WA ガスガン M4A1カービンRIS スーパーバージョン レビュー

WA ガスガン M4A1カービンRIS スーパーバージョン 【エアガン レビュー】

ウエスタンアームズより2008年3月に発売されたM4A1 CQB-Rはマグナブローバックによるガスブローバック機構を搭載し人気を博した。そして発売から1年で瞬く間にそのバリエーションを増やし、2009年4月にはスーパーバージョンとしてマイナーチェンジを施されることになった。

その変更点は大きく言うと3つある。まず、新開発のハードリコイルユニット。
ボルトキャリア後部に未固定の真鍮製ウエイトを内蔵したことでボルト前後時にボルトキャリアにやや遅れて当たり、今まで以上のリコイルショックが発生する。またアルミ削り出しのリコイル・スプリング・ガイドには、バッファースプリングが追加され前進スピードがアップ。つまりリコイルが重く、速くなった。
二つ目は可変ホップアップシステムの「ブルズアイ」が標準装備。
そして三つ目はガス漏れの不具合報告が多かったマガジンに改良が加えられたヘビーデューティーマガジンを採用した。

WA ガスガン M4A1カービン スーパーバージョン RISモデル スペック & 初速データ
全長 682 / 764mm(ストック伸張時)
重量 2,800g
銃身長 210mm
装弾数 6mmBB弾 50発
定価 64,000円(税抜)
発売日 2008年3月(初代CQB-R)
2009年4月(スーパーバージョン)
最高 88.39m/s
平均 86.10m/s
最低 82.77m/s
ジュール 0.741J
※エクセル バイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ適正、気温21.8度、湿度46.0%

WA M4A1カービン S-Ver実射動画
WA M4A1カービン S-Ver実射動画


2009年4月中旬、WAのネット通販で購入したスーパーバージョンRISモデルが届く。ワクワクしながら箱から出して手にとって見た印象は「おっ、軽い」だった。マルイのSOPMOD M4に比べたら樹脂パーツが多用されており、とてもハンドリングしやすい。軽いと言っても3Kg近くあり、バランスもよくとても構えやすい。
WAのM4のレシーバーはGFRP
WA M4のレシーバーはガラス繊維を混入した強化樹脂、つまりグラスファイバー樹脂(GFRP)製。剛性に優れ、塗装されたその表面はさらりとしていて質感もまずまず。構えた感じも撓るようなことはなく、ギシギシと音も立てない。アッパーがやや艶消しでロアレシーバーが半光沢の質感がやや違うのも実銃でもよくある仕上げ。ただし、樹脂成型時の丸い射出痕(インジェクション痕)が気になる。そしてネット上でもすでに言われていることだが、レシーバーは旧MGCのモデルガン用の金型をガスガン用に改修して作られている。このため東京マルイの電動ガンなどに比べ、グリップ後方のレシーバー長が僅かであるが3mmほど短い。これが特に大きな問題になることはないが、実物グリップを装着した場合ロアレシーバーのアールラインから1mmほどグリップがはみ出すといったこともあるようだ。

レシーバー右サイド
レシーバー右サイド。着脱可能なキャリングハンドルは亜鉛ダイキャスト製で重量は437gもある。明るいグレーのエジェクションポートカバーがちょっと気になる。ここはもう少し濃い色でもよかったと思う。ロアレシーバーには控えめにWESTERN ARMSの刻印。電動ガンと違ってロアレシーバーのハンマーピン、フルオートシアピンがライブなのがソソる。またセレクターインジケーターもレシーバーを貫通していてライブで可動するのも興奮もの。

ボルトフォアードアシストノブボルトフォアードアシストノブもライブ。ボルトが完全閉塞しなかった場合にノブを何度か押し込むことで閉塞できる。
ボルトキャリア側面のギサギザはこのためのもの。

ちなみに、エジェクションポートから見えるのはボルトキャリアで、実銃ではそのボルトキャリアの中にロッキングラグを含むボルト本体が収まっている。もちろんガスガンにはボルトはなく、マグナブローバックのローディングノズルとピストンが収まっている。
ボルトキャリアボルトキャリアはファーストモデルのグレーの艶消しから、黒く光沢のある仕上げに変更された。

