RWA 電動ガン M1919
レポート:戸井 源太郎
トライポッドに据え付けられた機関銃! こんなもので狙われたら1歩も動けない!
WWII時アメリカ軍の主力機関銃のM1919が香港のRWA(Red Wolf Airsoft)から2015年末に電動ガンで発売されました。
RWAはメーカーではなく、1998年に設立されたトイガンショップで、香港とイギリスにオフィスがあります。その後小売だけでなく、エアソフトガンの企画・製造まで手がけています。しかしエアソフトガンの製造は基本、OEMでRWAブランドとして展開しているようです。
見た目の迫力は満点ですが、実射性能はどうでしょうか? 早速テストしてみたいと思います。
M1919は名称通り、1919年にアメリカで採用された機関銃です。基本設計は、あのジョン・ブローニングによる水冷式のM1917を空冷式に改めたものです。
使用弾は.30-06弾(7.62x63mm)で発射機構はショートリコイル式で「キャリバー.30」と呼ばれています。
WWIIでは歩兵部隊の支援火器として、また戦車、ジープの車載機関銃、そして戦闘機の機銃としても広く使用されていました。
堅牢なボディ、単純なメカで信頼性が高いため、朝鮮戦争でも使用され、その後、7.62x51mm NATO弾に改良されたものがベトナム戦争でも使われていました。
日本でも戦後、警察予備隊発足時から米軍から供与されており、その後の自衛隊でも使用されていました。現在も途上国では現役で、機関銃の代名詞といえる名銃です。
映画でも『フューリー』『プライベート・ライアン』などのWWII時の戦争映画だけでなく、古今を問わず軍が登場するアドベンチャー映画などにも幅広く登場しています。
RWAでは車載、トライポッドでの運用のために改良された最も有名なM1919A4をモデルアップしています。
フルメタルでM1919の重厚感を完全に再現していて弾薬箱、ダミーのベルトリンクがセットになっているので、セットアップすると、もう実銃のような佇まいで、トイガンには見えません!
■スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||||
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パーツリスト1 パーツリスト2 |
M1919は銃本体とトライポッドでパッケージは2つになります。銃本体のパッケージはアサルトライフルの箱を2丁並べたくらいあり、とにかくは大きいです。サイズは107X42X15.5cm、トライポッドのパッケージは78X17.5X18cmになります。
型抜きされたスポンジに銃本体の他、ボックスマガジン、TRAVERSING & ELEVATION MECHANISM(T&E)、ダミーカート、コッキングハンドル、ホップ調整用の六角レンチが収められている。また写真には写っていませんが、銃本体用、電動マガジン用と2種のリポバッテリーが入っています。あと、別パッケージになっているトライポッドが折りたたまれた状態になっています。
他に取説と弾速証明書が同封されています。取説は英語表記ですが、カラー写真で細かくセットアップ方法が記載されており、誰でも一目で理解できるでしょう。
銃本体のサイドビューは人間工学的なデザインも全く考慮されていない単なる長方体で、セレクターもマニュアルセフティもない、ただただシンプルなスタイルです。なんせ約100年前のマシンガンですしね。ボディの素材はスチール製です。この色合いと質感はスチールでなければ、ここまでリアルに再現できないでしょう。
上から見ても四角のボディから円筒のバレルがついただけというシンプルなスタイルがわかります。
なんとボディ下面の前方はバッテリー収納のため、オープンタイプとなっています。実銃も前方下面がオープンになっており、そこから排莢されますが、電動ガンでそこまで、再現しなくてもいいような気がします。ギアも一部、露出していますが、砂埃とか大丈夫なのでしょうか?
