東京マルイ 電動ガン G36K 【エアガン レビュー】
実銃のG36はドイツ、ヘッケラー&コッホ(H&K)社が開発し、1996年にドイツ連邦軍に制式採用された現用のアサルトライフルだ。NATO標準の5.56mm×45ライフル弾を使用する。H&K社というとG3ライフルやMP5サブマシンガンに代表されるローラーロッキング方式によるディレイド・ブローバックが有名だが、G36ではガス圧利用方式によるターンボルトロッキングメカニズムを採用する。同社HK416でも採用されるガス圧利用方式は作動性が良いといわれている。
現代アサルトライフルとしてはオーソドックスな構成ではあるが、これは1970年から80年代にかけて西ドイツが国家プロジェクト規模で進めていた先進的なG11ケースレスライフルの実用化が1990年10月の東西ドイツ統合時期に、政治面、技術面など、さまざまな理由により頓挫してしまったことに起因するといわれている。
G36はハンドガード、グリップに留まらず、レシーバーにも強化プラスチックを採用するなど、軽量化および、耐久性や生産性を向上させているのも特徴で、マガジンも半透明のプラスチックを採用し残弾の確認を容易にしている。
このG36の派生モデルとしてカービンサイズのG36K、コマンドサイズのG36C、分隊支援火器のMG36などのバリエーションがある。カービンサイズのG36Kは12.5インチバレルを採用し、全長をフルサイズG36の998mmから860mmへと短縮している。
G36はドイツ連邦軍のほか、スペイン軍、ラトビア軍、イギリス各警察部隊、米国LAPDをはじめ、ドイツ警察の対テロ部隊であるGSG9や、ドイツ軍特殊部隊のKSKでも採用されている。
東京マルイの電動ガンでは、すでにスタンダード電動ガンとして2002年12月にG36Cがモデルアップされており、今回のG36KはG36Cと各部のパーツにある程度の互換性を持たせた設計としつつも、射撃時の反動を生み出すシュート&リコイルエンジンを搭載し、次世代電動ガンとしてフルモデルチェンジを果たした。
次世代電動ガンとしては、初代AK74MNのAK74系シリーズ4モデルと、SOPMOD M4系2モデルから数えて7モデル目のリリース。
東京マルイ 電動ガン G36K スペック & 初速データ |
全長 |
615mm/860mm(ストック伸長時) |
重量 |
3,080g |
銃身長 |
300mm(インナーバレル長) |
装弾数 |
6mmBB弾 50発 |
定価 |
49,800円(税別) |
発売日 |
2009年12月16日 |
メカBOX |
シュート&リコイル / EG1000S |
バッテリー |
ミニS |
|
最高 |
89.05m/s |
平均 |
88.40m/s |
最低 |
87.14m/s |
ジュール |
0.781J |
※エクセル バイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ適正、気温22.7度、湿度39.0%
パーツリスト |
パッケージデザインは黒とダークブルーにオレンジのラインが入ったもの。
パッケージ内容は本体、マガジン、保護キャップ、BBチャージャー、チャージングロッド、クリーニングロッド、M5留めネジ用六角レンチ(2.5mm)、取扱説明書とBB弾少々。
本体の荷崩れ防止用にハンドガード根元をベルクロテープで固定してある。
G36にはやっぱりドイツのフレックカモがよく似合う。ちなみにサングラスは
ESSのクロスボウ。
箱から取り出して持ってみた感じは意外に軽く感じた。バッテリー込みの実測重量は3,090gで
M4A1 SOCOMカービンよりも軽い。これならばゲームでの撮り回しにも苦労しないだろう。
G36Cよりも長いハンドガード。クーリングホールはCの2つから4つになっている。これによりちょっとスマートな印象になった。
フラッシュハイダーは4つ又(=4プロング)で、アルミ削り出し。エッジも綺麗に立っており、高品質な印象だ。
