S&T エアガン三八式歩兵銃

レポート:戸井源太郎

20世紀初頭から第２次世界大戦終了時までの約50年、日本陸軍の主力小銃であった三八式歩兵銃がS&Tからエアコッキングガンで発売されました！　しかもフルメタル、リアルウッドで美しく仕上がってるだけでなく、コストパフォーマンスにも優れています。今回はサンプルをお借りしたので、その美しい銃本体だけでなく、実射性能も合わせて紹介したいと思います。

三八式歩兵銃実銃
三八式歩兵銃は1905年（明治38年）に仮採用され、翌年制式採用されました。名称の「三八」は西暦でも皇紀でもなく、明治38年を意味します。
この三八式歩兵銃は日露戦争時に主力であった三十年式歩兵銃が、中国大陸の過酷な環境により不具合が頻発したため、部品点数削減による合理化、ダストカバーの追加など最小限の改良を施したものです。口径は6.5mmで、当時の主要国の中では小口径の部類になりますが、その分、反動も少なく、日本人の体格にはちょうど良かったのでしょう。

あと有名な話ではアメリカのように大量生産ではなく、１丁１丁職人により作られているため、パーツが規格化されておらず、同じ三八式歩兵銃でも部品の共用ができないという問題がありました。その代わり、１丁ごとに調整されており、命中精度には定評がありました。その中でも優れた職人による三八式歩兵銃は狙撃銃として使われていました。
日本の敗戦後もアジア一帯に残された三八式歩兵銃が人民解放軍やベトコンに使用されていたことは有名ですよね。
そして現代でも欧米市場ではコレクターズアイテムとして非常に人気が高い１丁です。

三八式歩兵銃　側面
機関部、バレルはメタル製で、ストックはリアルウッドと美しくモデルアップされています。また重量も実銃とほぼ同じなのもよりリアル感が増し、嬉しいです。手に取ってみると、とにかく長いです！
その全長は約1.3mと現代の平均的な成人男性の身長の2/3の長さを占めますが、その全長のおかげもあってか、構えた時のバランスもよく、あまり重いとは感じません。

スペック & 弾速データ

全長	1,290ｍｍ
重量	3,650g
銃身長	--mm(インナーバレル長)
装弾数	6mmBB弾 25発
定価	45,000円(税別)
発売日	2017年12月

最高	82.15m/s
平均	81.40m/s
最低	80.50m/s
ジュール	0.663J

※東京マルイベアリングバイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ固定、気温9度、湿度48%、XCORTECH X3200にて10発での測定。

パーツリスト

パッケージはS&Tのロゴが薄くで入った共通のもので、三八式歩兵銃のステッカーが貼ってあります。同封されているのものは本体、マガジン、取説のみです。

レシーバー右
レシーバー左
防塵用のダストカバーがあるため、機関部はシンプルに見えます。滑らかなラインのストックもリアルウッドで忠実に再現しています。また色合いもいいですね。
左面にあるボルト後部に見えるのは実銃ではボルトリリースレバーになりますが、トイガンではダミーです。

レシーバー　真上
真上からダストカバーにより、ボルト部が完全に覆われていることがよく分かります。ちゃんとレシーバーに「菊の御紋」の刻印が入っています。

コッキングハンドルはほぼ真横に突き出ています。可動範囲は90°です。ボルトを引く時はハンドルを真上にします。

約70mm
コッキングのストロークは約70mmと短いです。またコッキングも軽く、引きやすいです。

レシーバーに「菊の御紋」があります。コッキングして、ダストカバーが後退すると「三八式」の刻印も現れます。

セフティレバー
菊のような模様のボルトエンド部ですが、ここがセフティになっています。ボルトエンドの尖っている部分が10時方向で発射位置となります。ボルトエンド部を指で押し込みながら時計回りに回し、ボルトエンドの尖った部分を12時方向にすると安全位置になります。セフティを掛けたままコッキングもできます。

トリガーは遊びが2、3mmほどあり、それは悪くないのですが、ちょっとトリガーが重いと感じました。
トリガーガード前部にあるプレートキャッチ（弾倉床板止）レバーはダミーになります。

