KSC ガスガン M93R II 07ハードキック レビュー

KSC ガスガン M4A1カービン 【エアガン レビュー】

2010年7月にプロトタイプの試射会にて紹介したKSCのM4A1カービンがついに2010年10月に発売された。
M4A1カービンは言わずもがなであるが、米陸軍の制式アサルトライフルだ。陸軍だけでなく、海軍や空軍、海兵隊でも使用されている。そしてこのM4A1カービンの2000年代モデルをKSCがガスブローバックガンとしてモデルアップ。

そして、今回なんと!! コンバットマガジンやSATマガジンなどミリタリー専門誌や、ナイフマガジンなどでご活躍中の戦う銃器写真家であり、タクティカル・インストラクターでもある、トモ長谷川氏にご協力いただき、ハイクオリティなレビュー写真をご提供いただいた!!
もう、これはまさしく感動物。昔から雑誌で眺めていたあのトモ長谷川氏の写真をハイパー道楽に掲載できるなんて!! では、さっそくいってみよう。

KSC ガスガン M4A1カービン スペック & 初速データ
全長 783/865mm(ストック伸長時)
重量 3,490g
装弾数 6mmBB弾 40+1発(付属マグ)
定価 44,800円(税別)
発売日 2010年10月26日

最高 78.41m/s
平均 74.40m/s
最低 69.16m/s
ジュール 0.554J
※東京マルイ ベアリング バイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ適正、10発での測定、気温24.0度、湿度43.0%

パーツリスト1 | パーツリスト2 | パーツリスト3


レシーバーはアルミダイキャスト製で、全体に焼き付け塗装が施され、しっとりとした手触り。凹んだ部分がより艶消しになっているなど、金属ならではの冷たい感触がリアルに再現されている。
マガジンハウジング側面のレーザー刻印はM4A1カービンのミリタリー刻印。シリアルナンバーはXRから始まる6桁の数字で、この部分は本当に1丁1丁異なる番号が刻印される。このトモさんから頂いた写真では000000なので市販プロト最終モデルと思われる。もちろん私も市販品を購入しているのでレビュー内容については市販モデル(XR0114XX)を踏襲している。

フロントサイトベースは亜鉛ダイキャスト製。
角型のフロントサイトピンは超精密スチール切削でシャープなエッジを再現し狙いやすい。
アウターバレルにはサイドスリングスイベルが付く。


M4A1カービンの特徴でもある着脱式のキャリングハンドルはHW樹脂素材で、実測重量は263g。

レシーバー右側面のボルトフォアードアシストノブはライブで可動し、不完全閉塞時に押すことで実際にボルトキャリア側面のギザギザにラチェットが引っかかり、ボルトキャリアを押し進めることができる。
アルミダイキャスト製のアッパーレシーバーはモナカ構造で、パーツリストを見てもわかるが、左右パーツとトップレールの3ピース構造になっている。これは2010年7月の試射会で寺田社長は"金型の問題"とおっしゃっていた。トイガンの強度的には問題ないと思うが、海外製品も含めた競合他社商品事情からしても、一ファンの"気持ちの問題"として一体成型にしてもらいたかったところではある。

フラットなトップレール
キャリングハンドルを外すとフラットなトップレールが現れる。レールの実測幅は21.0mm。なお、レールガイドナンバーは刻印されていない。エジェクションポートカバーの留め具は試作モデルのプラスネジからマイナスネジに変わったが、実銃にはこのネジはないわけでやはり気になるところではある。

フラッシュハイダーフラッシュハイダーは亜鉛ダイキャスト製。下面にポートの無いアドバンスド・バードケージタイプ。
底部のイモネジで固定されており、取り外せばM14逆ネジ使用となっているので、各種サイレンサーが簡単に装着可能。
M14逆ネジ仕様


