KING ARMS エアガン Blaser R93 LRS1
レポート:戸井 源太郎
台湾のメーカーKING ARMSのエアコッキングガン、Blaser R93 LRS1 を今回レビューします。
いわゆるBlaser社のボルトアクションライフル、R93 LRS1のモデルアップとなり、一番の特徴は、そのままボルトハンドルを真後ろに引くだけでコッキングができるストレート プル アクションを採用していることです。通常のボルトアクションはハンドルを上げて、ロックを解除して、ボルトを引いて戻す必要がありますが、Blaser R93はそのまま引くだけで全ての操作ができます。通常のボルトアクションより次弾を早く撃てますし、スコープから目も離さずにも狙ったままコッキングができます。
KING ARMSのK93 LRS1はもちろん、実銃同様にこのストレート プル アクションを再現しています。
ストレート プル アクションの操作感は? 命中精度はどうか? 実射テストを行いレビューしてみたいと思います。
※公式サイトのプロダクト名はK93 LRS1となっていますが、パッケージにはBlaser R93 LRS1とあり、本レビューでは後者を使用します。
Blaser R93は元々は1993年にドイツのブレーザー社が開発したストレート プル アクションライフルがベースとなっています。この銃はオーソドックスな木製ストックの狩猟用ライフルで、速射性に優れ、精度はボルトアクション同等以上あったようですが、話題になることは、ほとんどなかったようです。
しかし1997年にブレーザー社がスイスのSIG社の傘下になったことで状況が変わりました。モジュラー構造を採用し、アルミ製シャーシにフォアエンドやストックを取り付けたR93が開発されました。テストの結果、非常に優秀で競技用はBlaser R93 LRS(Long Range Sporter)モデル、ローエンフォースメント用にタクティカルモデルとして、現在、同じくSIG傘下のドイツ、ブレイザー・ヤークトバッフェン社から販売されています。
さらにモジュラー構造ということでクイックバレルチェンジシステムがあり、ボルト2本でバレルを交換で、.223、.308、.300Win Magなど5種類の弾丸が使用可能となっています。アニメ『ヨルムンガンド』ではルツが.338 Lapua Magnum弾を使っていましたのが印象的でしたね。
独特なストックとフリーフローティングバレルを完璧に再現しています。機関部、アウターバレルなど主要パーツはメタル製で、ストック等はナイロンファイバー製です。
またBlaserの正式ライセンスを取得しており、リアル刻印となっています。
もちろんストレート プル アクションを再現しており、速射が可能となっています。
本モデルはバレルにフルートが入ったNEWバージョンとなります。
スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||
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パッケージは黒と赤の縞模様にBlaser R93 LRS1が大きくプリントされています。持ち運びも可能なように取っ手付きです。
銃本体は分解された状態で収納されています。
付属品に取説、六角レンチ、BBローダー、ロッド、スイベルスタッドが入っています。
バレル&機関部、ストック、ボルト、マガジンと分解された状態で収納されていますが、付属のボルト2本とレンチで簡単にセットアップできます。
ナイロンファイバー製のレシーバーには、幾何学的なモールドと梨地加工により、滑りにくくしっかり持てるようになっています。トリガーの上には「Blaser」の刻印が両側に入れられています。
トリガーはかなりカーブしており、好き嫌いが分かれるところです。しかしトリガーのキレはよい感じです。トリガーの引っ掛かりなど感じず、素直にシアが落ちます。
グリップはほぼ垂直に近い角度で、人間工学に基づいた絶妙なラインを忠実に再現し、非常に握りやすいです。
ただレシーバーとストックは別モジュールとなっているようで、テスト中にネジが少し緩んできて、グリップ部がカタカタしてきました。増し締めが必要でしょう。
ボルトはストレート プル アクションを再現しています。ボルトハンドルを上に上げるのではなく、そのまま後ろに引くだけです。ハンドルは30°くらい傾いてからボルトが引けます。実銃ではこの動きでボルトのロックが解除されるのかな?
ボルトハンドルをそのまま引けば、コッキングできます。最初はハンドルの可動に少し戸惑いますが、ボルトのストロークも約10cmと長くなく、スプリングもそれほど重くないので、慣れれば、スムーズに引けます。
マニュアルセフティはシャーシにレバー式のものがあります。前の位置で「FIRE」、後ろで「SAFE」となります。ちなみにセフティはエアソフトガンオリジナルで、実銃ではボルトエンドにあります。
マウントベースは標準装備です。が、少々問題ありました。
どうやらマウントベースは20mm規格でピカティニー規格ではないようです。1mm程度長いピカティニー規格のマウントリングでは、ピッチが合わず、完全に装着できませんでした。
これはR93が元々、狩猟用、スポーターだったからでしょうか?
アウターバレルはレシーバーなどの干渉を受けない完全フリーフロートです。またバレルには軽量化のためにフルート(溝)が入っています。
マズルブレーキ上部には上向きに6ヵ所、細かいスリットがあります。
アウターバレルの付け根に可変ホップアップの調節レバーがあります。ホップレバーの左に見える黒いものはマガジンです。
ストックの各種機構も実銃同様に稼働します。モノポッドも無段階で調整できます。
バットプレートも付属の六角レンチで上下、位置を調節できます。
バットプレートの高さも射撃場所、体格に応じて、任意に調節できます。
チークパッドも六角レンチで調節できますが問題あります。
チークパッドを上げるとボルトと干渉します。チークパッドにボルトが当たり、コッキングできません。チークパッドを一番下げて、ギリギリの高さです。このチークパッドの形状はおかしいのではないのでしょうか?
