[パート1 日本の対空装備] [パート2 観閲行進] [パート3 対空戦闘訓練]
2010年4月29日、昭和の日、千葉県若葉区にある陸上自衛隊 下志津駐屯地にて創設55周年記念行事「つつじ祭り」が開催されたのでレビュー。パート3では対空戦闘訓練展示について紹介。
観閲行進が終わるとすぐさま対空戦闘訓練展示が開始された。
グランド袖に車列を作り待機する参加車両たち。
向かって右奥を敵が潜伏している地域と想定し、グランド左から訓練車両が次々と登場する。
戦闘訓練が開始されるとまずは96式装輪装甲車「クーガー」が周囲を警戒・偵察する。
クーガーの武装は12.7mmM2重機関銃で、兵員を8名搭乗させることが可能。
つづいて、習志野第1空挺団の偵察バイク2台が登場。カワサキ KLX250の陸上自衛隊仕様だ。
同時に高射教導隊所属の82式指揮通信車、通称「CCV」、愛称「コマンダー」が警戒エリアを偵察する。
CCVの武装も12.7mmM2重機関銃。
ピットロード東名:1/35 陸上自衛隊 82式指揮通信車のリアルなプラモ
敵部隊からの攻撃を受け、高射教導隊と習志野第1空挺のコラボで敵陣方向に応戦する。
偵察バイクの隊員のライフルは89式折曲銃床式。
さらにこの後、作戦部隊司令官が偵察隊に敵情の解明を命じ、偵察オートバイはグランド右奥の敵陣へと進んだ。
後方では91式携帯地対空誘導弾「PSAM」を構える。または「携SAM」とも言う。これは低空域の高速機と攻撃ヘリコプターの地上攻撃に対処するため。
操作人員は2名で重量は17kg。
ここで、作戦部隊司令官は高射部隊、および攻撃隊に前進の指令を出し、平成11年より下志津駐屯地に配備された03式中距離地対空誘導弾「中SAM」の発射機がグランド中央に布陣し射撃体勢を整える。
続いて攻撃部隊が前進。まずは習志野第一空挺団所属の軽装甲機動車「LAV」2輌が先陣を切る。ガナーは5.56mm×45弾を使用するミニミ軽機関銃を構える。LAVは7.62mm×51ライフル弾程度なら防御できるとのこと。
陸上自衛隊 軽装甲車 中央即応集団 1/43のリアルな完成モデルがこの価格!!
つづいて73式装甲人員輸送車「APC」が、96式装輪装甲車「クーガー」と併走して登場。
APCは兵員8名を収容できる。武装は12.7mmM2重機関銃と、車体前面に車載型7.62mm機関銃を備える。
前進し、乗車する隊員を展開していた。
次に93式近距離地対空誘導弾「近SAM」が登場し、攻撃部隊の対空掩護を行う。
攻撃範囲は下志津からだと5km先の千葉駅上空くらいまでをカバーする。
91式携帯地対空誘導弾と同じミサイルを使用する。
続いて、ブァルルルルッと大きなディーゼルエンジンの音を響かせて、87式自走高射機関砲(87AW)「スカイシューター」が登場。近SAM同様、攻撃部隊の対空掩護を行う。攻撃範囲は近SAMよりやや短く4km先程度までをカバー。
アオシマ 1/48 陸上自衛隊 87式自走高射機関砲 リモコンAFVを走らせて遊ぶ!!
