東京マルイ 電動ガン HK416 デルタカスタム【エアガン レビュー】
HK416デルタカスタムが東京マルイから発売された。HK416はドイツH&K社が開発したM4カービンクローンで、ショートストロークガスピストンを採用したことでM4カービンより作動信頼性が高く、軍の制式採用こそされてはいないが、最前線へ派遣される特殊部隊の隊員らに支給されている。これらHK416は報道写真やミリタリーフォトによっても確認することができる。今回の製品名となっているデルタとは、米陸軍特殊部隊、第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊、通称デルタフォースを意味し、その隊員が使用している、という想定のカスタムHK416が今回レビューする東京マルイの次世代電動ガン、HK416 デルタカスタムというわけだ。
東京マルイのHK416 デルタカスタムは2012年12月に発売されたHK416Dをはじめとして、2013年12月発売のHK416 DEVGRUカスタム、2016年3月発売のHK416C カスタムに続くシリーズ第4弾。
系統的にはDEVGRUカスタムと同じベースモデルからの派生型で、DEVGRU同様10.4インチバレルのショートカービンだ。
■スペック&弾速データ
全長 | 711~787mm (ストック伸長時) |
重量 | 3,365g (アディショナルレイルx3、空マガジン、バッテリー含む) |
銃身長 | 275mm(インナーバレル長) |
装弾数 | 6mmBB弾 82発 |
定価 | 69,800円(税別) |
発売日 | 2017年3月9日 |
初速 | 最高:89.63m/s 平均:88.67m/s 最低:87.87m/s ジュール:0.786J |
回転数 | 734rpm (7.4Vリポ) |
今回もフライングスクワッドで購入。
パッケージはグレーの鉄板かコンクリ壁のような渋いデザイン。その作戦活動が秘密のベールに包まれたデルタフォースをイメージするかのように...。パッケージサイズは、横93cm x 縦33cm x 厚11cm。
パッケージをオープンするとブラックの内装に映えるタンカラーのデルタカスタムが現れる。パッケージ内容は本体、マガジン、オプションレール3枚と取り付けネジ、六角レンチ、アジャストツール、保護キャップ、充電コネクタ、バッテリーシール、チャージャー、チャージングロッド、クリーニングロッド、取説、BB弾少々。
全体がタンカラーに仕上げられているのが本製品の特徴の一つだが、そのタンカラーが各パーツで微妙に色調が変えられている。
レシーバーはアルミダイキャスト製。ややザラついた感触の半艶消しで、アッパーとロアレシーバーでも微妙に色の違いを表現している。次世代電動ガンなので、残弾0でユニット停止した際にボルトリリースボタンを押して再度射撃するという実銃同様の操作となっている。なお左上の製造年を示す刻印はBC、つまり2012年製を意味している。
セレクターは左右両側から操作できるアンビタイプ。左右が小さいギアで連結されているので、グリグリとした操作感。もう少しカチッとした感触が欲しいところ。
シュート&リコイルエンジンを搭載しているので射撃と同時に激しいリコイルが発生し、HKのロゴ入りボルトカバーが前後する。エジェクションポートカバーもRAL8000ライクなサンドイエロー。カバーのロックも確実で初期のM4系次世代電動ガンに見られた不意の衝撃でオープンしてしまう現象もない。
あえて言うならばロアレシーバーのハンマーピン、フルオートシアピンはモールドではなく、別パーツにしてほしかった。タンカラーなだけに気になった部分だ。
ガイズリーのSMRタイプのハンドガードレールはアルミの押出材からの削り出し。サンドブラスト後アルマイト処理されていて耐摩耗性に優れる。トップのみにピカティニーレールを装備するのでスリムで握りやすい。僅かだが重量減にも貢献している。また付属のオプションレールで左右下側に任意でレールを増設できるのも嬉しい。もうこれだけでも買いの一品と言える。
アッパーレシーバー側とガッチリ固定されたハンドガード接合部。強く握り込んでもしなったりギシることもなく高い剛性を誇る。フリーフロート構造なのでハンドガードはバレルに接触しておらず、命中精度が高まる要素となっている。
フロントサイトはフリップアップ式のナイツタイプが付属。フロントサイトポストを上下に調節可能。サイト自体が前後逆についているが、これはデルタ隊員が実際に行っている取り付け方のようだ。
ハンドガード根本側には左右にQDスリングホールがあり、3/13にマルイから発売されるQDスリングスイベルを取り付けることができる。※写真は社外品のQDスイベル。
オプションレールはショートが2枚と、ロングが1枚付属し、同梱の専用ネジで取り付ける。取り付け用の六角レンチも付属する心遣いが嬉しい。
リアサイトもナイツタイプのフリップアップ式。上下左右に調節可能だ。チャージングハンドルはHKタイプの大きめのラッチが付き、左右に入替可能となっている。
フラッシュハイダーはアルミ削り出しで、SUREFIREのFH556-212A .223 CAL.タイプ。底部のイモネジを緩めればハイダーを取り外すことができる。M14逆ネジ仕様なので各種対応サイレンサーが装着可能。ただ、イモネジ固定は面倒で、昨今モデルで採用されているOリングでの固定はできなかったのだろうか。
マルイ純正オプションのプロサイレンサー ショートタイプを装着した例。
グリップはDEVGRUカスタム同様、タンゴダウンのバトルグリップタイプでEG1000ハイトルクモーターを内蔵するので実物よりも僅かに太いが、とても握りやすいカスタムグリップだ。
レシーバーエンドプレートはノーマルパーツだが、DEVGRUカスタムのようなCQDタイプのスイベルが付いていてほしかった。デルタは2点式スリングしか使わないのかな?