マガジンはプラ製で装弾数はこのサイズで50発です。エアコッキングガンとしてはかなり多い方でしょう。マガジン下部には着脱しやすいよう取っ手(?)が付いてます。
マガジンはレシーバー先端の方に挿入します。左に見える丸いボタンがマガジンキャッチです。マガジンの取っ手のおかげで着脱しやすいです。
トリガー前方に見えるレバーを引きつつ、ボルトを引けば、ボルトがスルスルと抜けます。装着する場合はその逆の手順でできます。
ボルトは一見したところ東京マルイのVSR系と思えます。チャンバーも同様ならサードパーティのパーツも共用できるかもしれません。
KING ARMSのBlaser R93 LRS1にはバイポッドを装着するためのスイベルスタッドが付属しています。
レシーバー底部にあるレールにアダプターを入れて、バイポッドを装着します。
実射テスト
今回のテストは距離50、40mで、BB弾も0.2g、0.25g、0.28gでテストを行うことにしました。
0.2gBB弾は東京マルイ製のベアリングバイオ弾を使用しました。
40mではボディ上半身にヒットできる性能があります。距離50mではかなり強めにホップを描けないとターゲットに届きません。ただ左右の乱れは少なく、狙いやすく感じました。
0.25gのBB弾はギャロップ製を使用しました。
40mではフラットな弾道で狙ったところ、スコープのレティクルの中心にビシバシとヒットできます。
距離50mでもフラットな弾道でマンターゲットにも当てやすく、精度は非常に優秀な部類だと思います。
0.28gのBB弾はG&G製を使用しました。
40mでは弾道はやや落ち気味で、20cmほど上を狙う必要がありました。30mでは狙ったところにピンポイントでヒットできましたが、どの距離でも全体的にホップが弱いと感じました。
距離50mでは0.25gBB弾よりさらに上を狙いました。3倍スコープで視野ギリギリに頭の一部が見えるところで撃ってもボディに届くか届かないかといった結果となりました。
実射テスト結果からKING ARMSのBlaser R93 LRS1の弾道性能は基本的に優秀だと思います。基本的にというのはエアソフトガンの素性自体は精度も高く優秀ですが、ホップのかかりが弱いことです。この銃には0.2gBB弾がベストなのでしょうが、やはりスナイパーライフルなら風の影響を受けにくくなる0.25gBB弾や0.28gBB弾などの重量弾を使いたいところです。実際、そよ風程度でも0.2gBB弾だと軽く1mくらいは左右に逸れていきます。0.25gBB弾でも流されますが、その度合いはずっと少なくなります。
ストレート プル アクションで速射が可能なため、勢いよくコッキングして連射すると、BB弾がチャンバーパッキンの定位置より押し込まれて装填されるためか、稀に30m手前で落ちる弾ポロがありました。
総論
なんといってもストレート プル アクションがラクですし、楽しいですね。
コッキングもそれほど重くはなく、スムーズに引けますが、最初はボルトハンドルが少し傾くのに違和感があり、まっすぐ引きにくく感じましたが、10発も撃てば慣れ、ポンプアクションのように速射ができます。それも通常のボルトアクションのようにハンドルを上げる必要がないため、スコープから目を離さず、狙いをつけたままコッキングできるところがよいです。
30m程度なら立射でスコープから目を離さず、1秒2発くらいで速射してもヘッドに命中できます。
プローンでもストレート プル アクションなら標的から目を離さず、速射できるところは高評価です。
惜しむらくはホップのかかりが弱いところだけでしょう。より安定する0.25g以上のBB弾でもまっすぐな弾道が得られれば、文句なしでした。それだけに実に惜しいです。
ホップパッキンが他機種用でも対応するのかわかりませんが、ここだけでもなんとかできれば、化けそうな気がします。
また外観も実銃メーカーのライセンスを取得しており、リアル刻印だけでなく、奇抜なスタイルを忠実に再現しています。重量も3kg強と重くはなく、バランスがよく立射もそれほど負担にもなりません。機関部はメタル製でかっちりした作りで剛性も高いです。飾っておいて眺めるだけでも充分満足できます。
不満点としてはまずはホップのかかりが弱いことです。
次にマウントベースがピカティニー規格ではなかったことです。優秀なライフルには、実銃用、もしくは対応の優秀な光学機器を載せたいので、ぜひなんとかしていただきたいと思います。
そしてチークパッド。チークパッドを高く調節するとボルトが当たって、コッキングできないとは言語道断です。
WEBで実銃の写真や動画をみてみましたが、KING ARMS製のように前方の尖った部分はありませんでしたのでなぜ、このようなデザインなのか疑問です。
実射テストではチークパッドは上げる必要はありませんでしたが、自分でチークパッドの前部分をカットしてもよいでしょう。
あとTANカラーの塗装が綺麗とは言い難かったです。塗装ムラ、塗装ハゲ、塗装後のゴミの付着が何ヵ所かみられたのが少し残念でした。
多少外観についての不満があるものの、致命的なものでもなく、エアソフトガン自体の性能、精度のポテンシャルは高いと思います。0.2gBB弾、0.25gBB弾でも40m以内なら充分合格の結果が得られました。この精度ならスナイパーライフルの名に恥じない1挺だと思います。
サバゲーではアンブッシュはもちろん、あまり重くもなく、エアコッキングガンでもポンプアクション並みの速射も可能なので、前線でもその精度を如何なく発揮できるでしょう。正直ここまでの精度とは、思っていませんでした。
撮影協力:ビレッジ2
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