LCT airsoft STK-74 AEG 2016 ver.
レビュー: 金子一也 (Gun Shop BATON アキバ 店長)
伸縮式ストックを持つカスタムAK-74 史上初の製品化
古くからAKシリーズの電動ガンを数多くリリースし、世界中のロシアンライフルマニアの支持を集めている台湾のエアガンメーカーLCT airsoft社。その製品のクオリティの高さに定評のある同社が、従来モデルの外観と内部メカニズムを全面的に見直し、さらなる品質向上を実現した2016年バージョンの製品群。その中に、見慣れないストックを装備したバリエーションモデルが存在した。
それが、今回レビューをお届けするSTK-74である。
全メーカーを通じた市販のAKシリーズ電動ガンで、初めて伸縮式ストックを装備した、このSTK-74がどんな製品なのかを、以下にご紹介して行こう。
■スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||
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その正体はAK74MNのカスタムバリエーション
マニアの方々には周知の事実だが、LCT airsoft社のAKシリーズ電動ガンは、それぞれ微妙にひねった商品名が付けられている。例えば、AKMそのものの外観を持つ製品にLCKM。AK74Mなら、LCK74Mといった具合だ。
おそらくは権利関係による配慮だと思われるが、今回ご紹介するSTK-74についても同様で、そもそもそんな名称のAKバリエーションは実銃に存在していない。AK74MN(LCK74MN)をベースとしたカスタムモデルに、STK-74という商品名が付けられているのだ。
ただ、だからといって架空の銃というわけではなく、詳細な年代は不明だが、FSB(ロシア連邦保安庁)のオペレーターが、STK-74とまったく同仕様のモデルを携行しているミリフォトが確認出来る。
決してメジャーではないカスタムモデルを発売したLCT airsoft社の心意気が、どのように結実しているのか、そのディティールについて詳しく見て行こう。
リアルさと頑強さを兼ね備えたフロント周り
7.62mm弾を使用するAK47(AKM)と較べて、最も大きい外観的差異である大型のフラッシュハイダーは、スチール削り出しによって、その複雑な形状を忠実に再現。表面に荒々しい加工痕をあえて残すことで、AKらしさを見事に演出している。
鋳鉄製と思しき荒々しい表面仕上げが、否応なしに実感を高めるフロントサイトブロック。フロントサイトポストは実物通りの上下調整が可能となっている。専用のアジャストツールがあれば、左右への調整も可能だろう。
尚、上述のフラッシュハイダーは実銃同様の24mm正ネジ仕様となっているが、その24mmネジ部分が、アウターバレル先端に14mm逆ネジで取り付けられている。
つまり、実銃仕様のネジ部分を外すことで、一般的なエアガン用の各種マズルアダプターが取り付けられるというわけだ。
エアガンメーカーとして長い歴史を持つLCT airsoft社ならではのサービス精神が伺える親切設計と言えるだろう。
バレルからガスピストンへと発射ガスを導くバイパスに当たるガスチャンバーが、7.62mmのAKシリーズに比べて垂直に近く立っているところも、鋳鉄製と思われる質感を含め忠実に再現。絞りプレス加工で作られたガスチューブ先端部も、もはや実物と見分けが付かないほどリアルに形作られている。
スリングスゥイベルを兼ねたロアハンドガードリテイナーブラケットも分厚いスチール製で、3.7kgを超える重量を支えるに充分過ぎるほどの強度を備えている。
一見すると、AK74Mのものにマウントレールが付いただけのような雰囲気だが、実はまったく形状が異なっているSTK-74のハンドガード。
これは、ロシアの実銃用アクセサリーを製造しているメーカー、МВРИ(英語表記はMVRI)社の、МВРИ04.08.000というロアハンドガードを再現しているのだ。
このあたり、資料がことごとくロシア語なので、レビュアーの語学力では理解し切れていないのだが、ロシア装備マニアの間で有名な方のブログによれば、МВРИ社の旧称がSTKということなので、STK-74という商品名はここから付けられたと考えて間違いないだろう。
両サイドにショートレールを、下面に10コマのピカティニーレールを備えたロアハンドガードは、様々な局面に応じたセッティングを可能としており、ロシアの特殊部隊が使用していることからも、その実用性の高さが伺える。