ボルトキャリアの凹みはエジェクションポートカバー裏の出っ張った留め金を納めるためのもので、ボルトが前後すると閉まっているカバーが自動的に開く仕組み。このあたりは電動ガンには真似できないガスブローバックガンならではのギミック。
チャージングハンドルチャージングハンドルを引く事でボルトキャリアを後退させ、BB弾をチャンバーに装填できる。
初期モデルはチャージングハンドルがブローバックの衝撃によって折れると言う不具合も報告されていたようだが、スーパーバージョンでは既にこの点も改修されているようだ。
ボルトキャリアが後退ボルトキャリアがフルストロークで後退した状態。ノズル部分に実銃同様ロッキングラグも再現されリアルな雰囲気。

ポートカバーの留め金がカタカタ動くのがなんとも気になる。このせいかポートカバーを閉めた状態でも、ふとした衝撃でカバーが開いてしまうことがあった。
ボルトリリースボタンマガジン内の全弾を撃ちつくすとボルトが後退した状態で停止する。新しいマガジンに交換しレシーバー左側面のボルトリリースボタンをバチンッと押し込むとボルトが再びジャコンと前進し、初弾をチャンバーに送り込む。
マルイのSOPMOD M4にも実装された機能だが、あれはあくまで給弾ストップ機構であり、WAのガスブローバックガンなら、作動音も含めてよりリアルな実銃同様ののアクションを楽しめる。
リセスロッキングラグが噛み合うリセスも再現されている。そしてその中央にはチャンバーが見える。
このあたりの造形美もブローバックガスガンならでは。

なおレシーバーのトップレールの幅は21.2mmだった。
セレクターレバーセレクターレバーはセフティ、セミオート、フルオートポジション。ハンマーが落ちているとレバーがセフティに入らない構造になっている。
グリップグリップは電動ガンと違ってかなり薄い。フィンガーチャンネル付のA2グリップだが、グリップが小さいので逆に手に余る感じ。ボルト一本で固定されているので、各種実物輸入グリップが装着可能。
ロアレシーバーも電動ガンより薄く、リアル。
トリガーガードはレシーバー同様にグラスファイバー強化樹脂製で、根元にASGKの刻印があるのがなんとも控えめ。
RISモデル
WAのM4A1スーパーバージョンは10インチショートバレルのCQB-Rと14.5インチバレルのカービンがあり、それぞれプラ製ハンドガードモデルとアルミ製RISモデルの計4バージョンが発売された。RISはレールガイドナンバーこそないが、堅牢な作りになっている。RISのレール幅は20.8m(実物RASは21.3mm)。デルタリングのバネテンションもキツ目でガッチリとレールを前方へ固定している。このためバーティカルグリップをアンダーレールに装着してグッと構えてもレールがカタつくようなことはなかった。

可変ホップアップ機構「ブルズアイ」の調節ダイアルアンダーレールを取り外してバレルの根元裏には可変ホップアップ機構「ブルズアイ」の調節ダイアルがある。クリック感があって狂いにくく、工具も必要とせず調整は容易。
ただし、カスタムパーツとしてレール一体型のフリーフロートRASなどを装着した場合、この場所だと調節が困難になる可能性はある。しかしM4の場合他にディティールを崩さず適当な場所が見当たらないので、この位置の調節ダイアルは妥当と言えるのではないか。
アルミ製アウターバレル
RISはデルタリングを引いて簡単に取り外すことができる。バレルナットを貫通したアルミ製のガスチューブもリアルな外見だがチューブ径は5mmと、実銃の4.6mmに比べて太くなっている。したがって、実物RASなどを装着する場合はチューブが突っかえてアッパーレールを取り付けられないので、チューブを交換する必要がある。アルミ製アウターバレルは根元部分(亜鉛ダイキャスト製)との2ピース構造になっている。初期モデルは3ピース構造だった。

