タカトク TMガン01
写真&解説 YAS
解説
マツシロが製造し、タカトクが販売をおこなったTMガンシリーズ。 タカトク、マツシロそれぞれの頭文字をとってTとM、テムガンと呼称する。
1973年に発売されたTMガン01は専用ビレットと呼ばれる9mm口径のカート式樹脂製弾丸を使用する。
当時は7mmつづみ弾もあったが、まだ玩具銃ではこのような独自規格の弾も多く存在した。この弾は以前に紹介したハンドガンタイプのドライガーや、レバーアクションライフルのTMガン99と共通の弾だ。
TMガンは弾を組み立てマガジンに装填し、コッキングハンドルを引いて弾を装填、発射、排莢するアクションを楽しめる玩具銃で、ターゲットとしては小学生高学年までといったところだ。本稿末に掲載している当時の広告では中学生以上は発売されたばかりのSS9000がおススメされている。
また、TMガン01は後に7mmつづみ弾仕様に改修されSS5000に、TMガン99はSSW7000としてリニューアルされる。
当時はマノック産業が販売するBS-GUNシリーズが隆盛を極めていた。それらが単発や8連のリボルバー式弾倉だったのに対して、カート式のボックスマガジンを備え、樹脂を多用した軽量な軍用銃スタイルということもあり、多くのファンを獲得、後に大ヒットしたSSシリーズへと発展していく。
レシーバー、バレル、ストックともに樹脂製で、どことなくM1カービンをイメージさせる軍用銃スタイル。米ドラマ「コンバット!」が日本でも1962~67年に放映され第二次世界大戦もののモデル人気に火が付いた。M1カービンはヘンリー少尉の使う銃だ。
フロントサイトはバレル先端にネジ止めされている。インナーバレルはなく、9mm弾とはいえ、本当にただの筒といったガバガバさだ。
レシーバーは樹脂製。ダイキャスト製のコッキングハンドルを持ち上げ、後方へ引き、再びレバーを戻して下げる。ボルトアクションライフルと同じコッキング方法だ。コッキングハンドルが上がっているとトリガーが引けない安全装置も付いている。
固定式のリアサイトはVノッチで、その後ろには付属のスコープを取り付けるマウントレイルがある。
レシーバー左には1973 K.K.MATUSHIRO JAPAN & FOREIGN PATENTS PENDING MADE IN JAPANの凸刻印。スコープは後ろからレールに差し込むだけ。
スコープはレンズではなく、十字レティクルの入った透明なプラスチックが前後にはまっているのみ。しかもレティクルは傾いていたりする愛嬌さ。
トリガーはダイキャスト製。セーフティスイッチがトリガーの前にある。Sに入れるとトリガーがロックされる。
チークパッドのあるストックは樹脂製。1960年代の玩具銃は木製ストックが多かったが、1970年代になると、樹脂成型技術が発達し、大量生産できてコストも安くなったので木材の代わりに広く使用されるようになった。SS5000と異なりバットプレートが無い。
装弾数5発の樹脂製マガジン。マグキャッチはなく、抜き差しするだけ。
弾はTMガン共通の赤いケースと黒い弾頭で構成される専用ビレットと呼ばれるもので、弾頭部直径が9.2mm、弾頭重量は0.292g、ケース含めたビレットの重量は0.837gだ。ポンプで圧縮された空気が筒状のケースを通り、弾頭部を押し出す仕組みだ。
コッキングハンドルを引くと、エジェクションポートがオープン、ビレットが装填される。
発射したのち、再びコッキングハンドルを引くと空の薬きょうがポートから真上にぴょんと飛び出し、次弾が装填される仕組みだ。
本個体は故障しており、シアが掛からず、残念ながら試射することはできなかった。
TM(テム)ガン 01(ゼロワン)のパッケージはブラックに白文字で大人びた雰囲気。約50年前の製品なので、箱はかなり傷みが激しい。「飛びだす薬きょう五連発・安全装置付」のキャッチコピー、箱の左下にタカトク、右下にマスダヤのロゴマークがある。また、1971年より策定されたSTマーク(玩具安全マーク)のシールが貼ってある。
1976年当時の少年誌の広告。1974年にはSSW7000の前身であるTMガン99(ダブルナイン)が発売された。
DATA
発売年 | 1973年 (TMガン01) 1974年 (TMガン99) 1975年 (TMガンDG) |
発売時価格 | ¥3,900 (TMガン01) ¥4,900 (TMガン99) ¥1,980 (TMガンDG) ¥3,900 (TMガンDG デラックス) |
全長 | 実測 821mm |
重量 | 実測 794g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | カート式エアーコッキング |
使用弾 | 9mmビレット弾 |
装弾数 | 5発 |
平均初速 | -m/s |
撮影協力:ミリタリーグッズ.com
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