G&P 電動ガン M16A1【エアガン レビュー】
レポート:戸井 源太郎
実銃の世界でもサバゲーの世界でも、一番人気のアサルトライフルというとM4と、そのカスタムでしょう。特にM4クローンは今やS&WやSIGまで作っており、その数は星の数ほどあり、しかも毎年のように新製品が発売されています。
困ったことに、どれもカッコよく、自分でカスタムするにも、ほんと迷います。
実は迷いすぎて、一周して原点回帰してしまいました(笑)。
つまりそれらの元となっているM16A1が欲しいなぁとここ1年くらいずっと思うようになっていました。
昔は圧倒的な人気を誇ったM16A1ですが、最近はロングバレルのライフルは人気がないのか、市場でもフィールドでも全然みかけません。それが今年に入って香港のトイガンメーカー、G&Pから何年かぶりに電動ガンのM16A1が再販されましたので、飛びつきました!
M16はユージン・ストーナーのAR-10(.308口径=7.62mm)をベースに小口径化(.223口径=5.56mm)し1957年に開発されました。主要パーツにアルミとプラスチックを多用し、当時としては画期的なライフルでした。軍に初めて採用されたのは実は空軍が最初でそれは1962年でした。その後米国のベトナムへの本格介入が行われた始めた1964年に空挺や特殊部隊で試験的に「XM16E1」と命名され運用されましたが...諸々の要因もあり、故障の続出で大問題になりました。
それらを諸問題を解決するために改良されたのがM16A1で1967年に米陸軍に採用されました。その後の活躍はみなさんご存知でしょう。その後、1982年に改良型のM16A2が採用、その後、A3、A4、M4カービンが採用され、M16の系譜は現在にも続いています。今後も当面は使用され続けるでしょう。
では、G&PのM16A1をみていきましょう。
主要パーツはメタルで質感、剛性も高いです。フレームは真っ黒ではなく、少し青みがかかったパーカーグレーっぽい塗装が施されています。
今、みてもSF的でカッコいいと思います。いや、逆に新鮮にみえるかもしれません。中身は東京マルイのスタンダード電動ガンのコピーですが、8mmベアリング、G&P M120 ハイスピード・モーターを搭載しているとのことです。M16系の欠点といわれる首元(アウターバレル基部)もフルメタルのため、充分な剛性があります。
スペック & 初速データ | |||||||||||||||||||||||
|
※東京マルイ ベアリングバイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ適正、気温13.5度、湿度37.0%、10発、X3200にて測定。 |
パッケージはダンボール地の箱そのままで、上面には商品名の表記すらありません! 両サイド面のみにステッカーで表記があるのみです。なんという潔さ、まさにシンプル イズ ベストです。
パッケージサイズは1,085X305X110mmです。
パッケージの中も型取ったスポンジや発泡スチロールなどなく、エアパッキンで銃本体をぐるぐる巻きにされているだけです。これで海外から輸送で大丈夫なのでしょうか?
しかも銃本体のみで、取り扱い説明書や付属物の類は一切なし!
今やキャリングハンドル一体型のフレームは新鮮にみえます。
フレーム右側のフォワードアシストボタンと誤操作を防ぐためにマガジンキャッチ周りのリブがA1から追加されました。
M16の原型は60年前に開発された銃ですが、現在まで基本配置は全く変わっていません。大きな違いはカートディフレクターが追加された程度で、M16A1はすでに完成の域に達しているということの証明ではないでしょうか?
