JAC ブッシュマスター

JAC ブッシュマスター

写真&解説 小堀ダイスケ

解説

このコーナーでは、以前にもブッシュマスター ウルトラカスタムを紹介している。これはその前作にあたるノーマル版で、オリジナルデザインだったウルトラカスタムとは違い、実銃が存在するエアガンだ。ちなみに現代版のブッシュマスターACRではなく、1970年代のミリタリーパイロット向けに開発されたサバイバルガンだ。

実銃のブッシュマスターは、月刊Gun誌1981年6月号で永田市郎氏により初めて日本に紹介された。ほとんどのガンファンはこのときブルパップという形式を知ったはずで、しかもグリップが左右にスイングするというメカには驚いたものだ。

本ガスガンの販売はJACだが、製造したのはBV式フルオートユニットを開発したアサヒファイヤーアームズだ。ブッシュマスターはブルパップ式のため全長が短く、サバゲーでの取り回しも楽だった反面、マガジンチェンジがやりにくいという欠点もあった。実銃はサバイバルガンという位置付けだったため、頻繁なマガジンチェンジを想定しておらず、サバゲーでの使い勝手とは必ずしも一致しない、というところが面白い。

アサヒファイヤーアームズの製品は、ほとんど手作りに近い小ロット生産の高級路線だった。そのため、レシーバーはおそらくシリコン型によるウレタン樹脂キャストだ。あまり仕上げが良いとはいいがたいが、それがかえって独特の荒々しい雰囲気を醸し出している。

いま見ても実に味わいのある製品で、レアな機種選定だったこともあり、今後もどこかのメーカーからトイガン化されるとは考えにくい。トイガン史に残る1丁といえるだろう。

なお、ブッシュマスターはJACが販売したバトルマスター(BM)シリーズの第7弾にあたる。第1弾は言うまでもなく、世界初のフルオートガスガン、バトルマスターで、第2弾はスターリング L2A3、第3弾はM3A1 グリースガン、第4弾はUZI SMG、第5弾はFAL L1A1、第6弾はAR-18、第8弾はイングラムMAC10、第9弾はM16A1となる。ただ必ずしも製品発表順と発売順が同じとはならず、またアサヒの高級製品を別シリーズとして扱う形となり、BM-シリーズ順は徐々に使われなくなった。

このコーナーで紹介している他のBV式ガスガン同様、今回の個体も内部ユニットを破壊してあるため、発射不能な状態である事を補足しておきたい。

JAC ブッシュマスター 左
JAC ブッシュマスター 右
グリップとトリガーがなければおよそ銃には見えない独特のデザイン。ミリタリーパイロットが不時着した場合などに活用するため、携帯しやすくファイアパワーのある個人火器を追求した結果、生まれた銃なのだ。

リアサイトがない
この銃にはリアサイトがない。そもそもレシーバーがスイングしてしまうし、サバゲーでフルオート射撃をするのに必要ないという設計なのだろう。

フラッシュハイダー
M16タイプのバードケージ フラッシュハイダーはアルミ削り出し、インナーバレルは真鍮製で、アウターバレルはABS樹脂製。

グリップ
アンビタイプのセレクターはセーフとフルオートポジションのみ。レシーバー左面にはFULL AUTOMATIC AIR SOFTGUN CAL. 6MM A.S.G.K.とある。

ウレタンキャスト製
グリップはおそらく実物ARから型取りされたと思われるウレタンキャスト製。底部のコンパートメントキャップごと型取りされたことがわかる。

スイング
ブッシュマスター最大のウリがこの左右に45度スイングするレシーバーだ。トリガーと発射ユニットはワイヤーで連結されており、この状態で発射が可能。レシーバー下側のカプラーにガスホースを接続する。

刻印
レシーバー側面の刻印。ウレタンキャスト製のため、かなり気泡が目立つ。モデル名がBUSHMASTER PISTOLとなっているが、これがアメリカでの正式名称。

マガジン
マガジンはエアー給弾方式。後方から入ったガスがBB弾をチャンバー側に押し、弾を残さず最後まで撃ち切れる仕様だ。


マガジンボトムプレートにはアサヒファイヤーアームズのオリジナル刻印が。自社製品にプライドを持つ証しだといえる。

DATA


発売年 1987年夏
発売時価格 ¥38,800
全長 実測 548mm
重量 実測 2,330g
バレル長 -mm
発射方式 外部ソース式ガス
使用弾 6mmBB弾
装弾数 65発
平均初速 -m/s

撮影協力:サタデーナイトスペシャル

2020/04/12


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