WA ガスガン M9 ハートロッカー バトルダメージVer.
実銃のM92FSはイタリア、ベレッタ社が開発した9mmパラベラム弾を使用するオートマチックピストル。1985年に米軍トライアルに勝ち抜いて"M9ピストル"として制式採用された。
ベレッタM92Fは映画「ダイ・ハード」「リーサルウエポン」「男達の挽歌」などのヒット作に起用され"男くさいヒーローの使う拳銃"のイメージが確立したこともあり、トイガンでも各社から発売される。
他社に先駆けて1993年にウエスタンアームズ社がマグナブローバックという独自機構のブローバックユニットを引っさげて登場したのがベレッタM92FS。あれからもう18年、何度となく改良を重ね、バリエーションを増やしてきたロングセラーモデルだ。現在ではパーフェクトバージョンが構造的には最新モデルとなっている。
今回は2011年5月に発売されたハートロッカー バトルダメージVer.をレビュー。
WA ガスガン ベレッタM9 ハートロッカー バトルダメージVer. スペック & 初速データ |
全長 |
217mm |
重量 |
1,030g |
銃身長 |
112mm(インナーバレル長) |
装弾数 |
6mmBB弾 25+1発 |
価格 |
税込標準価格 33,600円
税込販売価格 28,560円 |
発売日 |
2011年5月 |
|
最高 |
76.10m/s |
平均 |
74.31m/s |
最低 |
72.12m/s |
ジュール |
0.552J |
※東京マルイ ベアリングバイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ適正、気温23.6度、湿度48.0%、XCORTECH X3200にて10発で測定。
パーツリスト |
WAのガスブローバックガン、M9 ハートロッカーはその名の通り、2008年公開映画「ハートロッカー」をイメージしたミリタリーモデル。
ハートロッカーはイラクで活動する米軍爆弾処理班の主人公を描いた戦争アクション映画だ。
そしてバトルダメージVer.とはカーボンブラックと呼ばれる比重の高いヘビーウエイト樹脂(以下HW)を、使い込まれた金属のようにエイジング&ウエザリング処理を施した仕上げが特徴。
まるで激しい戦闘に使用されてエッジが擦れ、シルバーの地金が露出したような金属感あふれる質感だ。
映画「ハートロッカー」の1シーン。ジェレミー・レナー演じる主人公ウィリアム・ジェームズ軍曹がイラクのタクシー運転手をM9ピストルで脅して奪うシーン。※本シーンでは入手プロップガンの都合で旧型の92が使用されている。
専用のブルーイング液で黒く染め上げられたスライドを、ハンドメイドで1丁づつ丁寧に磨き上げた"バトルダメージフィニッシュ"が施されている。
刻印はもちろん米軍のミリタリー刻印をリアルに再現。U.S. 9mm - BERETTA U.S.A.だ。
外側からググッとラウンドして内側にキュッと切れ込むマズルのリアルな形状はWAのM92F系ならでは。
ホールドオープン。スライド、フレーム、アウターバレルにHW材を使用している。
スライド右側面の刻印もミリタリーモデルをリアルに再現している。なお、右側面に従来品では入っていたパテント刻印はなくなっている。
グリップパネルもHW樹脂。艶消し黒のミリタリーグリップを上手く再現している。
また、ハンマー左側面には実銃同様にシリアルナンバーの刻印があるのもリアル。
重量1kg越えの重量感で構えたときのバランスは実銃かと錯覚するようなリアルな感覚。
スライド上部が大きくえぐられたような独特のイタリアンデザイン。そしてこのアウターバレルの質感。金属と見違えるほどの美しさ。ロッキングブロックまでしっかりとエイジング処理されている。
リアサイトはホワイトが入っている。
別パーツで亜鉛ダイキャスト製。
スライド後部のアンビタイプのセフティレバー、スライドストップなどの各金属パーツにもエイジング処理が施されており、とても良い雰囲気。
1993年の設計から基本構造は変わっていないので、ファイアリングピンのデフォルメは今日ではちょっと物足りなく感じるかも。
スライド後端に放置していたら錆のような汚れが出てきた。シリコンオイルでメンテしないとこのような変色を起こす場合があるのもなんかリアルでよいと思う。
ハンマーをコックしている状態でセフティレバーをオンにすれば、安全にハンマーを落とすことができるデコック機能も再現。
ただし、ハンマーの位置が若干浮いている。
可変ホップアップ機構を搭載する。WA/ニュー"ホップ・アップ"システムというもので、ホップアジャストスクリューによって押し上げられたロウアー・プランジャー92とホップアップラバーの摩擦差によりBB弾にホップ回転を加える仕組み。
マガジンは6mmBB弾を25発装填できる。サバイバルゲームでも必要十分なキャパシティだ。
素材は亜鉛ダイキャスト製。塗装仕上げなので、使用しているとマガジンキャッチと擦れる部分が剥げてくる。
このマガジンを装填するとチャキンと金属の良い音がする。ボルテージが高まる瞬間。
どうせならマガジンもエイジングしてあればよかったのに...。
フィールドストリッピング(通常分解)。組み立てるときはちょっとコツがあって、スライドを組んだらバレルを押してショートリコイルさせてからディスアッセンブリーレバーを元の位置に回転させる。
ハンドガンでありながら、1kgを超える重量なので、いつもの1kgまでしか計れないデジタル計りが使用できず長物用の計りで計測。実測値は1,045g。
マガジンと本体を別々に計測合算しても1,043gとかなりの重量感。実銃が970g程度なので、実銃に9mmパラを数発ほど装填したくらいの重さ。
さて、実射性能だが、弾道性能は想像していたよりもずいぶん良い。初期のホップ機構に比べたらかなり水平に真っ直ぐ飛んでいくカンジだ。この辺はロングセラーモデルなだけに熟成されているといっても良いだろう。これならばサバゲーのサイドアームにも安心して使えそう。
ブローバックリコイルの感触はHWスライドということもありズシッと重め。ただ、キックが強いかというとそうでもなく、現在の各社GBBと比べても平凡なレベル。このあたりはマガジンの個体差にもよるのだが...。
気温25度程度の室内でもマガジンの冷えには強く、連射しても持続性は比較的高い。
ベレッタM9はミリタリーモデルだけあって、様々な時代の米軍コスプレにあわせやすい。1980年代後半のウッドランドALICE装備、90年代のデザート装備、2000年代のACU装備などにも幅広くあう。
パナマ、湾岸、ソマリア、イラク、アフガンなどなど世界の戦場でバトルプルーフされたかのようなこの使い込まれた質感とズシリとした重量感はWAのベレッタ92F系の究極系といってもよいだろう。オススメのモデルなのだが、残念なことに限定少量生産モデルでなかなか入手しにくいのが難点。また価格も他社に比べて圧倒的に高い。
ただ、WAではしばしばニューバリエーションが登場したり、再販したりする場合があるので、オフィシャルサイトをこまめにチェックするしかないだろう。
2011/08/10
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