アサヒファイヤーアームズ ブッシュマスター ウルトラカスタム
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
エアガン史上初のフルオートガスガンは1985年初めにアサヒファイヤーアームズ(以下、アサヒ)が開発し、パテントを取得した外部ソースBV式ユニットを搭載したJACのバトルマスター(BM-I)だった。アサヒが製造、JACが販売を担当したが、本BV式ユニットはこの二社で使用されたため、後にJACは独自のバトルマスターシリーズを展開することになる。
一方のアサヒは1987年暮れにはFNC、M60 LMGシリーズなどを開発し、いずれもJACが販売を担当した。
BM-Iはアメリカ空軍のパイロット用サバイバルガン、ブッシュマスターを模していたが、交換作業のしにくいネジ込み式チューブラーマガジンを改良すべく、ボックスマガジン仕様となったのが第二弾のBM-IIとして1985年8月に発売されたJACのスターリング L2A3で、これは以前にレビューしている。
今回紹介するブッシュマスター ウルトラカスタムは、1987年に発売されたJAC ブッシュマスター(製造はアサヒ)のリメイクバージョンともいえるモデルで、通称ブッシュ・カスタムとも呼ばれ、ストレート・ライフリングバレルを搭載し、金属を多用した剛性の高い頑丈な構造とされたのが特徴だ。
外観は完全なオリジナルデザインであり、黒いボディにグリーンのグリップやハンドガードの組み合せはイギリスのL85によく似ている。
銃としての機構はブルパップ方式で、トリガーよりも後方にチャンバーがあるため、銃身長を保ったままで全長は短いのが特徴だ。これはそのままサバゲーでの扱いやすさにつながるが、金属パーツが多いためすさまじい重さで、ここは判断の分かれるところだ。
当時のサバゲー界は多弾数ブームへと突入しており、100連マガジンが標準装備されたブッシュマスター ウルトラカスタムはゲーマー憧れのエアガンだった。結果的には電動ガンの台頭により駆逐されてしまう結果となったが、BV式の個人用ウェポンとしては、ある意味で究極の完成度を誇る1丁だったと言っても過言ではないだろう。
この銃を知らない若い世代が見たら、L85の新バリエーションだと勘違いしてもおかしくないかもしれない。特徴的な黒とグリーンの組み合せは、やはりL85を意識していたのだろうか。1991年にはブラックモデルのブッシュカスタム・ショーティーも発売された。
スチール削り出しのM16タイプバードケージ・フラッシュハイダー。フロント周りのパーツはすべて金属製で取り回しに不安はない。インナーバレルは内径6.1mmで0.05mm深のツイストの無い8条のストレート・ライフリングが刻まれている。
頑丈なL字型ベースに搭載されたフルアジャスタブル・リアサイト。決して命中精度が高いとは言えないBV式エアガンには贅沢すぎるパーツだ。
バーティカルフォアグリップは角度の調節が可能。現代のM4カービンにも通ずる、当時としてはかなり斬新な仕様だった。
滑り止め加工が施されたハンドガード。プラスチック製パーツ類も強度が高く、強く握ってもビクともしない。
スチールプレス製のマガジンハウジングとダミーのエジェクションポート。本来ならストック下部から外部ソース用のホースが出ていたが、この個体では内部が破壊され発射不可能となっている。
アルミプレス製のレシーバーに刻まれたアサヒ ファイヤーアームズ エンジニアリンク カンパニーの刻印。オリジナルデザインであることにプライドを感じさせる部分だ。セフティはトリガー上のクロスボルトタイプ。もちろんフルオート射撃オンリーだ。
スチールプレス製の100連マガジン。内部にアルミチューブが仕込まれており、エアー給弾によって確実に発射される。
ダンボール製のパッケージ。アサヒのエアガンをプロデュースしていた築地恵氏は、銃砲店ファーイーストガンセールスの経営者として、また実銃のガンスミスとしても有名な方だったが、2007年に惜しまれつつこの世を去った。
高級品らしいオールカラーの丁寧なマニュアル。この女性モデル、なんと築地氏が当時通っていたキャバクラのお姉様だそう。
manual.pdf
(1MB)
DATA
発売年 | 1987年夏 (ブッシュマスター) 1989年11月1日 (ブッシュマスター・ウルトラカスタム) 1991年夏 (ブッシュカスタム・ショーティー) |
発売時価格 | ¥38,000 (ブッシュマスター) ¥58,000 (ブッシュマスター・ウルトラカスタム) ¥58,000 (ブッシュカスタム・ショーティー) |
全長 | 実測 700mm |
重量 | 実測 3,250g |
バレル長 | 495mm |
発射方式 | 外部ソース式ガス |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 100発 |
平均初速 | -m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
■関連リンク
ビンテージ エアガン レビュー TOP
トイガン史 1963 ~ 1993 - あるガンマニアの追憶 -
モデルガン&エアガンとトイガン業界の歴史
考察 ブローバック・ガスガン