タナカワークス エアガン Kar98k AIR

タナカワークス エアガン Kar98k AIR

レポート:戸井源太郎

今回はタナカワークスのドイツが誇った銘銃Kar98kをレビューします。他社からはカート式やガス式など様々なトイガンが発売されていますが、このKar98kはケースレスのエアコッキングガンで2013年に発売されています。
タナカはモデルガンメーカーでもありますので、外観だけでなく、刻印まで美しい仕上がりです。実射性能はどうでしょうか? メーカーから商品をお借りできましたので、早速テストを行いたいと思います。
ちなみに同社からはマガジンにリキッドチャージするガス式のKar98kや、弾を発射しないモデルガンのKar98kも発売されています。

第2次世界大戦のドイツ軍の主力ライフル
モーゼル(マウザー)社が開発したKar98kは言わずと知れず、第2次世界大戦のドイツ軍の主力ライフルです。1935年に採用され、正式名称はKarabiner 98 Kurzです。Karabiner(カラビナー)は騎兵銃、Kurz(クルツ)は短いという意味です。98はKar98kのベースとなったGewehr 98が採用された1898年からきています。

つまり馬上で扱うことを前提に全長が短めの騎兵銃で、さらに短いライフルということです。しかしそれでも全長1m超えなので、全然短いとは思えないのですが……。

口径は7.92 X 57mm弾で構造、信頼性、命中精度など優れた性能を持ち、1945年のドイツの敗戦までヨーロッパ各地、北アフリカと極寒地から熱帯とあらゆる気候条件下でドイツの主力ライフルとして活躍しました。
しかもなんとその生産数は一説には第2次世界大戦までで1,500万挺といわれています。
戦後も残されたKar98kが世界各地で使われました。意外なところでは、イスラエルで7.62mmのNATO弾に仕様変更したものを一時、使用していました。

Kar98k AIR 左
Kar98k AIR 右 主要パーツはメタル製(亜鉛ダイキャスト)、ストックはリアルウッドで、その仕上げも落ち着いた茶色で、渋く仕上がっています。余計なものが一切ない洗練された姿は美しいです。

スペック & 弾速データ
全長 1,103mm
重量 3,500g
銃身長 --mm(インナーバレル長)
装弾数 6mmBB弾 24発
定価 63,000円(税別)
発売日 2013年2月14日

最高 79.71m/s
平均 77.87m/s
最低 76.49m/s
ジュール 0.606J
※東京マルイ ベアリングバイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ固定、気温22度、湿度35%、XCORTECH X3200にて10発での測定。

パーツリスト

ボルトアクションライフルのメカ
エアコッキングで忠実に再現
ボルトアクションライフルのメカをエアコッキングで忠実に再現しています。
またリアルウッドも使い古されたような濃い仕上げで美しいだけでなく、手触りも優しく暖かく、至高の出来栄えです。

主要部品は亜鉛ダイキャスト
主要パーツは亜鉛ダイキャストで、リアルに仕上がっています。もちろん操作も実銃同様に可能です。
シリンダー部はガンメタルメッキ仕様ですが、実銃のボルトは機関部と同様鋼色です。トイガンもここはもう少し黒っぽくして欲しかったですね。

ボルトハンドル
ボルトハンドルを90°上げて引きます。ストロークは約65mmです。エアコッキングとは思えないほどコッキングも軽く、速射もできそうです。

シリンダー
ラックギアを介したタナカ独自のコッキングメカを内蔵していますので、コッキングストロークは短くスムーズで、かつマガジン位置もリアルとなっているのが特徴です。この部分はM40A1 AIRのメカを継承しています。

アウターバレル
アウターバレルも亜鉛製で、リアルに再現されています。クリーニングロッドはダミーでほぼ露出部分しかありません。

スリングスイベル
ストックの前部留め金がスリングスイベルになっています。

ストック
ストックは全体的に少し丸みを帯びており、形状も絶妙です。頰に優しく触れます。
グリップに当たる部分も角度が浅く、自然に違和感なく握れます。意外と人間工学に基づいているのですね。

バットプレート
バットプレートはシンプルなデザインです。この部分はスチールプレス製となっています。

トリガー
トリガー周りはいたってシンプル。コッキングした状態ではトリガーの遊びほとんどなく、トリガープルは軽く撃ちやすいです。

セフティ
セフティは実銃と同じ位置で同操作ができます。左がファイア状態で、180°回転させた、右がセフティ状態です。ただしセフティはコッキング状態でないと操作できません。

フロントサイトガード
フロントサイトは完全に覆われたガード付きです。

フロントサイトは左右調整が可能
ガードは前方に引き抜くことができます。そしてフロントサイトは左右調整が可能です。

リアサイトはタンジェント式
距離に応じてサイト高を調整
リアサイトはタンジェント式で、リーフスライドを操作して、距離に応じてサイト高を調整します。リーフキャッチは左側にあります。縮尺は2,000mまで100m刻みになっています。

ホップ調整
リアサイトを上げると可変ホップアップの調整レバーがあります。レバーを前にするとホップが掛かります。クリック感もあり、ホップがどのくらいかかっているのかが一目瞭然です。