今まではフラッシュハイダーといえば亜鉛ダイキャスト製というのが定番だったのでこれは嬉しい。
アウターバレルもアルミ製で軽量&高剛性。
フラッシュハイダーは取り外すことができ、M14逆ネジ仕様となっている。対応する各種サイレンサーを装着可能だ。
ハイダーは特に固定されておらず、バレル側のOリングで緩みを防止する設計なので、ゲームフィールドでも素早く取り外し可能だ。
レシーバー左側面には刻印が入っている。G36KA2となっていて、G36Cとは異なる。
セレクターのマークはG36Cの弾薬イラストからF、E、Sとドイツ表記となった。Fがフルオート、Eがセミオートで、Sがセフティポジションとなる。アンビセフティでレシーバーの左右両側から操作可能。操作感はややネッチリとした感じではあるものの、それぞれのポジションでカチッとスムーズにしっかりと切り替わる。
セフティポジションからフルオートポジションまで90度の回転角で操作でき、グリップした親指で前へ押し出すような操作なので、セフティ状態から素早く射撃へと移行できる。某国産ライフルとは大違い...。
キャリングハンドルはG36Cよりも大型で背も高い。ハンドル後部に倍率3倍のマイクロスコープを標準装備、その上にはドットサイトなどを搭載できるように20mmマウントレールが装備される。レール部はプラ製ながら結構強度がありそうだ。
3倍のマイクロスコープのレティクル調整は矢印の部分に付属の六角レンチを使用して行う。
マウントレールの上側の穴でエレベーション、右側面の穴からウィンデージ調節を行える。
スコープのレティクルはクロスラインに小さなサークルを重ねたもの。
アイリリーフは約3センチ程度。マルイのプロゴーグルを装着して覗いてみたが、レンズをアイピースにくっつけてちょうど良い覗き具合。
ESSのNVプロファイルゴーグルでも同様に覗くことができた。
実銃同様に、コッキングレバーは射撃時に連動して前後に激しく可動する。
なお、G36Cではデフォルメされていたが、コッキングノブは左右に折り曲げて固定できるようになった。
コッキングレバーを引くと、連動してエジェクションポートが後退し、可変ホップアップダイヤルが現れる。
このとき同時にハンドガード内のガスピストンも後退する。ま、ほとんど見えないけどね。
ハンドガードを外すとアウターバレル上に実銃同様にガスピストンが再現されている。しかもこのガスピストンは射撃時に連動して前後に可動する。なんと芸の細かいニクい演出!!
ガスピストンは実銃では発射時に発生する高圧の燃焼ガスの一部をピストンに導き後退させ、オペレーティングロッドを介しボルトを後退させる役割を担う。
ハンドガード内にミニSバッテリーを装着する。ラミネートパックされた社外品のミニバッテリーも装着できた。
ハンドガードはちょっと固めで装着時は水平に真っ直ぐ取り付けないといけない。若干コツがいるが、すぐに慣れるだろう。
ハンドガード下には亜鉛ダイキャスト製のアンダーマウントレールを備える。レール部分は取り外すことができ、後方の取り付けポイントに移設することができる。また、G36C同様にハンドガード側面には
オプションのサイドサポートレールを装着することもできる。
折りたたみ可能なフォールディングストック。G36Cのものよりも2cmほどG36Kのほうが長くなっている。
バット部はラバーコーティングされている。このバット部、手で触るとちょっとギシギシと揺らぐのが残念。
折りたたむときは矢印のストックロックボタンでリリースし、レシーバー右側面へとスイングさせる。
ストック基部は金属製のインナーパーツで補強されておりグラつくことはない。
エジェクションポート後ろにあるケースディフレクターがストックの固定を兼ねていて、カチッと留めるようになっている。
ストックを伸ばすときはちょっとストックを持ち上げるようにして固定を外し、スイングさせる。
