東京マルイ 電動ガン SGR-12【エアガン レビュー】
SGR-12は2016年11月に秋葉原で開催されたマルイフェスティバル3にて発表された、マルイオリジナルデザインの電動ショットガンだ。3発同時発射、秒間10発のフルオート射撃で毎秒30発もの弾幕を張れるという独自の機構を搭載している。
これは2016年1月に発売されたAA-12に搭載されたものと同じユニットで、電動フルオートショットガンのシリーズ第2弾となる。
スペック & 初速データ | |||||||||||||||||||||||
|
※東京マルイ ベアリングバイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ適正、気温26.6度、湿度59.0%、10ショット、X3200にて測定。 |
ブラックを基調としたパッケージデザイン。パッケージサイズは横930 x 縦330 x 厚さ110mm。
パッケージ内容は本体、マガジン、M-LOKレイル(S/M/L)、ウェポンコードラベル、保護キャップ、取説、SGR専用アジャストツール、六角レンチ3種、チャージャー、チャージングロッド、クリーニングロッド、BB弾少々。
ジッパー付きのビニール袋に取説が入っている。また、この中にはウェポンコードラベルと呼ばれるQRコードのシールが入っている。米軍などが銃器管理のために銃に貼るシールをイメージしている。ケータイのバーコードリーダーで読み取ろうと試したが、とくに何も反応しなかった。
SGR-12を構えた感触はズシリと重い。その重量は4.4kg。メカボックスがストック部まで入っているのでリアヘビーに感じる。ただ、全体がコンパクトなこともあり、バランスは悪くなく、AA-12に比べて圧倒的に取り回しはしやすくなっている。
アッパーレシーバーはアルミ押出材を切削加工しアルマイト仕上げされている。セレクターレバーは左側のみにあり、0の位置がセフティオン。3点のピクトグラムとS/Fの文字の組み合わせがセミ/フルオートのポジションを示している。
ロアレシーバーは樹脂製だが、きしむこともなく、剛性は非常に高い。
アルミ製アッパーレシーバーと一体になったハンドガード。フロントサイト下にスリングアタッチメントポイントがあり、これはネジを取り外して右側に付け替えることもできる。
ブラストガードのようなデザインのマズルフェイス。内部には3本のインナーバレルが見える。またアウターバレル上部にガスチューブも再現されている。
ハンドガード下部は先端部のみにピカティニーレールがあり、中央部分はM-LOKのスロットになっている。
アッパーレシーバーと一体になったトップレール。中央部分にはレールがなくM-LOKのスロットになっている。なおトップレールにはガイドナンバーなどの刻印は無し。
ボルトハンドルのノブを起こして引けば連動して反対側のポートカバーがオープンする。
ポートカバーがオープンすると内部に3本バレル個別の可変ホップアップ調節ダイヤルが現れる。
フロントサイト/リアサイトは樹脂製のフリップアップ式で、これはM4パトリオットHCと同じもの。フロントサイトは付属のアジャストツールでサイトピンを上下に調整できる。
リアサイトも同様に可倒式。倒すとピストルサイトとなるが、サイトラインが低くて使用は難しい。リアサイトは右側のダイヤルで左右調整可能。このフリップアップサイトはロック機構がないので不意に倒れてしまうことがあるのが難点。
グリップはパトリオットHCでも使用されたタンゴダウンタイプ。内部にモーターは入っておらず、気軽に他の電動ガン用グリップ交換できるのは嬉しい機能。
電子回路部にはQUAOと命名された2 x 2 FET回路が内蔵される。ただ、柔らかく長いトリガーストローク、秒間10発という回転数が起因して、トリガーの切れが良いとはお世辞にも言えない。
また、セレクターは矢印とレバーがAR系のように180度の位置関係ではなく、135度にアレンジされているので、どのポジションに入っているのか最初は混乱した。慣れれば問題ないのかもしれない。
付属のボックスマガジンは後ろ半分がシースルーでダミーのショットシェルが見えるオシャレなデザイン。スプリング給弾で装弾数は96発、つまり32ショット射撃可能。マガジン重量は390g。
トリガーガード前に左右から操作できるマガジンキャッチレバーがある。なおAA-12の大根おろしマガジンとも互換性がある。
BB弾の給弾口はマガジン後ろ側。マガジンを装填する際にはガイドレールに沿って差し込む。
ストックは固定式。チークパッドとバットプレートはラバーコーティングされている。
レシーバーエンドの両サイドにはスリングループが2ヶ所ある。
