東京マルイ エアガン M40A5
実銃のM40A5は、米海兵隊が1970年代から使用しているレミントン M700シリーズをベースとした海兵隊仕様のスナイパーライフル。McMillan A-4 タクティカルスナイパーストックや、SUREFIRE製の762SSAL/REマズルブレーキなどが装備される。M40A3の実銃レビュー
詳細はこちらのM40A3の実銃レビューを見てもらうとして...。
東京マルイから久しぶりのボルトアクションライフル、M40A5が2016年12月に発売となった。VSR-10シリーズ、L96 AWSに続くシリーズ第3弾となる。
最初のVSR-10は2003年12月に発売され、そのリーズナブルな価格もあって人気商品となる。
ところが初期のVSR-10はアルミバレルやチャンバー周りの未熟さからあまり良い印象がない。VSR-10プロスナイパーのレビューでも20mの射撃結果は確かにイマイチ。しかし、その翌年に発売になったVSR-10 Gスペックでは真鍮バレルと新型チャンバーが採用され、命中精度・信頼性共に格段に向上。さらに性能アップしたいというユーザーの要望と、そのシンプルな内部構造により、様々なカスタムパーツがサードパーティから発売され、今やサバゲーにおいて定番のスナイパーライフルとなった。
2009年8月にはL96 AWSが発売、独自のローディングエスカレーター機構により、リアルマガジン位置を実現した。
これら東京マルイが13年に渡るボルトアクションライフルのノウハウを蓄積した結果、今回のM40A5ではどのような性能を見せてくれるのか気になるところだ。さっそく発売日に商品をゲットしたのでハイパー道楽としては異例の50mでの実射テスト映像も交えてレビューしていこう。
なお、今回も購入はフライングスクワッド。
スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||
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パーツリスト1 パーツリスト2 |
パッケージにはほぼ実物大のM40A5が描かれる。パッケージサイズは横1210 x 縦280 x 厚110mm。
パッケージ内容はM40A5本体、マガジン、ストックスペーサー(Sx1/Mx1/Lx2)、保護キャップ、取説、六角レンチ2種、クリーニングロッド、BB弾少々。
全長は120cmもあり、これはL96 AWSよりも長い。このため、室内では天井や鴨居にぶつけないように気を使う必要はある。2016年12月22日発売されたのはストックがODカラーバージョン。2017年1月にはブラックストックバージョンも発売が予定されている。
ブラックメッキが施されたシリンダー。金属製レシーバーの上にはスコープを搭載できる金属製のマウントレールが標準装備される。
レシーバー左側にはMODEL 700の刻印。マウントレールには本来であればシュミット&ベンダーのPM IIを載せたいところだが、今回はサイトロンジャパンのTR-Xでテスト射撃を行った。
ボルトの後退ストロークは68mm。実弾の.308winが全長約70mmなので実銃のストロークより短くなっている。このショートストロークにより素早いコッキングを実現できるのはマルイがエアガンとしてアレンジした特徴だ。
コッキングするとコッキングインジケーターが出っ張り、射撃可能であることが判るようになっている。
ボルトハンドルのすぐ後ろにはオーソドックスなセフティレバーがある。前に倒して射撃、後ろにするとトリガーが切れなくなりセフティとなる。このセフティレバーは少し操作が軽く、ボルトを引く際に不意に触れてセフティに入れてしまったりする。
ストックフロント部にはSIMRADマウントと呼ばれるアクセサリー用マウントレールが装備される。側面のレールは右側にしかない。このレールにはスコープの前方にナイトビジョンをタンデムで搭載するためのもの。サイドレールにはライトなどを装着するのだが、日中のサバゲーでは使用頻度が少ないので、軽量化のために取り外しても良いだろう。
ちなみにアクセサリーマウントは209g。取り外すとストック側は左の写真のようになる。レール自体はアウターバレルには接触していない構造。
マズルブレーキはSUREFIRE MN762SSAL/REタイプが装備される。アルミ削り出しで非常に凝った形状だ。またアウターバレルはテーパーのついたアルミ製でブラックアルマイト仕上げ。
インナーバレルは真鍮製で280mmというショートバレル仕様。
マズルブレーキはM14逆ネジ仕様で取り外すことができる。さらに全長が長くなるが、サプレッサーを取り付けることも可能だ。
グリップには滑り止めのエンボス加工が施されている。グリップ自体はかなり太めだが、スナイパーライフルの場合、利き手はグリップに軽く添えてトリガーフィンガーに集中するのでこれで良いのだろう。
