TOPジャパン 電動ガン M4A1カービン【エアガン レビュー】
2010年8月のブラックホールで発表されたTOPジャパンの排莢式電動ガン、M4A1カービンが満を持して2011年3月に発売された。
これまで電動ガンというと、弾をバラまくゲームツール、なんて印象があったが、TOPのM4はこの電動ガンのイメージを払拭する革新的な機能を備えている。それはカートリッジを使用した排莢式(ライブカート)の電動ガンだということ。
かつて、エアガンはカート式が当たり前の時代があった。そう、今から25年ほど前までは茶色の樹脂製のカートリッジの先端にBB弾あるいは7mm鼓弾を詰め、30連のマガジンに装填し1発1発コッキングしながら弾を発射していた。
1980年代後半、サバイバルゲームが全国でブームになると装填や排莢されたカートの回収の手間を省くためケースレス化されたエアガンが主流となる。そして1991年、東京マルイから電動ガンが発売されるやゲームフィールドは電動ガン一色に染まっていき現在に至るわけだが、2011年、再びカート式の長物エアガンが、しかもM4カービンの電動ガンで発売されるなんて誰が予想しえただろうか。
今回、レビューするのは初期ロットから以下の部分が改善された最新ロットである。
1. エキストラクターの形状変更と、強度アップ
2. バッテリーコネクターの接続ミスを防ぐ為のコネクターカバーの付属品追加
3. 新型リポバッテリーチャージャーに変更
4. アウターバレルの形状変更と強度アップ
5. ギアBOX内のシム、ベアリング、ピンの形状変更と強度アップ
TOP 排莢式電動ガン M4A1カービン スペック & 初速データ |
全長 |
812/895mm(ストック伸張時) |
重量 |
2,300g |
銃身長 |
約280mm(インナーバレル長) |
装弾数 |
6mmBB弾 30発 +1 |
売価 |
53,800円(税別) |
発売日 |
2011年3月17日 |
バッテリー |
11.1V 850mAhリチウムポリマー |
|
最高 |
85.79m/s |
平均 |
83.84m/s |
最低 |
81.86m/s |
ジュール |
0.703J |
※東京マルイ ベアリングバイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ適正、気温27.5度、湿度50.0%、XCORTECH X3200にて10発で測定。
取扱説明書.PDF |
レシーバー右側面。レシーバーはアッパー&ロアともにアルミダイキャスト製。電動ガンにしては造型の深いボルトキャリアが印象的。これが射撃時にはフルストロークで前後し薬莢を排出する。まさしくライブアクション!! 夢の電動ガンたる所以である。
レシーバー左側面。セミフル、セーフティ切り替えのセレクターレバーの操作はやや軽いがスムーズでクリック感もしっかりしている。残念ながらマガジンハウジングの刻印はなし。これは輸出を前提にパテントをクリアするためだと思われるが、ここはやはりミリタリー刻印が欲しいところ。
レシーバー側面のボルトキャッチもライブで可動する。最終弾を撃ち終わってボルトがホールドオープンすればマガジンキャッチが写真のように傾く。
マガジンを交換しマガジンキャッチを押せばボルトがシャコンと前進する。またボルトキャッチ下部を押し込みながらチャージングハンドルを引けば、手動でボルトを後退した状態で固定できるなど、電動ガンでありながら実銃同様のアクションが可能。
まずは動画でTOP M4A1カービンの動作をみてみよう。
トップレールの実測値は深さ約2.4mm、ピッチ約10mm、幅21.1mmだった。深さがやや浅いものの、それ以外はほぼピカティニーレールに準拠している。
エジェクションポートカバーはやや固めだが、しっかりと閉じる。不意の衝撃で開いてしまうことも無くいい感じ。
レシーバー後部のチャージングハンドルをグイッと引くと連動してボルトが後退、この状態でピストンがコックされる。しっかりとシアが掛かるのがわかる。そしてチャージングハンドルを前進させるとマガジン内のカートリッジを1発すくい、チャキリンッとチャンバーに押し込む。この感触! このアクション!! もうたまらないほどにリアル。なお、ボルトフォアードアシストノブは可動はするがボルトを前進させる機能は無い。
アウターバレルはM4カービン独特のステップドバレルを再現、金属製で仕上げの質感もリアルな感じ。フラッシュハイダーは亜鉛ダイキャスト製。