チャージングハンドルを引いてダミーボルトを後退させると、ドラム式の可変ホップアップダイヤルにアクセスできる。ダイヤルは上へ回してHOPが強まり、回した際に軽いクリック感がある。
ストックはクレーンタイプで6段階に伸縮調整できる。このストック内に専用のSOPMODバッテリーをセットする。
マルイ純正のSOPMODバッテリーをストック内に収納する。バットプレートの下側の爪を両側から押して取り外し、バッテリーを差し込むだけ。コネクターを繋ぐ必要がないのは便利だが、このマルイのニッケル水素バッテリーしか使用できないのは短所だろう。
バッテリーの露出部が目立たないようにタンカラーのシールが付属している。細かい気遣い。
重いリコイル発生ユニットを駆動させるので、新品ならともかく、少しヘタってきたニッケル水素のSOPMODバッテリーではレスポンスが低下する。やはりここはリポバッテリー化しておきたいところ。
SOPMODバッテリー用変換コネクターを使用して二股リポバッテリーを使用してみる。入れられないことはないが、HK416Dに比べてコードの収納がかなりタイト。バットプレートを無理やり被せて断線させないように注意。
マガジンは次世代M4シリーズで互換性のあるスチールアウターシェルのSTANAGマガジンが付属する。
マガジン底部のネジを抜けばシェルと内部パーツを分解できる。さらに内部のスイッチを切り替えると82発から30発のリアルカウントマガジンへ変更できる。
HK416はそのマグウェルの角度からPMAG Gen2までは使用できなかった。Gen3になってようやく対応されたが、また米軍内ではこのアルミ製STANAGやスチール製HKマガジンに根強い人気があるという話もある。でもマルイ純正でPMAG Gen3タイプとかEMAG出してほしいけどなぁ。
本体に空マガジンとSOPMODバッテリーを装着し、オプションレールは装着しない状態での重量は3325g。
SOPMODバッテリー単体での重量は200gほど。デブグルカスタムは同じ状態で3,411gなので、86gほど軽くなっている計算になる。
実射テスト
いつものビレッジ2のシューティングレンジにて40m射撃テスト。BB弾は東京マルイ0.2gと0.25gのベアリングバイオ弾を使用。バイポッドで固定しての射撃を行った。
結果、セミオート射撃では距離40mにおいて0.2g弾でもマンターゲット上半身にまとまり、0.25g弾ならばさらに風の影響が少なくなりフラットに胸元を狙っていけるだけの精度がある。フルオートだとリコイルでスコープのレティクルが暴れ、着弾も上下に散る傾向があるが、それでも40m先へ確実に有効弾を撃ち込める。
ホップアップ調整もスムーズで、微妙な調整も可能なので、自分好みのBB弾にも幅広く対応できるだろう。間違いなく世界トップクラスの弾道性能と言える。昨今、海外製電動ガンの性能が上がってきたとはいえ、やはりこうして同じ環境でテストしていると東京マルイの電動ガンの安定&高性能ぶりには舌を巻く。
命中精度が高いので、スコープを搭載して遠距離を狙撃することも可能だ。写真で使用しているのはノーベルアームズ SURE HIT 1624 IR HIDE7 CQB。
サイレンサーをつけて隠密行動作戦の雰囲気を楽しんでもいい。写真はマルイ純正オプションのプロサイレンサー。
ローライトコンディションではレールオプションにウエポンライトを装着。写真はSUREFIREのM300B SCOUT LIGHTを点灯している。
どこにどんなオプションを付けようか? シチュエーションに応じてあれこれ悩みながら付け替えるのも楽しい。
屋内30m/40mでの無風弾道映像もどうぞ。
総評
東京マルイの次世代電動ガンHK416 デルタカスタムはそのタンカラーで仕上げられた外観、スリムなガイズリーSMRタイプのハンドガード、高い剛性、美しい仕上げ、そして優れた命中精度と、これからHK416シリーズを購入しようというユーザーにはおススメの一丁だ。すでにHK416シリーズを所有している人から見ても魅力的に映るに違いない。買い足し、買い替え需要にも良いかと思う。
ただ、あえて難を言うならば、従来のHK416シリーズと内部メカ的には違いはなく、そういった面では新鮮さに欠けると思う。
次世代電動ガンが2007年12月に発売されてからもうすぐ10年が経とうとしている。すでに"次世代"というには十分すぎるほどに熟しており、リリース当初にアドバンテージだったシュート&リコイルエンジン、オートストップ機能などは他社製品にも採用されているし、FETや電子トリガーといったまだマルイが次世代で採用していない技術もある。HK417で採用されたサマコバは何だったのだろうとか。
そろそろ"次の次世代電動ガン"がリリースされても良いのではとも思う。また、派生モデルではなく、新機種のモデルアップを望む声も多い。
個人的にはトリガーレスポンスを重視しリコイルユニットを排して、ストックチューブにバッテリーを収納できる電子トリガー仕様の"新世代スタンダード電動ガン"なんてのが発売されないかな、なんて思っている。
マルイの本気の"世代交代"を楽しみにしているのは私だけではないはずだ。
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