SRC 電動ガン SR-40 (MP40)
レポート:戸井 源太郎
『荒鷲の要塞』、『遠すぎた橋』、『プライベート・ライアン』など、第二次世界大戦ものの映画で必ずといっていいほどに登場するのが、ドイツが誇るサブマシンガン、MP40です。
コンパクトで長いマガジンが前方から突き出た形状は、SMGのスタイルを確立し、後世に多大な影響を与えました。
はっきりいって、私が大好きなSMGです!
ということで、台湾メーカーSRC製の電動ガン、SR-40のレビューをお贈りいたします。
ちなみにSRCでは、大人の事情で商品名はSR-40となっています。
1936年に勃発したスペイン内乱からの教訓で、SMGの有用性を認識したドイツでは、WW Iに時に開発されたMP18を元に鋼板プレスと溶接を多用し、機械加工箇所を減らし、生産性とコストパフォーマンスを高めたMP38が採用されました。MP40はさらに簡略化、生産効率を高め、1940年からWWII時の全ヨーロッパで活躍しました。また戦後も鹵獲されたもの、東欧で生産されたもの、コピー品が溢れ、朝鮮戦争やインドシナ戦争でも用いられたそうです。
また建国まもないイスラエルでも国防軍の主力SMGとして使われるなど皮肉な運命もあったようです。MP5の登場する1960年代末まで世界中で運用されていました。
ちなみによく聞く『シュマイザー』という愛称ですが、ドイツの有名銃器技師であるシュマイザーさんは開発には関与していません。
どうやら鹵獲したMP40をみた連合軍兵士がシュマイザー技師が開発したものに違いないという勘違いから広まったみたいです。実際に設計したのはエルマ社のハインリッヒ・フォルマー技師だそうです。
大戦中のドイツ銃器は実銃市場でも人気が高く、MP40も復刻版が販売されています。米インポートディーラーのアメリカンタクティカルでは、German Sport Guns(G.S.G.)のMP40 9MM(セミオートモデル)をドイツより輸入販売しています。.22口径版や空砲を使用するブランクガンも発売されています。
さて、それでは台湾SRCの電動ガン、SR-40をレビューしていきましょう。
フルオートオンリー(セレクターなし)で、電動ブローバックとスタイルだけでなく、アクションもドイツの銘SMGであるMP40を電動ガンで完全再現してくれています。しかもこのSR-40にはマニュアルセフティもありません!
アッパーレシーバー、マガジンハウジング、フロントサイト、マズル部分、マガジンはスチール製で、重量感もあり、リアルに仕上がっています。
SRC 電動ガン SR-40 スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||||
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マニュアル(pdf 3.8MB) |
全体的にマット(艶消し)印刷ですが、ガンのみ艶ありで、浮き出るような凝ったデザインです。パッケージサイズは89×31×95mmで結構大きめです。
本体はストックを伸ばした状態で収納されています。ストックを畳んだ状態ならもっとパッケージをコンパクトにできたのではと思ってしまいます。付属品は取説、BB弾とクリーニングロッドです。
取説はリアルな雰囲気の表紙と、萌えイラストの裏表紙との対比が面白いですね。
文章は中国語と英語の表記のみです。
アッパーはスチールプレス製、ロアはプラ製でこげ茶カラーと、実銃の雰囲気をよく醸し出しています。どちらのサイドにもセレクターやセフティなどレバー、ボタンは一切なしのシンプルなボディです。
コッキングハンドルは射撃時に可動するブローバックモデルです。残念ながらフルストロークはしません。ちなみに、実銃はコッキングハンドルにセフティがあります。ハンドルを押し込めば、レシーバーの切り欠きにハマり、ボルトが固定されますが、SRCの電動ガンではオミットされています。またはコッキングハンドルを引いてハンドルを後部の切り欠きに引っかけてボルトをロックしてセフティになりますが、電動ガンでは、そこまでハンドルを引けません。
フロントサイトは固定式で調整はできません。マズル、フロントサイトのガードはスチール製となっています。
またバレル下にある出っ張りは車輌の手すりからの委託射撃、銃眼からの射撃時に利用するもののようです。
リアサイトは左右の調整はできませんが、遠近用プレートが選択できる起倒式となっています。どちらにしても狙い難く、効果があるのか疑問に思えます。近接戦闘のバラマキ用SMGなので、サイトはオマケみたいなものでしょうか。
グリップフレームはおそらくアルミ製です。グリップ部とトリガーガード一体となった、がっちりした作りとなっています。そこにモーターが入っているようです。グリップにはプラ製のグリップパネルが装着されています。
大型のボタン式マガジンキャッチは左サイドのみです。
コッキングハンドルを引くとチェンバー部の可変ホップダイヤルにアクセスできます。見慣れない形状ですが基本はドラム式です。指で操作はし辛いのですが、マイナスドライバーなどを使えば微妙なホップ調整が行えます。
