東京マルイ ワルサーMPL GAS
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
エアガンにとって永遠のテーマとも言えるのが、カートリッジの問題である。
現在ではケースレス(カートレス)が当たり前となっているが、エアガンを銃の模型として捉えた時、やはりカートの存在は大きい。
実銃をイメージする上でカートがあるかないかというのは、無視出来ない大切な要素のひとつなのだ。
この問題に挑戦したメーカーはいくつかあるが、中でも、独創的な発想で答えを出したのが東京マルイだった。
カートとBB弾を完全に分け、カートにはブローバックでエジェクトされ宙を舞う空薬莢としての役割だけを持たせる。
発射機構自体はケースレスなので、カートをチャンバーに装填する必要がなく、カートはマガジンから直接エジェクトされる。
これは映画用のプロップガンなどに見られる機構だが、それをエアガン用にアレンジして量産したのは、さすが東京マルイといったところだ。
パワーソースのガスはシリンダーに一旦蓄圧され、ピストンを前進させる。トリガーを引いてハンマーがバルブを叩くと蓄圧されたガスがリリースされ、その排気によりBB弾を発射。一方でリリースされたピストンと連動したエキストラクターがカートをエジェクトする仕組み。ブローバック機構自体は前年に発売された同社のM59と同様の機構を採用している。
実射性能もなかなかのものだったが、BB弾を装填せず、フルオートでエジェクトされるカートを見て楽しむ、という遊び方をするユーザーも多かったそうだ。
サバゲーでの使用にはまったく向かないが、こうした遊び心のあるエアガンが少なくなってゆくのは、実に寂しいものである。
ケースレスエアコッキングのモデルがベースになっている。
エジェクションポートが後ろの半分だけ開いている。ここからカートがエジェクトされるわけだ。
調整可能なリアサイト。実際には狙って撃つというより、フルオートで吐き出されるカートを見る方が楽しかった。
アルミ製のインナーバレル。命中精度は高そうだが、今回は古い個体のため実射テストは行わなかった。
左側のグリップパネルを外し、専用のガスボンベを挿入。通常のボンベからガスをリキッドチャージする事で繰り返し使える。
外部ソースを使う場合は、グリップ下からニードルとホースを差し込む。
380ACPサイズのプラスチック製カートと専用BB弾が付属。BB弾はシングルカラムで23発入るが、カートの方はなぜか26発入る。
カートとBB弾が分かれて装填されているのが分かる。カートはスプリングで押し上げられているので、この位置から数ミリ引き抜くだけで飛び出して来る。
ボルトがブローバック作動するわけではなく、ここからカートが飛び出て来るだけだが、これが意外にリアルで楽しかった。
パッケージには宙を舞うカートが表現されている。このシリーズにはMP5A3もあり、エアガンとしては珍しいストレートマガジンだった。
DATA
発売年 | 1987年12月22日 ワルサーMPL 1989年6月14日 MP5A3 |
発売時価格 | ¥8,900 |
全長 | 実測 460mm |
重量 | 実測 950g |
バレル長 | - |
発射方式 | ミニボンベ内蔵/外部ソース式ガス スプリング排莢式 |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | BB弾23発 カート26発 |
平均初速 | - |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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