マルシン シュマイザー MP-40

マルシン シュマイザー MP-40

写真&解説 YAS

解説

マルシン最初の長物エアーガンはM1カービンをシリーズ化したレインジャーカービンスーパーエンフォーサーで、続いて登場したのが今回紹介するシュマイザー MP-40となる。本モデルが発売された1985年は、サバイバルゲームが日本で流行り始めた頃。凝ったプレイヤーは好みの軍装に身を包んでゲームに興じていた。

人気No.1の軍装はアメリカ軍で、第二次大戦、ベトナム戦、当時最新のウッドランド迷彩まで様々。一方で第二次大戦のドイツ軍や、旧日本軍ファンも少なからずいた。

そうなってくると必要なのは装備に合わせたメインウエポンで、ドイツ軍ならKar98kや、MP-40となる。
むしろ、MP-40が発売されたのなら、ドイツ軍装備でも集めてみるか、みたいなノリもあった。

さすがモデルガンメーカーのマルシンだけあって外観のリアルさ、重量感は申し分ない出来。
さらにレインジャーカービンではカート式ゆえの装弾数の少なさがサバゲーで不評だったため、スプロケット給弾式の多弾数マガジンを開発し、スーパーエンフォーサーやこのMP-40に採用した。

機動力に優れるサブマシンガンタイプではあったが、コッキングやトリガーが重く、肝心のスプロケット式給弾の信頼性が高くなく、使い勝手はあまりよくなかった。なにより、他社ではWA AR-7サバイバルショーティMGC M-76インターセプター、JACのグリースガンやUZIといったガスサブマシンガン、エアコッキングではマルイのMPKやMP5、LSのトンプソンといった安価で使い勝手の良いモデルが続々と登場した。
サバゲーで勝てるエアガンが売れた時代、本格的すぎるマルシンのMP-40には不遇の時代でもあった。

サイドビュー左
実銃のMP-40はドイツの有名銃器技師であるシュマイザーは開発には関与しておらず、鹵獲したMP-40をみた連合軍兵士が、シュマイザー技師が開発したものに違いないという勘違いから広まったようだ。実際に設計したのはエルマ社のハインリッヒ・フォルマー技師なのだそう。

サイドビュー右
モデルガンメーカーのマルシンだけあって、外観の作りは実にしっかりしている。外観は先に発売されていたモデルガンそのものと言えるだろう。実測重量は2.5kg程度だが、持ってみるとそれ以上にズッシリとした重さを感じる。金属パーツが多用されており、経年劣化もあって実に良い風合いだ。

フロントサイト
フロントサイトは円形のガード付きでバレルジャケットと一体になった亜鉛ダイキャスト製。インナーバレルはアルミ製で、マズルギリギリまである。バレルキャップを取り外すとM15正ネジ仕様になっている。

リアサイト
リアサイトは樹脂製でスクエアノッチ。100mと200mの2ブレード式だ。

レシーバー
レシーバーは樹脂製、コッキングレバーは亜鉛ダイキャスト製だが、フルストロークはせずに、リアサイト前くらいまでの後退量でピストンがコックされる。レシーバー後方にはMP 40 avf 40 MARUSHINの刻印がある。

ボルトが後退
コッキングに連動してボルトが後退し、ノズルやチャンバーが顔をのぞかせる。コッキング動作はかなり重い。

グリップフレーム
グリップフレームは金属製。グリップパネルとフォアエンド部は少し赤みを帯びた樹脂製。
トリガーの後退をブロックするエアガンオリジナルのセーフティレバーが付いている。
トリガープルは約5.3kgと非常に重い。

フォールディングストック
フォールディングストックはスチール製で基部のボタンを押すことで展開し、バット部を90度回転させて使用する。

樹脂製マガジン
樹脂製マガジンはケースレスのスプロケット給弾方式を採用しており、上部の蓋を開けて約100発の6mmBB弾を流し込む。左面にはマガジンセーフティが、右面にはスプロケットを強制的に回すためのマイナスネジがあり弾送りに使用する。

マガジン断面図
マガジン断面図。コッキングすることでカムとアームを介してスプロケットを回しBB弾を送る仕組み。現在で言うところの多弾数マガジンの構造に近いが、ゼンマイを使用していない点が異なる。
このスプロケット式マガジンは同社のスーパーエンフォーサーにも採用されている。

実射は距離5mで手のひら大にまとまる優秀さだ。初速も0.2g弾で60m/s以上でる。
ただ、トリガープルが非常に重く粘るため、撃ちにくさを感じる。コッキング自体もかなり重く、スプロケット式の給弾機構の信頼性がイマイチ高くない。やはりどちらかというとサバゲーユースというよりはコレクション要素の高いモデルだ。
国内メーカーからMP-40のエアガンがモデルアップされるなんて素晴らしい時代だったと思う。

パッケージ
パッケージにはスプロケット ケースレスシステムが謳われている。

取説
分解方法やパーツリストも掲載された詳細な取説。マニュアル.PDF (4MB)

DATA


発売年 1985年12月上旬
発売時価格 ¥12,000
全長 実測 625mm / 846mm (ストック展開時)
重量 実測 2,464g
バレル長 -mm
発射方式 ケースレス エアコッキング
使用弾 6mmBB弾
装弾数 約100発
平均初速 61.5m/s ※0.2g、22.8℃、0.373J

撮影協力:ミリタリーグッズ.com

ミリタリーグッズ.COM

2023/12/28


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