グリップ中にEG1000Sハイトルクモーターを内蔵する。H&Kお得意のスムースなグリップで握りやすいが、グローブをするとやや滑りやすいという難点もある。これを回避するためにはんだごてを使用してステッピング加工を施しても良いし、HOGUEのHANDALL、GLOCK用#17000ラバーグリップを使用するという手もある。
なお、トリガーガード内のボルトキャッチはダミーながら押すことはできる。実銃のG36では全弾撃ちつくすとコッキングレバーが後退してホールドオープンする。マガジンチェンジをして初弾を装填するには後退したコッキングレバーを後方へいったん引いて離すとボルトが前進する仕組みで、トリガーガード内のボルトキャッチはそれ自体にボルトをリリースする機能はなく、インジケーターのような意味合いなのだという。
ATLANTIS 1600mAhニッケル水素バッテリーとマガジンを装着した状態での実測重量は3,090g。
マガジンはG36Cと同じもので、6mmBB弾を50発装填できる。
実銃同様のシースルーマガジンに装填された5.56mm×45 NATO弾までも再現しており、とてもリアルなつくりとなっている。
M16系マガジンよりも厚みがありジョイント用のリブも出っ張っているのでマガジンポーチは物を選ぶだろう。
マガジン単体の重量は50連のノーマルマガジンが192g、オプションの470連マガジンが174gとなっている。
ちなみに
G36C用のM4マガジンアダプターというのがあり、これを使うとM4系のマガジンが使用できるようになる。G36の太いマガジンはマグポーチから出し入れしにくいので、こういったツールを使うのもありか。
G36系のマガジンはマガジン同士をジョイントできる。これによって素早くマガジン交換できる。三つでも4つでも連結できるが、あまり多く連結すると実用性が失われるので2連結あたりが良いところだろう。
さて、実射性能だが、まずシュート&リコイルエンジンによるリコイルはこれまでの次世代電動ガンのものとはちょっと異なる。AK74シリーズやM4カービンシリーズがアルミダイキャストレシーバーなのに対して、プラスチックレシーバー内のリコイルウエイトが激しく前後することでドシッとした重みのある引き締まった印象の撃ち味となった。
射撃音自体はややこもった感じではあるが、連動するコッキングレバーのシャリンッと響くサウンドとあいまって、実に心地よい射撃音を奏でる。ドシャンッ、ドシャンッといったような射撃音だ。
手持ちの
SOPMOD M4および、初代シュート&リコイルエンジンを搭載した
AK74MNと比べてみたが、リコイルが一番大きかったのはSOPMOD M4で、続いてG36K、AK74MNといった結果だが、G36KとAK74MNはほぼ同程度といってよいほどのリコイル差だった。M4系がリコイルが強く感じるのは重心位置から離れたバッファチューブ内にリコイルウエイトがあるからだと考えられる。
回転数はまったく同じバッテリーではないので正確ではないが、SOPMODバッテリーを接続したM4と、ATLANTIS1600をつないだG36KではG36Kのほうが回転が速く、ドライブが軽く感じられた。同じバッテリーでAK74MNと比べたところやや回転が速いかなといった感じ。
G36Kの3倍マイクロスコープを覗いてフルオート射撃するとレティクルがガガガッと暴れて撃っている実感が沸く。
そして命中精度はもはや東京マルイのお家芸とも言えるレティクルど真ん中にスッと飛んでいく伸びやかな弾道。サバイバルゲームにも申し分ない命中精度だ。
この標準搭載のスコープでピンポイントで狙うもよし、その上のマウントレールに
Aimpoint T-1や
C-MORE、はたまた
EOTech XPS3といった小型軽量なドットサイトをオプションで装着し素早く狙うもよし、遠近どちらでも対応できる守備範囲の広さも魅力。
いずれにしても外観の高精度感といい、その安定した実射性能といい、現時点で最高峰の電動ガンのひとつといえる。
2009/12/28
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