JAC スターリング L2A3
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
今回紹介するJAC スターリング L2A3は、アサヒファイアアームズが開発した業界初のフルオートガスガン、バトルマスターBM-1の後継機として世に出た。BM-1は実銃にない架空のモデルで、チューブ式マガジンの交換に時間がかかるという欠点があった。それらを一気に解消したのがBM-2、つまりJAC スターリング L2A3だったにもかかわらず、価格はBM-1の38,800円を大幅に下回る19,800円を実現していた。
発射方式は外部パワーソースのBV式で、レシーバー後端から直接出ているホースにガスをつないで使用した。簡単にパワーを上げられる機構だっため、後にハイパワーブームを招く結果ともなってしまったのは古いエアガンファンならご存知の通り。言うまでもなく、取材した個体は内部ユニットが破壊され、現状ではBB弾の発射が不可能な状態にされている。
全体的なプロポーションは実銃をよく再現しており、近年発売された電動ガンに比べてもスマートでリアルな雰囲気だ。構造上、全弾撃ち終えるとガスのみが噴出する「シューッ!」という音が出るため、敵ゲーマーに弾切れを知らせてしまうというのがBV式の欠点だった。それでも予備マガジンさえあれば素早いリカバリーが可能で、何よりフルオートで弾幕を張れるというのは当時驚異的な事だったのだ。バトルマスターBM-1と、それに続くこのJAC スターリング L2A3が、その後のサバゲーの歴史を変えたと言っても過言ではないだろう。
実銃がパイプ構造のシンプルなデザインなので、エアガンとしてもコストダウンが容易な機種選定だった。
軽く短く取り回しの良いサブマシンガンは、そのままサバゲーでの使いやすさにもつながった。
本来ならレシーバー後部の穴からガスホースが出ていたが、この個体では内部ユニットごと取り外されている。リアサイトは切り替え可能。
スターリング特有の個性的なマズルフェイス。バレルジャケットはアルミ製、インナーバレルはスチール製。
エジェクションポートはダミーだが、しっかりとモールドされておりリアル感をそこなわない。
非常によく出来たグリップ。旧MGC製モデルガンのパーツから型取りされていたという説もある。
実銃通りの構造でよく出来たスチール製のフォールディングストックは別売で1800円。これも旧MGC製ではないかと噂された。
しかし、ストックの側面には製造メーカーだったアサヒファイアアームズの刻印が入っている。これが後から打刻されたものなのかどうか、今となっては謎のままだ。
実銃通りマガジンキャッチを押すだけで簡単にマガジン交換が出来た。ネジ込み式マガジンだった前作のBM-1からもっとも大きく進化した点だ。
予備マガジンは1本¥2,800。当時、マルイのルガーP08が¥1,900だった事を考えると、いかに高価だったかが分かる。1989年にはアサヒFAより50連マガジン、内部ユニット改良、ブルバレル化されたスーパースターリングが発売された。
製造はアサヒファイアーアームズ、販売はJACが行った。
manual.pdf (892KB)
DATA
発売年 | 1985年8月末 1989年春 (スーパースターリング) |
発売時価格 | ¥19,800 ¥23,000 (スーパースターリング) |
全長 | 実測 690mm / 485mm(ストック折畳時) |
重量 | 実測 1450g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | 外部ソース式ガス |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 30発 |
平均初速 | -m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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