東京マルイ 電動ガン M9A1
実銃のベレッタM9は米軍が1985年に制式採用したオートマチックピストルだ。それまで制式となっていたコルトM1911A1に代わりトライアルを勝ち抜き米全軍の制式拳銃となった。口径は9mm×19パラベラム弾を使用する。このM9ピストルはイタリアのベレッタ社が開発したM92Fがベースであることもよく知られている。制式採用されるとともにM92Fは映画でも多く登場し、「ダイハード」や「リーサルウエポン」「男達の挽歌」など、主人公達が使用する拳銃として世界的にも有名になった。
このM9ピストルを2006年に米海兵隊の要請で改良したものがM9A1となる。
大きな改良点としてははウエポンライトなどを装着できるアンダーマウントレールを装備、グリップ前後面にチェッカリングが施され、リアサイトはホワイトドットに変更された。
東京マルイ 電動ガン M9A1 スペック & 弾速データ | |||||||||||||||||||||||
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パーツリスト |
東京マルイの電動ハンドガンシリーズは2004年12月のグロック18Cを皮切りに、2005年8月のM93R、2007年3月のUSPとラインアップされてきた。これ以降は長らくモデルアップされていなかったが、実に7年ぶりのシリーズ追加モデルとなったのが今回レビューするM9A1だ。
M9A1というと、2012年8月に既にガスブロが発売されているが、この電動ハンドガンのM9A1はそれよりも遥か前、2007年5月の静岡ホビーショーにて発表と同時にモックアップが展示されている。
つまりUSPを発売してすぐにM9A1のモデル化が決定していたが、商品化まで約7年もかかったということになる。7年前といったら次世代電動ガンも存在せず、マルイ広報の担当者すら違うという昔っぷり(^_^;。
パッケージ。艶消し黒の精悍なイメージで図面やスケルトンなどで電動ガンであることをアピールしている。
箱の寸法は28cm×18.3cm×6.1cm。
パッケージ内容。本体とマガジン、保護キャップ、クリーニングロッド、取説、パーツリスト&注文書とBB弾少々。
本体セットなのでバッテリーや充電器は別途購入する必要がある。
樹脂製ながらスライドやフレームは艶消しでブラストされたようなさらりとした仕上げで質感は結構高い。
M9A1の特徴であるアンダーマウントレール。グリップ後部にうっすらとパーティングラインが見えなくもないが、トリガーガードの内側も含めて、全体的に綺麗に処理されている。
もちろんアンダーマウントレールにはSUREFIRE X300などのウエポンライトを装着可能。
グリップは電動ユニットを内蔵する関係であろうか、ガスブロに比べてわずかだが厚みがあり、さらに下に長い。
このため、グリップパネルは取り外すことができるがネジ穴位置が異なるため、ガスブロとは互換性がない。ということは実銃グリップとも互換性がない。
トリガーストロークは短く、プルも軽めなので引きやすいが、元の銃がダブルアクションなので、グリップからトリガーの位置までが少し遠く感じる。
フロント&リアサイトはホワイトドット。エジェクションカット面が内側に傾斜しているのも再現しており、ガスブロの設計をある程度引き継いでいるものと思われる。トリガーに連動してトリガーバーも可動するが、テイクダウンレバーは固定されているダミー。刻印周りはシリアルナンバー以外はガスブロと同じ。
スライド左にあるセフティレバーを下げればセフティがかかる。ハンマーは動かないので、もちろんデコック機能はない。M9は本来アンビレバーなのだが、左右のレバーは連結されておらず、左レバーのみにセフティ機能がある。セフティオンの時でも右レバーは真っ直ぐなのはちょっと不思議な感じ。右レバーは動くには動くが常に水平を保つようテンションがかかっている。
右側のダミーセフティレバーはかなりの確率で脱落する。これはチームメイトのM9A1だが、この個体以外にもフィールドのレンタルガンで数丁の個体での脱落を確認した。スライド裏側からネジの緩みがないかなど確認し脱落対策をしておくのが良いだろう。
ハンマーはダミーでスライドのロックとして機能している。少し上へ持ち上げて後方へ倒せばスライドを上方へ取り外すことができる。
バッテリーは7.2V 500mAh ニッケル水素バッテリーを使用。
右側面から矢印の向きで差し込むだけ。装着は簡単だ。
バッテリーは左側面のイジェクターで取り出すことができる。また、バレル根本には可変ホップアップ調節ダイヤルがある。スライドを外していると通電が切断されてトリガーを引いてもメカが作動しない設計。
セミ・フルオートの切り替えは左側面のスライドストップレバーにて行う。
セミオートポジションからレバーを上へ持ち上げ前方へスライドするとフルオートポジションになる。
このレバー操作は固めで素早く操作することは困難。
マガジンは細身のいわゆる割り箸マガジンで、6mmBB弾を30発装填できる。
このマガジンを何本も持ち歩く場合、ポーチの形状に気を付けないとフィールドで落としやすいので注意が必要。
ガスブロとのグリップ長さの比較。
電動ガンのほうが数ミリ長い。
幅もわずかだが電動のほうが厚みがある。
バッテリーを装着しての実測重量は693g。
ガスブロと持ち比べてしまうとかなり軽めであるが、軽いことがサバゲーのサイドアームとしてはメリットになるともいえる。
マガジン単体重量は93g、バッテリーは67g。
本体と同時発売はされなかったが、2014年にはマウントレイルと100連マガジンのオプション発売が予定されている。
実射性能は電動ガンであるから、気温に左右されることなく平均初速72m/sを一年中キープできるのはサバイバルユースにはうれしいところだろう。弾道性能も可変ホップアップで実に素直。
ただ電動ガンならではのトリガーを引いてから電動ユニットが作動して弾が発射されるまでの、いわゆるロックタイムが長いのは電動ハンドガンが敬遠される理由の一つでもある。ウィパンッ、ウィパンッみたいな。このあたりはリポバッテリーを使用することである程度改善されるが、それでもガスブロのような切れの良い射撃感にはかなわない。
ガスブロと比べてしまうと、前述の理由や、軽かったり、ブローバックせず機能がオミットされていたり、グリップ形状がデフォルメされていたりと、リアルな操作を期待するユーザーからすればガスブロに軍配が上がるところだろうが、ガスブロは冬では屋外で使用できないのが難点。
このため冬のシーズンだけサイドアームを電ハンに換えるというゲーマーもいる。
ただ、軽いことはサイドアームとしては必ずしも短所とは言えず、機動力を重視するアタッカーにはマウントレイルにドットサイトを搭載し、100連マガジンで武装することで機動力と火力を両立できる強力なゲームウエポンともなることも確か。メインウエポンとして使用しているゲーマーもいるくらいだ。
個人的な感覚からするとM9A1というセミオートピストルでフルオート射撃をすること自体に少々違和感を感じる。M9系は人気の高いモデルなので、ガスと電動両方ラインアップしたいというのも分かるのだが、電動ハンドガンはグロック18Cなどのマシンピストルが似合うと思うのだ。
例えば次モデルとしてスチェッキンやモーゼルC96、あるいは電動コンパクトマシンガンでも難しそうなM11やマイクロUZIといったモデルがリリースされたら面白いんじゃないかな。
2013/12/31
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