唯一の弱点を克服して実感を増したレシーバー周り
両側面に残された切削痕と、その上部の荒々しい鋳肌とのコントラストがなんとも魅力的なリアサイトブロックは、アウターバレル基部が固定されることもあり、実銃もかくやと言うほどしっかりと造られている。
トップカバー先端下部に見える三角形の刻印は、中の矢印マークがやや大味だが、おそらくイズマッシュ社の製造刻印を再現したものだろう。
尚、その後方に見える5桁の数字は、同社製AKシリーズに共通するモールドで、通し番号にはなっていない。
それらの下方に見えるフック状のパーツは、折りたたんだストックを固定するためのもの。このパーツもしっかりしたスチール製で、安心感を与えてくれる。
いわゆるタンジェント式のリアサイトは、もっとも下げた位置の刻印がПになっており、きちんとロシア製であることを再現している。
海外製電動ガンのAKシリーズには、このリアサイト部分が脆弱で、サイト下の板バネのテンションに負けてサイトの軸が折れたり、リアサイトブロックが破損したりするケースがまま見られるが、LCT airsoftではリアサイトまわりを過剰なほど頑強に造っているため、そういった不安は微塵も感じられない。
レシーバー左側面の後方にリベット留めされたサイドマウントレール(ドブテイル・サイドプレート)も、切削痕が生々しく残るスチール製で、取り付けたスコープマウントが負けてしまいそうなほど頑強に取り付けられている。
また、AK74であることを主張するトップカバー上のリブの、プレス加工特有のわずかなひずみがリアルさを増幅してくれる。
レシーバー右側、エジェクションポートから見えるボルトキャリアに目を移すと、以前のバージョンでは別パーツになっていたコッキングハンドルが、実銃同様にボルトと一体になっていることが見て取れる。
LCT airsoft製のAKシリーズ電動ガンは、このコッキングハンドルがボルトキャリアにネジ止めされているだけだったため、銃の右側を下にして地面などに置くと、ハンドルが曲がったり、またはもげたりといったアクシデントに見舞われることがあった。
2016年バージョンとなったすべてのAKシリーズは、ボルトキャリアとコッキングハンドルを一体パーツとすることで、この唯一の弱点を見事解消。
強度的な不安を払拭すると同時に、製品の雰囲気をより実銃に近付けることに成功した。
そのコッキングハンドルを引くと、エジェクションポートから黒い樹脂製のホップアップチャンバーと、金色の真鍮製インナーバレルが顔をのぞかせる。
ホップアップの調整は、ほとんどのAKタイプ電動ガンに共通するスライドレバーによる方式で、画像中央に見えるブラスネジの後方にある突起を前後させることで、ホップのかかり具合を調整する仕組みだ。
その後方に見えるセレクターレバーも、プレス加工によって実銃の形状がリアルに造られている。フル、セミオートの各モードを表す、AB、OДの刻印は、イズマッシュ社製AKに刻まれているものを忠実に再現。上述したレシーバー左側面のメーカー刻印と整合性がとれているあたりは、さすがLCT airsoft社と言えよう。
グリップはオーソドックスな樹脂製タイプを採用。実銃AK74のグリップを握ると、その細さに驚いてしまうほどだが、LCT airsoft2016年バージョンのグリップは、モーターが入っている割には細く造られている。
スチール板を曲げただけといった趣のトリガーガードや、シンプルの極みと言えるマガジンキャッチも、それぞれリアルに再現されているのが、画像からおわかりいただけるだろう。
西側アサルトライフルの発想で作られた伸縮式バットストック
STK-74の個性を最も際立たせているのは、何と言ってもこのバットストックだろう。
従来のAK74を見慣れた目には奇妙に映るこのストックは、上述したロアハンドガードと同じМВРИ社の、МВРИ 04.22.000フォールディングバットストックを忠実に再現したものだ。
ストックの長さが変えられないAK74シリーズでは、ベストやプレキャリといった防弾装備を着用した場合の運用が困難であるため、戦いの現場から伸縮式のストックが要求されたことは想像に難くない。
このストックは、折りたたみ式ストック仕様のいわゆるAKSシリーズのヒンジを利用して取り付けることが可能で、折りたたみと展開については、従来製品とまったく同じ操作で行える設計になっている。
