マスダヤ ミニットマン10
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
1980年代のサバゲー創成期には、日々、様々なエアガンが戦場に駆り出されていた。
本来は室内標的射撃用として売られていたエアガンの中から、少しでも戦闘に向いた物を選び出すという、バトルプルーフの時代だったとも言える。
当時のエアガンはまだカートリッジ式の7mmつづみ弾仕様が多かったため、インナーバレルに薄い真鍮パイプを挿入し、カートリッジ内にはグラスファイバーチューブを仕込んで6mmBB弾仕様に改造する、というのが常套手段だった。
そういった試行錯誤の中、銃を選ぶ上でのネックとなったのが連射速度だ。
ボルトハンドルで1発ずつコッキングする銃がほとんどだったので、両手で構えたまま素早く連射出来る銃があまりなかったのだ。
そんな中、特に最前線のアタッカーがこぞって使っていたのが、このミニットマン10だったのである。
一見、荒唐無稽にも見えるオリジナルデザインだが、軽くて扱いやすく、何と言っても、ポンプアクションによる快調な連射性能は他の追随を許さなかった。
10連発というファイアパワーも大きな魅力で、今でこそ300連発などという多弾数マガジンは当たり前だが、当時としては決して少なくない装弾数だったのだ。
その後、ガスガンの実用化などよりサバゲー界の状況は一転するが、サバゲー創成期を支えた名銃である事は間違いない。
今の感覚で見るとこんな銃があっても決して不思議ではないが、当時としてはかなり斬新なデザインだった。
フォアエンドから後方へと延びる鉄製のアクションバーがレシーバー両側面に配置されているため、剛性感が高い。
ガスポートの開いたコンペンセイターは、バレルではなくフォアエンドと一体という変わった構造で、コッキングするとバレルが縮んだように見える。
リアサイトは簡素な物で、狙って当てるというよりも連射性を重要視したデザインなのがよく分かる。
握りやすいよう窪みのついたフォアエンド。後退ストロークは65mmで、動きはとてもスムース。
赤いカートリッジは残弾の有無が確認しやすく、地面に落としても見つけやすいという利点があった。
特徴的な形状のストックだが、なぜかFN SCARに共通するものを感じてしまうのは筆者だけだろうか。
現代のM4カービン用だと言われれば信じてしまいそうなバットプレート。言うまでもなく、これは1980年代の国産オリジナルデザインである。
10連発のボックスマガジンには、カートリッジの方向が刻印されている。
シンプルなパッケージ。発売当初、サバゲー用としてヒットするなどとはメーカーも予想しなかったはずだ。のちに6mmBB弾化され、ZAP(ザップ)20という20連マガジンを装着したバリエーションも発売された。
横に細長いマニュアル。この頃のマニュアルはポスターを兼ねている物も多く、こうした変形サイズの紙がよく使われていた。
> マニュアルPDF
DATA
発売年 | 1983年1月 (ミニットマン10) 1985年秋 (ザップ20) |
発売時価格 | ¥8,800 (ミニットマン10) ¥8,800 (ザップ20) |
全長 | 実測 895mm |
重量 | 実測 1,440g |
インナーバレル長 | 300mm (カタログ値) |
発射方式 | ポンプアクション式エアコッキング |
使用弾 | 7mmつづみ弾 |
装弾数 | 10発 |
平均初速 | 84.4m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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