トリガーは遊び部分が長くとられており、最後にシアが切れるタイミングが掴みやすくなっている。トリガープルも軽くこれまでのマルイ製のボルトアクションライフルと比べてもかなりカチッとした印象だ。
これは新機構であるアクチュエーターと呼ばれる仕組みによるもの。シアが切れる直前でトリガーを保持しやすく、その状態でトリガーを引けばレスポンス良くシアが切れる。
また、通常は調整の必要がないとのことだが、ストックからレシーバーを取り外すことで、ストロークとプルの調整も可能だ。
ストック前方にはスリング/バイポッドスタッドと、QDスリングアタッチメントホールがある。
ストック底部の中ほどにはL96 AWS同様に大き目の可変ホップアップ調節ダイヤルがある。
クリック感のあったL96のダイヤルとは異なり、シームレスに回り、適度なトルク感もあるのでホップの微調整はとてもしやすい。
ストックは実銃用のストックを採寸したというMcMillan A-4 タクティカルスナイパーストックが奢られる。
バットストックの両側面と底部にはQDスリングホールがある。
またバットプレートは2本のネジを緩め、付属の4枚のスペーサーを挟み込むことで、長さを調節できるようになっている。
側面のアジャストスクリューを緩めればチークピースを上下に無段階に調整できる。ストックに入っている横線はチークピースゲージで好みの高さをマークしておくためのもの。
マガジンはスチールプレス製のアウターシェルで6mmBB弾を35発装填できる。この個体はマガジンの出し入れがかなり固く、着脱には苦労した。
BB弾はマガジンからチャンバーまで、『BBロード』と呼ばれる部分を通って送り込まれる。このBBロードには16発のBB弾が収まるので、35発フル装填のマガジンを初めて装填すると、このBBロードに16発が流れ込み、マガジン内には19発が装填されている状態になる。ここから射撃を始めると、19発撃ち終えた時点で次弾が装填されなくなる。
次回からはBBロードに弾が残っているので、普通に撃てるようになる。BBロードに弾が残っていても、マガジンを差さない限りストッパープレートが効いて弾はチャンバーに送られることはないのだが、銃の中に弾が残っているというのは精神的衛生上よろしくない。
なお、この残弾は銀色のBBロードストッパーを押せばジャラジャラと取り出すことができるが、高級弾を16発も無駄にしてしまうのはもったいない気がする。
本体とマガジンを装填して実測重量は3,320g。持った感じ、長いライフルの割にはそれほど重く感じない。しかし実際にはこれにスコープやバイポッドなどのオプションを装着するので戦闘重量はさらに重くなる。
実射テスト
今回装着したスコープはサイトロンジャパン(旧タスコジャパン)のTR-X COMMANDER 3-10 x 42。さらにハリスタイプのバイポッドを装着した状態での重量は4,340g。
実射テストはスナイパーライフルということもあり、30mのヘッドショット狙いから始まり、いつもの40mのマンターゲット、そして50mのロングレンジ射撃テストも行った。
また、BB弾は東京マルイ製の0.2g、0.25gのベアリングバイオ、および0.28gのスペリオールバイオBB弾にてテストした。スペリオールは500発1000円という0.2gの三倍以上もする1発2円の高級BB弾だ。
バイポットで固定しての射撃、この日は風が強く、0.2gBB弾だと風の影響を受けやすいが、それでも40m先のマンターゲットにビシバシ当たる。
0.25gにすると弾道がグッと安定し、しかも低進する。この低進弾道はスコープを覗きながらターゲットを狙う際に有効で、弾の出だしから最後までをスコープでとらえ続けることができるばかりか、上下の収束が少ないとターゲットにヒットさせやすくなる。いくら距離を飛んでも途中でホップがクワッと掛かるような弾道では遠距離の敵に当てにくいのだ。
0.28gのスペリオール弾ではさらに風の影響を受けにくくなるが、さすがに45mを超えると徐々に弾が落下してくる。しかし風さえなければ40mでヘッドショット可能なほどに集弾性が良い。
さらに風のある中、50m先のマンターゲットにもかなりの確率で当てることができる。なんというか、弾の落ち方に乱れがなく、予測しやすい非常に素直な弾道と言える。
だからこそ50m先の風を読みながらプリンキングしているだけでもかなり楽しい。狙って撃って的に当てるというエアソフトガンのもっとも基本的な部分でこれほどまでに楽しめるというのは、やはりM40A5の素性が良いということだろう。この日はスタッフが交代しながら、いつもより時間をかけて射撃を楽しんだ。
弾のチョイスだが、風に強い0.28gも良いが、0.25gの低進弾道性も捨てがたい。コストメリットも考えてサバゲーではマルイの0.25g弾がおススメかな。
いずれにしても、M40A5は同社の電動ガンと比べても弾道性能は良く、文句なしにトップクラスの弾道性能であると言える。
スナイパーはサバゲーでどう戦うか?
