MGC H&K MP5KA4
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
電動モータードライブのフルオートガスガンとしては、1986年に発売されたWAのヤティマチックが先駆者だったが、MGCならではのリキッドチャージマガジンを採用したのがMP5KA4の大きな特徴だ。これによりマガジンを交換することで撃ち続けられるようになり、サバゲーでの使用に期待を持つゲーマーも多かった。
ところが、当時のMGCは他のメーカーに比べてかなり低いパワーの製品が多く、このMP5KA4も例外ではなかったため、実際にサバゲーに使われることはほとんどなかったようだ。(1986年にASGKが定めた自主規制値0.4Jに準拠)
加えて、予備マガジンが1本5,000円とかなり高価だったため、肝心のマガジン交換をして楽しめるユーザーも限られてしまった。
しかし、MGCのお家芸とも言えるリアルな外観は素晴らしく、かなりのヒット作となったのは確かだ。それまでもMP5のエアガンは存在したが、どれもリアル感という意味ではいま一歩の製品ばかりだったため、その存在意義は大きかったと言える。
Vシネマ「クライムハンター2 裏切りの銃弾」では、この銃をベースにした電着プロップガンを撃ちまくる世良公則に日本中のガンファンが感激したものだ。もともと電池を入れるスペースもあり、映画用の電着銃として改造するには好都合だったという説もある。
翌年1990年にはIC搭載の電子制御による3バースト仕様のモデルが、1992年には固定インナーバレル化と新モータードライブへの内部メカ刷新、さらに1993年には可変ホップアップも搭載されたが、やはり低パワーは変わらず、世は電動ガンの隆盛期。残念ながらロングセラーとはならなかった。このシリーズは独創的で面白い製品だったが、MGCはこれを最後に電動モータードライブガスガンの製造から手を引くことになったのだ。
フル・セミオート射撃可能なモータードライブ・オペレーションのガスガン。MGC創立30周年を記念した第一弾のモデルで設計は小林太三氏。
MP5シリーズの中でもいちばんコンパクトなK(クルツ)。この小さなボディに電動メカを収納したというのはさすが小林デザインと言うしかない。
フロントサイト、銃口のクラウン、ライフリングと、まるでモデルガンのようなスキのない再現性。わずかに見える真鍮バレルが唯一エアガンの証しだ。
ドラム式のリアサイトは金属製で実際に調整可能。H&Kのサイトをここまで再現したのはこのモデルが最初だった。
各部のディティールはすべてダミーだが、削り出し加工を彷彿とさせるヘアラインや荒々しい溶接跡は、モデルガンで培った技術力の集大成。
ダミーのボルトが発射に連動して前後動するギミックが付いている。ガスだけで空撃ちをしても楽しめる機構だったため、BB弾を入れないで撃つという楽しみ方もあった。
単3電池を5本使用する。MP5をモデルアップする上で、ここに電池を入れようという発想に至るのが素晴らしいではないか。
M93Rから続く安定のインパクトバルブ。マガジン内のガスタンクは金属ではなく、なんとビニールチューブ製だった。
細い棒はマガジン内に収納されるローダー。外観のリアルさを優先したデザインのためBB弾を手詰めすることが難しくなり、このローダーを使って押し込む。
古いMGCファンにはおなじみのイラコバさんこと小林弘隆氏による、ポップなイラストが楽しいパッケージ。
箱絵に引き続きマニュアルにも小林弘隆氏のイラストが散りばめられている。トップページにはMP5を使った映画スターたちが描かれており、その中にタニコバさんこと小林太三氏が混ざっているという絶妙な洒落が面白い。
マニュアル.PDF (13MB)
DATA
発売年 | 1989年11月10日 1990年12月17日 (バースト・タイプ) 1992年12月中旬 (MP5K-PDW) 1993年11月中旬 (MP5K-PDW ホップアップ Ver.) |
発売時価格 | ¥17,500 ¥20,000 (バースト・タイプ) ¥22,800 (MP5K-PDW) ¥23,000 (MP5K-PDW ホップアップ Ver.) |
全長 | 実測 325mm |
重量 | 実測 1,200g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | ガス&電動モータードライブ |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 50発 |
平均初速 | -m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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