WE 電動ガン 888 (HK416)
レポート:戸井 源太郎
We-Techというと、M4やPDW、M14のライフルや各種ハンドガンとガスブローバックガンの台湾メーカーと思っていましたが、最近、電動ガンもラインナップしているということを知りました。
We-Tech製品は、フレームを含め、主要パーツの多くはメタル製で重厚感あり、ほぼリアルウエイトのずっしりとくる精巧なモデルが多く、もちろんボルトもメタル製で、そんなヘビーなユニットから生み出される強烈なリコイルに定評があります。
翻って、We-Techの電動ガンの性能はどうなのか? 大変、興味あるところでもあるところです。
ということで、今回、We-Tech HK416の電動ガンをリポートしてみたいと思います。
HK416はご存知のとおり、H&K社が製造したM4の改良版です。
事の発端は2001年に米陸軍がH&K社にM4の改修を依頼したことに始まります。
当時、米軍の次期制式アサルトライフルのトライアルにH&K社はXM8を提案してましたが、次期制式ライフルが決定するまではまだまだ時間がかかることが考えられたため、その暫定措置として、M4の改修を引き受けたということです。
しかし結局、米軍の次期制式アサルトライフルは、トライアル・プロジェクト自体が中止され、XM8はお蔵入りとなりました。
しかし、M4改修計画のほうはUS SOCOM(米特殊作戦軍)と共同で進められており、2005年に完成し、その評価も上々のようでした。
ただ、HK416は精度、信頼性は高いが、値段も高いということから、全軍への採用は行われず、特殊部隊のみ支給に留まっているようです。
また米軍のみならず、HK416は世界各国の特殊部隊でも採用されているようです。日本でも陸自の特戦群や、海自のSBUが使っているといわれています。
あのビン・ラディンを暗殺したDEVGRUも現場でHK416を使用していたといわれており、人気のあるモデルですよね。
HK416とM4の一番大きな違いといいますか、改修点は、作動メカニズムです。
M16/M4のメカニズムは火薬の燃焼ガスを直接ボルトに噴きつけ、ボルトを後退させるリュングマン式(に似た方式)ですが、HK416はオーソドックスなショートストローク・ガスピストン式へ変更しています。燃焼ガス圧を利用し、ピストンを介してボルトを後退させるため、ボルトや機関部内に高温のガスが直接吹きつけられたり、火薬カスなどが一切入ることがなくなり、結果、ジャムも減り、快調な作動かつ耐久性が向上しました。
ガス圧&ガスピストン式の自動小銃は第2次世界大戦前からあり、M1ガーランドやMP44などもその方式ですし、戦後の銘銃、AK47もガスピストン式です。
M16/M4の設計時、パーツの簡素化、軽量化を考慮してリュングマン式を採用したかもしれませんが、その後、今まで、ガスピストン式への改修なり、試作なり、検討がされなかったことが逆に不思議でした。つまりHK416は画期的なメカが採用されたわけでなく、単にオーソドックなシステムに戻っただけのような気がします(笑)。
WE 電動ガン 888 (HK416) スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||
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パーツリスト1 パーツリスト2 |
レイル、フレームはアルミ製で主要パーツのほとんどがメタル製となっています。図太く角ばったレイルとM4より若干、レイル部が腰高のHK416アッパーフレームを忠実に再現しています。
実銃のマガジンはスチール製でちょっと長いのですが、このHK416はスタンダードM4と同様の多弾倉マガジンが付属します。 外観はよくできていますが、We-TECHのHK416は無刻印モデルとなっています。
バレルは14.5インチで、HK416の角ばったレイルとフレームの無骨なイメージをよく再現しています。
ストックはクレーンを採用していますが、HKスタイルのフロント&リアサイトとセレクターのピクトグラムの赤と白がHK製であることを主張しています。 またWe-TECHでは、コンパクトバージョンのHK416Cも「888C」としてバリエーション展開しています。
ダンボールにシールを貼っただけの簡素なパッケージです。製品名は「WE 888」とあります……。
昨今、トイガンといえども版権について厳しくなっているための措置だと思われます。おそらく「HK」とも「416」とも表記できないのだろうと思われますが、このリポートはHK416で進めます。ボックスサイズは87×30×9cmです。
パッケージ内はパルプの型の中にガンが入っています。実にどうでもよいことですが、ガンの向きが通常と違い、逆向きなのに違和感を感じます。ガンは通常、左面が「表」といわれています。
内容物は取り扱い説明書のみです。中国語(台湾)と英語表記のみですが、図と英語でなんとなく内容はわかります。
本来ならマガジンハウジングの左側にロゴ刻印と前方に警告文の刻印などがあるのですが、We-TECHのモデルは大人の事情で、なにもありません。ちょっと寂しい感じがしますね。