アウターバレルはフロントサイトポストの根元から取り外すことができる。インナーバレルは真鍮製で約280mmほど。またフラッシュハイダーを下面のイモネジを緩めて取り外せば、いずれもM14逆ネジ仕様となっているので、各種サイレンサーが取り付け可能。ただし、アウターバレルを取り外してサイレンサーを取り付ける場合、フロントサイトポスト根元のバイヨネットラグが邪魔になるのでこれに干渉しないサイレンサーや延長アダプターなどが必要。
KM企画 ショートアウターバレル
ハンドガードはプラ製のものが装着される。太目のクーリングホールが7つのM4A1カービン然としたものだ。
このハンドガード長はマルイの電動ガンと違いリアルサイズ。
ハンドガードを取り外すとこんな感じ。ガスチューブやギザギザのバレルナットもリアルに再現されている。
したがって、実銃サイズのハンドガードやRASがポン付けできる。首周りの剛性感も抜群。グラつくこともない。
手持ちのナイツアーマメント社製RASを装着してみる。何の加工も無くポン付けできた。
TOP M4は従来の電動ガンパーツやリアルパーツで簡単にドレスアップできる。ストックチューブにバッテリーが入るのでカスタムの自由度が高いのも特徴だ。
可変ホップアップの調節ダイヤルはアウターバレル根元下面にある。ダイヤルのクリック感は無いが、しっかりと固めなので射撃の振動でズレる様なことは無さそう。
ダイヤルの場所的に下面の取り外せないレールなどを装着すると調整ができなくなってしまうので注意。
リアサイト取り外し可能なLMTタイプ。
M16A2ライフルに準拠した上下左右にアジャスト可能なリアサイトだ。
亜鉛ダイキャスト製で実測重量は154g。
グリップはフィンガーチャンネルのあるA2タイプ。このグリップ内にモーターを内蔵するのは東京マルイの電動ガンと同様。
フルオート時の回転数はバッテリーの状態にもよるが、およそ10~11発/秒。
ストックは6段階に伸縮調整できるクレーンタイプが採用されている。矢印の両サイドの爪を広げてバットプレートを取り外すことができる。
ストックチューブ上面には伸縮ポジションの数字が印刷されており、ストック上部の穴から現在どのポジションになっているかがわかる。
ストックチューブの太さは28.6mmなのでミリタリースペック互換。東京マルイM4用のストックや実銃用のミリタリーストックなどが取り付け可能。
バットプレートを取り外してバッテリーを交換するのだが、TOPのM4A1カービンはストックチューブの中にバッテリーを挿入するので、ストックごと取り外したほうがやりやすいかもしれない。
ストックチューブ(リコイルバッファチューブとも)の後端に六角ネジがあるのでこれを取り外してバッテリーを取り付ける。
ストックチューブのフタを開けてバッテリーコネクタを引き出す。コネクタはT字形状で東京マルイのコネクタとは異なる。
コネクタの接触ショートを防ぐため、セカンドロットではコネクタカバーが同梱されるようになった。
ここに専用の11.1V 850mAhのリチウムポリマーバッテリーを装着する。ノートPCや携帯電話などでも利用されている、いわゆるリポバッテリーだ。3.7Vの3セル構造。
マガジン装弾数は30発。まさしくリアルカウントだ。上が実銃のマガジンにダミーカートを入れたもので、下がトップのマガジン。よく似ているがTOPは安全上の配慮からあえて形状を変更して実銃のマガジンを使用できなくしている。
マガジンはアルミプレス製で軽量。実測重量は132g。実銃のマガジンとほぼ同じ重さ。
マガジンボトムにはTOPの刻印が入る。
プラ製のカートリッジ。金色のメッキが施される。カートの重量は10個で16g、つまりひとつ約1.6g。
5.56mm×45弾のダミーカートリッジとの比較。カートの太さはほぼ同じだが、ネックの絞込みから先は6mmBB弾をくわえ込むのでTOPのほうが太い。またカート長はTOPのほうがやや短い。
TOPのカート長は実測すると41.1mmだった。
このカートに先端から6mmBB弾を詰める。
保持するパッキンがあるわけでもなく、プラの弾力で保持している感じ。
このメッキカートは使い込むとマガジンリップやエジェクター、エキストラクターなどでメッキがはがれることがある。メッキ粉は動作不良を起こしやすいのでエアダスターなどでチャンバー周りをこまめに掃除してあげるのがよい。こんな操作もなんだかリアル。
カートリッジを上から見ると内部に3つの羽のような突起があるのがわかる。整流用だろうか。
トレーニング スペアカート、30発入が750円(税抜)、500発入りが10,000円(税抜)で発売。成型色そのままでメッキ剥がれを気にすることも無い。
リポの専用充電器と専用バッテリー。
リポバッテリーは充電用のコネクタと銃本体に繋ぐ放電用のコネクタが分かれている。