ボディ後端から突き出た円柱についたシンプルなグリップとトリガー。トリガーガードどころかセフティすらありません。
ボディ右側後部にはシリアルナンバーなどが刻印があります。上は3行はリアルな刻印で、下2行は電動ガン用となっています。「MFD」とはmanufactured(製造)の意味でVIVA INDUSTRYとRWAとの連名となっています。
フロントサイトは起倒式です。照星が別パーツになっており、六角レンチで左右に調整が可能です。
リアサイトも起倒式です。倒した状態では照門がわかりますが、起こすと照門と思われるところがなく、どこで狙うのかがよくわかりません。
マズル部分にはマズルブレーキー用の孔もない大型の円柱形のハイダー(?)が装着されています。
放熱用に万遍なく孔が開けられたバレルジャケットが機関銃らしくて、個人的には大好きです。このバレルジャケットもスチール製で頑丈です。
コッキングハンドルはダミーですが引くことは可能です。しかし、すり合わせがあまりよくありません。引くときも、手を離しても、なんか引っかかる感じでスムーズに戻りません。
リアサイト前にあるレバーを引くとフィードカバーを開けられます。ホップの調整と電動給弾マガジンを装着する時に開ける必要があります。
フィードカバーを開けるとモーターが見えますが、電動ガンの発射用のものではありません。これについては後述します。
丁度、実銃でチェンバーに当たる場所にあるネジがホップです。付属の六角レンチホップ調整を行います。
RWA M1919セットアップ手順
まずは折りたたまれた状態のトライポッドを展開します。
前方の一本脚を展開します。ロックもありません、そのまま起こすだけです。同時に後方の脚もセンターバーをスライドさせながら展開します。
不用意にトライポッドが動かないように後方右側の脚にセンターバーのロックがあります。センターバーをスライドさせて展開し、クリップでロックする非常に単純な作りです。
これでまず、トライポッドの展開の第1段階完了です。トライポッドはスチール製でガッチリした作りです。箱出しの状態でうっすらサビが浮いているのは、リアルと思うべきか?
次に銃をトライポッドに固定するTRAVERSING & ELEVATION MECHANISM(以下:T&E)を装着します。まず、T&Eの基部をセンターバーにネジで固定し、基部を固定したらT&Eを差し込みます。これでトライポッドの展開が完了です。
このトライポッドの頂点にある孔にM1919本体を差し込みます。トライポッドにセットする前にM1919本体にあらかじめバッテリーをセットしておきましょう。
取説にはM1919本体をトライポッドにセットすると自動的にロックがかかるように書かれていましたが、確実にロックされない場合は、手動でロックしましょう。
E&TとM1919本体にある穴にE&Tとチェーンで繋がっている太いピンを差し込みます。ピンで固定したら銃も完全に固定されます。
T&Eにあるこの大きなダイヤルで上下位置を調節できます。またT&E基部のネジを緩めれば、銃をセンターバー上にスライドさせることができます。これにより上下角を固定したまま、約60度の範囲で銃を指向することができます。
M1919本体にコッキングハンドルを取り付けて、M1919のセットアップが完了です。それほど難しくなく、慣れれば、2、3分ほどでセットアップができるでしょう。
装填手順
M1919とトライポッドのセットアップが完了したら次はBB弾の装填手順を説明します。この弾薬箱がマガジンとなっています。
弾薬箱を開くと中に、電動ガン用の蓋付のBB弾庫と給弾チューブ、電動マガジン用のコネクターコードがあります。
蓋を開けて、ここにBB弾をジャラジャラと入れます。その装弾数はなんと5,000発にもなります。赤いボタンは強制的に給弾するための電動給弾スイッチになります。
弾薬箱の中に入っているスリーブは取り出すことができます。BB弾庫の下に給弾用のモーターやバッテリーボックスが配置されています。このスリーブのフチは切り出したままなので、手を切らないように注意してください。 塩ビケースの中に給弾用のバッテリーを接続します。その横には発射音に反応する音響センサーが搭載されています。このセンサーにより、給弾ボタンを押さなくともトリガーを引くだけで自動で給弾を行ってくれます。
Tコネクターバッテリーも使用できるよう変換アダプターが同封されています。
弾薬箱のマガジンをM1919に接続します。
まずM1919のフィードカバーを開けて、実銃でいう給弾口にあるレバーを上げます。
レバーを上げるとレバーの下にある電動ガン用の給弾口のロックが解除されます。
その給弾口の孔にマガジンから出ているチューブを差し込みます。
差し込んだら、レバーを元の位置に下げれば、チューブが固定されます。
次にマガジン側、M1919本体から出ている電動給弾用のコネクターを接続します。
あとはBB弾庫にBB弾をジャラジャラっと入れて、赤い給弾スイッチでチェンバーまでBB弾を送れば、発射準備完了です。
最後にM1919本体にダミーのベルトリンクを設置します。
M1919の本体、フィードカバーを開けたところに設置されているモーターですが、その軸先には三又のカムパーツがあります。
さらにその三又カムがモーターが回転することで、本体部にあるクランクを通して、ダミーカートを設置する台座を押すようになっています。つまりモーターが回転することで、台座が小刻みに左右に動くようになっています。
この機構でダミーカートが左右に動き、まるで給弾されているかのようなアクションが楽しめるのです!
