マスダヤ ZAP 20
写真&解説 YAS
解説
以前に紹介したマスダヤ ミニットマン10の後継モデルとなるのが、今回紹介するZAP(ザップ) 20だ。
1983年に発売されたミニットマン10はカート式の7mmつづみ弾仕様で、ポンプアクションの連射が容易であったことから、同年に火が付くサバイバルゲームのメインウエポンとして活躍した。
そしてガスガンが普及するまで、サバゲーの三大メインウエポンと言えば、タカトク SS-9000、マルゼン KG-9、そしてミニットマン10だったのだ。
SS-9000やKG-9がポンプアクション化されるなか、ミニットマン10はもとからポンプアクションなのでカスタムの手間がなく、モダンなアサルトライフルのようなスタイルということもあり、AR15風のドレスアップなども盛んに行われた。
ZAP 20は1985年秋に登場、基本的な外観や構造はミニットマン10から変わらないが、6mmBB弾化、20連マガジン標準装備となって、よりサバゲー向けにモデルチェンジされた。
とはいえ、すでにこの年の暮れまでには、MGC M93R エクストラ、JAC スターリング L2A3、WA AR-7 サバイバルショーティといった、第一線級のガスガンが続々と発売されはじめ、遅れてきたカート式エアコッキングガンの決定版ともいえるZAP 20は時代の荒波に呑まれていく。
そして1985年12月、マスダヤは子会社のポイントを設立し、以後18歳以上対象のエアガンを中心にトイガン事業を全面移行することになる。
外観形状はミニットマン10からほぼ変わらないが、フォアエンドが茶色になって、20連のロングマガジン化、6mmBB弾化、ASGKの刻印も入った。デザインはマスダヤのオリジナルであるものの、Stg44やAR15にも通じるものがあり、現代的なアサルトライフルスタイルとして人気だった。
フロントサイトおよび、バレル先端はフォアエンドと一体になっており、ポンプアクションに連動して前後する。インナーバレルは樹脂製でフォアエンド先端くらいまであり、カタログスペックで300mmとなっている。
リアサイトはエジェクションポートの後ろくらいにある。スクエアノッチで狙いやすい。
トリガーは樹脂製でトリガープルは3kg前後。やや粘るがストロークが短いので引くのにそれほど苦にならない。グリップのフィンガーチャンネルが邪魔で握りにくいものの、セフティはグリップ上にあり、ARのように親指で操作できるのが便利。
フォアエンドの金属シャフトがレシーバー左右を貫いてストックまで伸びているので、樹脂製のアサルトライフルとしては剛性はかなり高い。
やけに現代的なストックデザイン。バットプレートはわずかに傾斜している。米カスタムメーカーの最新ストックと言われても信じそうなほどだ。
フォアエンドを7cmほど引けば、エジェクションポートがオープン。再びフォアエンドを戻せば白いカートがチャンバーへ装填される。ポンプはやや重いが、装填・排莢はいたってスムーズだ。
樹脂製のマガジン装弾数は20発。SS-9000が5発、KG-9が29発なので当時としては十分な火力だ。カートリッジはミニットマン10が赤だったのに対してZAP 20は白。マグキャッチはマガジンハウジングの後ろにあるレバー。
サバゲー用ウエポンがケースレス化する前は「カートキャッチャー」という空薬莢を回収する布製袋をエジェクションポートに括り付けるのが普通だった。
カートリッジの先に6mmBB弾をセットしてマガジンに装填。弾の保持はゴムではなく、円錐形状の樹脂の弾性によって保持される。カートはシングルカラムで装填される。
リップの横にカートの向きを示す刻印があるのが親切だ。
付属のBB弾が0.16gということで、ハイパー道楽のPHOTON BB 0.16gを使用して実射。
ホップアップはないものの、5発撃ってみたところ5mでなんと5cmに集弾、あまりにもまとまったので、距離を8mに伸ばしてさらに10発ほど撃ってみても、10cmには収まる優秀さだ。カートリッジの先端にBB弾を保持するので、カートの成型コンディションで装填時に弾ポロしてしまうこともあったが、
当時としてはトップクラスの命中精度と言ってよいだろう。
プッシュコッキングのカート式と比べて自分のタイミングで排莢&コッキングができるポンプアクションもカート式としては便利だ。サバゲーに使うプレーヤーが多かったのも納得と言える。
前モデルのミニットマン10に比べるとよりデザインにも凝っている。
ちなみにマスダヤは江戸時代中期、1724年創業の約300年という長い歴史を持つ玩具メーカー。すでにトイガン事業からは撤退したものの、現在もトレイン、ミニカー、パズルなどの玩具を製造販売している。
付属するグリーンの硬質ゴム製BB弾。重量は0.16g。当時はラバーBB弾が何種類か発売されていた。よくみるとパーティングラインやバリがくっきりと残っており、とても精度は出せそうにない。
ミニットマン10同様に横に細長い取説。パッケージにあわせて大判となっている。
> マニュアルPDF (18.7MB)
DATA
発売年 | 1983年1月 (ミニットマン10) 1985年秋 (ザップ20) |
発売時価格 | ¥8,800 (ミニットマン10) ¥8,800 (ザップ20) |
全長 | 実測 895mm |
重量 | 実測 1,567g |
インナーバレル長 | 300mm (カタログ値) |
発射方式 | ポンプアクション式エアコッキング |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 20発 |
平均初速 | 54.02m/s (0.2g、0.292J、25.1℃) |
撮影協力:FIRST / 中古侍
■関連リンク
ビンテージ エアガン レビュー TOP