VFC ガスガン Colt Mk18 MOD1 TAN GBBR DX
レポート:戸井 源太郎
NAVY SEALsでも愛用されていることから日本でもファンが多いMk18 MOD1、それもVFCのガスブローバックのレビューをお贈りいたします。
VFC Mk18のガスブローバックは7、8年前には発売されており、当時からリアルさ、質感、リコイルから定評がありました。実は当時、借りて撃ったことがあります。正直、海外製ということであまり期待していませんでしたが、20mで20cmくらいのプレートには当たっていたので、びっくりした記憶があります。
その後、VFCのガスブローバックはある程度、旧モデルとの互換性を持ちつつ、3回改良がされています。直近の改良は去年ということで、そのモデルは2015年バージョンと言われています。
今回はその2015年バージョン、もちろん正規日本代理店取り扱いの日本用に調整されたJP.verで徹底テストを行ってみたいと思います。
Mk18は2000年初頭からNAVY SEALsや船舶の臨検部隊で使用されています。
簡単にいうとMk18は米海軍が採用しているM4 CQBRといってよいでしょう。CQBRとは「Close Quarter Battle Receiver(近接戦闘用レシーバー)」の略であり、文字通り屋内など狭いところで取り回しがよいようにショートバレルのアッパーレシーバーを搭載したモデルと解釈してよいでしょう。つまり銃本体ではなく、アッパーレシーバーを指します。
そして、このMk18にはフラッシュライトやダットサイト用のバッテリーが収納できるクレーンストックが装備されていますが、実はこのストックは海軍海上戦センター、クレーン部門(NSWC-Crane)で開発されたものです。
ちなみに米陸軍では“M”ナンバーが与えられ、改良ごとに“A1〜”となっていきますが、海軍では“Mk(マーク)”で改良ごとに“MOD0〜(モディフィケーション)”と表記していきます。
そしてMk18の0と1の違いは、MOD0はナイツのRIS、MOD1ではダニエル・ディフェンス社のRISIIを搭載しているところでしょう。
ちなみにMk18といっても大量に保管していたM16A1のフレームを流用しているようです。バレルも当初は、切ったりしていたそうで、10.3インチだったり、10.5インチだったりしていたようです。
つまりミリタリーナンバーが与えられていても細部は微妙に違ったりする場合も多々あります。調べてみるとアッパーだけ支給されたものはCQBRで本体ごと支給されたものがMk18と区別していたりもするらしく、よくわかりません。
ぶっちゃけ海軍採用の近接戦闘用ライフルということでよいのではないでしょうか。
ウンチクがちょっと長くなってしまいましたので、早速VFCのMk18 MOD1をみていきましょう。
Mk18 MOD1 TANはDX(デラックス)モデルで、銃本体とDDレール他、レールカバー、フォアフリップ、フリップアップのサイトなどが標準装備されています。また各パーツがTANカラーになっており、銃本体のブラックとツートンのアクセントになっており、カッコいいですよね。
もちろんVFCでは渋いオールブラックモデルもラインナップしています。
フルメタルボディというだけでなく、高い工作技術と表面処理により、質感はかなり実物に近いです。構えてみてもバランスもよいですし、一切、ガタ付きはなく、ガッチリしています。もはや実銃のオーラが出ていると言っても過言ではないでしょう。
■スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||||
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付属品としてBBローダー、異様に長い六角レンチ、取説、VFCのカードが同封されています。
コルト刻印のシンプルでオーソドックスなフレームです。アッパーとロアで色調が違うところなどは実に本物っぽいです。
フレーム右側のマガジンハウジングは無刻印です。ガスブローバックなので、フォワードアシストノブもライブ、右側のセレクターも連動してインジケーターも可動します。