モーターの後ろには、この擬似給弾アクションのON/OFFスイッチがあり状況により選べます。これでセットアップ、装填作業が終わりです。いよいよ実射になります。
実射テスト
実射テストはいつもと同じくBB弾は東京マルイのベアリングバイオ0.2gBBを使い、距離40mで人物大のターゲットへの集弾性を検証してみてみます。バッテリーは付属のリポの7.4V 2200mAhを使用しました。
発射準備を終え、ターゲットに向けM1919をグリップを握り、トリガーを引きます。
射撃音とともにBB弾が40m先のターゲットに向けて放たれました。
距離40mでも充分に射程距離内で、上半身のターゲットにほぼヒットします。
ホップも素直で調整しやすかったです。
快調に作動しますが、ただ弾道は「一筋の線」とまでいかず、射手から見ると結構チラばった感がします。とはいっても40mで大体50 X 50cm範囲でボディ全体に満遍なく当たる感じです。
電動ガンの精度としては優秀ではありませんが、不合格というほど悪くはないです。
このM1919はピンポイントを狙う狙撃銃ではなく、強力な弾幕を張る機関銃なので、牽制にもなりますし、このくらいの集弾性でも問題ないと思います。
E&Tを使わず、フリーな状態で射撃すると、重量があるマシンガンを本体前方1点で支え、しかもグリップは最後方ということでピストンの前後の動きで反動を感じ、しっかり銃を押さえてないと振られるような感触がリアルでよいです。
ただし電動ガンのメカ、精度、連射サイクルは秒間13発強で、至って普通です。リポバッテリーのわりにはトリガーレスポンスの遅さがちょっと気になりましたが、オーソドックスなメカのため、信頼性も高いと思われます。個人的にはもうちょっとハイサイクルの方が機関銃らしくていいかなと感じました。
それでもダミーカートの擬似給弾ギミックは楽しく、こういう遊びゴコロは場合によっては命中精度より大切とも思います(笑)。
テストで1,500発くらい撃ちましたが、トラブルはありませんでした。安心して撃ちまくれそうです。
ただし、給弾システムの音響センサーの信頼性が心配ではあります。実際給弾が追い付かずに空撃ちしている場面も見受けられました。
基本、M1919は車両やトライポッドに搭載して、塹壕や陣地に据付けることを前提としており、移動しながらの射撃は考えられていません。
映画『ターミネーター3』でシュワちゃんが棺桶を担いで、片手でM1919を撃っていましたが、RWAの1919はマガジンに当たる弾薬箱が銃とは独立しているので、給弾ができません。写真のようにM1919を抱えての射撃はできません。
シュワちゃんのようにスリングを付けて、片手でM1919をもち、もう片手に弾薬箱を持てれば、撃てますが、さすがに重すぎですね。
M1919はトライポッドのおかげで、上下左右自由に銃を指向し、射撃が可能で非常に楽チンで楽しいのですが、1歩も動けません。そもそもフィールドに配置するところから一人でできませんw。
しかし、たまにはこういう遊びゴコロ満載のお馬鹿なアイテム(失礼!)があってもよいでしょう。それでこそ“漢(おとこ)”のロマンです。
個人的には現在トイガン化されているマシンガン、M60やM249 MINIMI、M240用にも使える汎用性のあるトライポッドがあってもいいかも〜と思いますが...。
総評
無骨なM1919をフルメタルで忠実にモデルアップしており、しかもトライポッドが標準装備しています。主要パーツはスチールで重厚感たっぷり。ボディも美しく仕上がっています。
実射性能も距離40mは充分、有効射程内です。50mでも牽制にはなります。実射テストでは、特にメカニカルトラブルもなく、ベルトリンクのアクションギミックもあり、撃ちまくって遊ぶには非常に楽しいですね。
このM1919は史実に基づいたヒストリカルゲームのファンにはWWII時の機関銃があまりないこともあり、嬉しい1丁でしょう。
気になった点は、トライポッドにうっすらサビが浮いていた点ですね。
M1919の主要パーツはスチールのため、日頃からオイルで拭くなどの手入れが必要でしょう。
それらを差し引いても、このM1919の迫力は圧倒的存在感があります。5000発という、電動ガンとしても強力な弾幕を張れるので、実用性もありますし、何よりフィールドでは注目の的になるのは間違いないでしょう。※5000発撃ちきる前に多分途中でバッテリーが切れますが...。
撮影協力:ビレッジ2
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