King Arms 電動ガン BLACK RAIN ORDNANCE
レビュー: 金子一也 (Gun Shop BATON アキバ 店長)
実銃メーカーとトイガンメーカーのコラボ製品
2014年に香港から台湾に拠点を移し、高品質な製品をリリースし続けている人気トイガンメーカー、King Armsが、2016年1月にアメリカのラスベガスで開催されたSHOTSHOW2016にて発表した新製品、BLACK RAIN ORDNANCEシリーズをモデルアップ。世界的な話題をさらったその電動ガンが、今年8月、ついに日本上陸を果たした。
King Armsがライセンス契約を結んだ、BLACK RAIN ORDNANCE(BRO)は、アメリカはミズーリ州の外れにある、主にM4のカスタムパーツを製造、開発しているメーカーで、創立が2009年という新進気鋭の企業である。
最高の材質で、最高のクオリティを持つ製品を造り、業界最高のサービスを顧客に提供することを使命としているBLACK RAIN ORDNANCE。その製品が法執行機関にも採用されていることから、信頼性の高さがうかがい知れる。
また、全米で盛んに行われている、ライフルを使った競技に最適な、コンペティションモデルも製造しており、マッチシューターに高い人気を博している。
今回KingArmsがリリースしたBLACK RAIN ORDNANCEシリーズは、BRO社の2014年モデルとなるFallout 15を再現した製品。Carbineは実銃のFallout 15 Reconを、RifleはFallout 15 Forceというモデルを、それぞれ正規ライセンスの取得により徹底再現している。
100ヤードの距離から、手のひらサイズの集弾性を実現するという高精度カスタムライフルを、King Armsがどのように電動ガンとして製品化したのか、以下に詳しくご紹介して行こう。
■スペック & 弾速データ ※( )内はRifle | |||||||||||||||||||||
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正規ライセンス契約締結により実銃を細部までリアルに再現
今回Gunsmith BATONでは、King ArmsのBLACK RAIN ORDNANCE(以下BRO)シリーズから、12インチのハンドガードと、16インチのアウターバレルを備えたBRO Carbine、
そして、15インチのハンドガードに、18インチアウターバレルを備えたBRO Rifleの2機種を入荷、販売している。
Carbineモデルを構えてみると、そのバランスの良さと、意外なコンパクトさに驚かされる。適度な太さを持つハンドガードの握りやすさも、構えやすさを助長しているのだろう。
Rifleモデルのフォルムからは、フロント周りが随分長いような印象を受けるが、14.5インチバレルを持つ一般的なM4A1と比べると、ハイダー含めて約32mmの差しか無いため、取り回しに際する不便さはさほど感じない。
デザイン性の高さが光るフロントまわり
マッチ用のカスタムライフルとして第一に要求されるのは、作動の信頼性と命中精度だが、BRO社の製品はデザイン性の高さでも多くのシューターの支持を受けている。
銃口部先端に取り付けられたハイダーは、BRO Hexagonal Competition Compensatorを、スチール削り出しによって忠実に再現。
アルミ製アウターバレルの外周には、実銃同様に5本のフルートが設けられている。
フリップアップ式のフロントサイトは、TROY社のFolding Battle iron sightsのレプリカだが、サイトを起こした際にきちんとロックがかかる本格的な仕様だ。
CNC加工によって造られたアルミハンドガードの先端部には、8コマの20mmマウントレールが4面に設けられているが、トップレールのみハンドガードと一体で、残る3面は好みに応じて着脱が可能。側面にはタクティカルライトを、下面にはバーチカルグリップを装着するのが定番だが、3面すべてを外して、3ガンマッチ風のフォルムにするのも良いだろう。
ハンドガード中央部の両側面には、Georgia系フォントによるBLACK RAINのロゴと、同社がトレードマークにしているバイオハザードシンボルが刻印されている。