実物ロックリバーアームズ製のハンドガードちなみにブッシュマスター製の実物ハンドガードが何とかとりつけできた。微妙に前方のハンドガードキャップにうまく収まってくれないのだが、この状態でも射撃は可能だ。
フロントサイトポストフロントサイトポストは一見金属製に見えるがレシーバー同様にグラスファイバー強化樹脂製。エッジのシャープさと言い、その硬質感はすばらしい。
マルイの電動ガンではこの部分が亜鉛ダイキャスト製で重いので取り回しの楽さを考えるならば、これはこれで良いと思う。
フロントサイトピンは金属製の角棒タイプで上下の調節が可能。
バレルとフラッシュハイダー
バレルとフラッシュハイダー。バレルはつるつるとした塗装仕上げ。できればもう少しさらっとしたアルマイト仕上げが良かった。5.56 NATO 1/7の刻印がちょっとはみ出している。
フロントサイトポスト同様にフラッシュハイダーも軽量なグラスファイバー強化樹脂製。このためフロント部が圧倒的に軽く、取回しがしやすい。余談だが、フロントサイトポストからフラッシュハイダーまでのバレル長も電動ガンよりわずかだが数ミリ短い。

M14の正ネジ仕様フラッシュハイダー下部の芋ネジを外すとハイダーを取り外すことができる。
M14の正ネジ仕様になっていて、これはマルイの電動ガンの逆ネジ仕様とは異なる。
M14正ネジ仕様のサイレンサーは発売されているので各種社外品を取り付け可能だ。ただしブローバック音のほうが格段に大きいのだが。
ストックストックは伸縮可能なテレスコピックストック。古い形状のストックで、いまどきこのタイプはないよなぁ、などと思いつつ、手元にあったマルイのスタンダード電動ガンのM4A1カービンのエンハンスドストックを取り付けてみた。
エンハンスドストックがポン付け結果、東京マルイの電動ガンM4A1カービンのエンハンスドストックがポン付け可能。スタイルとしてはこちらのほうが好み。
リコイルバッファチューブリコイルバッファチューブの裏側。
伸縮ストックの固定ポジションは6箇所。
前から3番目の穴(赤矢印部)にはグリスを注入する穴が開いている。

チューブ直径は計測してみたところ28.7mmだった。
マガジンは6mmBB弾を50発装填マガジンは6mmBB弾を50発装填可能。
マガジンはBB弾を装填する前面部分がプラ製で、後方部分は金属製となっている。
サイズはリアルサイズだが、構造上ロールピン止め跡が多く、その点ではちょっと残念。

マガジンフォロアーをBB弾一発分押し込みながら、赤矢印のレバーを前へ倒すとフォロアーが一番上まで上がらなくなり、空撃ちモードとなる。
マガジンバルブガス注入口
マガジン底面の刻印ガス注入口がマガジン背面の中ほどにある。

マガジン底面の刻印は左の写真のとおり。
しかし、このマガジン、1本11,000円(税抜)もする。6本買ったら本体がもう一丁買える値段だ。
テイクダウン
ロアレシーバー後方のテイクダウンピンを抜き、アッパーレシーバーを上方へ引き上げるとテイクダウンすることができる。 写真の状態ではハンマーが起きた状態。
従来プラ製だったリコイル・スプリング・ガイドはアルミ削り出しに変更された。

アルミ削り出しのリコイルスプリングガイドアルミ削り出しのリコイルスプリングガイドは矢印部分のストッパーで止まっている。この突起を押し下げるとガイドとスプリングが取り出せる。
リコイルスプリングビヨヨーンと結構長くてしなやかなリコイルスプリングが内蔵される。
ガイドは高速移動時に空気抵抗を減らすために中央に穴が開いていて、側面の穴へと空気を逃がす仕掛け。
ガイド後ろ側には強力なスプリングリコイル・スプリングガイド後ろ側には強力なスプリングが取り付けられ、後退時にバッファチューブ端にあたりスプリングの反動でガイドの前進速度を高める工夫がなされている。
真鍮製のウエイトボルトキャリア後部に差し込まれた真鍮製のウエイト。本当に差し込まれているだけで、固定はされていない。これがボルトキャリア後退とともにリコイルバッファに当たり、重い衝撃を生み出す。

