東京マルイ エアガン L96 AWS 【エアガン レビュー】
東京マルイが放つVSRシリーズ第2弾、L96 AWSが2009年8月に発売された。実にVSR-10から6年ぶりのことだ。
実銃のL96A1ライフルは.308(7.62mm×51 NATO)弾を使用するイギリス軍で使用されているボルトアクションライフル。
もともとイギリスのアキュラシー・インターナショナル社で開発されたPM(Precision Marksman)ライフルの発展型で、1985年にイギリス軍にL96A1として制式採用された。その後スウェーデン軍採用に伴いマイナス40度の極寒地でも作動するように改良されたものがAW(Arctic Warfare=極寒地戦闘用)シリーズとなり、.300ウィンチェスターマグナムや.338ラプアマグナムなどの口径ラインアップも拡充した。さらにはAW50シリーズとして.50BMG弾を使用するロングレンジのアンチマテリアルライフルもある。AWシリーズはイギリス軍特殊部隊SASをはじめ、アメリカ軍のデルタフォース、ネイビーシールズなどのほか、多くの国の特殊部隊、警察で使用されている。
東京マルイはこのAWシリーズの.308 Supressedをモチーフにモデルアップ。
AW(L96A1)ライフルというとマルゼンからAPSシリーズのType96や、タナカワークスからガスガンとしてL96がすでに発売されている。そこへ2009年5月の静岡ホビーショーでマルイがL96 AWSを発表、ボルトアクション好きはもちろん多くのユーザーが驚いたに違いない。
東京マルイ エアガン L96 AWS スペック & 弾速 |
全長 |
1,120mm |
重量 |
3,460g |
銃身長 |
500mm(インナーバレル長) |
装弾数 |
6mmBB弾
40発 |
定価 |
29,800円(税別) |
発売日 |
2009年8月26日 |
|
最高 |
95.48m/s |
平均 |
94.18m/s |
最低 |
92.98m/s |
ジュール |
0.887J |
※エクセル バイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ適正、10発での測定、気温26.6度、湿度46.0%
パーツリスト |
パッケージはブラックを基調とした精悍なデザイン。箱のサイズは117cm(横)×19.8cm(縦)×12.5cm(深さ)。
日本製素材を使用し、日本国内で生産したことを強くアピールしている記載がある。
ODカラーのストックをチョイス。このほかにブラックストックのカラーバリエーションもある。
レシーバー右側面。長く曲がったアームの先に大きな丸い玉が付いた特徴的なボルトハンドル。レミントンM700を模したVSR-10のボルトハンドルよりも大きくて操作しやすい。
また、コッキング式のボルトアクションライフルはシリンダーの長さを確保するため、どうしてもチャンバー位置が実銃よりも前方に位置してしまう。これに対応するため従来のものはかなり前方にマガジンがあったが、このL96 AWSではマルイ独自の「ローディングエスカレーター方式」により、実銃同様にトリガー直前にあるマガジン位置を再現した。
のっぺりとしたレシーバー左側面。レシーバーは金属製だ。レール下のボルトストップレバーはダミーだが可動する。
ストック内に埋まったVSR-10のマガジンに比べ、ボックスタイプマガジンのL96 AWSはマガジン交換がとても楽。マガジンキャッチもマガジン後方のレバーで素早い操作が可能だ。
セフティはボルトハンドルの後方にある。セフティレバーを後ろに倒すとセフティオンとなり、前に倒すとセフティが解除され射撃可能となる。またセフティがオンのときはトリガーとともにボルトハンドルもロックされる仕組み。
ボルトのストロークは約82mm。シリンダー外径は21.7mm。VSR-10のシリンダーは外径23.1mmなのでちょっと細い。
レシーバートップには汎用性の高い20mmレールが装備される。矢印のふたつの六角ネジを外すと...。
このように11mm幅のオリジナルレールがあらわれる。
20mmレールに純正オプションの
ハイマウントベースを載せる。
当初ハイマウントリングでスコープを載せようと思ったが、高さが欲しかったのでこちらをチョイス。25.5mmレールを高くすることができる。
今回はサイトロンジャパン(旧タスコジャパン)のTR-Xコマンダースコープを搭載。30mmチューブで3-10倍、対物レンズ径は42mm、サイドフォーカス機能が付き、ミルドットクロスゲージと、ハイスペックながら価格は14,000円前後と非常にリーズナブル。うーん、やはりスナイパーライフルにはスコープが似合うなぁ。マウントリングはモッジの30mmチューブ用スコープの高さ7mmを使用。
タスコジャパン【スコープ】 TR-X コマンダー
トリガーは細身。レシーバーを取り外してトリガーストロークとプルを調節できる。
ストックはサムホールタイプ。グリップアングルはピストルグリップ並みに角度があるので握りやすいく、プローンでも手首に負担がかかりにくい。バットプレートはゴム製で滑りにくい。
ストック上部のチークピースはストック右側面のネジを緩めることで高さを調節できる。
ストックの長さを調節できるプレート。
バットプレートの2本のネジを抜いて取り外す。
2種類の厚みがあり、自分の好みのポジションに合わせて付けたり外したりする。
ストレートなブルバレルが迫力。AWSのSは
SupressedのSで、つまりサプレッサーバージョンをモデルにしたことを意味している。マルイのAWSは約56cm(22インチ)のアウターバレルレングスとなっている。
