20式5.56mm小銃 自衛隊の制式ライフル 解説
自衛隊が2020年に制式採用した20式5.56mm小銃を詳細な実銃写真で解説する。本稿では2023年と2024年に静岡県御殿場市の板妻駐屯地周年記念行事にて展示された20式小銃の写真で紹介。
ドットサイトとスコープが搭載された2丁が展示。20式小銃は2024年度時点で28,057丁が納入されている。直近の年度では約1万挺が納入されているのでこのペースで有れば89式と同じ15万丁を納入するのにあと12年かかる計算だ。
フラッシュハイダーは3ポート仕様。サプレッサーも取り付けられるはず。
マズルはただの丸ではなく、ポートに対応した切り欠きがある形状となっている。
M-LOK対応のアルミ製ハンドガード。バレルは根元にいくにつれて太くなっているテーパー形状だ。
コッキングハンドル下にM-LOKのマーク、ハンドガードの隙間から僅かに見えるショートストロークガスピストンのユニットとスプリング。
折り畳み式のフロントサイトはレイルから取り外しできる。バレル上部には三段階調整可能なガスレギュレーターを備える。小さい凹みが・、:、∴となってポジションを識別できる。
ガスレギュレーターの構造とハンドガードの肉厚が分かりやすいアングル。
アイアンサイトの左側にボタンがあり、これを押しながらロック解除して起倒する。
フロントサイトピンは角断面。
ガスレギュレーター横にレギュレーターダイヤル解除用スイッチ。レイル左面に米MAGPUL社製のM-LOKスリングスイベル。バレル下にバヨネットラグ、その後ろに銃架用の穴(GLX-160用)がある。
一丁のレイル右面には官品のSUREFIRE SCOUT LIGHT M300Cを装着。テイルはダイレクトスイッチとリモートスイッチの2本出し。
スカウトライトには納入業者のサイトロンジャパンのレーザー刻印も入っている。
レシーバー右面にはエジェクションポート、その後ろに金属製のケースディフレクター。その下にボルトストップレバーとマグキャッチボタン。ア(安全)、タ(単発)、レ(連射)のセレクターレバーも含めアンビ仕様で両側操作可能となっている。
アッパーレシーバーはアルミ製、ロアレシーバーは強化樹脂製。マガジンハウジングには20式5.56mm小銃、CAL5.56x45mmの刻印。マグウェルも89式に比べると大きくなり操作性が向上。
右面のセレクター刻印のみ、文字の周りが縁取りのような盛り上がりがある。擦れ防止だろうか。
ケースディフレクターにはカートキャッチャー固定用の切り欠きがある。ボルトにある小さなピンはファイアリングピン固定ピン。
コッキングレバーはボルトと連動して後退する。射撃時にも前後するレシプロケイティング式はSCARを参考にして開発されたからだろう。閉鎖方式はターンロックボルト方式。ロッキンリセスが見える。
ロッキングラグはシルバーカラー。汚れが見えやすそうだ。
レシーバー左面。シリアルナンバーは009129.ロアレシーバーにはHowaロゴ、MADE IN JAPANの刻印。
搭載されるスコープはDEON光学技研製のMARCH-F 1-8倍ズームスコープの自衛隊仕様。
こちらの20式にはAimpoint製のCOMP M5ドットサイトが搭載。Aimpoint純正、1.54インチ高のLRP QDマウントで搭載される。レシーバートップにはレイルガイドナンバーが刻印されるが、ハンドガードのトップにはナンバーはない。
セレクターの動き。安全位置。ハンマーが落ちている状態ではセーフポジションには入らない。M4カービンや89式と同様の仕様。
この角度まで回すと単発、つまりセミオート射撃。
さらにこの位置まで回すと連発、フルオート射撃となる。・のところまで回りきらないようだ。
ボルトと一体で動くコッキングハンドル。ハンドルは左右に付け替え可能。
アッパーレシーバーにはチャンバーブロックを固定するためのネジが3本もある。さらにその下にはハンドガードから続くガイドがあり、ここもM-LOKとなっていて短いレイルが取り付けられる。右レイルにはカートキャッチャーを取り付けることもできる。
リアサイトも折り畳み式で、レイルから取り外しもできる。ダイヤルで上下左右の調整が可能。ロックボタンで起倒するのはフロントサイトと同じ。
リアサイトの左右調整ダイヤルにはLRの刻印。アッパーレシーバー後端はピカティニーレイルではなく、リアサイトのダイヤルが収まる部分が少し凹んでいる。レシーバーにはHowaロゴとMADE IN JAPANのレーザー刻印。
グリップは開発初期は米BCMのGUN FIGHTER GRIPだったが、量産版では豊和工業オリジナルの、とは言っても形が似ているが、樹脂製グリップとなった。AR互換で底部に蓋があり内部がコンパートメントスペースとなっている。
ストックは5段階伸縮。左側にあるロックボタンを押して伸縮する。バットプレートはゴム製。
チークパッドも上下二段で調整できる。
マガジンは米MAGPUL社製PMAG 30 GEN3 M3 Window。5.56mm x 45弾を30発装填でき、残弾が側面の窓から確認できる。
スイス B&T(Brügger & Thomet)社製のUnigripを装着。ODレバー付き、グリップ部分は樹脂製、脚はアルミ製。
PMAGを装填した状態。
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