東京マルイ ガスガン M4A1 MWS
2014年5月のホビーショー発表から1年半の月日を経て、東京マルイのガスブローバックライフル、M4A1 MWSが発売された。さっそく商品を購入したので、レビューしていこう。
今回マルイのM4A1 MWSを購入したのはエチゴヤ 秋葉原店。販売価格で48,438円。それとマガジン1本も購入。よく、ハイパー道楽は東京マルイから商品提供受けてるんでしょ? なんて聞かれることがあるが、とんでもない。発売前にメディア用として新商品をレンタルできるのは一部の雑誌社のみで、基本的にはすべてマルイの新商品は購入してレビューしている。もちろん発売済み商品の一部はメーカー、ショップ、チームメイトから借りることもあるが、基本的に自腹なのだ。まあ、なんで好き放題書いちゃっているんだけどね。
とまあ、御託はこの辺にして、さて、言わずもがなM4A1カービンは米軍が現在採用する5.56mm×45弾のアサルトライフルで、日本はもちろん世界でも最も人気のあるシリーズだと言われている。
そのアサルトライフルの大本命をついに東京マルイがガスブローバックライフルとしてモデルアップ。もうこれは期待が高まるというもの。発表当時、当年夏に発売とされていたが、発売が延びに延び、2015年11月の発売となった。これは耐久性向上のための機構である「Zシステム」を開発・搭載したことによるものと公式アナウンスされている。
人気のM4だけあって、すでに国内、海外メーカーから多数のガスブロM4が発売されており、いわばマルイは最後発にあたる。それだけユーザーの目も肥えており、期待値も高い状況と言えよう。
東京マルイ ガスガン M4A1 MWS スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||||
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パーツリスト1 | パーツリスト2 |
パッケージ。艶消しのブルーイッシュグレーとブラックのツートンデザイン。中央にZETシステムのマークが記載されている。パッケージサイズは86.5cm×29cm×9.5cm。
パッケージ内容。本体、マガジン、保護キャップ、フロントサイトのアジャストツール、チャージャー、チャージングロッド、クリーニングロッド、取説にBB弾少々。
箱出しで初速を計測してみたところ、平均で80m/s (0.2g、室温23.4度)だった。まだ各部が渋いのか、78m/sの時もあれば、82~3m/sのときもあり、もう少し慣らせば初速は安定するかも。
セラコート™仕上げのレシーバー左にはコルトの刻印。ローラー打刻によるものだそうで、不均一な深さがリアルさを増しているが、若干塗膜が厚く感じなくもない。しかしマットな仕上げはかなり好印象。
セレクターは実銃同様ハンマーが落ちていればセフティには入らない仕組み。セレクターの感触は電動ガンよりはるかにカッチリとしたノッチ感を感じるが、実銃よりは軽めに感じる。
ボルトキャッチ下側を押しながらチャージングハンドルを引けばボルトをホールドオープンできるのも実銃同様。また、ホールドしたボルトをボルトキャッチではなく、チャーハンを引くことでリリースすることもできる。
レシーバー右。コルト/セロフォージのフォージマークもしっかり再現。ボルトキャリアの凹みは実銃よりやや浅いのでポートカバーのロックパーツの出っ張りもそれなり。作動性を優先させた結果だろう。
エジェクションポートの前後長が実銃よりやや短め。前側のポート部は3.5mmほど短いので、縁の部分に余白があるように見える。
セレクターのインジケーターももちろんライブ。マグキャッチボタンはリアルなツーピース構造。
レシーバーの全体的なシェイプはかなりリアルに感じる。実銃はアルミの冷間鍛造+削り出しによる加工だが、マルイはアルミダイキャスト製。