M4のコピーといいつつも微妙に違うレシーバー。マガジンハウジングあたりはHKのほうが角ばっていますし、マグウェルの角度もより水平に近くなっています。また、アッパーレシーバーのレイルの高さがちょっと高くなっているなどちょっとした違いですが、M4と違い、無骨な印象を受けます。
セレクターのマークはHK仕様のピクトグラムとなっていますが、アンビになっていません。またレバーもHKとは違いM4のものを流用しているようです。右のインジケーターは固定されているダミーです。
またフルオートで射撃してピストンが後退位置で停止した場合は、セフティの位置に入れることで、ピストンを前進位置に戻すことができるリリース機構が搭載されています。
トリガー、トリガーガードはHKの主張はなくM4と同じシンプルなものです。実銃もここには拘っていないようですね。
HK独自の丸味を帯びたグリップは握りやすいです。グリップにはシボ加工も施されています。
グリップの角度は東京マルイの次世代HK416のように角度が浅いようにみえますのでモーターアングルもVer.2同様と思われます。
レシーバーエンドには、スリングスイベルプレートが標準装備されています。
可変ホップアップダイヤルはエジョクションポート内に設置。チャージングハンドルを引けば、ボルトカバーはオープン状態になるので調節しやすいです。解除はボルトキャッチボタンを押します。ホップダイヤルの形状からメカはVer.2のコピーだと思われます。
太くて、がっちりしたHKレールを忠実に再現しています。材質はアルミの削り出しです。写真を撮ってから気づいたのですが、レイル基部のレイル装着用の大型+ネジの向きが逆についていました。
このガスブロックが実銃の場合、作動メカニズム上、M4とHK416との大きな違いの箇所となります。
ガスブロックの両側にはスリングスイベルがあります。
またレイル内には見にくいですが、ちゃんとガスチューブも再現されています。
アウターバレルは14.5インチとなっています。M4と同様にM203グレネードランチャー装着用にアウターがクビレていますが、レール下部を取り外せないのでM203は装着できません。しかし、HK製グレネードランチャーM320は装着できるようです。
アウターバレルはガスブロックから先で分離でき、バレル長を簡単に変更できますが、We-TECHからアクセサリーとしてエクステンションバレルが存在するかはわかりません。接続部は14mm逆ネジです。
また、インナーバレルが飛び出しているので、ショートバレル仕様にするにはインナーバレルも交換する必要があります。 サプレッサー装着スタイルにするにはこのままでもよいでしょう。
フロントサイトは両サイドに半円形のガードがつき、リアサイトはドラム回転式とG3やMP5からお馴染みのHKデザインを踏襲しています。フロント&リアサイトは脱着可能です。
ストックはHKタイプではなく、クレーンストックを装備。ストック長は6段階に伸縮可能です。
バッテリーはストック内に収納します。リポのスティックタイプの1100から1200mAhくらいのサイズなら問題なく収納できるでしょう。
マガジンはなんの変哲もない普通の300連ゼンマイ給弾マガジンです。
実射性能
東京マルイのベアリングバイオの0.2gBB弾でHOPを適正位置に調整して試射してみたところ、予想に反して真っ直ぐよく飛びました! 動画を観ればわかりますが、40mは余裕でオーバー、集弾性もなかなかです。
40mではマンターゲットに確実にヒットできるポテンシャルがありました。立射ではなく、身体もしくはガンをレスト(委託)して撃てば、遠距離でのピンポイント狙撃も可能でしょう。
実はWe-TECHのHK416は見た限りVer.2メカのコピーのようですし、さらにガスブローバックが得意なメーカーの電動ガンということもあり、実射性能に関してはあまり期待をしていなかったので、いい意味で裏切られた感じです。
メタル製で剛性が高いボディ、さらに実績と信頼のあるVer.2メカは、そのノウハウも多いことに加え、We-TECHで独自に研究を重ねたのでしょうか。
この精度なら日本の見る目が厳しいファンでも充分、満足できるレベルであり、箱出しのままでもサバゲで活躍できます。
最後にWe-TECHの電動ガン、HK416を一言でいうと、「特徴がないのが特徴」ですかね。
外観もがっちりとリアルによくできており、しかも実射性能も東京マルイのスタンダード電動ガンと同レベルのポテンシャルを有しています。
電動ガンとして、充分及第レベルに達していますが、ものすご~く優れているわけでもないので、リポートする人間としては、「ここに注目!」などと特質すべきことがほとんどないのです。
トラブルや不満があると強烈に印象に残りますが、トラブルもなく、普通によくできていて、よく飛び、よく当たるので、文句のつけようがありませんということです(笑)。
撮影協力:ビレッジ2
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