バッテリーはバット部に収納する。ストック底部のロックボタンを押しながらバットプレートをスライドして取り外す。
バッテリースペースにはミニ平型ヒューズとバッテリー電圧状態を示す赤いLEDインジケーターがある。
バッテリーの電圧が高すぎたり、低すぎたり何らかの異常値になるとパイロットランプが点滅・点灯し、メカボックスの作動が停止する仕組み。
ニッケル水素のミニSバッテリー(1300mAh)をこのように収納する。この日は純正ミニSバッテリーのほかに、7.4Vのリポバッテリーでも試してみたが、特に問題なく作動した。
S/M/L、3つのサイズのM-LOKレイルが付属する。このレイルは樹脂製で軽量。付属の六角レンチでレールをハンドガードに増設できる。ネジを緩め過ぎると固定金具が外れて落ちるので注意。
トップ、サイド、アンダーいずれにもレールを増設可能。ウエポンライトやフォアグリップの装着に便利だ。
実射テスト
今回はショットガンということも有り、距離20m~30mでの射撃テストを行った。東京マルイの0.2gベアリングバイオ弾を使用。
20m先のマンターゲットには3発がほぼすべて上半身にまとまる。この距離で敵と遭遇した場合の制圧力は高いだろう。
AA-12同様に、左右バレルのホップパッキンが斜めについており、意図的に弾道が広がるように設計されている。
したがって、30mの距離では弾がラッパ状に散って、マンターゲットに当たる時と当らない時がある。しかも着弾パターンは毎回変わるので、30mを超える距離では"狙って"マンターゲットに当てていくのは難しいだろう。
そういう意味では、SGR-12は秒間30発の弾幕を距離30m付近にフルオートで怒涛の如くまき散らして面制圧するためのウエポンだと言える。
少々上を向ければ40mの距離でも弾は届く。この距離ではホースで水を撒くように上から弾の雨を降らすといった、そんな戦術になる。
ドットサイトはあくまで20m以下の近距離戦での想定で。素早いエイミングに向いている。
もちろん別売オプションの装弾数3000発の電動ドラムマガジンも使用できる。もっともワントリガーで3000発を一気に撃てるわけではなく、こまめにボタンを押してモーターで巻上げる必要があり、3000発撃ち尽くす前にバッテリーが切れる可能性もある。
オリジナルデザインと侮ることなかれ。シルエット、ディティール共に、なかなかバランスの取れたカッコ良いデザイン。この宇宙戦艦的シルエットはツボにはまる人も多いだろう。ドラムマガジンを装着すると一段とゴツさが増す。
総論
東京マルイのSGR-12はAA-12で完成された電動フルオートショットガンのユニットをコンパクトに凝縮したことで、CQBエリアやインドアゲームなどで格段に取り回しがしやすくなり、その3点射の威力をいかんなく発揮できるようになったと言える。
重量が4.4kgと重いのが難点だが、リアヘビーも相まってバランスは悪くない。
あと気になるのは価格。AA-12からなんと1万5千円もアップしてしまった。いくらアルミレシーバーだからと言ってもこれはずいぶん強気に値付けしたなと思う。
マルイのオリジナルデザインということで萎えてしまうユーザーも多いかもしれないが、昨今の海外エアソフト事情や、北米の実銃AR事情を見ていると、オリジナルデザインであることに対してそれほど毛嫌いする状況でもなくなってきているような気もする。
むしろマルイにはオリジナルデザインのAR系電動ガンを早く作ってもらいたい。もちろんフルオート電動ショットガンで培ったFET技術や、次世代の機能を融合した、新世代電動ガンとして。
東京マルイは1996年に発売したSIG SG550電動ガンで電子制御3点バーストをいち早く実装している。M16A2にも3バースト機能を追加搭載する話もあったが実現されず、その後マルイは電子制御系技術から遠ざかってしまっている。
一方で海外トイガンメーカー、カスタムメーカーはここ数年、MOSFETやETU(電子トリガー)、ステッピングモーター等の技術を積極的に開発し、電動ガンに搭載してリリースし始めている。世界の趨勢で言えば、今後も電動ガンの電子化が進む傾向であることは明白だ。
電動ガンの生みの親である東京マルイには技術的な後れを取ることなく、次の世代へとさらに飛躍した製品を期待したいところだ。
■関連リンク
東京マルイ 電動ガン AA-12
東京マルイ ガスガン M870 タクティカル
東京マルイ ガスガン M870 ブリーチャー
東京マルイ ガスガン M870 ウッドストックタイプ
東京マルイ エアガン M3ショーティ
東京マルイ 電動ガン HK416 デルタ カスタム