チャージングハンドルとボルトキャリアをアッパーレシーバーから引き抜く。ここまでは簡単に分解が可能。
あとはリコイル・スプリング・ガイドとリコイル・スプリングを取り外して通常分解は完了。
いやぁ、しかしエアソフトガンでこのリアリティと重量感あるボルトキャリアとチャージングハンドルのリアリティ。たまらん。
バレルナットの比較バレルナットの比較。
バレルナットの内側形状はわずかだが実銃互換とは異なり、バレル側の内側の深さが足りない。したがって、RASの後部爪がバレルナット内側に深く収まらず、浮いた状態になってしまう。
ネジピッチも電動ガン用に作られたG&Pのものとは異なる。
高さはG&Pが22.0mmに対しWAは19.9mm。
胴部分の太さはG&Pが34.6mmに対しWAは35.0mm。

デルタリングの比較デルタリングの比較。
太いガスチューブ用に切り欠きの大きさが異なる。また、わずかだが、ハンドガードを保持する内径がWAのほうが大きい。
ボルトキャリア前面ボルトキャリア前面。
ノズル部分には白い樹脂で作られたマグナ特有の三枚羽フローティングバルブが見える。
マガジンを装着した総重量は実測で2,950g。
個人的感覚からすると、ちょうど良い重さ。
カスタムでメタルレシーバーやドットサイトを搭載していくことを考えると素でこのくらいがちょうど良いかと思う。
マガジン単独での重量は513g。結構重い。
.223Remを30発フル装弾したアルミ製マガジンの重量が約460g程度なので、それよりも重い。6本もったら3Kgを超え、撃っても軽くならないのがちょっと残念。

ちなみにキャリングハンドルは437g。G&Gのマグネシウム製が206gなので交換すれば軽量化可能。
撃った感触はまさに衝撃的で、ドシッとしたマグナ特有のリコイルショックを一層強くした感じ。射撃時のサウンドもかなり大きく「バキャンッ」と金属製ボルトキャリアの後退音とともにリコイルバッファスプリングの音が後を引く。初めて撃ったときあまりの衝撃にセミオートでも頭がクラッとした。そして同時に実銃を射撃したときの記憶が込み上げてくる。あとは硝煙の匂いさえあれば完璧だ。
続いて指きりのバーストで撃つとバキャギャン、バキャキャンと軽快なサウンドで回転する。気温22-3度の室内でも十分作動する。ただし、5、6発以上になるととたんに回転が不安定になり、動画のように生ガスを噴いたりすることもあった。フルオートではよほど気温が高くない限り長く撃ち続ける事は出来ないだろう。しかし、マガジンは秀逸で逆さで撃っても生ガスは噴かない。スーパーバージョンになってRタイプのヘビィデューティーマガジンはガス漏れもないとのこと。自分のも今のところ大丈夫だ。

命中精度はセミオートで室内9m、スコープを使用し銃を半固定して撃ったところ、直径10cmの円内にはまとまった。電動ガンならばこの半分には収まるだろうが、屋外での弾道を見る限りホップもよくかかり、ゲームでの中距離射撃(20-30m)にもそれほど支障なく使えそうだ。もっともリコイルを如何に押さえ込むかと言うテクニックも要するが。ゲームではセミオートを中心に無駄弾を使わずに撃つのが玄人っぽい。

総じて外見はややチープな部分もあるが、それを上回って有り余る動作の面白さがあるトイガンといえる。剛性も高くテイクダウンしてボルトキャリアを抜くといった分解操作などもモデルガン、いや実銃のようで面白い。室内で撃つプリンキングには最適なアイテムで、リアル派には最近豊富に発売されつつあるパーツメーカーのメタルフレームやフロントキット、グリップ、ストックなどで外観を総取替えすることだって出来る。
気温20度以上ならばゲームにも使用できる。ただし、使い方は前述したようにガスの安定性からセミオート射撃中心になり、マガジンが高価で重く、たくさん持ち歩くのは難しいだろうから、ストイックな上級者向きと言ったところか。
だが、このリコイルショックを一度体験するとちょっとクセになる。そしてカスタム衝動を掻き立てる魔物のような魅力をもったウエポンと感じた。

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2009/04/19

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