マガジンハウジングにはコルトのM4の刻印が彫り込まれています。Mk18にはM16のフレームのみではなく、M4からの流用もあるようです。VFCはコルトのライセンスを取得しているので、細かいところも忠実に再現してくれています。
ボルトストップ、セレクター、トリガーなど主要パーツもM4用のオーソドックスなものとなっています。ハンマーダウンしているとセフティの位置に入らない実銃と同じ構造になっています。
グリップはTANカラーのA2グリップを採用しています。電動ガンとは違ってリアルサイズなので、薄くて握りやすいです。もちろん実物グリップも装着できます。
エジェクションポートにみえるボルトの形状も非常にリアルにできております。ボルトもほぼフルストロークで後退、ホールドオープンします。
レールは米国ダニエル ディフェンス(DD)のRISIIを装着。エアソフト用ですが、DD社の正式ライセンスを取得しており、色合いもよく、エッジも立ち、美しく仕上がっています。残念ながらこのレールのみの販売はないそうです。
M4系の弱点であるバレル基部も6本のレンチでガッチリ固定しており、首周りがグラつくことはありません。
VFCのMk18にはナイツタイプのレールカバーが2枚付属してきます。ロックはドライバーの柄などで押し付けると脱着しやすいですよ。
DDのRISIIは両サイドのネジを外せば、下面を外せます。
以前のバージョンではホップの調整ダイヤルはアウター基部にありましたが、2015年バージョンでは、ホップ調整ダイヤルの位置は変更になりました。場所については後述します。
フレームからRISIIまでピカティニーレールのフラットトップなので、光学機器他、様々なアクセサリーが装着できます。
VFC Mk18にはナイツの刻印が入ったバーティカルフォアグリップが標準装備されています。
RISIIは可能な限りレールを配するため、バレルギリギリまでレールが覆っています。アウターバレルはMk18用の10.5インチを搭載しています。KACのスチール製QDフラッシュハイダー(M14逆ネジ)が標準装備です。
フロントサイトはナイツタイプのフリップアップが標準装備されています。カラーもTANとなっており、よいアクセントとなっています。
リアサイトもフロント同様にナイツタイプのTANカラーが装着されています。
ストックはTANカラーのクレーンタイプです。ストックは6段階に伸縮します。もともとクレーンストックは海軍で開発されたものなのです。
ストック基部にはCQDタイプのスリングスイベルを標準装備しています。
ガスブローバックなので、実銃同様の分解が可能です。ピン1本抜けばテイクダウンでき、ボルトキャリアを取り出せます。
ボルトキャリアはアルミ製だと思いますが、重量207gでずっしりとしています。ボルト形状もよく再現されています。
M4のボルトの特徴である歯車型のロッキングラグもリアルに再現しています。ロッキングラグのみ樹脂製となっています。
アッパーレシーバーを後ろからみてみると、チェンバーの下に小さな穴があります。ここに6角ネジがあり、ホップアップ調整できるようになっています。
付属していた異様な長さの六角レンチはこのホップの調整用に使用します。しかし毎回テイクダウンをしてボルトを抜かないとホップ調整できないとは非常に面倒です。
トリガー周りの作りも非常にリアルです。ハンマーやセレクターはスチール製となっており、今までみたガスブローバックの中では一番実銃に近いのではないかと思います。
バッファースプリングもストックパイプの下にあるストッパーを押せば、実銃同様に取り出せます。軽量のハイスピードバッファーが標準装備です。アルミ製で重量は62gです。
マガジンは上部が別パーツとなっているWAと同じような構造です。装弾数30発、重量は421gです。そしてよくみると5.56mmX45の表記、マガジン底部にはHKの刻印が入っており、HK416のマガジンです。間違って同梱されたのかと思いましたが、HKマガジンが標準装備なのだそうです。
そういえば、米軍でスチール製で丈夫ということでHKのマガジンのみ採用しているという話を聞いたことがあります。そのためHKマガジンが標準装備なのでしょうか?
