東京マルイ ガスガン Px4 【エアガン レビュー】
2010年12月、ついに東京マルイのガスブロハンドガンの新商品、
Px4が発売となった。
最初に発表されたのは2008年5月のホビーショーだったので、実に2年半以上の月日をかけて開発されたモデル。もう待ちきれないユーザーも多かったんじゃないかな。私もその一人で、グアムで実銃を撃って以来、非常に気になるモデルだった。2010年4月には
エイプリルフール企画としてネタにしたほど。
実銃の
Px4はイタリア、ベレッタ社の開発した9mm×19パラベラム弾を使用するポリマーフレーム・オートマチックピストルで、2005年に発売された最新の拳銃だ。
最大の特徴はローテティング(rotating)・バレルロッキングと呼ばれるバレルロッキングシステムにある。この方式はバレルを軸方向に約30度回転させてロックする方式で、ライフリングによる捩れ方向の反動を軽減する効果があると言われる。
このベレッタPx4を実銃採寸、型取りを行いリアルなディティールを再現した東京マルイのPx4。
Px4は映画「
インセプション」でも主人公のレオナルド・ディカプリオ演じるコブが使用している。しかもサイレンサー仕様!!
しかもこの映画、SCARも登場し、まるで2010年末の東京マルイ新商品オンパレードのようだが、まだ見ていない人はDVD、ブルーレイが発売されているので是非ご自宅でじっくり観ることをオススメする。
東京マルイ ガスガン Px4 スペック & 初速データ |
全長 |
192mm |
重量 |
833g |
銃身長 |
90.5mm(インナーバレル長) |
装弾数 |
6mmBB弾 25+1発 |
定価 |
16,800円(税別) |
発売日 |
2010年12月20日 |
|
最高 |
71.32m/s |
平均 |
69.91m/s |
最低 |
68.75m/s |
ジュール |
0.489J |
※東京マルイ ベアリング バイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ適正、10発での測定、気温24.0度、湿度43.0%
パーツリスト
|
高級感が漂うシャンパンゴールドのパッケージデザイン。Px4モデル固有の表記部分はすべてシール対応となっている。
なるほど、これから発売されるガスブロシリーズはこのパッケージデザインで統一するのね、と言いたいところだが、
FN 5-7から導入したあの紺とグレーのデザインはもう使わないのかな。
パッケージ内容は本体、マガジン、交換用バックストラップのLとSサイズ、保護キャップ、クリーニングロッド、フォロアーストッパー×2、取説、パーツリスト(注文書)とBB弾少々。
上が東京マルイのPx4、そして下の写真が実銃のベレッタPx4だ。同じアングルとアイテムで撮影してみた。※マガジンだけはM92Fのものだったりするが...。
刻印はさすがにベレッタ刻印ではない。Px4 StormもPx4 Customと変更されている。ライセンスを取ればリアル刻印もできそうだが、価格が上昇してWAのような商標関連の刻印が無駄に入ったりすると、それはそれでガッカリなので、このままでもよいと思う。ベレッタの3アローも3ソードに。
上下の写真を比べてみるとよくわかるがシルエットや雰囲気はかなりそっくり。ライティングがちょっと異なるので、実銃のほうがスリムに見えるような気もする。むしろ実銃のほうがポリマーフレームに成型時のヒケがあったりして雑な感じ。マルイのPx4はどちらかというとシャープで直線的なディティールが多い。このアングルで一番形状が違うと思うのはトリガーの厚みくらいか。この実銃Px4は
グアムの野外射撃場「ワールドガン」所有のもの。
右側面の比較。左が実銃で右が東京マルイ。形状に関しては全体的によくできているなぁ。このアングルだとハンマーコック時の出っ張り具合がややマルイのほうが少ないことがわかる。細かいがエキストラクターの形状ももう少しメリハリがあると嬉しかったかな。まあガスガンではこのあたりが限界だと思うのだけど。粗探ししたらキリがない。
ローテティング・バレルロッキングを採用するPx4。ローテティング(rotating)・バレルロッキング方式というのはバレルを軸方向に約30度回転させてロックする方式で、ライフリングによる捩れ方向の反動を軽減する効果がある。スライドを引くとアウターバレルが実際に回転するのも再現している。ちなみにこの方式はベレッタ社の
M8000シリーズにも採用されている。
ホールドオープン。Px4ではノズルが従来位置より後退したことで、目立ちにくくなった。よりリアルな雰囲気で嬉しい配慮。ホールド位置は下の実銃に比べると1mmほど手前にも見えるが、比べなければまず分からないだろう。
