東京マルイ ガスガン MP7A1
実銃のMP7A1はドイツのH&K社が開発したパーソナル・ディフェンス・ウエポン(PDW)だ。2000年頃から一般に公開されはじめ、2004年7月にはドイツ連邦軍に採用された。弾薬は新たに開発されたボトルネックの4.6mm×30弾を使用する。MP5などのサブマシンガンに使用される9mm×19拳銃弾に比べて、軽い弾頭を高初速で撃ち出すことでボディアーマーやケブラーヘルメット等への貫通力を高めた。また弾頭は重心が後方に位置しており、人体に入った際にはタンブリング(弾頭の縦回転現象)を起こし、より大きな阻止効果、つまりマンストッピングパワーをもたらす。
また、2011年5月にはパキスタンのアボッターバードにて米海軍の特殊部隊ネイビーシールズのDEVGRUチーム6が、9.11テロ事件の主犯、オサマ・ビン・ラディン容疑者の邸宅急襲時に使用したとも言われている。
さて、東京マルイが今回発売したMP7A1、マルイ初の長物ガスブローバックといって良いだろう。
これまでマルイは2008年12月にハイキャパ エクストリーム、2010年7月にグロック18Cとマシンピストル系ガスブロをリリースしてきた。
またマルイは電動ガンで2006年に既にモデルアップ済みのMP7であり、KSCからもすでにガスブロMP7A1が発売されているところへの市場投入とあって、その性能が気になるところではある。
東京マルイ ガスガン MP7A1 スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||||
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パーツリスト1 パーツリスト2 |
パッケージデザインは白を基調にしており電動ガンのMP7A1よりも明るい印象。
パッケージの大きさは幅42.5cm×奥行26cm×深7cm。
同梱物は、MP7A1本体、マガジン、サイレンサーアダプター、保護キャップ、フォロアストッパー、クリーニングロッド、取扱説明書とターゲットペーパー、BB弾少々。
MP7A1のレシーバーは実銃同様に樹脂製。UZIやMac10などのサブマシンガンにみられるT字型のスタイリング。
フォアグリップは折りたたみ式。
電動ガンから微妙にサイズ変更されていてトリガーガード側によりピタリと収まる様になった。
トップレールに搭載されているアイアンサイトも折りたたみ式。KSK採用モデルに搭載されていることからKSKサイトと呼ばれるらしい。ストックを伸ばして撃つときはサイトを立てて狙う。
電動ガン同様にトップレールは亜鉛ダイキャスト製だが、サイズが変更されている。深さ2.8mm、幅21mm、ピッチ10mmとやや浅いながら、ほぼピカティニーレールの規格同等寸法になった。
また、電動ガンのモーター調節用の穴があることから、今後出荷される電動ガンにもこのレールパーツが装備されるものと想像できる。
レシーバーエンドにはプラ製のチャージングハンドルがある。
チャージングハンドルを引くとジャコンとボルトが後退し弾をチャンバーに装填する。
ストックポジションレバーを押し上げれば、ストックを伸ばすことが出来る。電動ガンでは2ポジションだったが、今回のガスガンでは4ポジションとなってコンパクトに構えやすくなった。プレートキャリアを着込んでいるときも構えやすい。
セレクターはアンビタイプ。セミ・フルオート切替え式。セレクターの前にあるボルトリリースレバーもアンビタイプでガスブロなのでもちろんライブだ。
トリガーセフティも機能する。
可変ホップアップダイヤルはマガジンを抜き、ボルトを閉鎖した状態でトリガーを前方へ押すとエジェクションポート前側にニョキッとダイヤルが現れる。
ボルトキャリアが完全に前進せずに0.5mmほど隙間があるのが気になる。
ここはピチッと閉鎖して欲しいところ。ガスブロなだけにこれは何か気持ちが悪い。
通常分解はレシーバーエンドにある2本のテイクダウンピンを抜き、ストックアッセンブリーを後方へ引き出して行える。組み立て時はチャージングハンドル先端にボルトキャリア上部を引っかけてからレシーバーに収納する。
直径約16mmの大型ピストンを採用、ボルトのロッキングラグも再現されていて芸が細かい。