ハンドガードはスタンダードな樹脂製を装備。適度に固めのデルタリングを引いて取り外すと、内側にはアルミ製の放熱板が張られ、こだわりのリアルな作り。ガスチューブは4.5mm径。アウターバレルはアルミ製で剛性も高く、形状も実銃に忠実に再現されている。

ガスチューブはしっかりバレルナット部を貫通している。また、バレルナットはギザギザの形状で凹部の深さも十分あり、社外品のRASなどのレールオプションを装着可能だ。

そして恒例の“隠しKSC刻印”はアウターバレル基部左側面にある。
こういった"模型メーカーとしての奥ゆかしさ"は他社にも見習って欲しいところだと思うのだけど。

G&P製のナイツRASIIタイプのレイルが装着されたKSC M4A1カービン。

ハンドガードを取り外しただけで無加工で取り付けられる。RASIIはレシーバートップにも固定するので、精度にも安心感があってお薦めのレイルシステム。バレルに負担をかけることが無いため、装備を増やしても大丈夫。

RAS装着時のサイドシルエット。ガスチューブがよい感じにみえる。


回転防止と抜け落ち防止構造をリアルに再現したテイクダウンピン。緩すぎず、キツ過ぎず、素手でパチリと操作できる加工精度の高さ。そしてわずかにレシーバー内に飛び出したリコイルバッファのテンションに抗いながらアッパーレシーバーを上方にガショリンとテイクダウン。チャージングハンドルを指で挟みながら、シャキコンとボルトキャリア アセンブリを抜き出す。この実銃同様のフィールドストリッピング操作!! これぞガスブロM4の醍醐味。
この一連の操作がいかにシャキッと淀みなく操作できるかが製品の満足度に大きく関わる部分と言える。その点KSCのM4の完成度は高い。


ハンマーやシアーなどもすべて燒結金属製。耐久性はもちろん、カスタムのような滑らかな作動感。ボルトキャリアが当たるハンマーのトップ部分にローラーを備え、作動抵抗を軽減する。リコイルバッファーは樹脂製でリアルサイズ。 ただし、ロアレシーバーのハンマー周りのレシーバー厚は実測24.3mmで、WAの23.0mm、PRIMEのカスタムパーツメタルレシーバー22.5mmよりもちょっと厚め。


ボルトキャリアは亜鉛製でロッキングラグが再現され外観がリアル。
KSC社内ではパーツ交換無しで3万発以上の発射テストをクリアしているとのこと。ボルトストップがかかる部分(ノズル右側部分)やフルオートシアーボルト後方角の色違いパーツが焼結金属パー ツ。

ボルトキャリア アセンブリの実測重量は247gボルトキャリア アセンブリの実測重量は247g。競合商品との比較では、タニオコバのM4がチャージングハンドル含めて207g、最大クラスのリコイルを生むマグナブローバックのWAのSVで252gだから、WAと同等の重量級のボルトキャリアといえる。

マガジンフォロアーがマガジン内のリンクパーツ
BB弾を撃ち尽くすと、せり上がったマガジンフォロアーがマガジン内のリンクパーツを連動、ボルトストップを作動させる。そしてボルトキャリアは後退した位置で停止しホールドオープン、射手に残弾がなくなったことを知らせる。

6ポジション、エンハンスド・リトラクタブルストックストックはミリタリーモデルの6ポジション、エンハンスド・リトラクタブルストック。
チューブの上面に数字が表示され、ストックの穴からどのポジションかがわかるようになっている。

ストックはトイガン用から実銃用まですべて使用可能
市販のストックはトイガン用から実銃用まですべて使用可能。グリップもガスブロからリアルタイプまで取り付け可能。リコイルバッファチューブ(ストックチューブ)は実測で29.0mm径、凸部の断面形状も角型なので、ミルスペック系の実物ストックもポン付けできる。