ガスの注入口の位置もWAのものと同じです。海外製の中ではガスが入っている感じはわかりますが、満杯になったかがわかりにくいですね。
工具の類を使わず、実銃と同じやり方でここまで分解ができます。作り、質感も非常にリアルです。
実射テスト
今回は海外製ガスブローバックということで、まずは距離30mの人物大ターゲットで試射を行うことにしました。今回はBB弾は東京マルイの0.2g(初速測定)、0.25g他、ギャロップの0.25g、G&Gの0.28gと各種BB弾を用意しておきました。
まず、試射の前にちゃんと動くか動作確認を行います。マガジンを挿入し、チャージングハンドル引くきます。このカチッとした金属が動く感触は堪りません。
トリガーを引くと強烈なリコイルが頬、肩にきます。そしてボルトの金属音が頭に響いてきます。数あるガスブローバックM4の中でも最強レベルのリコイルだと思います。トリガーのゴリゴリ感、シアが落ちる感触、リコイルと実銃に最も近い印象を受けました。
動作確認ができたところで、ホップ調整ですが、これが非常に面倒です。1、2発試射して、テイクダウンしてボルト抜いて、レンチで調整し、ボルトを組み込み、試射を行うという一連の手順を何回も繰り返さなければなりません。そして、その調整には苦労しました。
海外製エアガンにありがちなのですが、ホップはかなり強めで、最弱にしても0.2gでは浮き上がってしまいます。0.25gで調整してみましたが、まだ浮き上がり、まっすぐな弾道を得られません。0.28gだとまっすぐな弾道になる前にドロップします。30mの人物大でもなかなか当てることができません。まるで『スターウォーズ』に出てくるジェダイのフォースにより弾道を曲げられているかのようにターゲット直前でBB弾が避けていきます。また強ホップが多いですがたまにドロップしたりと全体的に弾道が安定しません。
しかもホップを調整した最初の1発はまっすぐ飛びます。「お! いい感じ!」と思ったの束の間、次弾以降は乱れます。調整するたび、一喜一憂でしたね。
フルオートではサイクル、リコイルといい感じですが、それもやはり全体的にホップ強めでした。
フルオートで1マガジン撃ち尽くしテストでは、途中サイクルが遅くなりつつも最後は持ち直し、ボルトストップもちゃんとかかりました。作動面では問題はありませんでした。
弾道がこれほど安定しないとは、予想外の結果でした。おそらくホップ及びチェンバーパッキン周りに問題があるのでしょう。
マガジンからチェンバーにBB弾が装填されるバレル基部のフィーディングランプも亜鉛むき出しなので装填に影響を受けているかもしれません。
ネットで調べてみると別機種ですが、VFCのM4系ガスブローバックに皆さん苦労しているようです。
ガシガシ動いて、ちゃんと弾も発射されるので、故障・トラブルには該当しないと思いますが、海外製のトイガンで一番困るのはなにか問題があった時です。初期不良なら購入店で交換もしてくれますが、故障、破損した場合はパーツの取り寄せもできず、アフターサービスが受けられないことがあります。しかしVFCは日本代理店としてVFCジャパンがあるので、その点では安心できます。
また日本の法規制、パワーソースであるフロン134aに合わせて、調整したJP.verを展開しているのも嬉しいですね。VFCジャパンではJP.ver用のシリアルナンバーで管理しており、並行輸入品とは差別化しているそうです。
それと、もう一つVFC製品の評価すべきところがあります。それは純正のパーツ販売をしているところです。細かいパーツもほぼラインナップしており、トイガンショップで購入できます。日本のメーカーも見習って欲しいですよね。
総評
VFCは、実銃メーカーのライセンスも取得しており、電動、ガスブローバックとも外観の完成度には以前から定評があります。
Mk18はその評判通りのリアルな外観、各パーツのエッジ、フレームの色合いや質感など素晴らしい出来栄えです。また手にした時の剛性感、特に電動ガンとは違う薄いリアルサイズグリップにトイガンとは思えないリアリティがあります。
それだけに命中精度に関しては、実に惜しいです。
命中精度に関して、不満はあるもののインドア用の近接戦闘用と割り切れば、充分満足に値する1丁だと思います。
実射テスト後、命中精度向上に関して、調べてみるとチャンバーが電動ガン用から2015年バージョンでVSR-10構造に変更されたようです。またASTという海外メーカーのMapleLeaf Monsterホップパッキンが相性がよいという話もあります。
そしてVFCでは上記の大きな3回の改良だけでなく、小まめに改良もしているようですので、早い段階で、パッキン周りも改修してくるかもしれません。
撮影協力:ビレッジ2、VFCジャパン
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