ノズル下の突起がニッパーでもぎ取ったかの様な跡がある。これはBB弾をローディングする突起なのだが角張っていると突っかかってしまう現象が出たため急遽後加工を施したのだそうだ(公式ツイッターより)。にしても雑な感じ...。
本体と空マガジン含めた実測重量は2,235g。
実銃のフルロードでの重量と同じくらいだが、電動ガンが約1,700gなのでかなり重く感じる。
まあ、KSCのMP7A1も約2.1kgなのでガスブロだとこんなものか。
マガジン1本の重量は443g。5本持ったら2kgを超える。真夏のダイエットに最適だ。
マガジンは亜鉛ダイキャスト製で6mmBB弾を40発装填可能。
フォロアーが前面にあって、スリットが途中から幅広になり、BB弾をローディングしやすくなっているが、このフォロアーの突起が低すぎて爪で引き下げるのがかなり困難。
マイナスドライバーなどでググっと押し下げねばならず、それが結構面倒。
もう少し突起を大きくして欲しかった。
あるいはKSCみたいに一番下でロックできるとかね。
同梱するマズルアダプターでプロサイレンサー ショートタイプを装着、オプティクスにはAimpoint T-1をチョイスしハイマウントで搭載。サイドレールにはSUREFIREのM300ミニスカウトライトで、シールズDEVGRUスタイルだ!!
さて実射。気が焦って40発ロードするのも待てず、まずはBB弾を20発ほど装填して撃ってみる。
シャコンとグリップ下からマガジンを装填、チャージングハンドルをジャキリと引いてスパッと放す。
ジャ...コン、ん、なにかボルトの戻りが遅いなぁ、と感じつつもターゲットに狙いを定めてセフティ解除、トリガーを引く。
スカッ、あ、あれ? シアが落ちない。
エジェクションポートを見ると閉鎖不良を起こしている。ボルトキャリアが前進しきっていない。例の隙間を考慮してもだ。
んー...、M4の様にボルトフォアードアシストがあるわけじゃ無し、指でボルトを押そうにもツルツルしてぜんぜん閉鎖しない。そこでチャージングハンドルを少しだけ引いてパッと戻す。おお、無事閉鎖した。
さて、気を取り直して射撃。
バシッ、バシッ、バシッ、おーっ!! これは!! リコイル強!!
セレクターをフルオートにして撃つ。
ドガガガガガガガカッ!! おおーっ!! いいね、いいね~。
KSCのMP7A1を引っ張り出して撃ち比べる。
リコイルの味付けは2社で全く異なる。リコイルは圧倒的にマルイのほうが強いし重い。一方KSCの作動は軽快でシャキシャキ動く感じ。音の演出はKSCのほうがバンッという破裂音の様な派手さがあり好み。
発射サイクルは秒間20発のKSCよりも、秒間15発とマルイのほうが遅いが、それでも十分なスピードだ。
むしろこれくらいのほうが弾道をコントロールしやすい。
そしてなんと言っても素晴らしいのはその命中精度。
室内9mでの集弾性はなんと35mm!!
これには電動ガンも真っ青だ!
ドットサイトで黒点に狙いを付けセミオートで10発。撃つたびにドットがビシッと上下に跳ねるのがこれまた楽しい。
しかし、初弾装填時にしばしば閉塞不良が発生したので、前述のノズル下の突起下面を滑らかに削ってみたところ、ある程度現象は収まったように感じた。もうしばらく使用して慣らせばさらに現象は収まるかもしれない。また個体差による場合もあるだろう。
23度の室内で40発フルロードした1マガジンを楽々と息切れもせずに撃ちきって、ガツンとホールドオープンさせる動作性能をみせる。
全体的には動作は安定しており、初速も秋口で80m/s強と十分なので夏場ならば電動ガン相手にも十分戦える戦闘力を持っている。ガスブロ戦ならば最強クラスだろう。
マルイ初の長物ガスブローバックガン、これはかなりオススメだ。
なお、マルイの今後の予定としては、M4カービン系のガスブロモデルアップも視野に入れた発言がホビーショーなどで見られるので是非期待したいところ。個人的にはベーシックなミリタリーM4A1からリリースしてもらって好みでカスタムしたいなぁと...。
2012/11/04
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