これほどまでに高性能なマルイのM40A5であるから、すぐにでもサバゲーに導入したいというゲーマーは多いだろう。しかし、いつものノリで電動ガンと同じように動いてもサバゲーでは決して敵を倒すことはできない。
なぜならボルトアクションスナイパーというのは、かなりストイックかつ特殊なポジションで、それ相応の戦い方があるからだ。
M40A5をメインアームにサバゲーで使用するならば隠密行動をとる必要がある。ギリースーツなどなるべく敵から発見されないような擬装を自分にも、銃にもバーラップロールなどで施すことが重要だ。
そしてスタートと同時に敵が進行してきそうなルートを見通せ、かつ、自分が発見されたとしてもすぐに逃げられるようなポジションに付く。
敵に気づかれることなく狙撃を行うので銃の発射音はなるべく気づかれたくない。M40A5は箱出しの状態でもそこそこ静かであるが、マズルブレーキをサプレッサーに交換するなど、さらに消音対策を施しても良いだろう。
スコープは必須装備。40m、50mという遠距離で弾道がどのように変化し、どこに着弾したかを知ることは次弾の狙点補正に不可欠で、またブッシュの切れ間や、バリケの隙間に隠れている敵を索敵し狙うのにも便利だ。サバゲの交戦距離であれば4倍を中心に3~6倍程度の範囲で好みで選べばよいだろう。
ロングレンジでの敵を狙う際はなるべく止まっている敵を優先的に狙う。移動している40m以上の敵を撃っても着弾する前に動いてしまうし、偏差射撃をこの距離で行うのはかなり高度なテクニックが必要だ。40、50mも離れていると敵は止まって索敵していることが多いし、交戦距離外だと油断して突っ立ていることもある。
敵に気づかれる事、つまり敵と撃ち合いになってしまうことこそスナイパーにとっては最も避けたい状況だ。いくら50m先の敵をヒットできる性能でも電動ガンのフルオートを食らえば圧倒的に不利だからだ。
敵に気づかれたらすぐさまその場所から移動して別のポジションを探す。あるいは敵を何名か倒したら、このルートには強力なスナイパーが潜んでいると敵は踏んで、別ルートに侵攻するだろう。次の狩場を探すべく、スナイパーは全体の戦局を読みながらポジションを変更する。
陣地転換の際に敵と近距離で出くわす可能性を踏まえ、サイドアームには片手でも扱え、瞬時に弾幕を張れるマシンピストル系のウエポンをチョイスするスナイパーも多い。
たまにフィールドで凄腕のスナイパーと出くわすことがあるのだが、発射音を聞くことなく重量弾が飛んできてビシッとヒットする、これが本当に恐怖となる。
そしてボルトアクションライフルで敵を倒せたときの達成感はとてつもなく素晴らしいのだ。
ぜひともこの楽しみを味わってほしい。
協力:ビレッジ2
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2016/12/24
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