ハートフォード ガスガン 二十六年式拳銃
実銃の二十六年式拳銃は日本初の国産リボルバーとして明治26年(1893年)に帝国陸軍に制式化された。弾薬は9mm×22R(二十六年式拳銃実包)を使用するダブルアクションオンリーのリボルバーだ。トップブレイク(中折れ式)でオープンしたシリンダーに6発を装填する。
明治に制式化されながらもリボルバーならではの安定した作動から、日露戦争、第一次世界大戦、日中戦争、太平洋戦争にかけて約6万丁が生産され、半世紀に渡って使用され続けた。
この二十六年式拳銃は昭和11年(1936年)に陸軍の青年将校らが起こしたクーデター、二・二六事件で使用されたことでも有名。結局このクーデターは未遂に終わるが、この事件の際、軍人・政治家の鈴木 貫太郎が襲撃され至近距離から3発被弾したにもかかわらず、一命を取り留めたというエピソードがある。
このことから二十六年式の威力は弱いという噂が広まったという。
実際にこの銃をグアムで撃ってみた感触としては確かに反動も軽く.38spl弾などに比べても低威力に感じる。もっともこれは現代のハンドロード弾なので比べようがないのだが...。
ハートフォード ガスガン 二十六年式拳銃 スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||
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パーツリスト |
ハートフォードは名古屋にあるトイガンメーカー。SAAやイエローボーイなどのウエスタン系のほか、古式銃モデルガンも多く製造しており、エアガンではニューモデルアーミーや、J-Police.38Sのガスガンなどもラインアップする。二十六年式拳銃も元々はモデルガンとして発売されており、今回タナカのペガサスシステムを搭載してガスガン化された。
今回レビューする商品はハートフォードより発売前にお借りしたほぼ量産パーツで組み上げた試作品で、発売される商品とは一部仕様が異なる場合があるのでご了承いただきたい。
パッケージ。ブラックのデザインに白の線画で二十六式拳銃が描かれている。またパッケージには明治三十七年三月と描かれた当時の実包箱のデザインを再現した紙箱に入ったBB弾と、分解用のアセンブルレンチ、六角レンチが付属する。
バレルとフレームはHW樹脂で雰囲気のある質感だ。左側面のサイドプレートは金属製でヘアライン処理されている。なんとも独特なデザインの二十六年式拳銃。バレルのパーティングラインは製品版では処理されるとのこと。
二十六年式拳銃には実銃もそうだがシリンダーをロックするものがなく、通常時シリンダーはクルクルと右回転で回ってしまう。トリガーを引くとトリガー上部に設けられた爪がシリンダーをストップさせる仕組み。
なお、この二十六年式拳銃はバレルをフレームに取り付けた後、かしめた一体構造で、分解することはできない。また金型改修によりモデルガン・フレームにエアガン用バレルは付かない。お互いの取り付け部のサイズを変更することで二重の安全対策を講じているとのこと。
フレーム右側面には実銃の製造元である東京砲兵工廠の四つ輪マークが刻印される。二十六年式の刻印の下はシリアルナンバーだ。
このシリアルナンバー、35108は海外に現存する実銃と同じナンバー。モデルガンのほうは50910でハートフォードがアメリカで所有する二十六年式のものだ。エアガンとモデルガンを明確に区別するためにこのような方法を取ったということだ。
グリップは細身で断面が丸に近く、日本人の手に馴染む。構えるとグリップ底部のランヤードリングがチャリンと鳴って気分が高まる。標準装備されるグリップはプラ製だが、ここは是非木製グリップに交換したいところだ。
ハンマーノーズのくにゅっと曲がった形状も実銃を再現している。
ハンマー根本内側の突起はノッカーで、実銃には無いもの。
やはり何といっても二十六年式拳銃の大きな特徴であるトップブレイク。上の動画でもあるが、実銃ではこの際、薬莢がエキストラクターによって飛び出す仕組み。フレームとロックするバレルラッチは実銃のようにスプリングテンションはなく、手で丁寧にロックする。
シリンダー面が上を向くのでガスを注入しやすい。なお、ガスを満タンにするとパワーがロスして初速低下するので、少な目にガスを注入するのがコツ。
インナーバレルは命中精度に定評のあるKM企画のTNバレルを標準装備。色が真鍮の金色ではなく、グレーなのでマズル側からみてもリアルで良い感じ。固定ホップアップを搭載している。
マズル部分にはライフリングも再現されている。
装弾数はリアルカウントの6発。シリンダー前面から1発づつ6mmBB弾を込める。バレルの溝にBBボトルを当てがって流し込むように装填すると簡単にBB弾を詰められる。
トリガー、トリガーガード、サイドプレートは金属製。ヘアラインの入ったサイドプレートは絶品。
ダブルアクションのトリガープルは結構重いがスムーズ。
トリガーガードを下方に外してサイドプレートをオープンする。
サイドプレートはグリップ上の蝶番を支点にパカリと開く。
サイドプレートを開いてグリップの左側を外す。ここまではとても簡単に分解できる。右側のグリップもマイナスネジを抜けば取り外すことができる。一連の分解・組み立て手順は付属の取り扱い説明書に記載されている。組立時、サイドプレートを閉じる際に少しトリガーを引いてハメるのがコツ。
グリップは矢印の部分がエアガンオリジナルパーツで、イモネジを調節することでバルブノッカーの接触厚を調整できる。モデルガン用グリップを取り付ける場合は、グリップ側の突起部分を削れば装着できるとのこと。
付属の工具と+ドライバーを使用し、取説に掲載されている分解手順でシリンダー、バレル周りも分解できる。シンプルな構造でメンテナンスは容易だ。
チャンバーパッキンの固定ホップアップ部の突起。
バレル下に出ている四角い突起はバレルハウジングにバレルを固定するための回転止め。
実測重量は580g。
しかしHWの質感、バランスもあってなかなかの重量感だ。
秋葉原のエス&グラフにて購入した二十六年式拳銃用の革製ホルスター。もちろんレプリカ。価格は8,800円。
中田商店もレプリカ(11,000円)を発売していたが既に売り切れ。
斜め掛けのホルスターがいかにも年代を感じさせる。騎兵が馬上で二十六年式を抜いて6連射、ロマンですなぁ。
さて実射性能だが、初速は平均75m/sとなかなかのパワー。ただしシリンダー容量が小さいので、気温やガスの残量などによって初速が変化しやすいが、6発射撃中の初速低下はほとんど感じられなかった。ガス充てん時には満タンにせずに半分くらい(マニュアルには3秒で十分とある)入れるのが良いだろう。
軍用銃らしい重めのトリガープルでのダブルアクション射撃はなかなか難しいのだが、レストしての5mでの集弾性能は約7cm程度の円に収まる感じ。ガスリボルバーとしてはなかなかの性能。
ただし、0.2gBB弾ではホップが強めにかかったので、0.25gで撃ってみたところ比較的まっすぐ飛ぶようになった。遠距離での弾道はややバラつきがあるかな。
ただし、この個体は量産試作なので、製品版ではもう少し調整されることだろう。
なんといっても二十六年式拳銃のペガサスシステム搭載のガスリボルバー、なんともロマンを感じる。日本男児ならば一度は撃ってみたくなる出来栄えだ。日露戦争で戦った曽祖父のことを思い出した。
2013/07/12
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