なお、実銃のコルト製M4A1カービンのレシーバー表面処理はハードアノダイズドであり、セラコート™が使用されているというワケではなく、実銃にも使用されることがあるミルスペックのガンコーティング剤ということだ。
ボルトフォアードアシストノブは実銃同様に可動、ボルトを押し出す機能もある。しかしガスブロとしてはボルトを傷付けたり、ノズルが破損する可能性があるので絶対に使用するな、との注意書きがある。絶対に押すなよ(笑)。
塗膜が厚いのか、ゆず肌になっている部分がみられた。打刻による刻印のエッジ感も失われ気味か。
それと、細かいところなんだけど、馬の丸いマークが少し大きい。次世代電動ガンの直径が16.66mmでMWSが18.3mmほど。
レシーバートップにはガイドナンバーのレーザー刻印。レール溝の深さはレシーバートップがほぼ3.01mmとピカティニー規格通り。レール幅も21mm、ピッチ10mmとこちらも規格準拠のサイズ。剛性は高く、アウターバレルとレシーバーのグラつきは一切ない。
RASはアルミ削り出しで高精度な印象。トップレールのレールの深さは実測で2.86mm程度でやや浅め。また、このRAS、フロント側のハンドガードキャップの固定が甘く、左右に若干カタカタと音がする。
レールハンドガードの寸法はリアルサイズ。レール下面内側にはアルミ製ヒートシンクも実銃同様に再現されている。
RASは比較的簡単に取り外せる。ハンドガードリングを引っ張りながら底面レールを取り外し、トップレールのネジを一本外せば上側パーツも取り外すことができる。気になるバレルナットの形状はやはり、次世代電動ガンのような形状。バレルナットのギザギザは再現されるが内側部分はRASの爪が掛かる2つ穴しかなく、社外レールを付ける際には制限があるので注意が必要だ。なお、このパーツはバレルダミーナットとパーツリストに記載がある。
またこのバレルダミーナットはプラスネジ1本のみで固定されており、増締めしてもグラつくので、RASがカタつくのはこれも要因の一つなのかも。ダミーナットを取り外すとハンドガードリングとスプリングが取り外せ、本来のバレル基部ナットが露出する。
アウターバレルはアルミ製で軽量、弾薬の刻印もあるが、アルマイト処理の色はまっ黒。もう少し焼けたグレーのような色が好み。A2バードケージタイプのフラッシュハイダーはアルミ削り出し。M14逆ネジ仕様。電動ガンなどにみられた下部のイモネジ固定ではなく、Oリングによる固定になったのは嬉しい。
インナーバレルはフロントサイトくらいまでしかない。せっかくだからバレルチェンジシステムで10.3インチのショートバレルに切り替えられたら良いのにと思うのだが、この辺りはマルイのズルいやり方で、おそらく次の夏にはCQBRモデルやMk18 Mod1などのバリエーション展開をしてくるのだろう。
PTS Griffin Armament M4SDII モックサプレッサーを装着できた。次世代電動ガンのSOPMODではギリギリロックできなかったので、フラッシュハイダー形状がリアルサイズになったということだろう。これは嬉しい。
レシーバーをテイクダウンしてみる。テイクダウンはスムーズでパチパチとテイクダウンピンを指で引っ張って抜くことができる。もちろんプランジャーによる抜け防止も再現。
写真の状態でハンマーが落ちている状態。やはりこの内部メカニズムのリアルさはなく、モデルガン的な要素を求めるユーザーにとっては不満なところなのではないか。
ただし、ガスブロだけあって、電動ガンとは異なりロアレシーバー幅22.45mm、レシーバー長も実銃と同寸法。引き締まったレシーバー形状は構えた際に電動ガンとは全く異なるリアルな感触がある。
差が判りにくいが、ハンマーを起こすとこのような状態になる。レシーバー手前に見えるシルバーの板状のパーツはZシステムの一部で、この切り欠き部分にボルトが引っかかって止まる。このため、ボルトキャッチ自体には負荷が直接かからず、亜鉛ダイキャストパーツながら耐久性を向上させている。
