タカトク SS5000
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
タカトクのSSシリーズは、当時の少年たちにとって憧れのエアガンだった。ラインナップされた3種類のうち、もっとも低価格だったのがSS5000の5,000円で、その上がSS7000の7,000円、シリーズ最高峰のフラッグシップモデル、SS9000は9,000円だった。モデル名がそのまま定価を表しているという面白いエアガンだったが、中でもSS5000は軍用カービン銃のような外観で人気が高く、決して廉価版というイメージではなかったように思う。
SS5000は1973年発売のTMガン01のどんぐり弾を、7mmてるてる坊主弾が使用できるよう、1976年にリニューアルされたモデルだ。
発射方式としては一般的なプル式エアコッキングだが、シリンダーのストロークが短いため、パワーではSS9000に敵わない。しかし、コッキングハンドルを引いてもレシーバー後部からシリンダーが突き出さないため、オートマチックライフルのような雰囲気を壊さないところがミソだ。全長も短く、5連発のボックスマガジンは着脱も簡単で、予備マガジンがあればマグチェンジも素早くできた。機動性が求められるコマンドはSS5000を使い、後方支援のスナイパーはSS9000を使う、というのが当時の撃ち合いゴッコにおける理想型だったのだ。
その後、撃ち合いゴッコがサバイバルゲームに進化し、SS5000もSSスーパー5(つづみ弾)、UXスーパー5(6mmBB弾)と時代に合わせて改良、1980年代後半まで販売されるものの、残念ながらSS5000のような中型エアガンは、マルゼンKG9などの小型サブマシンガンに取って代わられてしまったのである。
全体的なスタイルはアメリカのM1カービンに見えなくもない、といった感じだが、オートマチックライフルの雰囲気はじゅうぶん伝わって来る。
バレルはSS9000と共用なのでフロントサイトも同型の競技系チューブタイプ。アサルトライフルらしさを打ち消してしまうようで残念な部分だ。
トリガー前方にセフティがあり、この配置もやはりM1カービンぽいと言えなくもない。ボルトのストロークは57mm。
エジェクションポートは真上にあり、エンプティケースが上にエジェクトされる。上下左右の調整が可能なリアサイトはSS7000と共用。
ストック下面にはテイクダウンラッチがあり、これを後方に引くと…。
ストックからバレルドアクションを取り外すことが出来る。
シングルカアラムのマガジンは5連発で、カートはSS7000と共用。この銃には独立したマガジンキャッチがなく、マガジン側面の切り欠きにマガジンハウジング内側の突起がはまって固定される。
マガジン側面には.38CALと刻印がある。これはTMガン01と共用のもので、ラウンドノーズ型の黒色プラ製弾頭を使用し、口径が9mmだったため、その名残が刻印に残っているのだ。
チークピースのついたストック。ここにも競技用ライフルの雰囲気が感じられ、結果的に中途半端なデザインとなってしまった要因のひとつかもしれない。
DATA
発売年 | 1976年 |
発売時価格 | ¥5,000 |
全長 | 実測 913mm |
重量 | 実測 1,150g |
バレル長 | 440mm |
発射方式 | プル式エアコッキング |
使用弾 | 7mmつづみ弾 |
装弾数 | 5発 |
平均初速 | 38.6m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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