東京マルイ ガスガン センチメーターマスター【エアガンレビュー】
使用する弾薬の口径が10mm、つまりちょうど1センチなので『センチメーターマスター』と名付けられたそのピストルは大型のコンペンセイターを装備した競技用のレースガンだ。1988年にガンスミスのポール・リーベンバーグにより製作された。センチメーターマスターはMGCやポイントなどもトイガン化しており、80年代人気のレースガンのひとつだった。
東京マルイのセンチメーターマスターは1989年12月に、前年のハードボーラー(88/9)、デザートイーグル(88/12)に続く固定スライドガスガンのシリーズ第3弾として3,900円で発売された。
東京マルイはこのセンチメーターマスターが気に入ったようで、1991年にはエアコッキング(18禁)を、2000年には電動ブローバック(10禁)をラインアップに加えている。
今回レビューするセンチメーターマスターは2012年9月にリニューアルされた固定スライドガスガンだ。四半世紀にわたるロングセラーモデルがどのような性能なのかレビューしていこう。
スペック & 初速データ | |||||||||||||||||||||
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パッケージデザインは2012年のリニューアル時に刷新され濃紺をベースとした落ち着いた雰囲気になった。パッケージサイズは31.7cm × 19.6cm × 6cm。
マルイの固定ガスハンドガンのシリーズは、レビュー執筆時点でこのセンチメーターマスターとウィルソン スーパーグレード、それと価格帯が異なるハイエンドのソーコム Mk23の3モデルとなる。
価格は2011年のホビーショー発表当時、5,980円(税別)とアナウンスされていたが、最終的に6,980円(税別)で発売された。 また、ハードボーラー、ステアーGB、デザートイーグルなどもリニューアルを発表していたが、いまだ未発売である。
パッケージ内容は本体、マガジン、保護キャップ、クリーニングロッド、取説とBB弾少々。
いきなりのトラブル!!
今回HOBBY GARAGEというネットショップにて購入したのだが、開封してすぐにガスを注入すると、しゅーっとガスの注入バルブからガス漏れの音がする。そのまま数時間放置するとタンク内のガスが全て空になってしまったので、初期不良品としてショップに問い合わせたところ、送料元払いにて送ってくれという。ショップで確認の結果、不具合が再現できれば送料は返金するとのこと。また、修理を急ぐのであればマルイのサポートセンターに直接送ってほしい、ということだった。少々面倒だが、とりあえず購入したショップへ送ったところ、確かにガス漏れしているということ(あたりまえだけど...)だったので、メーカー修理へ送るという返事。
数日後、マルイのサポートから電話があり、注入バルブからのガス漏れなので交換しますとのこと(そりゃそうでしょう...)で、購入から1週間ほど遅れて修理品が手元に届く。お詫びということでベアリングバイオBB弾が1袋同梱されていた。もちろん送料はショップから返金され、修理費も無償。
大きなガンショップだと、販売時にガス漏れチェックをしたり、初期不良は在庫と交換対応してくれたりするところもあるが、ネット購入はこういったトラブルもあるので注意(覚悟?)が必要だ。
さて、そんなトラブルとは裏腹に、シルバーメッキの外観はとても美しい。スライドフレーム共にプラ製ながらなかなかの質感。刻印はコルト Mk IV シリーズ'80がベースとなっている。
コンペンセイターがスライド先端に装着されスラリと伸びた美しいサイドシルエット。
今回のリニューアルで固定ホップアップが装備された。
スライド固定式ではあるものの、チャンバー周りの造形もしっかり再現。チャンバー上部にはBARSTO 10MMと口径の刻印がある。Bar-Stoは実銃のカスタムバレルメーカー。
リアサイトはボーマータイプ。上面のネジで上下調節はできるが、左右調整ネジはダミーのモールドなので調整はできない。
ダイキャスト製のハンマーはシングルアクションで操作することもできる。ファイアリングピンもリアルに再現しているのは芸が細かい。サムセフティはプラ製だが、ロングのアンビタイプで操作しやすく、サムレストとしても使いやすい。