Zシステムがボルトキャリアと噛みあっている様子。ただ、この鍵爪部分を指で引っ張ってもあまりスプリングテンションを感じず、ショックアブソーバーの効果が本当にどの程度あるかはわからなかった。
ボルトキャリアを取り出す。ボルトキャリアは2ピース構造。
チャージングハンドルはリアルサイズに比べて短め。素材もアルミではなく亜鉛ダイキャストっぽい。
短いからと言って引きが短いわけではなく、フルストロークで引くことができる。
ボルトキャリアの底面。後方にフリクション低減用のローラーがある。ロッキングラグやダミーボルトピンなどの再現はうまくされている。
このボルトをホールド状態から前進させる際に、あまり金属音が無く、チャコッというおとなしい音がする。やはりジャキーンとボルトが閉塞した感触を味わえるのがガスブロの醍醐味だと思うので、この部分は不満な点だ。
可変ホップアップダイヤルはこの位置。テイクダウンして操作する。いちいちボルトを抜いて操作しないといけない。またダイヤルも小さく、固いのでホップ調整は非常に面倒と言える。エジェクションポートから指を入れて、というのもできなくはないと思うが、指を挟みやすいので推奨できないし、指が細くないと調節が難しい。
グリップはオーソドックスなA2タイプ。電動ガンと違い、内部にモーターが入らないので、実銃同様の空洞になっている。
グリップ下からシャフトの長い6角レンチ(4mm)にてグリップのボルトを外す。ネジロック剤がガチガチについているので取り外すのにはかなり力が必要だった。
グリップ基部の形状比較。マルイのグリップは肉抜きされているが固定面のサイズは一緒なので実銃用グリップもガスブロAR用も一通り装着可能。ただし、ホーグのみ、グリップ幅が厚めでセレクターに少し干渉した。マルイとコルトを比べるとフィンガーチャンネルの形状がやや異なり、このためか握った時にほんの僅かにコルトとマルイでは印象が異なる。
ストックはM4カービンおなじみのエンハンスド・リトラクタブルストック。バッファチューブ径は実測で28.97mm。実物コルトの同ストックも取り付けられた。
確認済みのストックは以下。
COLT エンハンスドリトラクタブル | 装着可 6段運用 |
VLTOR IMODストック | 装着可 5段運用 |
MAGPUL CTR | 装着可 6段運用 |
Bravo Campany B5 Enhanced SPOMOD | 装着可 6段運用 (ちょい渋) |
ブラボーカンパニーのB5 Systems Enhanced SOPMODストックと、PTSのMOEグリップが無加工で装着できた。B5 SPOMODは6ポジションで運用可能。
バッファチューブからリコイルバッファとスプリングを取り出してみる。リコイルバッファ後部にはスプリングを内蔵し、バッファエンドにぶつかった際に緩衝効果のあるパーツが付いている。
バッファチューブを取り外してみる。チューブはアルミ削り出し。キャッスルリング、バッファリングは亜鉛ダイキャスト製。
バッファチューブのネジ径はマルイオリジナルっぽい。というのも実パのチューブを持っていないので何とも言えないのだが、トレポン用を付けてみようとして装着できなかった。
テイクダウンピンのプランジャースプリングをなくしやすいので注意。
マガジンはアルミダイキャスト製で、装弾数は35発。底部にガス注入口がある。弾の装填は付属のローダーを使用するか、マルイのBBローダー XLを使用するのが楽。マガジン1本の重量は480gとガスブロM4クラスとしてはやや軽いほう。しかし予備マグ5本も持ては2.4kgにもなる。
マガジン底部にはマルイの刻印。ここはやはりCOLTの刻印がよかった。識別用かもしれないが、こんなところでメーカーのアイデンティティを出さなくても良いと思うのは私だけだろうか?
