サンプロジェクト マズライト
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
実銃の世界では、ある特定の銃をブルパップ化させたコンバージョンモデルがいくつか存在する。以前紹介したマーベリック M88もそのひとつで、モスバーグ M500が内蔵されていた。今回紹介するマズライトは、ルガー ミニ14を内蔵してブルパップ化させるためのコンバージョンキットで、いわゆる「ガラ」だけで販売されていた物だ。これを購入したユーザーは、自分のミニ14をこの中に組込むというわけだ。
もちろんそれは実銃の話なのだが、このキットを輸入してエアガンを組込み、サバイバルゲーマー向けに発売されたのがこの製品だ。メーカーはサンプロジェクトで、外部ソース式エアガン全盛時代にはコネクターやホース類など周辺サプライ関係を販売していた会社である。現在も、同社製のグリーンガスレギュレーターを使用しているエアガンユーザーはいるはずだ。
前述の通り、本来ならルガーミニ14を内蔵させるためのキットだったのだが、この製品にはマルゼン ブラックステアーのBV式フルオートユニットが組込まれている。当時、安価で高性能なフルオートガスガンの代名詞的存在だったということと、そもそもサバゲーに使えるミニ14のエアガンがなかったからだろう。露出しているダミーのバレルだけは、マルゼン製カート式エアコッキングのミニ14のパーツが使われているが、性能的にはブラックステアーそのものということになる。それでいて価格は39,800円と高価だったため、結果的にヒットにつながることはなかったようだ。
どう見てもオモチャっぽいデザインだが、「ガワ」はれっきとした実銃用のパーツである。すべてプラスチック製でこれ自体には何の発射機能もないため、問題なく輸入出来たのだろう。SF映画「スターシップ・トゥルーパーズ」でモリタライフルとして使われていたため、アメリカではけっこう売れたらしい。
アウターバレルにはマルゼン製ルガー ミニ14のパーツが使われている。同製品はカート式エアコッキングガンでサバゲーには不向きだったため、内蔵用として使われることはなかった。
リアサイトはプラ製でかなりアバウトな作り。本来ならばキャリングハンドルに取り付けるマウントベースも付属している。
フロントサイトはしっかりとしたスチール製で上下の調整が可能。唯一、実銃用であることを感じさせる部分だ。
完全に左右別体のモナカ構造を合計6本のキャップボルトで止めている。アメリカ製なのでボルトはインチ規格。
トリガーを浅く引いてセミ、引き切ってフルという切り替えはマルゼンブラックステアーそのままだ。トリガーガード側面の四角いパーツはセフティ。
マガジンもマルゼンブラックステアー用をそのまま使用する。ストック下部に外部ソース用のカプラーがあるが、この個体は内部ユニットを破壊してあるため実射不能な状態となっている。
左側面にはルガーミニ14本来のセフティを作動させるためのレバーがあるが、エアガンでは固定され単なるダミー。
オリジナルのソフトケースが付属しており、高級感を演出する販売政略だったようだ。
パンフレットはエアタンクなど周辺機器のカタログとなっており、取説ではない。農薬噴霧用加圧タンクを改造した「軽~るクン」を懐かしく思い出すエアガンファンも多いのではないだろうか。
manual.pdf (8.1MB)
DATA
発売年 | 1990年夏 |
発売時価格 | ¥39,800 |
全長 | 実測 665mm |
重量 | 実測 1,820g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | 外部ソース式ガス |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 60発 |
平均初速 | -m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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