また、強度を損なわずに軽量化を実現するトラス状肉抜き加工が、スタイリッシュな印象を演出している。
8本のボルトでレシーバーにガッチリ固定されたハンドガードの付け根部分の底面には、FOR AIRSOFTGUN ONLYの刻印が控え目に刻まれている。実銃用と見分けのつかない完成度を誇る製品だけに、海外では必要となる注意書きだろう。
最新のフォーマットを取り入れた頑強かつシャープなレシーバー
凝ったデザインを持つアルミダイキャスト製のレシーバーも、BRO社のオリジナルデザインを細部まで忠実に再現。
平面を主体としたスリムなアッパーレシーバーと、分厚いリブが要所に設けられた頑強そうなロアーレシーバーとの組み合わせが、独特の雰囲気を醸し出している。
ロアーレシーバー左側面のマガジンハウジング部には、正規ライセンス取得による実物通りのBROトレードマークと、使用弾の口径、モデル名が誇らしげに刻まれているが、Cal:6MMと彫られているのが何とも洒落ている。また、Mod:FALLOUT 15とあるモデル名の下に刻まれた6桁のシリアルナンバーは、1挺ずつ異なる固有の番号が与えられている。
最近の製品に良く見られる仕様だが、他の刻印同様、シリアルナンバーがしっかり深く彫られているのは、所有することの満足度をより高めてくれる嬉しいポイントだ。
マガジンハウジング前方のエッジに設けられた窪みは、この部分を掴んで撃つスタイルを考慮した滑り止めだろう。
レシーバー左側に設けられたボルトリリースレバーは別パーツになっており、実銃通りの機能をもたらされているのだが、これについては後述しよう。
電動ガンにおいては単なる飾りだが、ハンマーピンとトリガーピンを抑えるためのアンチローテーションリンクも実銃通り装備。
セレクターレバーは一般的なAR15タイプだが、セーフ、セミオート、フルオートの各モードを示す刻印が、独自デザインのピクトグラムになっている。
アンチローテーションリンクの上には、この銃がエアガンであることと、台湾製であることを示す刻印が、控え目な大きさの文字で刻まれている。
ロアーレシーバー右側面のセレクター部分にも、上述したピクトグラムが刻まれている。それぞれのモードがひと目でわかるデザインが、先の写真よりもはっきりとおわかりいただけるだろう。
トリガーガードはレシーバーと一体になっており、一般的なAR15タイプよりも拡げられたデザインになっている。
エジェクションポートまわりを見ると、ダストカバーに入れられた LET IT RAIN! というレーザー彫刻の文字に目を奪われる。BLACK RAIN ORDNANCE社の製品であることを強調するような刻印だが、「雨を降らせる」といった意味のこの言葉は、標的に対して弾丸の雨を降らせるという意味であろうか。
エジェクションポートから見える、BRO社のトレードマークが刻まれたボルトカバーは、その光沢から見てステンレス製と思われる。
後退したボルトカバーの前方に、ホップアップ調整ダイヤルが顔をのぞかせているが、チャージングハンドルを引くと、ボルトカバーがこの位置でホールドされる仕組みだ。
この状態から、先にご紹介したボルトリリースレバーを叩くことで、ボルトカバーが解放、パチンという音とともに閉鎖される。
実銃の雰囲気を味わえる、なかなかに楽しいギミックだ。
エジェクションポート後方に設けられたケースディフレクターは、他メーカー製品と比べて幾分小ぶりな形状を忠実に再現。
平面で構成されたスマートなボルトフォワードアシストアッセンブリーの形状は、Salient Arms Internationalのカスタムレシーバーを思わせるデザインだ。
チャージングハンドルの上面に刻まれた、BLACK RAINの刻印も実銃通りに再現。また、たたまれたフリップアップ式リアサイトの様子もおわかりいただけるだろう。
リアサイトはフロントサイトと同じく、TROY社のFolding Battle iron sightsを模したものとなっている。こちらも可動部分にロック機構が設けられており、不用意に倒れるようなことの無い作りだ。
また、ウインデージ調整のための白い目盛が刻まれているのも嬉しいポイントだ。
