東京マルイ H&K MP5A3 GAS
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
今回紹介するマルイのMP5は、以前取り上げたワルサーMPLと同じ機構を持つスプリングバック式のブローバック・フルオートガスガンだ。BB弾の発射と同時に空薬莢がエジェクトされるというのが最大のウリだが、ワルサーMPL同様、BB弾と薬莢に直接の関係はなく、マガジンへの装填もそれぞれ別々に行う。
しかし、発射機構と空薬莢のエジェクト作動にはもちろん関係性があり、シリンダーからガスが放出されBB弾が発射された後、スプリングによって後退するピストンが空薬莢(薬莢としての機能がないのでこの表現はヘンだが)をマガジンから引き抜く。薬莢には下からマガジンスプリングのテンションがかかっているため、そのまま直接エジェクションポートから排出されるというわけだ。
スプリングバックの機構は同社製S&W M59と同じものだが、実はマガジンから空薬莢を直接エジェクトさせる、という独創的な仕組みにはもっと古いルーツが存在する。1960年代半ば頃にMGCから発売されていた、M3グリースガンのゼンマイ排莢モデルガンだ。
モデルガンなのでBB弾は発射出来ないが、かといって火薬の発火も出来ない。機関部に内蔵されたゼンマイをコッキングハンドルで巻き上げ、トリガーを引いてゼンマイを開放することでマガジン内の真鍮製ダミーカートリッジがエジェクションポートからバラまかれるという、いわばアクションモデルのような製品だった。
マルイMP5のデザイナーがそのグリースガンを参考にしたかどうかは知る由もないが、ひとつ言えるのは、いつの世にもこうした遊び心に満ちたトイガンは絶対に必要である、ということだ。
実射性能を追求するだけではなく、こうした玩具性の高い製品にちゃんと向き合うというところに、長く玩具メーカーとしてトイガンを作ってきた東京マルイの企業理念を感じずにはいられないのだ。
トイガンとしては珍しい、ストレートマガジンのタイプがモデルアップされている。これは、マガジンスプリングによって排出される空薬莢を少しでもスムースに押し出すためだと思われるが、その意味では実銃と同じ選択となった。
インナーバレルはアルミ製。フロントサイトブレードは上下の調整が可能だ。
ドラム式のリアサイトも4つの照門孔に切り替えられる。命中精度を期待するような銃ではないが、エアコッキングガンがベースになっているため照準関係はしっかりと機能する。
伸縮式のストック。2本のバーは金属製で、強く構えてもきしむようなことはない。
パワーソースはガスで、付属のガスボンベに注入してからグリップに内蔵するか、ホースを接続して外部ソースにするかのふた通りから選べた。
ダミーカートリッジは実物より小振りだが、ちゃんと空薬莢の形状をしているためなかなかリアルだ。BB弾はマガジン前面にシングルカラムで装填される。セレクターの切り替えで、セミ/フルオートの撃ち分けもできた。
製品の魅力が伝わりやすいよう工夫してデザインされたパッケージ。箱を見ただけで、単なるガスガンではないということをユーザーが瞬時に理解できる。
DATA
発売年 | 1989年6月14日 |
発売時価格 | ¥8,900 |
全長 | 実測 453mm~653mm (ストック伸長時) |
重量 | 実測 1,150g |
バレル長 | - |
発射方式 | ミニボンベ内蔵/外部ソース式ガス スプリング排莢式 |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | BB弾30発 カート25発 |
平均初速 | - |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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