ヨネザワ ワルサーMPL
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
今や電動エアガンといえば、モーターが駆動するギアでピストンをコッキングする形式のエアガンをさす。しかし、電動ガンの黎明期である1980年代後半、各メーカーは試行錯誤をくり返し、ガスガンと電動のハイブリッド型がいくつか作られた。WAのヤティマチックや、MGCのH&K MP5KA4などがそれにあたるが、中でもヨネザワのワルサーMPLは比較的価格設定が低く、電動エアガンの入門的存在だったといえる。
作動方式自体はインパクトバルブ方式によるインナーバレル後退式のガスガンで、それをモーターの力で駆動する。面白いのは、電動と手動(?)が切り替えられるようになっており、通常のガスガンとしても使えるということだ。当然、手動ではフルオートにならずセミオートでしか撃てないが、当時はまだ電動というメカに対する信頼度も今ほど高くはなく、万がいち電気的に故障したとしてもエアガンとしての機能を残す、というデザインはある意味で現実的だったのかもしれない。
ヨネザワがなぜワルサーMPLという機種を選んだのかという点については、現物を見て納得がいった。レシーバー前方、バレルジャケットに相当する長くて平べったい部分が、モーターと駆動系の部品や乾電池を収納するのにおあつらえ向きだったからではないだろうか。この手の製品は不定形な電動メカを内蔵させなければならないため、モデルアップできる機種が限られてしまうということがよくわかる。東京マルイが電動ギアボックスというユニットを開発し、それを各種発展させることで、今ではほぼあらゆる銃種をモデルアップできるようになったわけだが、その功績の大きさをあらためて思い知った次第である。
ワルサーMPLをモデルアップしたのは東京マルイが先だった。おそらくはそれを参考にしているはずだが、レシーバー前方の幅広部分にかなりのスペースがとれるため、何らかのギミックを入れるには最適なデザインだったと思われる。
バッテリーは単3乾電池4本をバレルジャケット上部に入れる。この個体ではバッテリーボックスのフタが欠品していたため、作動テストはできなかった。
リアサイトは固定式。以前紹介したマルイのスプリング排莢式ガスガンと比較してみると面白い。
バレルジャケット左側面にあるセミ/フル切り替えレバー(マニュアルではチェンジレバーB)。フルオート時のみ電源が入るようにするための電源スイッチ。
マニュアルにもある通り、通常のセレクター(マニュアルではチェンジレバーA)と上写真の電源スイッチのふたつを切り替えなければならない。Dはフル、Eがセミだ。
グリップ右側面のセレクターはダミーで動かない。その上にあるのはセフティレバー。
ガスはグリップ底部からリキッドチャージ。左の真鍮製ネジを外し、接続プラグに付け替えれば外部ソースも使える。
マガジンはシングルカアラムで装弾数は22発。リザーブタンクには約70発のBB弾を収納でき、傾けてレバーを動かすと装填される仕組み。
パッケージには飛距離40m、電動式フルオート・セミオート切替式と謳っているが、フロン12ガスガンとあり、現在の感覚からすると違和感を覚える。
本体に合計4つの操作レバー(1つはダミーだが)があり、マニュアルをよく読まないとそれぞれの役割を理解するのが難しい。マニュアルPDF (2MB)
DATA
発売年 | 1988年秋 |
発売時価格 | ¥9,800 |
全長 | 実測 458mm |
重量 | 実測 712g (電池なし) |
バレル長 | -mm |
発射方式 | ガス&電動 |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 22発+70発(リザーブタンク) |
平均初速 | -m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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