フレームの刻印は「Colt」のリアル仕様です。
セレクター、トリガー他の位置、形状とも半世紀以上、変わっていません。セレクターの位置は右手親指で操作できるこの配置が扱いやすいのでしょう。
グリップはシンプルなA1タイプです。M16A2からフィンガーチャンネル付きに変更されました。
エジェクションポート内に可変ホップアップダイヤルがあります。ホップチェンバーは東京マルイのVer.2そのものです。
エジェクションポートのダストカバーですが、ロックパーツがリアルサイズとなっており、ダストカバーは閉じることができません。
チャージングハンドルを引くとボルトカバーが後退してホップダイヤルが現れるのはM16/M4系電動ガン共通です。ハンドルの形状もM16時代から現代まで変わっていません。
M16系はボルトとコッキングハンドルが直接結合していないため、ボルトの閉鎖不良が起こった場合、ボルトを直接操作できませんでした。M16ではこれが問題になり、A1からボルトを押せるボルトフォワードアシストノブが追加されました。押しやすいようL型となっていますが、これが衣服に引っかかるという意見が出たため、M4は丸型となっています。
ベトナム戦争中、ジャングルでの不意遭遇戦など混乱した中、不意にマガジンキャッチに触れてマガジンが脱落することが続出しました。そのため、A1からマガジンキャッチの周りに肉盛りされました。
リアサイトを兼ねるキャリングハンドルがM16の特徴です。その名通り、持ち運びに便利です。
リアサイトは大小の起倒式のピープサイトとなっています。
キャリングハンドル右側にあるダイヤルのストッパーをブレットなどで押しながら回すとリアサイトの左右が調整できます。
M16の特徴の一つである三角のフロントサイトベース。昔からのファンの間ではフロントサイトポストと呼んでいましたが、現在ポストというと、フロントサイトピンを指すようです。このベースの素材はアルミです。フロントサイトピン(フロントサイトポスト)もストッパーを押しながら回せば高さを調節できます。
バレルは20インチです。全長はほぼ1mと、カービンが主流の現在では、非常に長く感じます。
バレルはアルミで、細いリブまで再現しています。剛性も高く、グラつきはありません。しかし今みるとM16A1のバレルは細い、細すぎます。
フラッシュハイダーはスチール製です。
M16のフラッシュハイダーは最初、いわゆるチューリップ、三又といわれるものでしたが、枝が引っかかったりしたそうで、A1からバードケージ(鳥かご型)になりました。ちょっとわかりにくいかもしれませんが全周に渡って、8個のポートがあります。これだと伏せ撃ちの場合、地面に近く土埃が立つということで、M16A2から下側3つのポートは廃止されました。
バレルの比較です。上がM4 SOPMOD、下がM16A1です。M16A2からバレルを肉厚にして耐久性を高めています。M4のバレルはM16A1用のM203グレネードランチャーが装着できるようにするためにバレルの一部が抉れています。ハイダーの下面ホールの有無もよくわかるでしょう。
M16はこのおむすび型のハンドガードも特徴の一つです。程よい太さで握りやすいです。
ハンドガードの内側にある放熱用のアルミパネルも再現しています。ちなみにハンドガードは左右分割ですが、M16A2では上下分割になり、上下とも同じパーツとなりコストカットにもなっています。
プラスチック製の固定ストックを装備しています。ハンドガード、ストックなどプラスチックというのが当時、画期的で、その姿から未来的な小銃でメンテナンス不要と誤った情報が蔓延し、当初はトラブルが続出したそうです。
固定ストックの長さはリトラクタブルストックの5の位置と大体同じくらいで、日本人にはちょっと長いかもしれません。
ストック内はコンパートメントスペースとなっていて、バッテリーを収納します。コネクターはラージタイプです。久しぶりに見ました。実銃では、ここにメンテナンスグッズを収納します。
蓋の上部のストッパーを下げて開閉しますが、幅が狭くて指での操作はできません。ドライバーなど使ったほうがよいでしょう。
もちろんヒューズも搭載しています。もともとニッカドバッテリーのラージ用なので、現在主流のリポならAKタイプのロングスティック以外使用でき、汎用性が高いです。ただしラージコネクターです。変換コネクターを使っても良いですが、ミニコネクターに換装したほうがよいでしょう。