アウターバレルはプラ製だ。ここが真鍮製だったら、さぞや良い音がするんだろうなと。
FN 5-7でアルミバレルを採用したマルイだけに次回作には期待したいところ。スライド内側にはメタルノッチ・スペーサーが組み込まれ、スライドストップのノッチ部の削れや破損を防止する。
実銃のエキストラクターを見ると、空薬莢を斜め上に飛ばすため、わずかだが斜めに取り付けられている。
また、トイガンを見るといつも思うのだが、このベレッタ特有のマズルクラウン形状を再現しているものがほとんどない。外側から緩やかにラウンドして内側にキュッと切れ込んだこの形状がいかにもスチールバレルの肉厚を感じさせる。多くのトイガンはペタンと垂直に切り立ってしまっていてこの味わいが無いんだよね。
リアサイトは金属製でホワイトドットが入る。しっかりと凹みの中に白い塗料が入れられていて芸が細かい。蓄光塗料を流し込んでもよいかも。ちなみにフレーム側の後端は金属製のリアシャーシが露出している構造。
ローテティングバレルロッキングの独特のチャンバー形状。9 Para PX16244と刻印もリアル。
剣のように先端に行くにしたがって細くなるスライドトップもシビれる。フロントサイトも金属製。
ファイアリングピンもかなりリアルに作りこんでいる。セフティレバーを操作するとファイアリングピンに見せかけたネジ頭が上を向くと言うギミック。
ハンマーコックしている状態で、スライド側面のアンビセフティを操作すると安全にハンマーを落とすデコッキング機能を実銃同様に再現。操作感もカッチリしていてよい。
ラウンド形状で握りやすいグリップ。
背面のバックストラップを実銃同様に交換することができる。実銃だと交換に工具が必要だが、マルイはグリップ底部のボタンを押し込むことでロックを解除するワンタッチ着脱。
こういったオリジナルの機構は大歓迎だ。
付属のセレクティブ・バックストラップを交換してみる。形状としてはノーマルが一番かっこいいが、個人的にはSサイズのストレートなバックストラップも握りやすかった。
可変ホップアップ調節ダイヤルはスライドをホールドオープンしてチャンバー奥の矢印の位置。
従来のスライドを分解して行うものよりも簡単。一応スライドを分解しての調節もできるが、ローテティング構造再現のため、アウターバレルを取り外さないと調整が難しいので、ポートから指を突っ込んで調整するのが○。
ポート上部側面にランナーから雑に切り取ったバリがあるのが気になる...。
マガジンは6mmBB弾を25発装填できる。
素材は亜鉛ダイキャストでちょっと半光沢なところが実銃のマガジンを彷彿とさせてリアルだ。
マガジン単体での重量は264g。
シュアファイアのX300ウエポンライトを装着してみる。アンダーマウントレールの幅は実測値で21.1mmだった。
スタイルがメカメカしくなってカッコイイ。X300のレール幅はドンピシャに合う。ただ、U(ユニバーサル)のロックアダプタを使用したがピッタリはまらない。ピカティニィで試してみよう。
通常分解(フィールドストリッピング)。赤い矢印のスライドロックを下げるとスライドを前方へ引き抜くことができる。緑の矢印の突起とアウターバレルの溝が噛み合い、バレルをターンさせる。
実銃採寸と謳っているだけあり、ブラックホーク CQCシェルパ ホルスターにも入る。
ま、入ることは入ったんだけど、結構キツい。矢印のネジを緩めてみたら少しはましになったが、それでもグロック系のシャカンと抜き差しできる感じがない。ホルスターの個体差だろうか?
実測重量は831g。Px4の取説によると実銃の空マガジン装着時重量が785gなので、9mmパラを数発装填した重量くらい。
さて、実射性能はと言うと、もう弾道性能は格段によい。ビシっと真っ直ぐ飛んでいくBB弾は電動ガンかと間違うほど。ホップの安定性も抜群だ。
リコイルは5-7譲りの15mm大口径ピストンカップを採用しているだけあって、ズシッと重みのある感触だ。
気温20度ちょっとの室内でもガンガン作動し、弾速も安定している。
ただし、初速は70m/s弱とやや低め。MEUピストルやハイキャパ4.3のように75~76m/sくらいがベストなのではと思う。グロック17系でも72~73m/sはあるのでもう少し初速があると嬉しかった。このあたりは個体差かもしれないが。
いずれにしてもこの価格でこの再現度はすばらしいモデルと言える。ゲームにシューティングにコレクションにマルチに使えるガスブロハンドガンだ。今晩はPx4を握り締め、ディカプリオになりきって映画「
インセプション」のブルーレイでも観ようかな。あるいはフレームをODに塗装してアニメCANAANの...以下略。
2010/12/27
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