マガジンは亜鉛ダイキャスト製
マガジンは亜鉛ダイキャスト製で6mmBB弾を40発装弾できる。フロント部分のリップから下5cmくらいまで、マガジン角に凹みの形状が付けられている。これは実銃のマガジンを装填できないようにするためで、海外での販売を考慮したものみたい。
マガジン底部にはレーザー刻印とガス注入バルブがある。M4A1用に設計されたの大型のシステム7TWOのガスバルブを使用する。従来のシステム7バルブと比べると大きさの違いが良くわかる。マガジン単体の実測重量は588gとかなり重い。また価格が1本5,800円(税抜)と他社のガスブロM4に比べて安いのも魅力。

付属品一式付属品一式。
マガジン前面にフォロアーレバーが無いリアルなマガジンなのでのでBBローダーは必須。それと、いつもの可変ホップアップ調整ツールとバレルナット分解用工具、フロントサイとアジャスト用のダミーカートポンチが付属する。
実測重量は3,485gマガジン、キャリングハンドルを含む実測重量は3,485g。キャリングハンドル単体の重量は263gだ。



さて、実射性能だが、今回は、気温24度の屋外、室内での射撃をしてみた。
上の動画を見てもらってもわかるが、作動性は悪くはないのだが、いかんせんマガジンの冷えが速く、セミオートで撃っていても数m/sづつ初速が落ちていくのがわかる。また、フルオートにおいては5~6発くらいで急激にリコイルが弱々しくなり、ボルトキャリアのストロークが落ち、最後にはバルブを叩きっぱなしになりブシューッとガスが無くなって止まる。この気温では1マガジン40発をフルオートで撃ち切ることはできない。個体差かもしれないが、試射会のモデルではもっと快調だったと思ったのだが...。

この動作の重さ感はそのボルトキャリアの重量にあるんじゃなかろうか。いくらバルブを大きくしてガス放出量を増やしてもすぐにガスが冷却してしまっては意味が無い。あと、40g程度ボルトキャリアを軽くして、バルブの放出量を絞ってみるとか、リコイルスプリングをわずかに弱くしてみるとか、チューンの方向性によってはもっと持続性のあるブローバックにできるかもしれない。

ここ最近のKSCの商品は、MP7A1、イングラムM11、M93RII、Cz75セカンドといった、スピード感のあるキレのよいブローバックが楽しめる商品が多かっただけに、ちょっとこのタルさは残念な感じ。あるいは海外出荷向けの高圧ガスを前提に日本仕様にデチューンした結果なのだろうか?

ここはやはりKSCメーカー純正でマグネシウム製の軽量スピードボルト+一体成型CQB-Rメタルフレームなんかのカスタムパーツが発売されたりするとより面白くなると思う。

命中精度はガスブロにしてはかなりよく、20m先のマンターゲットに楽々と集弾させることができる。ホップアップの安定感もなかなか。ゲームにも十分使用できる命中精度といえる。
また、初速は0.2gで平均74m/sだが、そもそも初速の落差が激しいので70m/s後半から60m/s後半にかけて10m/sの範囲に収まる、といったところだろう。サバゲーで電動ガンとやりあうにはあと10m/sくらい高くてもよかった。

質感と言う意味では各社のM4の中ではトップクラスの上質感がある。各部造型の作り込みも美しいだけに、やはりもう少しキビキビした安定動作が実現できればと思う。ガスブロであっても気温20度以上ならば普通に作動してもらいたいと思うのはユーザー心理だろう。
価格は44,800円(税別)と競合商品と比べても低価格に設定されているのでお得感は高い。

