タナカワークス ガスガン S&W M327 Performance Center M&P R8 5inch HW Ver.2
レポート:戸井源太郎
シリンダーがガスタンクとマガジンを兼ねるタナカ独自のケースレスリボルバー、ペガサスシリーズからS&W M327パフォーマンスセンター M&P R8 が2017年7月にリニューアルして発売されました。
ペガサスメカのVer.2化により、気化効率の見直しにより性能UPしているとのことです。
今回はタナカからお借りしたサンプルで、実際に撃ってレビューしてみたいと思います。
S&W M327パフォーマンスセンター M&P R8 は.44マグナム弾用のために設計された大型Nフレームに357マグナム弾を組み合わせたM27の発展型です。
ベースとなったM27は.357マグナム弾を使用する初の量産銃で、1935年に発表されました。それを現代戦に対応できるようS&Wのカスタム部門であるパフォーマンスセンターにて大幅に改良が施されました。
一番の注目点は装弾数が6連発から8連発になったことでしょう。もうNフレームと使用弾以外、全く別の銃に生まれ変わったといってよいでしょう。
M&Pの名称からわかる通り、法執行機関向けに設計されたタクティカルリボルバーをタナカで完全再現!
Ver.2化により、実銃同様の刻印、ペガサスシステムの気化効率の見直しが行われ、ヘビーウェイト素材採用により、重量は実銃とほぼ同じ1kgを実現しています。
スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||
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複雑な形状のバレルを忠実に再現しています。バレルの右側には「M&P R8」の刻印、銃口付近には8発のシリンダーを表す図柄があります。
バレル左側には「S&W 357 MAGNUM」の刻印が入っています。
現用拳銃には必須のアンダーマウントレールも搭載しています。
M327では.44マグナム用のNフレームを採用しています。右面のサイドプレートは金属製ですが、フレーム自体はヘビーウェイト素材です。
ハンマーはM27のものをそのまま踏襲しています。大型のハンマーですが、動きは非常に滑らかで、重くありません。シングル・ダブルアクションのどちらでも射撃可能です。
トリガーガード周りのパーティングラインもしっかり処理されています。幅広のトリガーは溝がないシンプルなスムースタイプです。シングル・ダブルアクション、どちらの場合でもトリガーの遊びはありません。シングルアクションでは、ちょっと指に力を加えるだけで、即発射です。
最近のS&Wのリボルバーでは、事故防止のため、マニュアルセフティついており、タナカのガスガンもこれを再現しています。セフティはサムピースの上にあります。 付属のレンチで矢印方向に左に45°ほど回すとハンマーがロックされます。
ロックするとフレームとハンマーの間に「LOCKED」と刻印されたプレートが露出します。ロックされているかが一目瞭然です。これでハンマーとトリガーが完全にロックされます。
フィンガーチャンネル付きの1ピースラバーグリップです。メタルのウェイトが内蔵されて重量もあります。実銃用ではありませんが、S&Wの刻印や質感共にリアルに作られています。
グリップ底部にあるマイナスネジ1本でグリップが外せます。グリップ内は実銃と同様にハンマー用の板バネのみのシンプルな構造です。グリップ内にガスタンクがないリアルさはペガサスシステムの真骨頂と言っても良いでしょう。
トップにはマウントレールを搭載しています。素材は亜鉛ダイキャストのようです。
フロントサイトはホワイトドットのシンプルなタイプです。リアサイトはM19、M29などと共通の上下左右調整可能なものです。ブレードはVノッチです。
レールを装着した状態でもアイアンサイトで狙えるようになっています。
このM327 M&P R8の一番の特徴がシリンダーです。通常シリンダーには5〜6発装填のところ、こちらは8発装填です。そのためシリンダー径も大きく、サイズは約43mm径になります。ちなみにM19は約35mmです。
タナカのペガサス・システムではシリンダー内にガスタンクとマガジンが組み込まれています。
シリンダーの外側だけが回転するようになっています。シリンダーを矢印の位置に合わせます。その部分にBB弾が9発、各シリンダーに1発ずつで計16発の6mmBB弾が装填できます。
シリンダーの後ろ側にはダミーのカートリッジが再現されています。実銃のシリンダーの材質はチタニウムということですが、.357マグナム弾がほとんど隙間なく配置されています。これで強度は大丈夫なのかと心配になるほどです。
「GAS」と刻印されたカートリッジを写真の位置にシリンダーを回転して、ガスを注入します。モデルによってはガス缶とフレームが干渉して注入できないため、専用の延長ノズルが同梱されていますが、M327 M&P R8はシリンダー径が大きいため、そのままガス缶から注入できます。
M327 M&P R8はVer.2になって固定ホップ化されました。三日月形のホップラバーが見えます。
固定ホップ化についてタナカに伺ったところ、ホップのちょうど良いところを探すのがとても難しいので、多くの人に簡単に楽しんで頂けるよう0.2~0.25gで安定する固定ホップでセッティングしたとのことです。
トップ&アンダーレールが標準装備のM327 M&P R8は様々なアクセサリーが搭載できます。試しにX-300タイプのライトを付けてみましたが、ベゼル部分が露出しすぎですね。トイガンなら問題ないですが、実銃だと発砲炎で焦げちゃうのではないでしょうか? そもそもスイッチに指が届きません!