チャージングハンドルは、いわゆるビッグラッチを装備。スチール製のラッチ表面には深い溝が刻まれており、いかなる状況でも確実な操作が可能となっている。
チャージングハンドル付け根部分のレシーバー上面にも、BRO社のトレードマークが入っているのがおわかりいただけるだろうか。
モーターを内蔵した樹脂製グリップは、MAGPUL MIADグリップに似た形状のものを採用している。実銃のBROも、グリップとストックは社外品を採用しているので、これはリアルさとは無関係な部分だろう。
とはいえKing Armsは、BRO社とのコラボレーションモデルに、素晴らしく凝ったグリップを投入して来た。
なんとこのグリップ、底部の蓋の後ろにあるラッチを解除すると、背面のストラップを下方にスライドして外れる作りになっている。
しかも、前面のフィンガーチャンネルまでもが交換可能という、実に豪華なグリップなのだ。
グリップにはご覧のオプションが付属しており、好みに応じたセッティングを楽しむことが出来る。この製品に対するKing Armsの力の入れ具合が垣間見える仕様ではないか。
バットストックは、VOLTAR EMODタイプを模したものを採用。刻印こそ省略されているものの、QDスリングスゥイベルマウントや、4本のCR123バッテリーを収納出来るコンパートメントなど、実部の持つ機能を再現している。ラバー製バットプレートの滑り止めモールドも、実物とまったく同じ効果を発揮してくれる。
バットストックを外すと、ストックパイプ(バッファーチューブ)末端から伸びたバッテリーコネクターが現れる。
使用出来るバッテリーについては、付属のストックの両サイドに設けられたバッテリースペースを活用すれば、選択肢が広がるだろう。BATON airsoft電動ガン用リポバッテリーであれば、E 7.4v 1200mAh[20C]セパレートか、7.4v 900mAh[20C](スティック) [PSE]が対応可能だ。
マガジンはKing Armsオリジナルアクセサリーである、TWS T-MAGという製品が1本付属。前後に設けられた細かいリブが、マガジンチェンジの際に高い滑り止め効果を発揮する、実用的なデザインだ。
装弾数は370発で、ゼンマイ式の多弾タイプ。いわゆるマルイスタンダード規格との互換性があるため、手持ちの装備を活かせるだろう。
質感の高い表面仕上げと、高精度メカボによる安定の動作性
BRO社とのライセンス契約締結による、徹底した実銃の再現性については、ここまでのレポートでおわかりいただけたと思うが、もうひとつ特筆すべきは、その表面仕上げの美しさだろう。
Electrophoretic coatingという特殊な技法によって施された表面仕上げは、塗装とも黒染めとも違う、不思議な質感を作り出している。このしっとりとした肌合いを、どう表現したものだろうか。従来の同社製品には見られなかった、上質な手触りの良さを感じさせてくれるのだ。
そんな外装パーツに内蔵される心臓部には、7mmベアリング軸受けと、クイックリリースタイプのスプリングガイドを装備した強化型メカボックスを採用。EDM ワイヤーカット加工によって作られたスチール製のギヤーは、適切に組み付けられることで、極めてスムースに動作するはずだ。
実際、八王子のGunsmith BATONシューティングレンジに持ち込み、BATON airsoft製のE 7.4v1200mAh[20C]セパレートリポバッテリーを接続してトリガーを引いたところ、鋭い切れ味のセミオートと、俊敏な回転が気持ちの良いフルオートを味わうことが出来た。
26mからの実射テストでも、セミ、フルオートともに極めて安定した弾道と集弾性で、外観の仕上がりに恥じない性能の高さを見せつけてくれた
アメリカの実銃カスタムメーカー、BLACK RAIN ORDNANCEと、台湾のトイガンメーカー、King Arms。共に一流のガンメーカーが強力なタッグを組むことで誕生した電動ガン、BLACK RAIN ORDNANCEシリーズは、その素性に恥じない、素晴らしい製品としてリリースされた。
Gunsmith BATON店頭で、実銃の空気をまとったその質感の高さを、是非ともお確かめいただきたい。
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