バレル付け根にはスイベルリングがあります。また上部にはナチスの「鷲」のマークを捩ったSRCオリジナルの刻印があります。
ストックの折り畳みはまず、ストック基部にある大型のリリースボタンを押してロックを解除します。
ストックアームを下方から180度回転させ展開します。
ストックを伸ばしてカチリトロックされたら、あとはショルダーパッドを起こせば完了です。アルミ製でガタつきは一切ないがっちりした作りとなっています。 ストックを折りたたむときも同様にストックリリースボタンを押して逆の手順を踏みます。
ショルダーパッドにはロックはありませんが、構えていてバット部がカタカタと動くようなことはありません。
ロアレシーバー下部にあるピン一つで分解が可能です。このピンを下に引きます。ここもマイナスドライバーを使うとよいでしょう。バッテリーを搭載する時にはアッパーを外す必要があります。
ピンを引くだけで、アッパーレシーバーがスルスルと抜けます。
工具なしで、簡単に分解できます。ロアレシーバーの前部にシリンダー&ピストンがあり、その後方がバッテリースペースになります。
発射に連動して、コッキングハンドルが可動する電動ブローバックです。これ以上は分解しないほうが無難です。
メカボックス後方にバッテリーを収納します。バッテリースペースは約105×35×35mmで、広そうにみえますが、意外と前後が短く、収納できるバッテリーを選びます。
大きい本体の割にバッテリーは小型のものしか収納できません。ET-1のLiPo 7.4V 800mAhか、オプションNO.1のBIG POWER LiPo 7.4V 1100mAh(PEQインタイプ)なら収納できました。
マガジンは280連多弾倉が標準装備です。マガジン重量は218gで外側はスチール製です。マガジンは長いので、装弾数は280発で多めですが、挿入口が狭いのでBB弾を入れる時はこぼさないよう注意してください。 BB弾の装弾は底部のゼンマイで行います。
40mでの実射テスト
試射はいつもと同様、東京マルイのベアリングバイオBB弾0.2gで、40m試射を行ってみました。使用バッテリーは前述のET-1 7.4v800mAhリポバッテリーです。
重量は3kg強と重くもなく、軽くもなく、ちょうどよい重さで、構えてみてもバランスがよいのか重さをあまり感じません。
ホップの調整は素直で微妙な調整もしやすかったです。弾道も素直でフライヤーもほぼありません。40mのボディにもほぼ命中しました。
50mでの直接射撃は、ギリギリ足に届くか届かないくらいでした。ピンポイントの狙撃は難しいですが、頭2、3個分、上に狙えば50mでも脅威を与えることは可能でしょう。
なかなかの実射性能です。サバゲでも充分、活躍できると思います。
SRCのMP40は、実銃と同様フルオートのみです。過去に他メーカーにはボディにセレクターを付けて、セミ、フル撃てるMP40もありましたが、邪道です。
そしてSRCのMP40は射撃時にはコッキングハンドルとボルトカバーが前後に可動する電動ブローバックで迫力あります。リコイルは小さく必要ではないアクションですが、これこそがMP40の完璧な電動ガンです!
ただしトリガーの感触はふにゃふにゃで、カチッとした感覚はなく、あまりよくないと感じました。
調べてみたところ、このMP40には一応、MOSFETがグリップ部に搭載されているようですが...、まったくFETが搭載されているようには思えませんでした。
他には電動ブローバックもちゃんと連動して動きますが、射撃終了時にボルトカバーが閉じていたり、開いたり、半開きだったりと安定しないのが、ちょっと残念でしたね。
あと、撃っていてフルオートのサイクルが遅いと感じましたが、どうやらこれはバッテリー電圧の問題でしょう。
MP40というSMGには昔から思い入れがあります。実は小学3年生の頃、一番最初に覚えたSMGなのです。キッカケはタミヤの1/35のプラモデルです。当時、わずか2cmサイズのMP40に夢を膨らませていました。実物大のMP40を初めてみたのは中学生になってからです。
ちょうどサバゲを始めたころ、友達がマルシンのエアコッキングのMP40を買ったのをみせてもらったのです。その時に、まず驚いたのはその大きさでした。今まで1/35しかみたことなかったので衝撃でしたね(笑)。
またスタイルも似ていることもあり、当時、愛用していたマルゼンのKG-9くらいかと勝手に思っていましたが、ぜんぜんコンパクトじゃないと思ったものでした(笑)。
子供のころから思い入れがあり、好きなガンなのですが、今まで個人的には、性能面、信頼性から欲しいと思える...もしくは使えるMP40のトイガンはなく、食指が動きませんでした。
今回も実は、SRCの電動ガンは初めてだったこともあり、あまり期待していなかったので、これはいい意味で予想を裏切られた感じです。
撮影協力:ビレッジ2
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