ライトはSURE FIREのXC-1、光学機器にはミニドットとの組み合わせがコンパクトで、よいのではないでしょうか。
試しにショートスコープを搭載してみました。.357マグナムの大口径リボルバーとスコープの組み合わせは、いかにも強そうですが……。
ライフル用のスコープではアイリリーフが短すぎで実際に狙うとこんな感じになります。ハンドガン用には腕を伸ばして構えた時に焦点が合うアイリリーフが長い専用のスコープが必要です。
実射テスト
直径18cmの丸いプレートと、A3サイズ(29.7cmx42cm)の四角いプレートの新ターゲットを使用して、距離20mと30mで射撃テストを行いました。 これまで使用していたマンターゲットに比べると一回り小さめのシルエットです。
使用弾はいつもと同様、東京マルイのベアリングバイオBB0.2gと0.25gです。
テスト時は約19.5℃と暑くもなく寒くもない心地よい気温でした。
実際に撃ってみたところ、0.2gではホップがやや強めで、30mではA3サイズのターゲットには、風の影響もあるでしょうが、なかなか当たってくれませんでした。20mでは30mより近い分、ヒット率が高まりましたが、全弾ヒットというわけにはいきませんでした。
0.25gの方がホップとの相性がよいようで、30mのターゲットにA3サイズに8割程度命中することができました。20mではほぼ全弾命中です。これは素晴らしい結果だと思います。
装弾数に関しても16発と、実銃の倍もありますし、インドアフィールドでの5分程度のゲームなら私の経験では、充分な弾数です。
シングル・アクションではトリガーは素直で、ストロークもほとんどないため、正確にトリガーを引けます。ブローバックもしないので、フリンチ(ガク引き)も起きません。
ダブルアクションはトリガーが多少重くはなりますが、ハンマーに連動した各パーツの動きは滑らかです。そのため、かなりの速射も可能です。ただストロークが長いので、慣れないとトリガーを引く時に銃がブレてしまいがちです。特に片手で正確に当てるのには練習が必要です。
実射性能としては、0.2g、0.25gと、どちらのBB弾でも30m以上の飛距離がありますが、実戦で使用するなら0.25gBB弾推奨で、有効射程は30m以内といったところでしょう。リボルバーという構造からグルーピングはオートに敵わないにしてもガスリボルバーとしては充分な性能だと思います。
総評
M327 M&P R8は現用装備に必須なレールマウントを標準装備し、光学機器、ライトやレーザーが装着できるタクティカルな装い、そしてマットブラックの質感、リアルな刻印などの外観の仕上がりも素晴らしいです。
もちろん実銃と同様にスイングアウトやセフティなどの操作が可能。そしてリアルなトリガー&ハンマーメカを搭載。さらにヘビーウエイト素材で実銃とほぼ同じの重量を実現しており、手にした時にずっしりきます。
実射性能もタナカのペガサス・システムがVer.2となり飛距離、精度ともかなり向上しています。距離30mでA3ターゲットを充分にヒットできるポテンシャルがあります。
また気温20℃程度なら16発全弾を連射しても極端に飛距離が落ちるなどなく、安定して撃てました。
またペガサス・システムで、よくいわれる初弾の初速が低い傾向も計測結果から改善されているように思われます。
テストで200発くらいは撃ちましたが特にトラブルも発生せず、順調にテストを行えました。
実射テストの結果、リアルな完成度、飛距離、精度と総合的にみて、合格点に達していると思います。
撮影協力 ビレッジ2
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