G&P 電動ガン コルト M653【エアガン レビュー】
蒸し暑い夏が近づくと、毎年あのコスプレゲームがしたくなる。そう、ベトナム戦争を描いた映画「プラトーン」ごっこだ。ODカラーのジャングルファティーグに身を包み、なりきるはバーンズ軍曹!! とその装備に欠かせないのがコルトM653カービン。今回は香港のトイガンメーカーG&Pの電動ガン、COLT M653をレビューする。
オリバー・ストーン監督のベトナム戦争を描いた映画「プラトーン」(1986年公開)は、翌年日本でも公開され、当時のサバイバルゲームブームと重なりトイガンファンの間でも大人気となった。数多いベトナム戦争映画の中でもプラトーンが人気なのはやはりその登場人物の描き方だろう。PLATOON=小隊を意味するタイトルにもあるように、米陸軍 第25歩兵師団のある小隊内の確執を描きながらも、監督自身が従軍した体験をもとにしたという、リアルな戦闘シーンにより多くのファンを惹きつけた。
主人公の新兵クリス・テイラー役にチャーリー・シーン、反目しあうバーンズ軍曹にトム・べレンジャー、エリアス軍曹にウィリアム・デュフォーを起用。そのトム・べレンジャー演じるバーンズ軍曹の使用するアサルトカービンがコルトM653だった。エイリアスも同じM653を使用しているが、劇中のバーンズ軍曹のインパクトが大きかったこともあって、M653バーンズモデルとも呼ばれたりする。
ちなみに余談だがこの小隊のなかに当時22歳のジョニー・デップがガーター・ラーナー役として出演している。
ベトナム戦争にM653は使用されていない。
そもそもベトナム戦争にコルトM653は使用されていない。ではなぜプラトーンに登場したのか?
M653は1973年に米コルト社から発売されたモデル。ベトナムから米軍が撤退したのは1973年3月。劇中の1967年にはもちろん存在しない。プラトーンは85年にフィリピンで撮影された。経験豊富な軍曹を演出する銃としてカービン、特にベトナム戦争中であればXM177E2やCAR-15などを使いたかったと思うのだが、そのときに入手しやすかったコルトのライセンス生産であるフィリピンのElisco Tool社が製造したM653Pを使用したと考えられる。
なお、M653の固定ストックモデルはM651となる。本来のM655は消音器付きのM16A1特殊スナイパーライフルをさすのだが、日本では1980年代に、なぜかマルシンやMGCのモデルガンがM655という名称で発売・定着してしまい、その後、東京マルイまでM655という限定電動ガンを発売している。
と、いろいろな逸話のあるコルトM653だが、G&Pの電動ガン、COLT M653をみていこう。
スペック & 初速データ
全長 | 770 / 850mm (ストック伸張時) |
重量 | 2,680g (バッテリー含まず/実測値) |
銃身長 | 約380mm (インナーバレル長) |
装弾数 | 6mmBB弾 100発 |
売価 | 35,800円(税込) モケイパドック |
発売日 | - |
最高 | 88.86m/s |
平均 | 88.35m/s |
最低 | 87.94m/s |
ジュール | 0.781J |
レシーバーはアルミダイキャスト製。マガジンハウジング左の刻印はM16A1のミリタリー刻印となっている。
セミ、フル切り替えのセレクターレバーや、ダミーのボルトキャッチなど基本構成はM16系と同じ。
レシーバー右側面にはボルトフォアードアシストノブがある。A1タイプのL字型ノブだ。これがブッシュや衣服に引っかかりやすいので、M16A2では丸型に改良された。レシーバー一体のキャリングハンドルにA1タイプのリアサイトが渋い。A2ならば当たり前のエジェクションポート後部のケースディフレクターの突起ももちろん無い。
可変ホップアップ機能を装備する。
基本的なメカニズムは東京マルイの電動ガンを踏襲しているので、チャージングハンドルを弾くと連動してダミーのボルトが後退し、ホップアップの調節ダイアルにアクセスできる。
エジェクションポートはリアル形状なので開きっぱなし。パチンと閉じるとはできない。
フラッシュハイダーはA1系のバードケージタイプでスチール製。アウターバレルはアルミ製でやや青みがかったダークグレーのアノダイズド処理。見慣れたM4カービンのバレルに比べて細身なのが逆に新鮮。
全体的に剛性感はかなり高い。
フラッシュハイダーはネジロックで固着していて取り外すのに苦労したが、取り外せばM14逆ネジ仕様なのでサイレンサーなどを装着可能。
ハンドガードはM4カービンに比べるとかなり細身でスマート。カッコイイ!!。個人的にはこのハンドガードが渋くて大好き。上下にあるクーリングホールも6つとM4より1つ少ない。
ハンドガードリングもデルタタイプではなく円筒形の形状。ハンドガードキャップはスチールプレス製。
ハンドガード内にバッテリーを収納する。
細身のハンドガードなので二又のいわゆるヌンチャクタイプのバッテリーを使用する。
ガスチューブはバレルナットを貫通しアッパーレーシーバーへと繋がっている。
ET-1のリポバッテリーを使用すれば余裕で1400mAhのバッテリーが納まる。
これならば装着も楽だ。
グリップはA1タイプだが、ちょっと前面が角ばっていて太め。このグリップ内にハイスピードモーターを内蔵する。
グリップ底部は放熱フィンが着いたタイプになっている。
ストックは3ポジションのリトラクタブルタイプ。補強リブの無い旧型の形状をモデルアップしている。
このタイプの実銃のストック素材は金属製だが、この電動ガンは素材は樹脂製となっている。
バッテリーを装着していない状態での実測重量は2,680g。程よく軽くてゲームでも使いやすい。
マガジンは東京マルイ互換で、スチールアウターシェルのスプリング給弾100連マガジンが付属していた。色はマルイのものよりもやや明るいグレーとなっている。
やはりM653には20連タイプのショートマガジンが似合う。ガムテープで2連に繋げればエリアス仕様に。バンダリアに7本入れれば気分はプラトーン!!
バッテリーを装着し実射してみると、フルオートの回転数がかなり速い。測定すると秒間約21発程度と準ハイサイクルと言った感じ。このサイクルのせいもあり、セミオートのキレが甘く、ピストンが不等間隔で停止する感じがあるり、ごく稀に2発発射されたりするが、実用上問題になるほどではない。
実際にサバイバルゲームにて使用してみたがこの高回転さもあり弾幕を張りやすい。初速も88m/sと十分にあるし、ホップアップの弾道性能もよく、東京マルイの電動ガンに準じる高性能と言ってよい。
そして、やはりなんと言ってもお気に入りの戦争映画のスター役を演じるというのは実に楽しい。忘れていた童心を取り戻して思いっきり成りきってフィールドを走り回れば日頃のストレスも吹っ飛んでしまうと言うもの。
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