとつになる可能性を秘めていると言えるだろう。

チューニングガンの常識を破る低価格

前回のAirsoft通信でレポートしたM4CQB BLOWBACKの使い勝手をそのままに、流速&ハイサイクルというサバゲーで勝つための強力なふたつのチューニングを施したコンプリートカスタム、BATONairsoft M4CQB 流速HC。
この豪華なチューンドカスタムを3万円以下という驚きの低価格でリリース出来ているのは、同BLOWBACKモデルがベースになっているのはもちろんだが、Gunsmithバトンがこれまでに蓄積して来たチューニングのノウハウがあってこそのことだろう。
シューティングマッチにも対応出来る命中精度&ハイレスポンス。サバゲーでの戦いを有利にするコンパクトなボディに搭載された、長射程&ハイサイクル。そしてこの豪華な仕様でありながら3万円を切るという、今までの常識を覆す驚きの低価格は、全国のサバゲフィールドのパワーバランスを塗り替えるだけの可能性を秘めているように思えてならない。
Gunsmithバトンによる、購入から3ヶ月以内の無償修理保証と、3ヶ月以降も工賃5000円+パーツ代で保証修理が受けられるという点。そしてamazonから日本全国送料無料で購入出来るというバリューは、前回レポートしたM4CQB BLOWBACK同様、BATON airsoftブランドの製品ならではの魅力と言えよう。
サバゲーウェポンに必要な多くの要素を兼ね備えたM4CQB 流速HCは、これからサバゲを始めたいというビギナーはもちろん、ベテランゲーマーにも文句なしにお勧め出来る製品だ。
Gunsmithバトンの本店とアキバ店には、実射可能なサンプルが常時用意されているので、このレポートに偽りが無いことを、是非ともその目でお確かめいただきたい。



2013/09/20
本レビューはGunsmithバトンによるレビュー広告です

■関連レビュー

Gunsmithバトン Airsoft通信 トップへ

第10回 APS M4 Gardian Combat / Tactical 第10回 APS M4 Gardian Combat / Tactical

第9回 ICS M1ガーランド 第9回 ICS M1ガーランド

第8回 IRON AIRSOFT Lee-Enfield No.1 Mk.Ⅲ★ 第8回 IRON AIRSOFT Lee-Enfield No.1 Mk.Ⅲ★

第7回 CYMA EBR Mod.1 第7回 CYMA EBR Mod.1

第6回 CLASSIC ARMY LWRC M6A2
 第6回 CLASSIC ARMY LWRC M6A2