マズルにはネジが切られており、VSR-10 Gスペック用の
マズルアタッチメントをつければサイレンサーが装着可能。
ストック前面にはバイポッド取り付け用の棒のようなアタッチメントがある。
ここに純正オプションのバイポッドを取り付けてみた。ストック下面のロックボタンでアタッチメントを取り外すこともできる。
純正オプションの
タクティカルバイポッド。
6段伸縮で、前後に折り畳むことができる。形状的にはVersaのものを踏襲している。本体は金属製で石突はゴム製。
プローンのときなどに射撃が安定して便利だが、なにせ310gと重い。
ストック下面に可変ホップアップ調節用のダイアルがある。結構大きめでグローブをはめていても操作しやすい。
ホップアップダイアルはクリック感があり、ホップ最小から最大まで21クリックで調節できるようになっている。
マガジンハウジングから中を覗くとレシーバー分解用のネジがある。
また、ノズルプレート用のスリットとコッキングされたときにはピストンが見える。
ストック下面の3本のネジを抜くと、レシーバーとストックを分割できる。プラ製のストック内部には金属製のインナーフレームがあり剛性感は抜群。構えたときにギシギシいうこともない。
ストックから取り出したレシーバー。VSR-10同様にトリガーはストロークとプルを調節できる。
これがローディングエスカレーター部。
ボルトハンドルを引くと連動してノズルプレートが写真の位置まで後退し、マガジンからBB弾を1発かきこみ、緑矢印のローディングエスカレーター内へと導く。ローディングエスカレーター内のBB弾はボルトハンドルの前進操作と共にノズルプレートに押されチャンバーへと移動する。
マガジンは6mmBB弾を40発装填可能。
VSR-10のマガジンはまだ弾が残っているマガジンを本体から取り出すと、1発ポロリとなったが、L96 AWSではそのようなこともなく、マガジン内に全弾残ったまま、コッキングしていなければチャンバーにも弾は残らない。
BBチャージャーで一気に込めることができるが、残弾を取り出すときは薄い板のようなものをマガジン上部のスリットから差込み1発づつ取り出すことしかできない。基本、撃ち切り前提のようだ。
本体にマガジンを装着した状態での実測重量は3,510g。
これにタクティカルバイポッド、ハイマウントベース、TR-Xスコープ、マウントリングを含めると一気に1kg以上重くなり、4,680gとなる。
こうなると立射で構え続けるのはかなり辛い。
各パーツの単体重量。ハイマウントベースは191g。タクティカルバイポッドは310g。
さて、気になる実射性能だが、まずは室内無風状態の8.5mでの計測を行った。
弾はいつものエクセルバイオ0.2gではなく、マルゼン製APS スーパーグランドマスター(SGM)0.29gとサバイバルゲームでの使用を前提にエクセルのバイオBB弾0.25gを使用した。
まずはSGMでゼロインし、ホップ最弱で10発撃ってみると約3.5cm程度に集弾した。続いてホップダイアルを10クリックして撃つと、なんと22mmに集弾。そしてホップ弾道がほぼ水平軌道を描く13クリックでは再び35mm程度にまとまった。
つづいて、エクセルバイオ0.25gでホップ10クリックで撃つと33mmに着弾。水平弾道となるホップ適正の19クリックではややばらつく結果となった。
このことから、弾道的にホップ適正時よりもやや弱めにホップをかけたときが最も集弾性が高くなる結果となった。
また、ホップを最弱にしたときもやや弾がバラけるので、ある程度のホップ回転による直進性は必要ということになる。
0.29gで撃っていると、室内8.5mのこの距離であれば2cm程度の円内に収まる。10m先の10円玉であればビシバシ命中できるだろう。箱出しノーマルでこの性能はすばらしい出来だと思う。
屋外での弾道も実に素直でスコープのレティクルにそって真っ直ぐ飛んでいくBB弾は気持ちがよい。ホップの落ち際も自然で弾道が予測できる。
実はローディングエスカレーター方式という独自の機構により装弾不良などが心配だったが、レビューで撃った数百発中、1発も装弾不良はなかった。作動の確実性、信頼性も抜群だ。
初速も平均94m/sとマルイの平均的な電動ガンよりも高く、ゲームでの有効射程においてある程度優位に働くだろう。
作動音はバシッとキレの良い音だ。格段に静かというわけではないが、この程度の音ならばゲーム中20m先から撃たれても気づくのはかなり困難だろう。さらに消音効果を狙いたいのであれば、マズルアタッチメントでサイレンサーを装着すればよい。
リアルな外観と高い剛性、そして安定感のある重量感といい、サバイバルゲームにも、精密射撃にもおススメだ。また、コレクションにも良いだろう。
すべてのウエポンが0.98J以下という一律制限下でのサバイバルゲームにおいて、ボルトアクションスナイパーの位置づけは、賛否両論あるだろうが、私は非常に面白いポジションだと思っている。しかし、そこでの面白さを味わうには相応のテクニックも要することも確か。自分の位置取りからはじまり、敵の進路予測、射撃の正確さもさることながら、如何に敵に発見されることなくターゲットをしとめていくかというタクティクスは、まさにサバイバルゲームの根幹的な楽しみ方であり、その達成感も悔しさもダイレクトに味わうことができるポジション。
強力な敵スナイパーに出くわしたときの絶望的な恐怖感、また味方になったときの怒涛の安心感はスナイパーがゲームにおいて作り出す一種の演出とも言える。サバイバルゲームにピリリとしたメリハリがつくのもまたスナイパーの面白さなのだ。
2009/08/31
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