WA ガスガン 【SVI】マイアミ Tiki【エアガン レビュー】
レポート:戸井 源太郎
映画『マイアミ・バイス』で登場した前後のサイトがスライドに埋め込まれた(?)ユニークな「IIOS(インフィニティ・インテグラル・オプティック・スライド)」を搭載したハンドガンがTikiがWESTERN ARMS(以下:WA)から登場です。この【SVI】マイアミ Tikiは以前にも発売されていましたが、メカを一新して再登場です!
早速、レビューしていきましょう。
実銃のTikiは1911系カスタムショップのストレイヤー ヴォイト(SV)が世に送り出したモデルで、現在はInfinity Fire Armsとして営業しています。
経営者のストレイヤー氏は元々は 1911系のカスタム会社であるSTI社に在籍し、あのSTI EDGEのダストカバー「IED(インフィニティ・エクステンデッド・ダストカバー)」をデザインした方なのです。
私事ですが、中高生の頃はM1911のデザインが古臭く思えて好きではなかったのですが、その印象がSTIで一変しました。スライドとツライチで先端まで伸びたシャーシ、ハイキャパシティのグリップに一目惚れしました。このSTIによって、サムセフティやトリガーなど1911系の使い勝手のよさを知りました。
このTikiはデューティフレーム(シングルカラム)に銃身長が約88mm(3.46インチ)のコンパクトキャリーモデルです。
特徴としては上着の下やポケットなどで携帯するため、服に引っかかったりしないようにサイトなどの出っ張りを排した「IIOS(インフィニティ・インテグラル・オプティック・スライド)」を採用しています。
ちなみに名前の由来はチタンスライドモデルも存在することから「Titan」からきているとか、ポリネシアの守護神(精霊)ティキからという話もあるようですが、真実はわかりません。
スペック & 初速データ | |||||||||||||||||||||
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※東京マルイ ベアリングバイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ固定、気温27.4度、湿度36.0%、10発、X3200にて測定。 |
ダンボールにWESTERN ARMSのロゴのみがプリントされたシンプルなパッケージです。中は発泡スチロールで保護されています。パッケージサイズは270 X 180 X 60mmです。モデル名はパッケージの横にステッカーが貼られています。
付属品は取説、インターチェンジャブル・トリガーの装着法、エアソフトガンの注意事項、アンケートハガキ、お知らせチラシ、BB弾、インターチェンジャブル・トリガー3種とレンチとなっています。
取説はM1911系の共用なので、Tikiについての記述はありません。
お知らせチラシには「限定品のために専用パーツの単品販売がないこと、専用パーツ部の修理については、在庫がなくなった場合、従来品で対応する場合がある」との注意事項が書かれています。
シャーシの両側に“INFINITY”の刻印はありますが、スライドは無刻印となっています。これは実銃では基本、オーナーのオーダーで施すことが前提となっているためです。
スライドのセレーションも基本、オーナーの注文にて加工します。これは後ろ半分のみストレートの「ソウトゥース・リア・セレーション」というパターンです。
そしてアメリカでは銃の登録・管理はフレームの刻印で行います。その刻印のみ、再現されています。サムセフティをかけると「ASGK」の刻印が現れます。
チェンバーにはHYBRID CAL.450の他、5行に渡って刻印が施されています。
バレル上部にポートがあるコーンバレル仕様のハイブリッドバレルです。.45口径の大口径マズルと肉厚のアウターバレルで迫力満点です。
スライドと一体化したハイブリッドバレルは、ダイキャスト製でチャンバーカバー一体型です。
ハンマーも引っかからないように露出しないデホーンドスタイルです。独特なハンマー形状からクロコダイルハンマーというそうです。もちろんコック&ロックができます。
ブラウンタイプのビーバーテールのグリップセフティを採用しています。またグリップセフティ機能はキャリーガンという性質上、固定されているのも特徴です。
小さいことですが、ファイアリングピンまで再現していることに驚きです。またサムセフティはアンビです。
スライド上面にはフロント、リアサイトがありません。中央と両サイドに溝があり、そこにサイトになっています。これこそがサイトとスライドを一体化した「IIOS(インフィニティ・インテグラル・オプティック・スライド)」です。スライドは専用金型で成型しただけでなく、いくつもの機械加工が施されており、かなり手間がかかっています。
スライド前方両端に溝に沿って、フロントのドットがあります。こちらもドットは蓄光になっています。写真で見るとフロントサイトの溝はまっすぐではなく、微妙に下がっており、しかも逆八の字になっています。 リアサイトは一見、違和感なく狙えそうです。実銃のドットはトリチウムですがWAは蓄光となっています。
スライド上部のドット4個を水平に並べて狙うのは慣れないと撃ちにくいです。そしてシルバーモデルに、ほぼ白い蓄光のドットは非常にみにくいです。
しかし蓄光サイトなので、暗闇では威力を発揮します。ドットが発光するので狙いやすいです。
サイトのドットは暗闇用で、明るいところではスライド中央の溝で咄嗟に狙うものなのかもしれません。
トリガーの長さやカーブを任意なものに変換できるインターチェンジャブル・トリガーを採用しています。