1943年モーゼル社「byf」刻印仕様
このタナカのKar98kは主要メカがメタル製、美しいリアルウッドが特徴でありますが、もう一つの特徴がリアルな刻印にあります。タナカでは、1943年モーゼル社「byf」刻印仕様と謳っています。「byf」がモーゼル社を表します。下の「43」は1943年製ということです。

ドイツ陸軍承認スタンプが刻印
バレル基部右側他、各所にドイツ陸軍承認スタンプが刻印されています。下の数字が製造メーカーを表しています。

製造番号と射撃試験合格を示す国家鷲章の刻印
バレル基部左側には製造番号と射撃試験合格を示す国家鷲章の刻印が施されています。

モデル名「Mod 98」の刻印
さらにその後方にはモデル名「Mod 98」の刻印。その下は「ASGK(日本遊戯銃協会)」とタナカの刻印があります。

国家鷲章の刻印
国家鷲章の刻印
ストック右側、バットプレートにも国家鷲章の刻印があります。

タナカのKar98kはマガジン式
実銃のKar98kはボルトオープンの状態から5発装填されたクリップを上から入れますが、タナカのKar98kはマガジン式です。トリガーガード前部分がマガジンとなっています。

マガジンキャッチ
トリガーガード内側前にマガジンキャッチがあります。ここは実銃にはないエアソフトガンオリジナルの機構です。

マガジンが出てきます
レバーを押すとマガジンが出てきます。装着する場合は写真のようにマガジン前方を先に入れてから押し込みます。

マガジン
マガジンは底部以外はプラ製です。装弾数は24発です。シースルーになっており、残弾が確認しやすいです。

BBローダー
BB弾の装填
BB弾の装填には付属のBBローダーで行います。ローダーには15発しか入らないため、装填作業を2回行う必要があります。またフォロアーをロックできるので、手間ですがローダーを使わず、一発ずつ装填することもできます。

実射テスト

実射テスト
実射テストでは、距離は30と40mで行いました。使用BB弾はいつもと同じ、東京マルイのベアリングバイオBB0.2gと0.25gを用意しました。
ターゲットはオリジナルの直径18cmの丸プレートとA3サイズ(29.7cmx42cm)のスチールプレートになります。

まず、ホップの調整ですが、大きめのレバーで操作しやすいです。またBB弾の重量の違いもレバーの位置を覚えておけば簡単に調整できます。

そしてその弾道はまっすぐ素直でした。
距離30mでは0.2g、0.25g弾のどちらともA3サイズはほぼ確実にヒットできました。
0.25g弾では直径18cmのプレートにもアイアンサイトでビシバシヒットできます!
0.2g弾でも18cmプレート狙撃は可能でしたが、風の影響を受けやすいため、精度は0.25g弾の方に軍配が上がります。

0.2gと0.25gで射撃
次に40mで0.2gと0.25gで射撃を行いました。この距離でもどちらのBB弾でもA3サイズになんとか命中させることができました。 ただ、アイアンサイトで狙うのはちょっと難しいですね。
40mでこの結果は充分すぎる結果かと思います。

また射撃をしていてコッキングが軽いことに驚きました。古い銃なので、ボルトハンドルの形状は扱いやすいとは言い難いのですが、軽く、スムーズに操作が可能です。そして後退距離が約65mmというショートストロークということもあり、速射も可能です。

試しに距離50mでも射撃テストを行って見ました。タンジェントリアサイトの距離を最大にして、さらに頭2個分くらい上を撃てば、なんとかボディにヒットは可能ですが、このあたりが最大射程距離でしょう。初速が平均で80m/s以下で、上等だと思います。この性能なら初速が85m/s程度あれば、距離50mでも有効射程範囲内だったかもしれません。
初速について、メーカーに確認したところ、量産品の初速は90m/s前後で設定されているが、お貸しした個体はスプリングが少しヘタっていたのかも、とのことだった。

それでもエアソフトガンで距離40mで、A3サイズにビシバシヒットできる精度なら優秀だと思います。正直いってここまで高精度とは想像もしていませんでした。この結果には驚きました。



総評

総評
美しいリアルウッドのストックと主要機関部はメタル製と実銃の重厚な外観を忠実に再現しており、実銃よりリアルにできているのではないでしょうか(笑)。見た目の美しさ、手にした時の質感からタナカの高い工作技術が伺えます。

実射性能も飛距離、精度ともに期待以上の結果を得られました。ケースレスのマガジン式で装弾数24発はサバゲーでは充分でしょう。そしてホップレバーの位置も目立たず、しかも操作しやすく、ここも注目に値する箇所です。

リアルさを重視しつつ、エアソフトガンとして高い精度を両立させた完成度の高い1丁といえます。
価格も63,000円(税抜)と決して安くはありませんが、リアルウッドのストック……この美しいクオリティなら、むしろリーズナブルと思えるのではないでしょうか?

さらにタナカからモーゼル ZF41スコープ&マウントセット/12,800円(税抜)、モーゼル 98k 革製スリング/9,800円(税抜)とアクセサリーも充実しています。
レビューしてみて、このモーゼルKar98kは自信を持ってオススメできます。

困ったことに私も触って、撃ってみたらどうにも欲しくなってしまいました。

 

撮影協力 ビレッジ2、S&Graf、タナカワークス

2018/01/11

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