アウターバレル、その周辺パーツも金属製です。着剣ラグも装備されています。バレル下のクリーニングロッドはダミーになります。

フロントサイトも金属製です。フロントサイトポストは別パーツになっていますが、調整はできません。

リアサイトはタンジェント式です。距離400mまでは、この状態で狙います。

遠距離ではリアサイトを起こして狙います。一応、2,400mまでゲージがあります。

ホップアップの調整はリアサイト部にある六角ネジにて行います。外観を損ねず、よい配置です。

リアルウッドのストックは実銃と同様、２本の木材の集合材となっています。ストックの上下で木目が違うのがわかるでしょうか？

ストック部、バレルとストックを固定するリアバンド部にスリングスイベルを装備しています。

三八式歩兵銃の底面になります。実銃ではボルトオープン状態から５発クリップの弾薬を上部から装填しますが、エアソフトガンでは、ストック底面の前方にマガジン式で装填します。

マガジンキャッチもマガジン側にあり、極力、外観を損ねないように配慮しています。マガジン底部だけでもストックの色に合わせてあったら最高でしたが、自分で木目調シールを貼るというのも良いかもしれません。

マガジンはプラスチック製でリップ部が後方になります。装弾数は25発で、ボルトアクションなら充分な数でしょう。

実射テスト

実射テスト
いつもと同様、使用BB弾は、東京マルイのベアリングバイオBB弾0.2gと0.25gを用意。距離は30と40mで行いました。
ターゲットは直径18cmの丸プレートとA3サイズ（29.7cmx42cm）を使用しました。
ホップ調整のために何発か試射したところ、その弾道は素直で期待できそうです。
まず、距離30mから10発ずつ試射してみたところ、0.2gBB弾、0.25gBB弾とも全弾命中させることができました。0.2gBB弾では、ちょうどホップで浮き上がる距離のようで、少し下目を狙う必要がありましたが、素直な弾道で、この精度なら合格点です。

次に距離40mで同様に0.2gBB弾、0.25gBB弾で10発ずつ試射を行いました。距離40mではどちらのBB弾でも必中範囲でした。0.2gBB弾は風の影響を受けやすいですが、0.25gBB弾は、ほぼ全弾命中させることができました。ほぼ狙ったところにヒットできます。この距離からアイアンサイトで、この精度とは正直驚きました。かなり素晴らしい精度といってよいでしょう。

ちなみに0.2gBB弾で距離50mで試射したところ、上半身１個分ほど上を狙って撃てば、だいたい腰や太ももなど下半身に当たる精度はありました。狙撃は難しいかもしれませんが、50mでもギリギリ射程範囲にはなるでしょう。

このS&T 三八式歩兵銃はコッキングも軽く、ストロークも短いため、速射も可能です。非常に長く、雑木林などでは扱いにくいかもしれませんが、それほど重くなく体への負担は少ないと思います。また構えた時、ストックの両サイドの窪みが手にしっくりきて自然と狙えます。ただ銃身がものすごく長いため、フロントサイトが非常に遠いです。近眼、老眼のかたは注意が必要です。

今回お借りしたサンプル品では初速は80m/s前後でしたが、飛距離、精度とも実射性能は十分満足でき、合格点に達していると思います。
パッケージに貼られている弾速証明書には90m/s前後とあるので、新品ならもう少し飛距離は伸びるかもしれませんね。

それ以外に試射を行って、気になったところがサイト調整です。フロント、リアサイトとも固定タイプで調整ができません。この個体ではサイトで狙って撃つと僅かに右上に飛んでいきました。30mの試射ではA3サイズのターゲットの左下の角を狙って真ん中にヒットする感覚でした。ただし弾道自体には乱れはないので、フロントサイトのみでもアジャスタブルになればさらに狙えるエアガンになるでしょう。

総評

S&Tから三八式歩兵銃のエアコッキングガンが発売されるとアナウンスされたと同時に話題沸騰した感がありました。手頃な価格、そしてリアルウッドのストックで美しくモデルアップされているということだけで、OK！　命中精度関係なく欲しい！　と思った方も多いのではないでしょうか？　実は、私もその一人ですが、今回、実際に商品を手に取ってみて、その完成度の高さに感動しました。実射テストの結果も素晴らしく、総合的にも高いポテンシャルを有しています。正直、予想以上の成績でした。多分、このクオリティで文句をいう人はいないでしょう。はっきりいってS&T 三八式歩兵銃は買いです！

ただし昨年の12月、発売と同時に即完売で、生産が追い付かない状況のようです。欲しい方は在庫見つけ次第、購入したほうが良さそうです。