KSC M4A1カービン 左側面
KSC M4A1カービン 右側面

■写真家プロフィール
トモ 長谷川(とも はせがわ)
トモ 長谷川(とも はせがわ)
1966年9月19日、京都府生まれ。大学在学中より、イチローナガタ氏のアシスタントとして行動を共にする。フリーランスの写真家及びライターを生業として現在に至る。
取材をかねて世界各地の競技射撃大会に数多く出場。精度、スピード共に世界トップクラス。
また、ミリタリーや警察関係の訓練プログラムに積極的に参加し、主に射撃及び格闘の技術習得を続ける。これらの豊富な経験を活かし、インストラクターとして自衛隊や警察の訓練に参加。関係企業数社のアドバイザーも手掛けている。
■著書
「格闘ナイフ(三点書房刊・2000年)」
「戦闘ナイフ(バウハウス刊・2001年)」
「メイドインジャパンのカスタムナイフ(ワールドフォトプレス・2005年)」
ワールドフォトプレス刊「コンバットマガジン」「ナイフマガジン」「monoマガジン」
かまど出版「SAT マガジン」
他にムック本や専門書への寄稿多数

■タクティカル訓練プログラム受講歴
2000年
・マイク エイジャックス「マントラック ハンド to ハンド & ナイフファイティング」

01年
・マッドドッグナイフファイティングクラス
・シュアファイアーインスティチュート訓練
・マイク エイジャックス「ハンドtoハンド」
・オンタリオポリススワット主催「エッジウェポンカンファレンス」

02年
・シュアファイアー「ローライトコンバット」5日間訓練 公認インストラクター取得

03年
・スティーブタラーニ「カランビット」レベル1
・シュアファイアー「CQBトレーニング」3日間終了   

04年
・USクリムゾントレーサー社「レーザーグリップ講習」

05年
・映画「ブラックホークダウン」生存者の一人“ポール ハウ”(劇中ではサンダースン軍曹)氏主宰のCSAT:アドバンスド ホステイジ レスキュー訓練5日間 受講&卒業

05年
・USサンダーランチ クリントスミス主宰
アーバンアサルトライフルコース訓練5日間 受講&卒業   

09年
・US T1Gタクティカルコンバットコース訓練。射撃、爆破、タクティカルドライヴィング、受講&卒業

■射撃試合参加歴
89年 USスティールチャレンジ初参戦。順位及び点数不明
90年 USスティールチャレンジ総合41位 
     トップリボルバ賞賞品パワーカスタムをゲット。

91年 NRAビアンキカップ初出場総合36位-1900点 マークスマンクラス優勝
92年 NRAビアンキカップ総合16位- 点 マスタークラス優勝
   トップリボルバ賞パワーカスタムを受賞

93年 NRAビアンキカップ総合41位- 点 
   IRC 総合2位(一位のジェリーミチュレックに7秒差)
  インターナショナル1位、Aクラス1位。

94年 NRAビアンキカップ総合64位-1888点164x
   IRC 総合2位 インターナショナル1位、Aクラス1位。
   ユーロビアンキカップ(開催地イギリス)総合3位、インターナショナル2位。

95年 NRAビアンキカップ総合11位-1916点160x
   IRC 総合3位 インターナショナル1位、Aクラス1位

96年 NRAビアンキカップ総合10位-1916点159x
   IRC 総合3位 インターナショナル1位、Aクラス1位 

97年 NRAビアンキカップ総合15位-1914点163x
   IRC 総合4位 インターナショナル2位
   ビアンキカップワールド大会(開催地オーストラリア)総合8位

98年 NRAビアンキカップ総合30位-1911点156x
   USスティールチャレンジ総合16位        

99年 NRAビアンキカップ総合11位-1916点
   IRC 総合3位、インターナショナル1位、Aクラス1位

00年 NRAビアンキカップ総合12位-1912点157x、プレート2位、
     インターナショナル2位。

01年 NRAビアンキカップ総合64位-1888点164x

02年 NRAビアンキカップ総合15位、インターナショナル4位-1914点161x

03年 NRAビアンキカップ総合13位、インターナショナル3位-1914点164x
   USスティールチャレンジ総合12位

04年 NRAビアンキカップ総合30位、インターナショナル6位

……以降2010年まで毎年NRAビアンキカップとスティールチャレンジに参加。
各種受賞経験あり。



2010/12/26


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