充電器はアウトプットがDC11.1V-7.4V 450mAh。専用バッテリーを概ね1.5時間程度で満充電にする感じ。
TOPのM4A1カービンはこのような専用のキャリングバッグに入って販売される。
TOP M4だけのサバゲーをしたらみんなこのケースなのでどれが自分のかわらなくなりそうだった...。
矢印のピボットピンを抜き、チャージングハンドルのロックを外せばトップレシーバーを前方へ引き抜くことができる。
ロッキングラグまで再現したTOP M4。このラグ周りにカートの削れ粉が溜まりやすいので定期的にエアダスターなどで掃除してあげるとよい。
アッパーレシーバーを分解すれば、インナーバレルとチャンバー一式も取り外せる。チャンバーにカートが納まった様子。
このチャンバー周りも汚れやすいので定期的な清掃が必要だ。
専用の11.1v 850mAhリポバッテリーを装着しての実測重量は2,580g。程よい重さだ。
さて、TOPジャパンのM4A1カービンを実射した感想だが、想像以上に楽しい。
TOPのM4が楽しいのはその実銃同様のアクションにある。
まず、マガジンにカートを1発1発込める作業はリアルな感じだ。
そしてマガジンを入れなければメカは作動しない。装弾されたマガジンをガションと装填し、この状態でトリガーを引いてもまだメカは作動しない。チャージングハンドルを引いてピストンをコックすると始めてスイッチが入る。そして実銃同様にリアルカウントの30発を撃つ。発射時のリコイルはほとんどないが、BB弾の発射とともに空薬莢がバラバラと側面に放り出され、コンクリートの地面ならばチャリンチャリンとプラ製ながらなかなか良い音を奏でる。
弾を撃ちつくすとボルトが後退した状態で停止、すかさずマガジンチェンジ、ボルトキャッチを押してボルトをリリース、初弾をチャンバーに装填、そして再び射撃とまさしく究極のアクションが楽しめるトイガンなのだ。
もちろんBB弾を詰めずにカートだけ飛ばしてモデルガンのように遊ぶこともできる。
そして弾道性能はカート式とは思えないほどの安定感のある弾道をみせる。カート式のエアガンというとどうしょうもないほどの腰砕けな弾道を想像していたが、初速も平均84m/s程度で安定、可変ホップもよく効き、15m先のヘッドショットも楽々可能。サバイバルゲームでも十分に使える性能だ。
ただしカートリッジへのBB弾の詰め込みすぎや、使い古されたカートリッジ先端の変形などでBB弾が固く固定されてしまい、プスッと不発になったり、弾が発射されても弱々しい弾道だったりすることもごく稀にあるが、正しくカートリッジを使用すればそれは最小限に防げる。
次に作動性能だが、電動ガンということもあり、ガスブロのような気温に左右される不安定さはまったく無い。
ただし、カート式なので"マルファンクション"、つまりジャムが発生することはある。マルファンクションはカートが前進時に詰まってしまうダブルフィードと呼ばれるものと、カートが正しく排出されずに前進したボルトキャリアに挟まるストーブパイプと呼ばれるものの二種が発生した。
マルファンクションは古いカートリッジほど発生する傾向が高かった。とくにカート先端のリップが変形すると不発やダブルフィードが発生しやすく、使い古したカートのリムが削れてくると排出不良を起こしやすくなる。
動画ではかなり使い込んだメッキカートリッジを使用することで、装弾不良が多く発生しているように思われるかもしれないが、新品のカートリッジではほとんどマルファンクションは発生しなかったことも付け加えておく。
むしろマルファンクションの処理がTOP M4の醍醐味ともいえる。実銃同様の手順で詰まったカートを処理することで、海外での実銃射撃体験でも活用できるスキルを身につけることもできるはずだ。
ボロカートを使用してマルファンクション製造機と化したTOP M4で遊ぶのもこれまた楽しかったりする。
エキストラクターの破損など初期ロットで発覚したいくつかの不具合も改善され、千発程度撃った現時点ではまったく問題も発生していない。
この排莢式電動ガン、これからもバリエーションを増やしていって欲しい。個人的にはAK47やM14などの7.62mm口径のライフルなんかも発売して欲しい。
TOPのM4は紛れもなくトイガンの歴史に名を残す名作と言える。そしてこのTOP M4だけでサバイバルゲームをやるとどんなに楽しいか? それは「
ドキッ! TOP M4だらけのサバゲー大会」レビューにてお伝えしよう。
2011/07/08
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