敵陣方向に布陣する攻撃部隊。
次に81式短距離地対空誘導弾(C)「短SAM」の発射機が登場。
グランド中央に停車し、射撃準備を整える短SAM発射機。
続いて短SAMの射撃統制装置。
アンテナを立てて回転させ、航空機を捜索・追従する。
この頃、近SAM部隊と87AW部隊は射撃準備を完了し、敵航空機を迎え撃つ体制を維持している。
短SAMの目視照準具。
グランド左端では習志野駐屯地の航空自衛隊が所有する地対空誘導弾、ペトリオットミサイルPAC-3が発射機を持ち上げて射撃準備を整える。
PAC-3はナイキJの後継として、弾道ミサイルを高度約90kmで迎撃するために、平成19年(2007年)に埼玉の入間基地への配備を皮切りに、現在では千葉県、神奈川県、茨城県、静岡県、岐阜県、福岡県にある航空自衛隊基地に合計15個システムが配備されている。
その横には監視システムのレーダーや、ミサイルの発射を一手に統制する中隊指揮装置(BCC)があった。
ペトリオットミサイルはスタンダード、PAC-2、GEM、PAC-3の4種が搭載可能で、PAC-3は弾道ミサイル撃墜用のミサイルを1つのキャニスターに4発格納する。スタンダード、PAC-2、GEMは航空機用のミサイル。
通常は射撃管制装置(ECS)、レーダー装置(RS)、複数の発射機(LS)、UHF通信を行うアンテナ・マスト・グループ(AMG)で一個高射隊を構成する。
弾道ミサイルは発射されてから上昇過程は海上自衛隊のイージス艦が撃墜を担当、その撃ち漏らした弾道ミサイルを水際で迎撃するのが航空自衛隊ペトリオットミサイルPAC-3の役割だ。
PAC-3は発射機から発射されると1段式固体ロケットモーターで推進し、4枚の操舵翼とサイドスラスターで制御される。ミサイルは初期、中期誘導を経て終末誘導ではアクティブシーカーで目標を補足し誘導される。
隊員によると、より命中精度を高めるには落下地点になるべく近い位置で発射・迎撃するのがよいとのことだった。
グランド外の建物の屋上には対空レーダー装置P14が設置されており、このレーダーは下志津から300km離れた三島、名古屋、仙台上空の航空機を発見することができる。
グランド中央奥には低空レーダー装置P18がアンテナを伸ばしていた。この装置は低空で接近する航空機やヘリコプターを発見する。
なお、P18は下志津から50km離れた浦和、霞ヶ浦、横浜上空の航空機を発見することが可能。
射撃準備を整えるため、ミサイルの格納されたキャニスターを垂直まで立てる中SAM。
中SAMは下志津から40~50km離れた富津、横浜上空の航空機を攻撃することができる。
短SAMが射撃準備を整えるためミサイルを搭載する。短SAMは約10km先までの敵機を攻撃できる能力を有する。
短SAMは陸上、航空、海上の全自衛隊に配備されており、陸上自衛隊においては全師団に配備されている。
毎年、北海道で実弾射撃訓練も実施している。
ここで、すべての部隊の射撃準備が整った。
4機の敵航空機が接近してくる想定で、作戦部隊指揮官は空襲警報を発令、駐屯地内にサイレンの音が響き渡る。
ドーム状の偽装カバーが解かれ、ホーク部隊が戦闘体制へ移行する。
東京湾上空に敵機が接近!!
作戦部隊指揮官は全部隊に対空戦闘を命じる!!
想定敵機が建物の上に姿を現すも、強風により煽られまくり(^_^;。
中SAMが射撃!!
上空ではAH-1S「コブラ」対戦車ヘリコプターが地上を掩護する。
このコブラは木更津駐屯地、東部方面航空隊 第4対戦車ヘリコプター隊所属。
新たな敵航空機をP18レーダーにより発見、作戦部隊指揮官は短SAM、近SAM、87AWに対空戦闘を命じる。
短SAM部隊が射撃を実施。
射撃雰囲気を盛り上げるため、ダミーながら煙幕を炊くと、やはりそれなりの雰囲気が出てカッコイイ。
続いて近SAM部隊が射撃を実施。
同時にクーガー、CCV、APCの12.7mm機関銃も火を噴く。
見事、敵航空機を撃墜!!
作戦地域の空襲警報が解除され、作戦部隊指揮官が敵部隊の撃破を命じると攻撃部隊が突撃を開始。
左奥の丘の上に味方部隊の旗を掲げると戦闘訓練展示は終了となった。
この対空戦闘訓練は約30分だった。
グランドには衣料品や、焼きそば、お好み焼き、フランクフルトなど飲食の露店がたくさんでていて、ちょっとしたお祭り気分。この日は暖かく、天気もよかったので、多くの家族客で賑わっていた。
PXでしか売っていないようなお土産用のお菓子も販売していた。
これは戦車せんべい「戦 TK90」。
なんと、SDF(Self Difence Force=自衛隊)のカップヌードル!! カモフラージュ柄の日清焼そばもあったが、売り切れていた。
子供に大人気のおもちゃの鉄砲。
こ、これは東京マルイもまだモデルアップしていない、SCAR-Lだったりして。
ちょっと欲しかったりして、子供達をかき分けて、大人げなく撮影(^_^;。
AH-1Sコブラ対戦車ヘリコプターが着陸して展示されていた。
高機動車の体験試乗も。
千葉地方協力本部のキャラクター。
左から陸自の千葉 衛(ちば まもる)くん、千葉 未来(ちば みらい)ちゃん、千葉 翔(ちば かける)くん。
陸、海、空のキャラがそろい踏み。
名字が同じってことは兄弟なのか?
つつじ祭りということもあって、駐屯地内にはつつじが満開!!
みなさんも是非一度行ってみてはどうだろうか。
[パート1 日本の対空装備] [パート2 観閲行進] [パート3 対空戦闘訓練]