本製品にはインターチェンジャブル・トリガーが別に3種同梱されており、好みにより、トリガーの長さやカーブを選べるのは嬉しいです。材質はアルミにしてはずっしりくるので、おそらく亜鉛だと思います。
トリガーの変換はトリガー下にある穴から付属のレンチで行います。一々、分解せずに交換できるのがいいです。
グリップは米HOGUE社のものではなく、ダイキャスト製のダブルダイヤモンドチェッカーのヘビーグリップを採用しています。HWスライド、フレームと相まって、コンパクトながら重量1kg近くあり、手にするとずっしりとくる重量感があります。
グリップ前とハウジングに施された細かいチェッカリングはもう芸術の域に達しています。手にした時、ゴツゴツ感はほとんどありませんが、滑ることはなく、しっかりグリップできます。
スライドストップを抜けば、実銃同様に分解ができます。スライドストップはジャストフィットしすぎで、少々硬めです。割り箸の先など傷つかないものを当て、ハンマーで軽く叩くとよいでしょう。
WAのガバ系は固定ホップです。 固定ホップはインナーバレル上部に三日月状のホップラバーが見えます。
インナーバレルは6.03mm精密バレルを採用しています。
放出バルブアッセンブリーがネジ込み式になっているRタイプのマガジンはシングルカラムで、新たにバンパーが装着されています。
また、ガスを入れる場合はバルブ下のプレートを下げておかないと、バルブに干渉してしまいガスを注入してもそのまま出てしまいますので、注意してください。
シングルカラムのマガジンでもBB弾はダブルカラムで入るので19発と、充分な装弾数です。しかし市販のBBローダーでは装填しにくいです。フォロワーを下げて、BBローダーを正面から当て、1発ずつ装填するのがよいでしょう。ただし途中でフォロワーを下げている指が離れてしまったりしたら勢いで、せっかく装填したBB弾が飛び散ります。昔、WA製品に付属していたローダーは使えれば良いのですが...。
ガスの注入口はマガジン底部にありますが、バンパーが装着されているため、ガス缶のノズルが届きません!
注入アダプターを使用するか、注入ごとにバンパーを外さないとなりません。めんどくさい上に、注意しないとバンパーを外した際にBB弾フォロワーが飛んでいきます。もう少しで紛失するところでした。
実射テスト
距離は30mと40mで射撃テストを行いました。BB弾はいつもの東京マルイのベアリングバイオ0.2gBB弾を使用したところ、鬼ホップとなりました。発射後から急上昇です。
次にBB弾をギャロップの0.25gバイオBB弾に変更して射撃しました。弾道をみるために何発か試射してみたところ、ハンドガンのガスブローバックにしては驚きの40m先のマンターゲットにヒットできる性能です。しかし、0.25g弾でもまだホップが強く感じます。
固定ホップのため、ホップの調整はできません。試しに10mのプレートを狙ってみましたが、この距離でも30cmくらい下を狙わないと当たりませんでした。ただし左右のズレはなく、ホップがかかり過ぎなだけで弾道自体は同じで乱れは少ないです。
使っているうちにホップパッキンが馴染んでくるのかもしれませんね。
作動は快調です! WA独自のマグナブローバックのキック力も強烈で“ガツン!”といい感じです。
可変ホップアップにして欲しいところですが、もしくは、いっそのことノンホップの方が10m以内での戦闘を前提にしたコンパクトキャリーという性格上、ぴったりくるのではないでしょうか。素性は良いので、ノンホップでも10m以内ならすごいグルーピングが出そうな気がします。
【SVI】マイアミ Tikiの実射テストの結果については、ホップさえなんとかできれば、マッチでも使えそうなくらいポテンシャルはあると思います。
総評
この【SVI】マイアミ Tikiの工作技術の高さによるリアルな外観は全くもって素晴らしいです。特に複雑な形状の「IIOS(インフィニティ・インテグラル・オプティック・スライド)」の出来のよさは賞賛に値します。またステンレスシルバー焼付塗装仕上によるスライドとフレームの質感は非常にリアルでとてもプラとは思えません。
そして手にした時の重量感、そしてまるでベアリングが入ってるかのような滑らかなスライドの動き。新型シアー&ディスコネクターとトランスファーハンマー ver.3を搭載により、トリガーストロークも短くて軽く、シアー、ハンマーの落ちる一連の動きは、全く金属パーツ同士の結合を感じさせず、抵抗もなく、“カチン”と落ちます。その滑らかな作動感覚は絶妙です。服に引っかかりにくい外観のデザインだけでなく、内部メカも各パーツが引っかかるようなことなくもスムーズに、しかも確実に可動します。
実銃のSVIは3,000ドル、5,000ドルが当たり前の高級カスタムになりますが、WAのS.C.W.ハイスペック・バージョン3の【SVI】マイアミ Tikiも間違いなくトイガン界の高級カスタムといえましょう。
その価格は43,000円と決して安くはありませんが、それだけにWA製品はサバゲーで撃って遊ぶというより、コレクション要素が高く、部屋に飾って眺める、家で手に取って愛でるようなモデルガンのような楽しみ方なのかもしれません。
これはもう火薬を使わず手軽にブローバックを楽しめるモデルガンといってよいかもしれませんね。確かにこの銃はキズをつけたくないと思えるほど美しく仕上がっているので、こういう楽しみ方もありかもしれません。
この【SVI】マイアミ Tikiは、その価値は充分あると思います。さらに限定品で生産数もかなり少なく、希少価値も高いといえるでしょう。後日プレミアがついたりもするのかもしれませんね。迷っている間に売り切れてしまう可能性もあるので、お早めに手に入れることをお勧め致します。
協力:ビレッジ2
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