スタンダード電動ガンのM16/M4マガジンが標準装備です。多弾倉マガジンではありませんが、装弾数は130発なので、東京マルイ純正のほぼ倍、充分な装弾数と思います。もちろん各社のマガジンと共用できますが、なぜか付属のマガジンはかなり渋いです。キツキツです。東京マルイのマガジンはスルッと抜き差しできるのですが...。 また、マガジン底部にはG&Pの刻印、そしてBB弾用ということで5.95mmと刻印が入ってます。
実射テスト
今回のテストでもいつもと同様、BB弾は東京マルイのベアリングバイオ0.2gBB、バッテリーはリポの7.4Vを使用しました。
購入時についてたタグには「7.2V only」というタグが付いてました。購入店に聞いたところ、リポ高電圧のバッテリーだとセミでオーバーランしますので、メーカーの推奨が 7.2Vとのことだそうで、ニッスイの8.4Vは問題ないとのことです。
とりあえず新品のリポの7.4Vで試射してみると、やはり忠告通りセミでは元気がよすぎてオーバーランしてしまいます。つまりセミが2バーストになります。
とりあえず5年以上使い込んでいるリポの7.4Vを繋いでみたところ、こちらだとセミでちゃんと撃てました。今回のレビューは使い込んだリポバッテリーで行いました。
テストの距離もいつもと同じ40mで射撃を行いました。
40mで満遍なくボディにヒットするような感じです。弾道は一筋とはいかず、ある程度チラばっていますが、それでもボディにほぼ全弾命中するので素性は悪くないと思います。
試しに50mを撃ってみましたが、45mあたりから急激に失速していきます。50mまで飛ばそうと思うと45度くらいの仰角で撃たないと届きません。有効射程は40m強といったところでしょうか。
0.25gでもテストしてみましたが、飛距離、精度もわずかによい程度で、ほとんど差はないように感じました。
どちらのBB弾でも40mでは1発でヘッドショットというのは厳しそうです。
G&P M120 ハイスピード・モーター搭載ということですが、フルオートのサイクルが13発/秒と特段に早いわけでもありませんでした。ただしこれはバッテリーのコンディションにも影響されます。
普段は電子トリガー搭載のFET機種を使用しているので、トリガーのレスポンスの遅さも感じましたが、許容の範囲とは思います。トリガーについては、スプリングが強めで、トリガーを引いた時のふにゃふにゃ感がなく、セミでの速射もしやすいので私好みです。
総論としては2000年代前半の電動ガンという印象ですね。
ちょっと調べてみましたが、このM16A1の発売時期はわかりませんでしたが、おそらく10年以上前だろうと思いますし、その後何度か再生産されています。しかしその間、改良されることなく昔ながらの状態を保っているとも言えます。
それでも距離40mでボディにほぼ全弾命中できる性能があるので、悪くはありません。いたって普通、及第点といったところでしょう。
正直、この実射性能に関しては、事前の予想通りでした。
それより私個人にとっては、このG&P M16A1の外観の出来のよさの方が重要でした。フルメタルボディで質感、剛性も高く、各パーツもよくできています。
そして重量も3kg以下で長いため、重すぎず、軽すぎずバランスよく、構え易いです。
元々、この外観がリアルなG&P M16A1をベースにフルカスタムしようとして考えていたので、実はこのG&P M16A1に限っては実射性能はあまり問題にしていませんでした。
購入したショップに伺うと、自分と同世代、40歳以上の方が昔を懐かしみつつ、カスタムベースとして購入されるみたいで、あればすぐに売切れる隠れた人気アイテムなのだそうです。
G&P M16A1は実勢価格で4万円弱、そのままサバゲで使う分にも問題ない性能を有していますし、フルメタルで重厚かつ美しい外観から妥当なところでしょう。
G&P M16A1をフルカスタムするとなると、中身をほぼ全取っ替えるほどの大仕事になりそうで、さらに電動ガン1丁分の予算がかかりそうです。
しかし10年前は各種コンバージョンキットはそれこそ、7〜10万円くらいしていたので、それに比べれば、かなりお得だとは思います。
箱出しの性能も悪くありません。お小遣いでカスタム予算をやりくりするのにしばらく時間を要するので、その前に一度は箱出し状態のG&P M16A1で参戦してみるつもりです。
2017年のUS SHOT SHOWでは、M16A1やXM117など懐かしのモデルが復刻されていたそうで、きっとアメリカ人も一周して、同じ思考に辿り着いたのでしょう。
今年は来ますよ! 懐かしの1960〜70年代の冷戦時代の軍用モデルの潮流が!
協力:ビレッジ2
■関連リンク
G&P 電動ガン COLT M653
G&P 電動ガン LMT タクティカルライフル 7インチ CQB
東京マルイ 電動ガン M16ベトナムバージョン
東京マルイ 電動ガン M16A2