ブローバックしないので形だけだが、パックマイヤーのサムガードもレースガンの雰囲気を盛り上げる。
フロントサイトはコンペンセイター一体となっている。そのためサイトレディアスが長くエイムしやすい。シルバーメッキそのままなので黒く塗ったりするのが良いかも。
センチメーターの外観の特徴である大型のコンペンセイターは亜鉛ダイキャスト製。実銃では上部の大きな穴から発射ガスを逃がして反動を軽減する効果がある。このパーツのお蔭で前方への重量バランスが増し構えやすい。インナーバレルは旧タイプがバレル後座式のアルミ製だったのに対して、バレル固定式の真鍮製に変更されたことで命中精度、トリガーフィーリングの向上に貢献している。
スライド上面にはパーティングラインが残るのが残念。
トリガーも亜鉛ダイキャスト製でグルーブがある3ホールタイプ。金属製ということもあって、トリガーの感触はプラのようなギシギシした感じはなくキッチリしており、固定スライドなので引きしろはガスブロに比べると長いが、80年代の固定ガスに比べたら格段に短く、軽く感じる。それでも連射時はブレやすいので銃をしっかりホールドして狙う必要がある。
フレームはモナカ構造でパーティングラインは処理されていない。トリガーガード前面にもチェッカリングがあるが、トリガーを絞るとトリガーガードの合わせ目が少し開くのが気になった。
ラバーコートされたパックマイヤー風のグリップパネルが奢られる。前後にチェッカリングが施され滑り止め効果もそこそこ高い。
残念ながら1911特有のグリップセーフティは省略されている。ロングマガジンキャッチは操作しやすくて良い。
センチメーターマスター、スーパーグレードの固定ガスシリーズはグリップにガスタンクが内蔵される構造。
グリップ底部にガスの注入バルブがあり、マガジンを外してここからガスを注入する。1チャージで初速が低下して40m/s台になるまでおよそ100発近くは撃てる。
マグウェルは外観形状のみで細身のマガジンの差し込み口はスピードリロードには全く向いていない。
マガジンはプラ製の細身、いわゆる割り箸タイプ。6mmBB弾をシングルカラムで16発装填できる。マガジンを引き抜くにはマガジンキャッチを押し、金色のマガジンバンパー部をつまんで引き出す。マガジン自体が軽量なのと、抜くのにすこし引っ掛かりがあるのでストンと落ちない。しかしこれはデメリットだけというわけではなく、サバゲーでマガジンを紛失しにくいというメリットもある。またスペアマガジンも500円と安価。
マガジンリップ。背面には弾こぼれ防止と思われるスライドシャッターがある。それでもフルロードしたマガジンはちょっとした衝撃で弾がこぼれやすいのでスペアマグの持ち運びには注意が必要。
実測重量は611g。ガスブロよりは軽いが前述したようにバランスが良いので構えた感触はとても好印象。
一応グリップパネルは取り外すことができるが社外品のグリップパネルはポン付けできない。マグウェル部分が干渉するので加工次第ではと言ったところか。左右に大きさの異なる長方形の錘が入っている。
30m 実射テスト
いつものV2サバゲフィールドにて30mの実射テストを行った。使用するBB弾は東京マルイのベアリングバイオ0.2g。気温はこの日は37度を超える猛暑。湿度は40%。
初速は室温25度で57m/sとかなり低め。37度の外気温でも60m/s前半であるため、30m先のマンターゲットにはなんとか届くがボディにヒットさせるのにはかなり難しいという印象だった。
とくにフル装填したマガジンの初弾から数発はホップが弱めにかかり、10発くらいから急にホップが強くかかり、最終弾になるにつれホップが落ち着くという傾向があった。手首をレストして100発程度の射撃だったが、この現象は動画を見てもらってもわかると思う。
ただ、20m以内であれば確実にマンターゲットに当てられる性能はあるので、インドアゲームなどでは逆にその低初速が幸いし、相手に優しい効果をもたらしそうだ(^_^;。
カスタムパーツがふんだんに組み込まれたシルバーの美しい外観はシューターでなくとも魅力的。なんといってもこれで6,980円(税別)なので、価格なりのチープな点はあるものの、そのコストパフォーマンスはなかなかに高いのではなかろうか。
撮影協力:ビレッジ2
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