国内4メーカーのガスブロM4カービンのマガジンの重量比較。マルイのマガジンは軽いほうだが、装弾数35発、サバゲーで数本持ち歩くことを考えるとタニコバ並みに軽くても良いと思う。
マルイのマガジンは35発フルオートで撃つと4度ほど表面温度が低下した。
表面温度が21度を下回ると作動が遅くなる傾向があった。外気温で24度以上のポカポカ陽気ならば普通に楽しめるだろう。
各社ボルトキャリアの比較。
KSCのボルトキャリア長がほぼリアルサイズ。それ以外のメーカーは少し短くなっている。
ボルトキャリアの重量比較。リコイルの重さはボルトキャリアの重量に比例している。しかし、ボルトキャリアの移動速度が速いマルイは30gの差を補って鋭いリコイル感がある。
実測重量はマガジン無しで2,510g、空のマガジンを装着して2,970g。次世代電動ガンに比べると持ってみると軽く感じ、取り回しも楽。
ルアナスタイルのオーナーが早速電動ガン用のレールを取り付けていた。次世代電動ガン用のバレルナットが使用できるそうで、固定にはスペーサーとなるパーツを自作したそうだ。そのスペーサーも次世代電動のパーツから流用しているそう。いずれカスタムパーツメーカーからこのバレルナットスペーサーは発売されそうだ。
フルストロークのM4ガスブロとしては、ボルトスピードが速く、ビシッとした鋭さを感じる。フルオートもなかなかの持続力。
Zシステムの効果は最後の一発に感じることができる。マガジンに装填された最後の一発を撃ち終えると当然ボルトがホールドオープンするが、この際の感触がバニュッという不思議な感覚になる。最初は「んっ?」となったが、それがホールドしたことだと判ると以降は、弾が切れたことを明確に認識できるようになる。
11月中旬、フィールドで実射してみることに。この日は天気が良く、日中の最高気温は24度、湿度は50%と快適。使用するBB弾は東京マルイのベアリングバイオ 0.2g。使用したガスはウッドランドのHFC134a。
せっかくなので、押し入れに眠っていた手持ちの国内4社のM4ガスブロと撃ち比べてみた。
実際のところ、WAはすでにメタルフレーム版が主力だし、KSCは先ごろVer.2が発売されており作動性が改善されているそうなので、各社現行ラインアップでの比較というワケではないのだが、参考までにどうぞ。
また、VFC 2015やWEなど、海外モデルもできれば入手して比較したいところ。このあたりは来年暖かくなってからでも実施出来たらと思う。
実射してみての感想としては、東京マルイのM4A1 MWSはボルトスピードが速く、鋭いリコイルを感じる。気温23度前後でも秒間14.7発の連射速度を記録している。
リコイルの重さで言えばWAのマグナブローバックがやはり重く強く感じる。KSCも重いボルトを使用しているので重さは感じるが、ボルトスピードが遅く、ガッ、チョンと反動が二段階に感じられるくらい。また、タニコバはボルトスピードは速いが、いかんせんボルトキャリアが軽く、後方にガツンと来る感覚が無い。
つづいて命中精度だが、今回テストした4社どのメーカーも40m先のマンターゲットにセミオートでヒットさせる精度はあった。その上で、弾道が一番素直に感じたのはKSC、続いてマルイ、タニコバが同程度、最後にWAとなる。
作動安定性についてはタニオコバとマルイが優秀。WAは動画を観てもわかるがフルオート時の回転が不安定になることがあった。また、セミオート時に弾ポロ現象が稀に発生した。KSCはフルオート射撃でマガジンの冷えが早く、テスト条件下では1マガジン40発を撃ちきれなかった。
そういった中ではマルイのM4は回転数も早く、持続力があり、命中精度もまずまずと、バランスの取れた優等生タイプと言える。また実射テスト中、装弾不良などは一切なくトラブルフリーだったことも付け加えておく。
この中で私がサバイバルゲームで使用するならマルイを選ぶ。カスタム前提でいろいろいじくり倒すお座敷用ならばWAだろうか。
とはいっても、電動ガンの性能と比べたらマルイのガスブロとてかなわない。夏場にガスブロのワンメイクゲーム、あるいはインドアゲームならばマルイのM4A1 MWSかMP7A1をチョイスするだろう。
1991年以降、マルイの電動ガンはガスフルオートをフィールドから駆逐した。サバゲーでは長らく電動ガンが主流であるが、2008年にWAがガスブロM4を発売し、気候が暖かく、高圧ガスの規制が緩やかな台湾では爆発的に人気となった。国内外の各メーカーがこれに追従する中、このことはマルイをガスブロ開発に動かした理由と言っても良いだろう。
しかし一方で日本ではパワーソースやASGK自主規制ルールの厳しい制限下でガスブロを開発しなくてはならない。ある意味、マルイが築いた電動ガン市場に、皮肉にも自ら挑戦するかのような商品とも思える。
2015/11/19
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