ただし、たたんだストックを展開する際、ヒンジ部分の右側に設けられたスリングスゥイベルが銃口側に倒れていると、上の画像のようにストック基部とレシーバーの間にスゥイベルが挟まって、これ以上の展開が出来なくなってしまう。
AKSシリーズ共通のプレス製スケルトンストックは、スゥイベルがもう少し後方に取り付けられていたため、こういった心配はなかったのだが、STK-74の操作に当たって、唯一気を付けたい部分だ。
上の画像は、展開したストックのヒンジ部分のアップだが、ふんだんに鉄を使って、これでもかと言うほど頑強に作られているのが良くわかる。
尚、ストック基部の右側、二つのプラスネジが見える丸い部分は、伸縮式バットストックのロック解除ボタンになっている。
上述のボタンを押し込むと、ストックパイプに刻まれたスリットに噛み込んだラッチが外れ、ストックのポジションを6段階に調節することが出来る仕組みだ。
МВРИ社がこのストックの開発に当たり、それを意識したかどうかは不明だが、M4系ライフルのストックチューブに6ポジションタイプが多いというのは、なかなかに興味深い事実だ。
レシーバー左側にストックを折りたたむと、ご覧のように、ストック後部が左上に跳ね上げられたような形となる。
このため、展開したストックが上に向かって「く」の字に大きく曲がっているように錯覚するが、実際はバレルの軸線に対して、ほんの2~3度ほど上に反っているに過ぎず、肩付けして構えてみれば、何の違和感も無いことに気付くはずだ。
尚、ストック後半部の黒く見える部分は、全体がラバーコーティングされており、銃が冷たく冷える真冬でも、頬が凍傷になる心配は無さそうだ。
折りたたまれたバットストックは、上述したレシーバー左側のフック状パーツに、バットプレート前面のスチール板をひっかけることで固定されるのだが、この状態でホールドするには、ストックの長さを決められた位置に戻す必要がある。
ちょっと面倒に思える構造だが、体格に合わせてストックを伸縮出来ることのメリットに較べれば、大した問題ではないだろう。
細いリブがズラリと並んだバットプレートもラバー製で、一般的なAKシリーズの、スチールプレス製バットプレートは比べ物にならない、高い滑り止め効果を発揮してくれる。
銃を長時間構える必要があるシチュエーションで、そのありがたみが良くわかるはずだ。
付属の樹脂製マガジンは、装弾数130発のいわゆるノーマルタイプ。プラムブラウンの成型色が、このSTK-74には非常に良く似合っている。
ちなみにLCTのAKシリーズ用マガジンは、レシーバー下部マガジンハウジングの前方(画像では右側)にひっかける部分のスリットの幅が広く、一般的なマルイ互換のAK用マガジンをそのまま使用することは出来ない。
他社製マガジンを強引に装着すると、最悪マガジンを破壊しない限り外せなくなるケースも有り得るので、注意が必要だ。
2016年バージョンの新型メカボが生む安定の実射性能
LCT airsoft社が2016年バージョンとして発売したAKシリーズ電動ガンは、上述したボルトキャリアだけでなく、New Gear Box3という新型メカボックスも搭載している。
9mmという大口径ベアリング軸受けを装備した新設計の外装に加え、スチールギヤセットと、スチールスプリングガイドが奢られた新型メカボックスは、BATON airsoft 電動ガン用リポバッテリー7.4v1100mAh[20C]AKうなぎタイプを繋いだ状態で、その内容にふさわしく、スムーズに動作した。
八王子のGunsmith BATONシューティングレンジにて、26mからの実射テストを行ったところ、3.7kgというなかなかの重量ながら、前後バランスの良さから、撃ち難いといった印象はまったく感じられなかった。
実射性能も、1100mAhという比較的低容量のバッテリーながら、セミオートでは鋭いレスポンスを見せ、フルオートでもスムーズな回転と、素直な弾道と高い命中精度を見せてくれた。
AKシリーズの電動ガンを作り続けて来たLCT airsoft社が、全世界のAKマニアに対して出した、現時点での最高の解答が、このATK-74を始めとする2016年バージョンだろう。
最高のパフォーマンスを見せる内部メカを備え、よりリアルさを増したフルスチール製の外装と、МВРИ社レプリカハンドガードとフォールディングストックを備えた、STK-74。
Gunsmith BATON店頭で、その奇異とも言える独特な魅力を、是非ともお確かめいただきたい。
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