WA ヤティマチック
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
WAヤティマチックには、ふたつの大きな特徴があった。
ひとつは、シルベスター・スタローン主演の「コブラ」という映画と、タイムリーにリンクしながら販売された点。
今でこそ映画やアニメとタイアップしたエアガンも多いが、当時としては画期的な宣伝方法だった。
もうひとつは、ガスガンの放出バルブをモータードライブで連続して叩くという、フルオート射撃機構だ。
パワーソースとなるガスはグリップ内にリキッドチャージし、マガジンにはBB弾とバッテリーを収納する。
これにより、50発5秒という高速で安定した発射速度が実現したのだ。
当時まだまだ主流だったBV式フルオートでは、発射弾数が増えるごとに速度が落ちるのが当たり前だったため、これはかなり画期的だった。
BB弾はマガジンに、ガスはグリップ内という分離方式は、やはり使い勝手の点では一歩譲らざるを得ない。これはMGCの持つ特許上の回避策と言われている。
ヤティマチックという珍しい銃のモデルアップも含め、非常に稀有なエアガンだったと言えるだろう。
映画「コブラ」で使用されなければ、おそらく今でも無名だったであろうヤティマチック。そこに着目したWAの販売戦略はさすがだ。
本体にくらべ異様に長いマガジン、銃身軸に対し7度という角度のついたレシーバー、その独特なディティールはモータードライブ電動ガンにふさわしいものだった。
本体は左右分割のモナカ構造。コストダウンだけではなく、モータドライブメカを収納するにはこれがもっとも向いている。
フォアグリップが電気スイッチになっており、折り畳んだ状態では撃てない。実銃ではこの部分がコッキングハンドルを兼ねている。
マガジン内に4本の単3バッテリーを収納する。予備マガジンごとにバッテリーが必要なのはやはり少々使いにくい。
マガジンに露出した電気接点。マガジンは激しく出し入れされる物だが、扱いにはじゅうぶんな注意が必要とされた。
純正アクセサリーのコブラスコープとコブラサイレンサー。装着すると発射音が2倍の大きさになるというコブラバレルカバーという物もあった。
映画ではレーザーサイトだったが、WAではスコープになっていて、上下左右の調整が出来るしっかりとした作り。
ガスをグリップ下部からリキッドチャージするのは一般的なガスガンと同じ。
映画「コブラ」のイメージでデザインされたパッケージ。
初のモータドライブガスガンという事で、6ページにもわたる詳細なマニュアルが付属した。ヤティマチックに対するWAの思いが伝わってくるような内容だ。
DATA
発売年 | 1986年12月25日 |
発売時価格 | ¥14,800 |
全長 | 実測 377mm |
重量 | 実測 1,210g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | ガス&電動モータードライブ |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 50発 |
平均初速 | 63.7m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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